★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

●クラシック音楽●新譜CD情報

2025-03-28 09:42:12 | 新譜CD情報



<新譜CD情報>



~秋山和慶 ”指揮者生活60周年記念” ブルックナー:交響曲 第4番「ロマンティック」(ライヴ録音盤)~ 



ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「 ロマンティック」(1878/80年稿 ノヴァーク版)

指揮:秋山和慶

管弦楽:東京交響楽団

録音:2024年9月21日、東京・サントリーホール(ライヴ録音)

CD:オクタヴィア・レコード OVCL-00866

 戦後日本のクラシック並びにオーケストラ界の発展に大きく貢献した巨匠、秋山和慶(1941年―2025年)。1964年東京交響楽団を指揮してデビュー、以来同楽団の音楽監督・常任指揮者として40年間、そして最後は同楽団の桂冠指揮者を務めた。このCDは、”秋山和慶指揮者生活60周年記念”東京交響楽団第724回定期演奏会のライヴ録音盤。

 指揮の秋山和慶(1941年―2025年)は、東京都出身。桐朋学園大学音楽学部で学ぶ。1964年東京交響楽団を指揮してデビュー。バンクーバー交響楽団音楽監督(桂冠指揮者)、アメリカ交響楽団音楽監督、シラキューズ交響楽団音楽監督(名誉指揮者)を歴任。日本では、東京交響楽団音楽監督・常任指揮者(桂冠指揮者)、大阪フィルハーモニー交響楽団首席指揮者、札幌交響楽団ミュージック・アドバイザー・首席指揮者を歴任。さらに、広島交響楽団音楽監督・常任指揮者(終身名誉指揮者)、九州交響楽団桂冠指揮者、中部フィルハーモニー交響楽団芸術監督・首席指揮者を歴任。 第6回「サントリー音楽賞」(1974年)、「モービル音楽賞」(1996年東京交響楽団と受賞)、「紫綬褒章」(2001年11月)、「旭日小綬章」(2011年6月)、「文化功労者」(2014年)などを受賞(受章)。
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●クラシック音楽●コンサート情報

2025-03-27 09:37:51 | コンサート情報



<コンサート情報>



~札幌交響楽団 エリアス・グランディ首席指揮者 就任記念演奏会~

マーラー:交響曲 第2番「復活」

指揮:エリアス・グランディ(札響首席指揮者/2025年4月就任)

管弦楽:札幌交響楽団

ソプラノ:マリ・エリクスモーエン
メゾソプラノ:カトリオーナ・モリソン

合唱:札響合唱団 ほか

会場:札幌コンサートホールKitara

日時:2025年4月20日(日) 午後1時
 
 指揮のエリアス・グランディが2025年4月から札幌交響楽団(札響)首席指揮者に就任するが、この演奏会は、札響首席指揮者就任披露演奏会。札響からどのような響きを導き出すのか興味深い。

 指揮のエリアス・グランディ(1980年生まれ)は、ドイツ、ミュンヘン出身。バーゼル、ミュンヘン、ベルリンでチェロを学び、バイエルン放送交響楽団とコーミッシェ・オーパー・ベルリンでチェリストを務めた。2012年よりダルムシュタット歌劇場で常任指揮者としての活動を開始。2015年第7回「ゲオルグ・ショルティ国際指揮者コンクール」最高位(1位なし第2位)を獲得。2015~2023年ハイデルベルク歌劇場およびハイデルベルク・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務める。2004年レナード・バーンスタインが、ロンドン交響楽団とともに札幌で創設した国際教育音楽祭「パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌(PMF)」にオーケストラ(チェロ)に参加、2012年にはコンダクティング・アカデミー生として参加した。2024年には客演指揮者として再びPMFに参加。2025年4月から札幌交響楽団首席指揮者に就任。現在、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの主要オーケストラに客演し、急速に国際的な知名度を得ている。オペラおよびコンサートの双方において情熱的で気迫ある音楽解釈に定評があり、繊細な情感を把握することによる豊かな音楽作り、並外れた正確さと音楽の深みが高く評価されている。
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●クラシック音楽●コンサート情報

2025-03-26 09:43:49 | コンサート情報



<コンサート情報>



~ヴェネツィア・フェニーチェ歌劇場合唱団 大阪特別演奏会~

ヴェルディ:
   「ナブッコ」より”祭りの装りは”、”行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って”
   「二人のフォスカリ」より”バルカロール”
   「エルナーニ」より”万歳!…飲もう!”、”カスティーリャの獅子を再び目覚めさせよ”
   「マクベス」より”魔女たちの合唱”、”虐げられた祖国よ!”
   「イル・トロヴァトーレ」より”ジプシーの日々を彩るのは誰だ?”、”炎は燃えて”
   「椿姫」より”私たちはジプシーの娘”、”おれたちはマドリードの闘牛士”、”乾杯の歌”

プッチーニ:「蝶々夫人」より”ハミングコーラス”
      「トゥーランドット」より”我らの皇帝陛下万歳…尊き父よ”

ポンキエッリ:「ラ・ジョコンダ」”祭り!パン!」
ほか

合唱:フェニーチェ歌劇場合唱団

指揮:アルフォンソ・カイアーニ

ピアノ:アンドレア・キナリア

ナビゲーター:三代澤康司

解説:井内美香

会場:フェスティバルホール

日時:2025年4月22日(火) 午後7時

 イタリア三大歌劇場の一つ、フェニーチェ歌劇場。その合唱団が、現フェスティバルホールこけら落とし公演以来12年ぶりに来日し、「大阪・関西万博2025」開幕記念の特別演奏会を開催。マクベス、蝶々夫人、椿姫、トゥーランドットなどを披露する1日限りのスペシャルコンサート。「イタリア第2の国歌とも言われるヴェルディ作曲ナブッコの「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」は、当日、客席の皆さまもご一緒に口ずさんでみてください」とのこと。

 フェニーチェ劇場は、イタリア・ヴェネツィアにある歌劇場。イタリア語でfeniceは不死鳥を意味し、その名は1773年に火災で焼失したヴェネツィアの他の歌劇場の後継を自負して名付けられた。その後この劇場自体、1836年と1996年の2度にわたって火災により全焼したが、その都度再建がなされ、「不死鳥」の名にふさわしい歴史を誇る。フェニーチェ劇場は当初からヴェネツィア、あるいは広くヨーロッパにとっての中心的歌劇場としての地位を確立した。ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティの新作初演を含む数多くのオペラが上演されてきた。
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◇クラシック音楽◇NHK-FM「ベストオブクラシック」レビュー(新ダヴィッド同盟 室内楽 演奏会)

2025-03-25 09:43:30 | NHK‐FM「ベストオブクラシック」レビュー



<NHK-FM「ベストオブクラシック」レビュー>



~新ダヴィッド同盟 室内楽 演奏会~



ベートーベン:弦楽三重奏曲 ハ短調 作品9 第3

 室内楽:新ダヴィッド同盟

     ヴァイオリン:庄司紗矢香
     ビオラ:磯村和英
     チェロ:スティーヴン・イッサーリス

フォーレ:ピアノ三重奏曲 ニ短調 作品120

 室内楽:新ダヴィッド同盟

     ヴァイオリン:庄司紗矢香
     チェロ:スティーヴン・イッサーリス
     ピアノ:小菅 優

シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44

 室内楽:新ダヴィッド同盟

     ヴァイオリン:庄司紗矢香、池田菊衛、
     ビオラ:磯村和英
     チェロ:スティーヴン・イッサーリス
     ピアノ:小菅 優

シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44から第3楽章「スケルツォ」(アンコール)

 室内楽:新ダヴィッド同盟

     ヴァイオリン:庄司紗矢香、池田菊衛
     ビオラ:磯村和英
     チェロ:スティーヴン・イッサーリス
     ピアノ:小菅 優

収録:2024年12月1日、紀尾井ホール

放送:2025年3月18日 午後7:30 〜 午後9:10


 新ダヴィッド同盟は、2010年に水戸芸術館館長であった吉田秀和(1913年―2012年)の命名によって、庄司紗矢香に結成を託された水戸芸術館専属の室内楽グループ。シューマンは俗物に対抗し、真の芸術創造を達成するために「ダヴィッド同盟」という架空のグループを夢見たが、これによって、メンデルスゾーン、ショパン、ベルリオーズといったロマン派の同志たちの音楽の真価が、世に広く知れ渡ることとなった。次代を担う若手演奏家たちが中心となって結成された「新ダヴィッド同盟」(New "Davidsbündler")は、2010年に生誕200年を迎えるシューマンに思いを馳せ、その音楽的理念に共鳴して旗揚げされ、新時代の理想的な音楽表現のあり方を情熱的に追求していく願いが込められている。庄司紗矢香の呼びかけで集まった、気心の知れた若い音楽仲間と、庄司が尊敬する東京クヮルテットメンバーの磯村和英によって構成される。


 ベートーヴェン:弦楽三重奏曲 ハ短調 作品9 第3 は、1797年から1798年にかけて作曲された。事情により長期間にわたって総譜が出回らなかったために同作が後世へ与えた影響は限定的なものとなった。曲はロシア軍の将校であったヨハン・ゲオルク・フォン・ブロウネ=カミュ伯爵へと献呈された。同作品はハ短調という調性を取り、曲調は暗いが内容は濃密で、作品9の3曲の中では最も劇的な曲として知られる。ベートーヴェン自身は、作品9の3つの曲の中では、第1曲にあたる弦楽三重奏が最もうまく書けた作品であると考えていたという。


 今夜の新ダヴィッド同盟のベートーヴェン:弦楽三重奏曲 ハ短調 作品9 第3の演奏は、カチッとした強固な構成力が曲の最後まで持続され、この曲の持つハ短調という運命的な出会いを見事に描き切った演奏内容に感心した。一方では、若き日のベートーヴェンの屈託なくはつらつとした一面も披露された演奏内容に仕上がり、最後まで楽しく聴き通すことができた。三人の弦楽器奏者が一つに結び合ったと思った後は、また、それぞれの独自の持ち味を出し合うような自在な演奏スタイルによって、若さ溢れるベートーヴェンの熱い思いが、リスナーの胸に届いたようだ。


 フォーレ:ピアノ三重奏曲 ニ短調 作品120は、1922年9月から1923年2月にかけて作曲されたピアノ、ヴァイオリン、チェロのための室内楽曲。全3楽章からなる。フォーレの創作期間は、作曲年代によって第1期(1860年~1885年)、第2期(1885年~1906年)、第3期(1906年~1924年)の三つの期に分けられるが、ピアノ三重奏曲は、このうち第3期に属するとともにフォーレ最晩年の作品であり、高齢による肉体の衰えと絶え間ない疲労に苦しみながら作曲された作品。この曲は、ラヴェルのピアノ三重奏曲とともに、当時のフランスのピアノ三重奏曲を代表する作品となった。


 今夜の新ダヴィッド同盟のフォーレ:ピアノ三重奏曲 ニ短調 作品120の演奏は、ベートーヴェン:弦楽三重奏曲 ハ短調 作品9 第3の演奏を聴いた後だけに、果たしてどのような演奏になるのか、想像が付きかねた。フォーレの後期の室内楽曲は、難解な部類に入るものが多いが、このピアノ三重奏曲は、例外的に明解な曲想を持つ作品に仕上がっている。演奏が始まった。その演奏内容はというと、見事にフォーレ特有の世界にリスナーを導いてくれるものとなった。フォーレの思慮深くも深遠な曲想がうまく表現され、三人の熟達した奏者が一つに融合する様は、二度とない、正に演奏による”一期一会”の出会いように感じ入りながら聴き入った。


 シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44は、ピアノと弦楽四重奏(2本のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)のために書かれており、”シューマンの室内楽の年”として知られる1842年の9月から10月にかけて、わずか数週間のうちに作曲された。クララとの結婚で得られた幸福な生活を反映している作品とされる。豊かなイメージと確かな構想を併せ持ち、入念に構成されていながらも親しみやすい作品となっており、バッハの作品から学んだ対位法も巧みに用いられている。初演は1843年1月8日、ライプツィヒにて行われ、クララ・シューマンがピアノを担当した。


 今夜の新ダヴィッド同盟のシューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44の演奏は、曲の出だしから高揚感に満ち溢れて、ただならぬ雰囲気を会場いっぱいに漂わせていた。「新ダヴィッド同盟」と名付けられた室内楽団とシューマンとは切っても切れない間柄だけに、その意気込みがスピーカーを通して伝わってきたのだろう。ピアノの小菅 優と弦楽器奏者とが、近からず、遠からず、絶妙な立ち位置が、ことのほか良かった。そして何よりも嬉しかったのが、馥郁としたロマンの世界が思う存分に聴き取れたこと。このことは最近の演奏会では、もう聴くことができないのかと半ば諦めていた矢先のことだ。それにしても、スピーカー越しに聞こえた、演奏会当日の聴衆の、いつ終わるとも知れない、心のこもった熱烈な拍手の何と素晴らしかったことか。<蔵 志津久>
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●クラシック音楽●コンサート情報

2025-03-24 09:54:54 | コンサート情報



<コンサート情報>



~伊藤 恵 ピアノ・リサイタル 春をはこぶコンサート ふたたび 「ベートーヴェンの作品を中心に」Vol.6~

ベートーヴェン:幻想曲ト短調Op.77
シューベルト:ピアノ・ソナタ第18番ト長調D894「幻想」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調Op.2-1
ほか

ピアノ:伊藤 恵

会場:紀尾井ホール

日時:2025年4月29日(火) 午後2時

 ピアノの伊藤 恵(1959年生まれ)は名古屋市出身。桐朋女子高等学校、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学、ハノーファー国立音楽大学で学ぶ。1983年「ミュンヘン国際音楽コンクール」ピアノ部門で優勝。以後、リサイタル、室内楽、協奏曲の各分野で活躍。特に、シューマンを得意としていおり、シューマンの全ピアノ作品を録音(CD13枚)。東京芸術大学音楽学部器楽科教授。
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