チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

プロレッスンでつかんだこと、つかみ損ねたこと

2010年02月19日 00時31分24秒 | レッスン
 師匠が叫んだ。「それがアップ、初めてアップボーイングができましたね!」

「え!そうなの?」。その瞬間 嬉しさいっぱいながら「また忘れたらどうしよう・・」と心配になり、先生宅を車で発進するや近くのファミレスに駆け込み”開眼した”さまざまなポイントを必死でメモをした。なんだか新境地が切り開かれたとそのときは実感したからだ。

以下がメモの中身(基本の基本の連続なのだが・・・)

0)まずは、どんな技術よりも先に「チェロが芯まで鳴る」ボーイングをすること。
 ⇒Schroederの教則本に入り、これから進めるぞと思いすぎて、一番大事なことが忘れられ逆戻りした。交響曲などのフレーズを速く弾きこなすことに神経が行ってしまい、弦の表面をこすっている割合が増えてしまっていたのだ。ボディー全体「芯まで」鳴った瞬間、膝や胸に伝わる振動が大きく変わるので分かるのだが、そこに神経が行ってないことは問題だった。

1)移弦(先生は使ったことがない言葉なんだけど・・)するときは弓が描く弧の位相をシフトすること。
 ⇒これは、今回初めて実感できたこと。A線、D線、G線、C線と弦が変わるたびに弦を中心として弓が描き出す円弧のレベル(高度?)が変わらなければならない。ただしあくまで自分の体感レベルでの変化なのだが。
 傍から演奏を見ているとき描かれる弧と、自分が演奏するときの「実感上の弧」では感覚が全く異なる。自分では弦に対して常に直角に弓を宛てて弧を描いているつもりでも、自分の肩を中心とした円弧の影響が弧を歪めるからだ。
 こんなこと初めから頭では理解しているものの、今回初めて「映像化して」感じられた。

 ところで、レッスン中に実感した瞬間 ベンホーガンのゴルフレッスンの教科書にあった挿絵を思い出した。ベンホーガンの首を中心に大きな円盤が描かれ、その円盤上をゴルフクラブがスウィングされるとボールはスクウェアに飛び出す・・・みたいなレッスンだったと思う。
 人間の骨格と筋肉の構造と、ボールを中心にクラブが動くメカニズムは異なっている。「チェロも同じだ!まさにいつの間にか自分の肉体構造に追随して弦に対してスクウェアではないボーイングになっていたのではないか。その修正イメージこそ「扇風機のプロペラの位相変化」と覚えておこう。これこそ「移弦」する際円弧の位相を自然と変化させることで常に弦と弓が直角に交差できるのだろう。

2)移弦の基本は腕のポジションの変化。
 ⇒最近速い動きに対応しようとして手首から先で移弦する癖がついていたのではないだろうか。しかしこんな「横着して」ばかりいてはいい響きの演奏はできない。たとえばA線からD線に移弦するなら、A線の腕からD線にふさわしい位置へと腕(肘)を動かすことで自然と弓の角度が変わるのが基本なのだ。

3)アップとダウンが切れ目無く繋がる弾き方は・・・
  ①決して弓を持ち変えることなく(ついついアップ、ダウンの切り替え点で微妙に持ち替えていた)
  ②ダウンでは手首の内側が下がってゆき(いまだに弓を吊り上げる癖が出る)、終わり段階では親指側を押し込み、リリースする。
  ③アップでは親指と人差し指が先行し、弓の端まで弾き切った段階で手首側から自然とダウンに移行する。
  たったこれだけのことが、丸3年にして「ようやく1回だけ」できたのだ。

 残念ながらメモを書きとめたものの 成功したときの感覚は取り戻すことができなかった。「アップができた!」と先生に言われた瞬間の再現をトライしているのだけど、悲しいかなどうやら逆戻りしてしまっている。「これまでいろんな人に教えてきたけど、このアップがなかなかできないんですよ。今日は嬉しいですよ」と喜んでくれたのに、また悩ませてしまうと思うと、申し訳ない気もする。

せめて「芯まで鳴らす」「移弦は腕から」「移弦は扇風機のプロペラで」の3点は、体験したイメージを言語化できたので定着させようと思う。これからも研鑽努力だ。
コメント (4)
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