チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

『路上のソリスト』をDVDで見た。

2009年12月19日 21時54分18秒 | その他雑感
『路上のソリスト』はチェロ弾きのホームレスの話。

 この映画は「ロサンゼルス・タイムズ」紙の記者スティーヴ・ロペスがホームレスの音楽家ナサニエル・エアーズとの交流を綴った連載コラムを映画化した内容で順ドキュメンタリー。
主役のナサニエルは貧しい黒人家庭に育ったが、天才的な才能を発揮してジュリアード音楽院に進学。将来を嘱望されていたが精神を病み、路上生活者となっていたのを記者のロペスが発見して記事に取り上げて有名になるというプロセスが映画となっている。

 ジェイミー・フォックスが主演となれば、どんな演奏シーンが見られるのかと期待していたが、演奏シーンはあまり多くはなく、二弦しかないバイオリンを路上で弾くシーンや大学のオーケストラから浮き上がり離脱してゆく哀しい場面が出てくる。
 嬉しい場面では、記事を読んだ読者が「自分は歳をとって弾けないから」と提供したチェロをナサニエルがトンネルの中で引き始めるシーンや、ホームレスの施設で彼が演奏を始めると精神を病んでいるホームレスがチェロの音に聞き入り静かになる場面。「やっぱりチェロはいいなー」と思わせてくれる。

 アメリカの音楽映画といえば「奇跡のシンフォニー」や「グレンミラー物語」などの成功物語やハッピーエンドで終わる映画が好きなんだけど、「路上のソリスト」はなんだか重い気分になってしまい、2回見る気持ちにはなれそうもない。ロサンゼルスのホームレスの荒れ果てた状態のリアリティーばかりが迫ってくるからか。それだけジェイミー・フォックスの演技が本物ということなのだが・・・

 この映画の副産物として、ベートーベン第三交響曲「英雄」と同時期に作曲された[Triple Concerto]を買ってしまった。実は映画の最後にチェロ3重奏が聞こえた気がするのだけど、その名前を知りたくてエンドタイトルを追ってゆくと「Triple Concerto」という文字が出てきた。これかもしれないという勝手な思い込みに基づいて即amazon.comしたんだけど全然違った。

 しかし結果としてこのCDはGreat Recordings Of The Century というシリーズらしく、リヒテル、オイストラフ、ロストロポーヴィチとカラヤンのベルリンフィルの組み合わせで素晴らしい演奏が聞ける。たったの800円代で買えるのも奇跡的だ!

 しばらくはこの聞き慣れない三重奏曲と、ブラームスの「Double Concerto」を聞き込んで好きになろうと思う。
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