チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

宮崎駿の「プロフェッショナル」に感動

2008年08月07日 01時07分06秒 | その他雑感
 武道館での久石譲のコンサートの直後、NHKの番組「プロフェッショナル」が宮崎駿さんを特集した。「崖の上のポニョ」のプロモーションのタイミングなのだとは思うが、巨匠の映画作りに掛ける情熱に心を揺さぶられた。

 またも出張先で仲間とテレビにかじりついて見ていた。いい大人が酒も飲まずアニメ作家の特集に見入っているなんて、変かもしれない。でもとても充実した時間だった。

 「この人血を流しながら5歳の子供の世界を描いているよなー」と口をついて出てきた。本当は血ではなく涙を流しながら絵コンテに取り組んでいたのだが(涙の一滴は血の一滴とシェークスピアにあったような気がする、作家にとっては共通する感覚なのか・・)、最後のサビのシーンを描くのに丸2ヶ月半を費やし、苦悩している姿が、冷酷なまでにカメラで映し出されていた。血を流す・・というか身も心も自らの手で切り刻みながらというか、自分そのものの皮を剥ぎ取り、むきだしの状態に晒すことでしか本物の表現にいたらないという作家の姿に釘付けになってしまった。

 「ここまで写り続けるかー?ちょっとやりすぎじゃないのー?」などとチャチャを入れながら見ていたが、カメラが無ければ宮崎さんの創作の壮絶な戦いを垣間見ることすら出来ないのだから、勝手な言い草なのかも知れない。

 巨匠は、たった五歳の子供や死に行く老女への「完全なる感情移入」=「その人になりきること」を徹底してやっているようにも感じた。自分の存在そのものを登場人物を借りて表に映し出すことなんだと。その心の作業は本人の全てを表に晒してしまうというリスクを乗り越えて成される、神聖な儀式のようにさえ感じた。

 この映像を見た以上、明日にでもポニョを見に行こうと決めている。(今思ったけど、力んで書いたあと「ポニョ」っていう響き、なんだかとってもアンマッチ!
コメント
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