日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

2020年1月に読んだ本

2020-02-22 | 本と漫画の話

2020年が明けたと思ったら、もう2月も終わりそうです。
2019年に比べ、行きたい!と思うような美術展が見つからず(オリンピックのせい?)、遠出もしていない。そもそもコロナウィルスのせいでお出かけも躊躇われるし、楽しみが少ないから余計に日々が淡々と過ぎていきます。


1月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:2925
ナイス数:300

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)
★4 気になっていた作品が、ネットで1巻無料公開だったので。3頭身くらいの可愛らしい絵柄だけど、描かれている内容は凄惨で残酷な戦争の現実。
主人公は著者の祖父・田丸。戦死者の最期の姿を家族に伝える記録を記す「功績係」を命じられる。重要拠点であるペリリュー島を米軍に奪われないため、玉砕としか思えない決死の戦いが始まる。動植物豊かで楽園のようだった島が、艦隊の砲撃により一夜にして禿山のような姿に変わる。さらに生き残り潜んでいる日本兵を殲滅し飛行場を奪うため、米軍が上陸…。
敵味方もいい人も悪い人も勇敢も臆病も関係なく、あまりにもあっけなく、しかも無残に死ぬ。この絵柄で、戦争のリアルを強烈に突きつけてくる。
読了日:01月04日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)


犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい(4) (ワイドKC)犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい(4) (ワイドKC)
★4 相変わらず無邪気でハッピー全開な犬くんとツンツン(デレは滅多に見せない)な猫様。どっちがいいとかなくて、どっちも可愛いよね。私は猫派だけど、犬くんの可愛さもよく分かる。そして愛情が偏ってると拗ねられないように、どっちにも気を使う。そういうのがたまに垣間見えるような。今回は「脇に猫を生やした人」に爆笑しました笑
読了日:01月06日 著者:松本 ひで吉
 
カナダ金貨の謎 (講談社ノベルス)カナダ金貨の謎 (講談社ノベルス)
★4 久々の国名シリーズ。中短編5本収録。火村とアリスのコンビのやりとりが読めるだけでも満足してしまうので点は甘い。
《元船乗りで“船長”と呼ばれる男が山村の自宅で殺された。優男の船長には2人の女性の噂があった『船長が死んだ夜』/殺された男の書棚から、一冊の本(夏目漱石の三四郎)を選び取った火村。なんと事件の日に購入したレシートが挟まっており、事件解決のきっかけとなった。火村はなぜその本を手に取ったのか『エア・キャット』/殺された男の家から、彼が常に身につけていたメイプルリーフ金貨のネックレスが消えていた。現金にも手付かずの中、なぜ金貨だけが消えたのか『カナダ金貨の謎』/学生時代、初めて火村と出会った時に書いていた作品を巡るアリスの回想『あるトリックの蹉跌』/ネイリストの女が歩道橋から突き落とされ死亡した。独立するため男から資金援助を受ける予定で、被害者を良く思っていなかった男の娘、資金調達のため男から性急に借金返済を迫られた女性、その別居中の夫、などに向けられた『トロッコの行方』》
どの作品も、ちょっとした誤解や思い込み、不用意な言葉、魔がさす瞬間などの偶然が重なって起きた事件で、そんなことで殺人を犯してしまったのか…と言いたくなる動機がやるせない気分になった。短編の火村とアリスの初対面のエピソードや猫がキーになる話は読者サービスといったところ。もちろん嬉しい。
読了日:01月06日 著者:有栖川 有栖
 
お江戸けもの医 毛玉堂お江戸けもの医 毛玉堂
★4 表紙絵の仔犬達の可愛さに目を引かれて。
《けもの専門の医者「毛玉堂」を営む凌雲と妻の美津。捨て犬だった白太郎、黒太郎、茶太郎、猫のマネキと暮らしている。かつては小石川療養所で名医と評判だった凌雲の元へは、日々病気だけでなく、様々な動物の問題行動などの相談も持ち込まれ…》
身元不明の善次という少年まで預かることになり、凌雲の過去も何やら訳あり。笠森お仙や鈴木春信も登場する。盛りだくさんだけど意外と話はごちゃつかず、読みやすかった。江戸時代でも愛情を持って可愛がられている動物達に心温まる。
読了日:01月06日 著者:泉 ゆたか
 
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 2 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 2 (ヤングアニマルコミックス)
★4 何とか生き残り洞窟に隠れた田丸達。他の生き残りとも合流することができるが、状況は変わらない。強烈な喉の渇きや空腹。米兵と遭遇する危険を犯しても、水や食料を調達するためには外に出なければいけない。敵と戦う以前に、水を得るために決死の作戦を実行し、敵と遭遇し、仲間が死んでいく。多くの犠牲者を出しながらやっと水を持ち帰った時、雨が降ってくる。一体何のために…。
生き残るためではなく、戦って死ぬために、生き延びる日々。想像を絶する過酷さ。正気を保つ方がキツイほどだろう。
読了日:01月06日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
 
怪談えほん (11) まどのそと (怪談えほん 11)怪談えほん (11) まどのそと (怪談えほん 11)
★4 怖っ!怪談えほんも10冊目ともなれば、最初から絵も含めて細部まで何かあると思って気にしながら読むわけで、のっけから不穏な気配がこれでもかと。窓の外からはカタカタ音が鳴り続け、荒れ果てた庭、傷んだ家、食器は1組、テレビは電源入ってない、ボロボロの新聞には富士山噴火のニュース。ここ廃屋では?妹ってもしかしてコレ?母は?父は?と大体読み解けてたはずなのに…終盤で面食らう。窓から覗いた白い顔ののっぺらぼうとは?ラストの窓の外に転がっている丸太らしきものは?この子は生者なのか?色々怖い想像ができてしまう。
読了日:01月06日 著者:佐野 史郎
 
へいわとせんそうへいわとせんそう
★4 平和と戦争の対比。シンプルな絵なので、違いが明確に伝わってくる。そこからの終盤の対比。てきのかお、みかたのかお。てきのあさ、みかたのあさ。そして…。シンプルな絵がここで最も効果を発揮して、直感的にそれを理解させてくれる。ド直球がど真ん中にズドンと入る感じで。“敵も味方も同じじゃないか!” それなのに、敵味方を分けているものとは一体何なのだろう?何で戦争なんかするんだろう?たったこれだけの言葉と絵で、色々考えさせてくれる絵本。凄い。
ちょうど『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を読んでいるところで、敵味方問わずあまりにも簡単になすすべもなく、大量に人が凄惨に死んでいく描写に、戦争の理不尽さを感じていたので、余計に胸にくるものがあった。
読了日:01月06日 著者:たにかわ しゅんたろう
 
カ どこいった?カ どこいった?
★4.5 蚊がいる。左ページには蚊が、右ページに手が描かれている。ページをめくってパチンと蚊を叩こう。ところが何度も逃げられる。あれ?逃げられる度に段々スケールが大きくなってる? ちょ、も、もうこのくらいでやめとこうよ、と心配になるけど、ページをめくらずにいられない。最後には何と!!という、シュールな展開。シンプルなんだけどスケールのでかい発想に「やられた!」となった。
読了日:01月06日 著者:鈴木 のりたけ
 
孫と私のケッタイな年賀状 (文春文庫)孫と私のケッタイな年賀状 (文春文庫)
★3.5 孫と一緒に仮装して撮った写真付き年賀状、20年分。20歳になるまで毎年お孫さんはよく付き合ってくれたなぁ。撮影は娘さん(孫の母)。仮装の内容といい写真の出来といい、全体的にクオリティはあまり高くない笑。グッズを買ったり手作りしたり、これにかける熱意は凄いけど、内輪のノリの域を出てないゆるさ。ペットの犬猫が意味もなく見切れてたりするし笑。そういうところから、飾らない家族の日常の雰囲気が垣間見え、写真館などで撮ったすました集合写真より余程貰った人は楽しいだろうし、近況報告としても機能している。
読了日:01月10日 著者:佐藤 愛子
 
ナイチンゲールナイチンゲール
★4 タイトルのイメージと違うオリエンタルな絵が目を引いて。原作はアンデルセン。
《美しい歌声のナイチンゲールという鳥が中国にいる、と中国を訪れた人々の記した本などで知った皇帝は、自国にそんな鳥がいるのを知らなかった、連れてきて歌わせよ、と命ずる。家来が探し当てて歌わせてみると、皇帝は思わず涙する。皇帝の御殿に留まることになった鳥は、糸に繋がれてしまう》
声だけでなく心も美しいナイチンゲール。どうなることかと心配したけど、素敵な結末にホッとした。絵も美しく、特に死神がカッコいい。
中国や日本がごっちゃになってるっぽいところや、典型的な東洋人の描写などは少し引っかかるけど、私も中国の描写に詳しいわけでもないし、絵自体が美しいので、読み始めたら気にならなかった。
読了日:01月12日 著者:アンデルセン,松井 るり子
 
ヒロシマ 消えたかぞく (ポプラ社の絵本 67)ヒロシマ 消えたかぞく (ポプラ社の絵本 67)
★4 広島市のはりまや町に住んでいた一家のアルバム。次女の公子ちゃんの目線で語られる日常。両親、兄弟達、ペットの犬、猫まで、生き生きとした姿に、一家の楽しい暮らしが伝わってくる。「随分おちゃっぴい」だったという公子ちゃんの弾けるような笑顔。しかし、彼ら一家は、原爆で全滅したのだ。あの日こんな家族がどれだけいたのだろうか。親戚に預けられていたアルバムだけが難を逃れて、彼らが生きた証を私達に伝えてくれた。その年の12月までだけで約12万人が亡くなったというけれど、数が大きすぎて実感としては理解しにくい。 こうして個々の顔を知り、生活の様子を知ることで、私達と同じように日常を生き、確かに存在していた尊い命が失われたのだ、と実感しやすくなるだろう。
読了日:01月12日 著者:指田 和
 
バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
★4 めちゃくちゃ面白かった。
《昆虫学者を目指して博士号を取ったまではいいけれど、安定した職に就けるのは一握り。期限付きの研究職を渡り歩く先の見えないポストドクター。起死回生を狙い、蝗害に苦しむアフリカでバッタを研究するため、モーリタニアへ》
面白おかしく書いてあるので、吹き出しながらグイグイ読ませてもらったけど、どれだけしんどくて不安な日々だったんだろう。任期も切れ、ついに無収入に。不屈の情熱と発想力で、苦境を切り開いていく姿は格好いい。まるでカマキリ先生のようなふざけた格好をしていても。
モーリタニアでは外国人だからぼったくられたりして散々な思いもしているけれど、基本的にはみんな親切で、特にババ所長の父親のような包容力には何度も感動した。彼がいたから前野さんは頑張れたんじゃないかな。本書では、研究内容については、まだ論文になってないからほとんど触れられていないけど、いつかアフリカを救う成果が上げられることを願ってやまない。
読了日:01月20日 著者:前野ウルド浩太郎
 
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 3 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 3 (ヤングアニマルコミックス)
★4 《洞穴に潜み持久戦へ。飢えに苦しむ。食料を探すため米兵に見つからないよう探索に出る日々。備蓄の米を発見するも、運び出す作業中に空腹でふらついた兵士が不発弾に接触・爆発。米兵に見つかり多数の犠牲者が出て仲間も散り散りに。田丸と吉敷は小杉伍長と再会する。一方本部も全員餓死寸前となりついに…》
生きながら肉体が腐っていくような描写。壮絶に次ぐ壮絶。「死というものは、実に汚ならしく、おぞましく、無残な悪臭を放つ」軍人として死を美しいものと思っていた大佐の最期の言葉が重い。
読了日:01月20日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
 
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 4 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 4 (ヤングアニマルコミックス)
★4 《生き残りの兵達は、本部がすでに玉砕したことも知る由なく、飢えと渇きに苛まれ疲弊していく。他の残兵と行き合うも、安堵より少ない食料を分け与えなければならない負担増に不安を抱え疑心暗鬼に。さらに小杉が残る食料を持ち逃げし、飢えは限界を迎える。米兵に見つかり、仲間ともはぐれ、逃げた先は海岸。朦朧とする田丸は、現地人の子供2人の姿を見る。幻かー》
戦闘以前に飢えて死ぬ。子供達が無関係な二国間の戦争に巻き込まれる理不尽さ。戦争をしたがる上の偉い奴らだけで自らの肉体を使って殴り合えばいいのに。
読了日:01月20日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
 
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 5 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 5 (ヤングアニマルコミックス)
★4 《田丸は吉敷、小杉と同行し、ひたすら食料を探す日々。ある時、米軍の缶詰を発見。その横の地面には「米軍の食料を奪取する作戦がある」という伝令が記されていた。指示のあった場所に続々と集まる日本兵達。伝令は島田少尉が書いたものだった。作戦は成功し、目下の食料難は解消される。探索中、入口をセメントで塞がれた壕を発見、中には片倉兵長らが閉じ込められていた》
有能な人が人望を集め、上官は嫉妬する。極限状況でも人間関係には波風が立つ。生きながら閉じ込められた者達は食人を犯す。死を前にしてはそれも責められないだろう。
読了日:01月20日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
 
超図解 ぬまがさワタリのふしぎな昆虫大研究超図解 ぬまがさワタリのふしぎな昆虫大研究
★3 著者の『図解 なんかへんな生きもの』がすごく面白かったので、昆虫は苦手だけど読んでみた。今回は、昆虫が苦手な女の子が昆虫好きな子や研究者と出会い、昆虫の魅力を教わっていく、というストーリー仕立てになっていて、漫画のページが多く、紹介される昆虫の数が少ない。個人的には漫画より生態の紹介ページだけで構成してほしかった。登場人物が女の子ばっかりで、恋愛(百合展開)まで盛り込まれていたのは、何か意味があったのかなぁ? 
オスをメス化させてしまう細菌ボルバキア、そのままでは感染した種が絶滅してしまうのでは?と心配になったら、その辺もうまく絶やさず按配しちゃうという。でも本来のオスはどんどん姿を消して種の存続のシステムそのものが別の種のように変わってしまうということで、それはそれで怖い…。
読了日:01月20日 著者:ぬまがさワタリ
 
ひとりじゃなかよひとりじゃなかよ
★4 おばあちゃん写真家として話題の西本喜美子さんの写真&エッセイ(詩)集。車に轢かれそうになっているシーンなどの面白セルフフォトもあるけど、本来は足腰が弱いため、室内で身近な物を撮影する事が多いそうで、そちらの作品は初めて見たので驚いた。構図や加工のセンス(PCを操り加工も自分で手掛けている)が凄い。若くして美容院を開く→競輪選手に転身という経歴にも度肝をぬかれた。元々そういうアクティブな感性の持ち主だったのか。
亡くなった旦那さんに見てもらおうと仏間の掛軸に仕立てるために撮ったという一連の作品は、気のせいかちょっと色っぽさを感じる。エピソードを読むと旦那さん亭主関白っぽいんだけど、大好きだったんだろうなぁ。
読了日:01月25日 著者:西本喜美子
 
MINIATURE TRIP IN JAPANMINIATURE TRIP IN JAPAN
★3.5 身近な物をミニチュアの人形と組み合わせて、様々な風景やシーンに見立てたジオラマ風にして撮影された写真。展覧会にも行ったことがあり、実物を見た作品も多かった。今回は日本の文化や風物に特化していて、英文の解説も付いている。相変わらずさすがと唸るような発想の作品もあるけど、ネタに縛りがあるからか、ちょっと見立て方が甘いように感じる作品もあった。
読了日:01月25日 著者:田中 達也
 
おじさまと猫(4) (ガンガンコミックスpixiv)おじさまと猫(4) (ガンガンコミックスpixiv)
★3.5 おじさまをライバル視していた日比野さんもすっかり猫友に。案外陥落が早かった笑。それにしても一流ピアニストの親、揃って毒親すぎないか?現実でも、最近見たテレビ番組でピアニストの清塚信也さんの親のエピソードが完全に虐待レベルの毒親で衝撃受けたんだけど、あながちフィクションじゃないって事なのか…。おじさまはライブに行けて、一歩前進。最後、気になるところで終わったので、続きをちょっと調べたら、もっとヤバい事に!!ふくまるー!?
読了日:01月26日 著者:桜井 海

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