日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

『花まんま』 朱川湊人

2006-04-25 | 本と漫画の話

りまさんやkkkさんのブログでとりあげてあった『花まんま』
図書館の順番が回ってきました。

昭和30~40年代(推定)の大阪路地裏を舞台にした、ちょっと不思議な話6編の短編集。
主人公はどれも子供ですが、大人になってから当時の不思議な体験を振り返る、という体裁になっています。
貧しくて暗い長屋暮らし(じゃないのもありますが)の雰囲気が全編に立ち込めていて、この湿っぽい暗さは何か似ているのがあった、と思うと、どうやら『ぼっけえ、きょうてえ』でした。
『ぼっけえ、きょうてえ』も、確か主人公が昔語りをする、という体裁でしたし。

不思議な話は嫌いじゃないので、面白かったです。
ただ、『妖精生物』は読後感が良くなかった。
暗ーい気分のまま読み終えて日常に戻らなければならないのがちょっと辛かったです。
ホラーも好きなので、暗いのがダメなのじゃないはずですが…
どうも最終的に今でも(大人になっても)主人公が昔の暗い部分(罪悪感とか)を引きずっていたり、解決しようという意識が感じられない気がするのかな…。
主人公の生命力が希薄な感じ。無気力な感じ。
それと、普通どんなに怖い本を読んでも、読み終わったら所詮は他人事、絵空事、という安心感があります。体験するのは主人公で、私は全く関係ない。
が、これは主人公の目線で書かれているのに、その心が不安定というか、主人公自体、実感を持っていないかのような語り口。だからかえって生々しい?
それって、ある意味リアルな人間として書かれているということかも。でも馬が合わない人と同じで、共感しにくいです。
結果、ぼんやりとした不安定な感覚だけが感染してしまいました。

なので、私としては、陽気な『摩訶不思議』が一番好きです。落語っぽい話ですね。

全体的には面白かったので、たぶん同じような内容だと思う『都市伝説セピア』も予約しました。こちらは東京の下町が舞台のようです。
同じ市内の図書館に貸出中じゃないのがあるので、たぶんすぐ読めるはず。楽しみです

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする