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日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

『死神の精度』 伊坂幸太郎

2006-04-18 | 本と漫画の話



図書館の順番待ちをしていた本です。やっと順番が来ました。
2006年の本屋大賞第3位にも入っていた本です。
ちなみに1位の『東京タワー』リリー・フランキー も読んでみたいのですが、259人待ち!
そんなに待てません

主人公?は死神です。
といっても、鎌を持った骸骨のような死神ではなく、外見は普通の人間です。
この死神のキャラクターがなんとも変わっていて魅力的
死期を目前にした人間について1週間調査を行って、「死」を実行するのに適しているかどうかを判断し、報告をするのが仕事です。直接手を下すことはありません。
調査方法は、担当になった人間と話をしやすい年齢や外見の人間の姿になって、たまたま知り合ったふりをして2・3回話を聞く程度で、「可」もしくは「見送り」を決めます。
その判断も、個人の裁量に任されているものの、調査自体、儀式的なものにすぎないので、よほどの事がない限りは「可」とすることになっています。

そのせいか、死神はとても淡白な性格。
人間に関する情報もあまり与えられていないので、時々会話がトンチンカン。
それから死神なので、殴られても痛みもないし、食事をしても味もわからないし、疲れることもないので寝る必要もない。
そんな死神なのに、なぜかやたらとミュージックが大好き
これは死神たち全部に共通していて、調査の合間に暇を見つけてはCDショップの試聴機で音楽を聞く。
試聴機のところへ行けば、たいてい「同僚」に会う、というくらい。

そして、主人公の死神「千葉」は、なぜか仕事で人間界にいる間は、天候にたたられていて、晴天を見たことがない。

「死」を扱っているのに、話が重くならないのは、この死神の飄々としたキャラクターのおかげでしょう。
「千葉」の担当する6人の人間の物語が各章となる、6話の短編集です。
恋愛小説風あり、推理小説風ありと、話のつくりにも変化があって、サクッと読めました。
それぞれの人間も、悪人、善人、どれも個性的で面白い。
死んでしまうのがほぼ確定している人達なので、「死なないでほしいなぁ」と感情移入しながら読みました。

最後の「死神対老女」は、特にいい。
最終話にふさわしい話でした。(最後、「千葉」はどう判断したんだろうなぁ…)
というわけで

コメント (4)
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