夢酔(闇夜に浮かぶ)

車のライトに照らされて
その人は浮かび出された。

ちょっと驚きながら
良く見ると

真っ黒な大きな犬を引き連れて
細い路地から大通りに向うところで
私の車が過ぎるのを待っていた。

大きな犬だ。
犬も真っ黒
犬の主も
なんだか真っ黒に見えて
真夜中には危ない
気をつなきゃあ
なんて思いながら
車をいつもより慎重に走らせる。

帰りがけ
20分くらいたったかしら・・・

またその大きな犬と主人に逢う。

犬は熊と身が違えた。

ゆっくりゆっくり
熊のように歩いた。

ゆっくりゆっくり
大きな身体を揺らすように

高齢なのかもしれない。

その少し後を
ご主人様が歩く
春を迎える節分と言えども
まだ夜は真冬

スッとした背の高い身体を
全てを覆うような
マフラーと帽子コート
顔も見て取れないけど
紳士だった。

なぜ紳士とわかったか?
姿勢の良さと
全て隠された容姿の下は
もう頭の中に
物語の世界が出来始めていたから・・・

大きな真っ黒な老犬の名前は
『ミートローフ』

昔炭のように焦がした
ミートローフの
真っ黒な表面を思い出しただけなのだけど・・・^_^;


ミートローフと
素敵な紳士のご主人さまの
お話しは「そのうち」


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