アギュ再び潜行する
その頃、神月ではアギュレギオンがドラコと2回目の潜航に挑んでいる。
話は2週間前から現在に戻った。
(今度はジンはどうにょ?)ドラコがワクワクとその名を口にした。
[ジンですか・・・]
(ジンは今、神月にいないにょ。家に戻るって言ってたにょ?それは本当なのかにゃ~ドラコ、悪魔の生活が見たいのにょ~)
[なるほど・・・]アギュはこの『果ての地球で出会った、ワームや自分にかなり近い生物であるデモンバルグのことを考える。
[それはいい。]2週間前のようにアギュの手触りがまた変わる。蒼く。
蒼は冷たくて、とても鋭い。真夏だったら心地よいのにとドラコは思った。
[面白いことを思いついた、ドラコ。アイツのシセイカツを覗き見してやろう。]
アギュはニヤリとするなり、すごいスピードで自分を変換しだした。慌てたドラコはこの前とは一変し付いて行くのがやっとだった。
油断したにょ。2週間で進化したのかにゃ?これがアギュの本当の実力にょ?能ある鷹は爪を隠すっていうやつにょ!懸命にヒレを動かす。ワームとしてもアギュは一級の素早さにょ!
すぐにデモンバルグが遠く真下に見えだした。デモンバルグは人間ではないが、仮の肉体を纏う今はその存在の仕方は人と変わらない。ただ、よく意識の触手を伸ばして探れば人としての仮のエネルギーの端が重く黒ずんでるのがわかるはずだ。ただ、そんなことをすればおそらく100%気付かれてしまうだろう。
(こんなに近くて大丈夫にょ? デモンバルグはドラコの気配わかるのにょ!)
言わんこっちゃない、神興一郎が上に目をあげる。眩しそうに。
しかし、そのジンの視線はすぐに下に戻ってしまった。
顔には不愉快そうな影が浮かんでいる。何かをブツブツと口は動かしているが歩みは止めない。ジンの回りの景色が流れるように後ろに流れて行く。
人混みのようだ。人間が現れては消えて行く。誰もジンを見ていない。
[コイツにはある程度ジゲンカンチ能力があるんだ・・・だけどコイツは自覚してジゲンを探ることはできやしない。意識してジゲンを切り返しているわけではないからな。]ドラコの見守る端からアギュが又、目まぐるしく変化する。
[・・・テンシ族とアクマ族の上にいるデモンバルグはおそらくシンカタイと匹敵するほどのカンドを持っているとワタシには思われますが・・・タダそういうジゲンへの自覚がない・・・そのチカラはいまだ目覚めてはいない状態なのです。ワームドラゴンの気配を感じとれるように、なんらかの気配を感じるテイドでしょうよ。こちらがカレのカンチするハンイに近づかなければカレには絶対にわかりません。]
アギュはここで言葉を切った。[でも・・・この間のあのキライミズラはまったく違う、8ぐらいのダッシュ空間を素早く切り返してオレを探知してきやがった・・・]
(あの時のアギュはすごい早かったのにょ。今回はそれ以上だったにょ)
慰めようと言葉をかけたが、アギュの方は既にジンのいる環境の方に興味を絞っていた。どらこは目をパチパチする。
(ここ、どこにょ?)
[さあな・・・]
意識的に対象を限定して次元を引き寄せると最初にはその対象しか捉えられず、それ以外の対象周辺は後からゆっくりと把握されていく。ジンの回りにわずかに見えていた光景がじわじわと広がり認識する対象の中に入って来た。
デモンバルグこと神興一郎が急ぎ足で歩いているのは巨大な繁華街のようだった。
(大勢、群れ集まっているにょ。なんで人間はこういうのが好きなのにょ?宇宙にもあったにょ。ガンちゃんはこういうとこいっぱい一杯、行ったにょ。寂しがりやにょ、ここってお姉ちゃんがいるとこにょ?寂しがりやが行くところにょ。)
[人のサガっていうのでしょうね。ドラコはワームだからわからないかもしれませんが](わかった方がいいと思うにょ?)[いいえ。]
そう言う間にも歩くジンの側には入れ替わり立ち代わり色々な男達が寄っては離れて行く。中にはアギュ達にもわかる剣呑な雰囲気を持つものもいた。
[ヨビコミっていうよりは・・・]アギュが感じたままを解説する。[ナカマって感じですね。顔見知り・・・マゾクもいるようですよ。]
(ふにょ~ん、結構魔族がいるのにょ?ここは人間の住処ではないのにょ?)
[こういう所はマゾクのエサになるようなイシキエネルギーがたくさん集まるんでしょう。]
アギュは探査モードを変えて見る方法を伝授する。ドラコにはすぐできた。
(これは・・・よくいう、オーラってやつなのにょ?通行している人達が出しているのは宝石箱みたいで色とりどりですごくキレイにょ。でも・・・場所によっては土留め色にょ。汚ったなくさい人間が溜まったところはちょっと嫌にょね~。)
ジンは躊躇いもなく、どんどん歩いて行く。よく知った場所なのだ。
(ジンの頭の中をちょっと覗いて見たらどうにょ?)
[それは容認できません・・・]
一瞬の空白。アギュはせせら笑っている。
[フン、今、回りのヤツラのシコウを読んだぞ。カブキチョウ・・・シンジュクだな。](にょ!あこがれにょ!目をギョロギョロさせるにょ?テレビで見たにょ!)
[ニホンのデントウゲイノウをやる人とはカンケイありません。ムカシはカンケイがあったバショかもしれませんが・・・いわゆるサカリバですね。]
優しい口調とぶっきらぼうな口調が入り交じる。
[トウキョウはジンが住んでると言いはってるバショだ。ロッポンギからは離れているがアイツには大した距離じゃない。大方暇つぶしか、メシ時なんだろうよ。アクマの日常なんてこんなもんだ。所詮、マゾクなどはジンルイの出すエネルギー、ハイセツブツを食べるようなソンザイなんだからな。所詮、とるにたらないヤツ、オレ達が見るカチなんてないってわけか。]
[でもデモンバルグは他のマゾクとは違うはずです。]
アギュの中のもう1人が抗議する。
[さっきも言いましたが、カレのジゲン能力はまだ未知数です。もしかしたらカレはワタシやワームに近いソンザイなのかもしれないのですよ・・・]
[フン。もしも、デモンバルグがオレの考えてる通りの存在だとしたら、ヤツには限界があるはずだ。オマエもわかるだろう?やつはココからどうあがいてもソトには出れない。大きなジゲンに出る能力などは到底ないはずだ。]
[でも、本当にそうでしょうか。][そうに決まってる。]
[でもまだわからないでしょう?もしかしたら・・・]
[もしかしたら・・・ヤツはウチュウクウカンにも出て行けると?]
[そう、ひょっとすると・・ウチュウジゲンに]ワレワレと共に。
そんなバカな、と思いつつアギュの心はかなり動いている。
それが期待とか希望とか言ったものに限り無く近いと感じて1人は動揺し、もう一人は声を出さずに笑った。
そこで初めて、ドラコが好奇心旺盛に自分を見ていることにやっと気が付く。
照れ隠しに、アギュは大げさにため息を付いて見せた。
大悪魔と小悪魔
そんなこととも知らず、デモンバルグこと神興一郎は落ち着かなかった。
先ほど、心が泡立ったのだ。
仮に顕微鏡で覗き込まれた虫とかになったとしたら、その状態があんな感じだろうかと反芻する。それは自分でもよくわからない。その状態は一瞬で過ぎてしまったからだ。しいて言うならば・・・それは創造主、ロードが自分を見ている、そんな感じだ。そう思う側から否定している。そんなバカな。せいぜい、暇な大天使とかだろう。しかし、そう思うと余計に腹が立った。何見てるんだ!見るんじゃねぇ。そんな毒をしばらく回りにまき散らしてもみたが、当然返事などはどこからも帰ってない。いったい何を自分は警戒しているのだろうか。ジンは歩きながらしきりに首を傾げた。ざっと回りを探っても怪しいことなどない。
デモンバルグとあろうものが、ヤキが回ったもんだとも思う。
何しろ最近は悪魔たる自分ですら把握できない現象がてんこもりなのだから仕方があるまい。悪魔は気を取り直すと立ち止まった。
目の前に建つ雑居ビルに眉を寄せると、つくづくと眺める。
上から下まで。何度見ても風俗店が地下から6階までぎっしりと詰まったビルだ。
ビルのオーナーは所謂、その筋の人間。ほど近いビルの最上階に確か事務所があったはず。振り返ると500mほど離れたところにそのビルが見える。
デモンバルグが東京に居を定めたのは、彼の長年の獲物である『盾の魂』・・・その魂を持つ竹本渡という少年がこの日本に生を受けてからであるから・・・12年にしかならない。魂を狩って過ごして来た何千年、いや何万年にも当たるのかは当の悪魔しか知らないが、その年月から較べれば1ミリ程度の時間である。それでもデモンバルグにとってはつくづく退屈な12年であったことは事実。考えて見れば、デモンバルグがこの東洋の小国に居を定めたのが初めてであったということの方が不思議だった。それはこれまで彼の獲物がこの地に産まれたことがなかったということを示している。
そんな行きがかり上、仕方なく馴染んだ日本であり、東京であり・・・新宿歌舞伎町であった。もとよりこの界隈に巣食っていた魔族達にとっては魔族界の有名人、変人でも知れた『ご存知デモンバルグ』様が自分達の縄張りに出入りするなどは迷惑以外の何者でもなかったはずだ。この悪魔はつるむことを嫌い、同族に対して情け容赦ないことで有名でだった。ついこの間も、戦後からこの地に巣食っていた女悪魔『黒皇女』を同じく名の知れた大淫婦『シセリ』共々、葬り去ったことは魔族達の情報網によってあっと言う間に知れ渡ったばかりだ。
そしてその時に彼の『獲物』竹本渡の住む神月に暮らすという許可を渡の生活圏に偶然?居座った蒼きヒカリ『アギュレギオン』から、彼の知る古代の情報をやがて教えることと引き変えにして、やっとこさ手に入れたばかり。
悪魔としてはそこへ生活を移す為の人としてのアリバイ作りの為だけに一旦、神月を離れただけであった。今日、この新宿あたりを徘徊していたのは彼としては『見納め』のつもりのパトロールででもあったのだろう。
戯れにこの街の様々な恐怖を演出する側に手を貸しもし、それを味わったことも敢えて久しいデモンバルグであるが、懐かしいというような感慨はない。
寄せていた眉が更に険悪に寄せられた。
いつ来たのか、周到に距離をとった影が遠くから囁いて来たからだ。
『クフフ・・・あんたさんも暇つぶしにどうですかい?お一つ・・・中じゃ真っ昼間から騙されて面接に来た生娘を味見とやらの真っ最中・・・なんせ相手は4人だ、裂けたあそこの痛みと我が身の不幸に盛大に怯えてまくってる。4階の店ですぜ。』
「はん?なんだと」デモンは斜に構えた。「俺ともなると自分の食い物くらいは選べるのさ。おまえと違ってそこまで暇じゃないからな。おまえは確か・・・お忙しいヤクザの幹部様こそ何、昼間っからなに遊んでるんだ。」
『クフ・・幹部とは仮の姿で・・・それは、あんたさんと一緒だ。おれはただ、色々とおいしい思いができればいいだけなんでさ。』
「おまえと一緒にされたくはないさね。」
さっきから眺めていたビルを顎で示す。
「おい、勢力が、変わってないか。おまえのとこの大北組の持ち主だったはずだ。」
この影との付き合いは短い。デモンは名前すら覚えていないし、最初から覚えようともしていない。もっとも相手もそんな期待は最初からしていない。退屈しのぎの日々の手慰みに手を貸した悪事の数々。その幾つかがこの影と交差しただけのこと。
『色々ありましてね・・・』影は近くに寄ったが、警戒は解いていない。
「もっとすごいヤツが現れまして・・・前の組長はそっちの勢力下に入ったというわけでして・・・クフフフ」男は顔に傷があるわかり易い角刈りの中年男の姿を取った。体はガッチリとして筋肉質で目つきは下品で鋭い。冬でも開いた胸元から入れ墨の端が覗いている。デモンバルグは自分が神月に入り浸った日々を数えた。
「ふん、4ヶ月かそこらでか。そいつはすごいな。」
「外国勢力ですよ。ほら今飛ぶ鳥を落とす勢いの・・その、お隣のね。」
「大陸で巨大な利益を上げているやつらが、その旨味を捨てて、何が悲しくてこんなちんけな島国にまで手を伸ばすっていうんだ。」
「右腕に跡目を譲って、この国で新規蒔き直しって話だが、なんのことはない。どうやらもともと、そこの頭は日本人だったって噂ですや。ヤクザは引退しても悪戯が止められねぇってことで・・・玩具を手に入れて2、3年前から遊んでやすよ、この国でね。小さく手堅く年金代わりって感じだが・・・」
「故郷に錦を飾った勢いでここを遊び場にしちまおうってか。そんな奴にコケにされておまえんのとこの頭は黙ってみてたってわけか? シッポを振ってすり寄るとはな。任侠の意地はどうしたんだ、金で頬を叩かれて売り渡したか?」
「なにせ、そろそろ歳だしね。若いときは誰よりも勢いがあったが・・」
影は小さくため息を付いた。その男に惚れていたのかもしれない。
「ダメですや、もうからきし意気地がねぇ。穏便に息子にシマを譲りたいんでしょうよ。でも息子はとてもじゃないが、上に立つ器量じゃない。そこまで見越してるのはさすがだが・・・何、もうすぐ死にますよ、フフフ。」
「その跡目をおまえが継ぐはずじゃなかったのか。そりゃ、残念だったな。」
「とんでもない。」いまや影はデモンと並び立ち、得意げに首を左右に振っている。
「おれは強くて残忍なヤツについてその分け前を受け取りたいだけですや・・・」
「宿主を変えるってわけか。そりゃ、結構な話じゃねぇか。」
デモンは素早く鋭い一瞥をくれる。それだけで相手は顔を弾かれたようにのけぞらせた。「したが、なんでそんな話を俺にするってわけだ?」
相手の頬の傷の上に交差して鞭で打ったかのような筋が浮き上がったが、それを拭いもせず続けたのはさすが魔族だ。
「恐ろしいからですよ。」と囁いた。「新手のボスは・・・容赦がねぇ。」
「フン。恐ろしければ恐ろしいほどそりゃ、結構じゃねぇのか。おまえも魔族の端くれなら良心の欠片もないなど構うこっちゃあるまい?喜ばしくないのか。」
「躊躇いがなさ過ぎて、食い出がないわけでっさ。」
男は退場の時期を計るかのように後ろに下がる。
「あんたさんにわざわざこんなことを言うのは・・・臥龍の鳳来って男には要注意ってことなんでさ。こいつがこっちにきて真っ先に始めたことは・・・あんたも聞いたことがあるはずだ、ほら例のこの間摘発された臓器売買組織なんだが・・・実はその裏でもっとえげつないこともやっているんでさ。死体ビジネスだっていうから、おっかねぇやな。その全貌は俺にだって掴めやしねぇ。きっともうすぐ、何か大きなことをやらかすんじゃないかと期待しているんですや。ただし俺達が潤うかどうかは皆目予想がつきませんがね。大きい割りにはもったいないことをしそうなヤツでしてね・・・さっきも言ったようにまだ小遣い稼ぎのようなことしかやってないがね。勿論、あんたさんみたいな大悪魔には余計なお世話かもしれないけどね・・・アイツは俺ですら別の意味で恐ろしいってわけで。なんだか感情が俺にもてんで掴めない。予想がつかないんですや。まるで人間じゃないみたいなんでさぁ・・・」ようやく最後の言葉がデモンバルグの注意を引いた。
「人間じゃない?おい、そりゃどういうわけだ。」しかし、男は既にただの薄い影にもどりつつある。「そいつは・・・まさか。」
つかの間、デモンバルグは躊躇った。
「ひょっとして・・・地球人じゃないとかか? そいつは宇宙から来たとか言うんじゃあるまいな?」
『クフフ・・そんな、まさか! 宇宙人のわけないでしょが。宇宙人なんていませんや。いたところで俺達には関係ない・・・まさかあんたさんは、被れた人間どもの言うこととやらを頭から信じてるじゃありますまいね? それが恐怖に変われば別だが・・・そっちはどちらかと言うとまだ天使どもの両分でしょうよ。』
あからさまな侮蔑にデモンバルグが人であったら耐え切れずに顔を赤らたところだろう。しかし、デモンバルグは既にヒカリの存在を知っている。
相手を引き裂く事もできたがどうにかこらえた。
『クフフフ、さすがあんたさんは面白いことを言う。どこかの魂をずっと追いかけ回しているということだけはある・・・最近、追いかけ回していないようだが・・・』
「うるさい!余計な事はいい!さっさと答えろ!」
透明に近くなった影はしばし何かを考えているであった。
「宇宙人ってわけじゃありませんがね。もしかして・・そう言うあんたなら・・・最近、流行の魔族狩りなんて噂を聞いた事はありませんかね。」
「魔族狩り?なんだそりゃ。」
「・・・すごい霊能者がいるとかいないとか。」「いったい、どっちなんだ。」
「うちの組が錆びれたのはそのせいも多少・・・怖じ気を振るった下っ端が逃げちまったんでさ。おかげで残った奴らは正気に戻っちまったってわけ。魔族が憑衣していないヤクザはいざって時にからきし意気地がねぇからね。」
「もういい。霊能力者の話なんか知るか。」
霊能力者など、所詮ただの人間に過ぎないではないか。ついに堪忍袋が切れかけ、デモンバルグは声を荒げる。「そんなことより、その鳳来って奴のことだ。」
『クフフフ、そんなに怒らないでくださいよ。今度、顔を合わせた時に頭からパックリはなしですぜ。あんたが宇宙人なんて言うから悪いんだ・・・・鳳来は人ですって・・人間には違いありやせん・・・ありやせんが、人でない俺がこんなことをいうのもおかしいが・・・やることなすことが、血が通ってないみたいなんです・・・こっちが味わう暇もなく殺しちまうんでさ・・・いたぶるのも殺すのも決断が恐ろしく早いんでさ・・鳳来に付いて行けるのはあんたさんぐらいの度量じゃないかと僭越ながら俺は思ったというわけですよ・・・俺はもうちょっとは今の頭についてはみますが・・・はて、どうするか・・』
「それで、その鳳来ってヤツはどこにいるんだ?」
『クフフ、ほら、そこに来ますよ・・・では、俺は失礼して戻らせてもらいますか』
影が後方のヤクザ事務所の方に吸い込まれるのと同時にデモンバルグの側を黒塗りの車がかするようにして通り過ぎる。
デモンバルグはわずかに体を動かしなんなく避けたが、それは相手がただの人間だたらそのまま引っ掛けていたようなスピードだ。その車はデモンが避けた後も減速すらせず気付かないかのように、更にスピードを上げ走り去った。そして何事もなかったかのように先ほど見ていたヤクザの事務所の前で急停車する。