暁
2009-02-14 | 漫画
仏は常にいませども
うつつならぬぞあわれなる
人の音せぬ暁に
ほのかに夢にみえ給う
(梁塵秘抄)
暁静かに寝過ごして
思えば涙ぞおさへあへぬ
はかなくこの世を過ぐしても
いつかは浄土へ参るべき
(梁塵秘抄)
静かなる暁ごとに見渡せば
まだ深き夜の夢ぞかなしき
式子内親王(新古今和歌集)
上は梁塵秘抄という昔の今様を集めた歌集に
深く影響されたと言われている式子内親王の歌です。
ながめつる今は昔になりぬとも
軒端の梅よ我を忘るな
式子内親王(1153年?~1201年没)
式子内親王という方の和歌が好きです。
上の歌などを読むと800年も昔に生きた
彼女のひたむきな目に今も見つめられて
いるような気がするのです。
この方は後白河天皇の息女に産まれながら
平氏の台頭によってついに一度も歴史の表舞台に
踊ることなくひっそりと生を終えた皇女です。
出生年齢も定かでありません。
同腹の女姉妹4人のうち3人までもが
伊勢の斎宮となって子供を残すこともなく
終わっています。(末の妹は15歳で没)
長兄の以人王は安徳帝即位の裏で
謀略に嵌って挙兵、敗死(1180年)しました。
いわば当時の平氏全盛の世の中にあっては
存在してはいないかのように生きることを
社会的に求められた皇女達でした。
そのせいか、彼女の唄は閉塞感とそれに相反する
大変激しい激情が感じられる気がします。
玉の尾よ
絶えなばたえね
ながらへば忍ぶることの
よわりもぞする
(式子内親王)
日に千たび
心は谷に投げ果てて
あるにもあらず過ぐる我が身は
(式子内親王)
平安時代の皇族の姫君というと
しおらしくおっとりと歌を詠んで暮らしている
そんなイメージを持っていたものですから
彼女の和歌を詠んだ時は
こんなに現代に生きる私にも理解できる
人間らしい生の感情を彼女が
詠い残したことに驚きを覚えました。
彼女はその歌によって長らえるしか,
自分達を押し込めた権力に対して戦うには
それしか他に道がなかったわけですが・・・
結果を見れば一目瞭然。
その密やかなる戦いに彼女は勝利したと
言ってもいいでしょう。
今でもしっかりと
彼女の魂が感じられますから。
「ここに生きた私を忘れないで」と。
時鳥(ほととぎす)
そのかみやまの旅枕
ほの語らいし空ぞ忘れぬ
(式子内親王)
15歳前後の若い斎院であった頃を
後に振り返って詠んだ歌。
ほととぎす
(男性を表すそうです。斎宮ですから
いわば伊勢神宮に仕える巫女であります。
表立って男性とは付き合えない建前がありますから・・・
秘めた恋人か、想像上の恋人・・・
彼女は源氏物語の宇治十帖が好きで
その中のヒロイン大姫のように生きたい
と思っていたらしい・・・
あるいは後に惨死する兄に対する疑似恋愛?
若く聡明で彼女の希望であった以人王かも
しれないと言われています。)
旅枕とは伊勢の斎宮の居住する館を示すらしい。
そこに訪れた恋人と朝まで語り合った・・・
夜わ・・そして、曙。
その時に頭上高く明けていった空の色を私はけして忘れない。
いや、絶対に忘れることなどない。と言う強い表現です。
このような歌を読むと
800年なんて時は簡単に飛び越えられる気がしませんか。
うつつならぬぞあわれなる
人の音せぬ暁に
ほのかに夢にみえ給う
(梁塵秘抄)
暁静かに寝過ごして
思えば涙ぞおさへあへぬ
はかなくこの世を過ぐしても
いつかは浄土へ参るべき
(梁塵秘抄)
静かなる暁ごとに見渡せば
まだ深き夜の夢ぞかなしき
式子内親王(新古今和歌集)
上は梁塵秘抄という昔の今様を集めた歌集に
深く影響されたと言われている式子内親王の歌です。
ながめつる今は昔になりぬとも
軒端の梅よ我を忘るな
式子内親王(1153年?~1201年没)
式子内親王という方の和歌が好きです。
上の歌などを読むと800年も昔に生きた
彼女のひたむきな目に今も見つめられて
いるような気がするのです。
この方は後白河天皇の息女に産まれながら
平氏の台頭によってついに一度も歴史の表舞台に
踊ることなくひっそりと生を終えた皇女です。
出生年齢も定かでありません。
同腹の女姉妹4人のうち3人までもが
伊勢の斎宮となって子供を残すこともなく
終わっています。(末の妹は15歳で没)
長兄の以人王は安徳帝即位の裏で
謀略に嵌って挙兵、敗死(1180年)しました。
いわば当時の平氏全盛の世の中にあっては
存在してはいないかのように生きることを
社会的に求められた皇女達でした。
そのせいか、彼女の唄は閉塞感とそれに相反する
大変激しい激情が感じられる気がします。
玉の尾よ
絶えなばたえね
ながらへば忍ぶることの
よわりもぞする
(式子内親王)
日に千たび
心は谷に投げ果てて
あるにもあらず過ぐる我が身は
(式子内親王)
平安時代の皇族の姫君というと
しおらしくおっとりと歌を詠んで暮らしている
そんなイメージを持っていたものですから
彼女の和歌を詠んだ時は
こんなに現代に生きる私にも理解できる
人間らしい生の感情を彼女が
詠い残したことに驚きを覚えました。
彼女はその歌によって長らえるしか,
自分達を押し込めた権力に対して戦うには
それしか他に道がなかったわけですが・・・
結果を見れば一目瞭然。
その密やかなる戦いに彼女は勝利したと
言ってもいいでしょう。
今でもしっかりと
彼女の魂が感じられますから。
「ここに生きた私を忘れないで」と。
時鳥(ほととぎす)
そのかみやまの旅枕
ほの語らいし空ぞ忘れぬ
(式子内親王)
15歳前後の若い斎院であった頃を
後に振り返って詠んだ歌。
ほととぎす
(男性を表すそうです。斎宮ですから
いわば伊勢神宮に仕える巫女であります。
表立って男性とは付き合えない建前がありますから・・・
秘めた恋人か、想像上の恋人・・・
彼女は源氏物語の宇治十帖が好きで
その中のヒロイン大姫のように生きたい
と思っていたらしい・・・
あるいは後に惨死する兄に対する疑似恋愛?
若く聡明で彼女の希望であった以人王かも
しれないと言われています。)
旅枕とは伊勢の斎宮の居住する館を示すらしい。
そこに訪れた恋人と朝まで語り合った・・・
夜わ・・そして、曙。
その時に頭上高く明けていった空の色を私はけして忘れない。
いや、絶対に忘れることなどない。と言う強い表現です。
このような歌を読むと
800年なんて時は簡単に飛び越えられる気がしませんか。