MONOGATARI  by CAZZ

世紀末までの漫画、アニメ、音楽で育った女性向け
オリジナル小説です。 大人少女妄想童話

狐の名前

2008-05-08 | Weblog
隠されしもの。

そんな話をします。
子供の頃の話。

ちょうどオーラの泉でこっくりさんの話を
していたもんで。
私達もよくしたもんです。

小学生の頃、稲荷神社のすぐ近くの家で
狐を呼びました。
「・・稲荷の狐さんおいでください」とご指名で。
なにかの本で狐の名前を聞くというのを
読んだ記憶があったので
最初に「あなたの名前はなんですか?」
と質問し、それからはその名前で呼んでいました。
その時はたわいもないこっくりさん遊び。

後に中学生になって
別の場所で同じ名前でその狐を呼びました。
今思うとそれは別の悪いものだったのでしょう。
帰らなくなって友人を脅したり
友人の家に何かが来たり・・・
散々な目にあってしまいました。
以来、もうその遊びはぱったりとやめました。

その当時。
私の家であったこと。
怪談と言うには、あまりにたわいもない話です。
夜、部屋の角にある木の椅子。
そこで音が定期的にするんです。
例えば、木に貝ボタンがぶつかるような
小さい固い音。
木の部分に何かがぶつかって音がしているのに
間違いありませんでした。音は確かにその椅子の周りでしているのです。
しかし、音の原因がさっぱりわかりません。
目を凝らしました。
椅子の周りをグルグル回りました。
音は相変わらず、目の前でしています。
お手上げになった私は部屋を後にし、
テレビの前で数時間、時間をつぶしました。
それから部屋に戻ると、もう音はしなくなっていました。

巡礼者の錫杖の音が聞こえたこともあります。
壁の中で羽音がしたことも。
隣の部屋だと思った私は廊下に飛び出しました。
その部屋には誰もいません。怖い程の静寂。
ベランダから月の明りが煌煌と部屋に差し込んでいるだけでした。
美しさは恐怖を煽るもの。
部屋に逃げ帰るとヘッドフォンをして
ひたすら音楽だけに集中しました。

しばらく、こっくりさんと狐の名前は
私には思い出すのも嫌な禁句でした。

最近になって冷静にその頃を思い返してみると
おもしろいことに気がつきました。

狐の名前は『おねまねこ』
字が浮かびませんか?
尾根招狐。
もしくは
尾で(尾根で)招く狐。
小学生の時はでたらめなひらがなの羅列だと思っていたのに。
偶然でありこじつけであり思い込みなんでしょうけど。

このことに気がついた時
目からうろこが落ちた気がしたもんです。

以上、お粗末さまでした。
こっくりさんはやめましょうね。
「おねまねこ」さんを呼んでも
きっと悪いものしか来ないでしょう。