心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

遠藤薫 編2011「大震災後の社会学」講談社現代新書

2012-03-05 16:14:41 | 
遠藤薫 編2011「大震災後の社会学」講談社現代新書。
12月に出たばかりの本。
5人の若手?社会学者の共著。

新書なのに、9つの章立てがあって、多角的な視点がある。
序章;われわれは東日本大震災から立ち直れるのか
1章;大震災と社会変動のメカニズム
2章;グローバル世界のなかの東日本大震災
3章;東日本大震災にみる日本型システムの脆弱性
4章;地域経済復興における「セーフティネットと選択と集中の幅輳
5章;災害ボランティア活動の「成熟」とは何か
6章;日本の防災システムの陥穽
7章;震災とメディア
終章;日本の明日ー自己快癒力 resiliance をめざして

印象的だったのは以下;P50~。
「元禄大地震1703年、M7.9~8.2、相模トラフ、数千人の被害。
宝永大地震1707年、東海・東南海・南海連動型、M8.6、死者2万人以上。
富士山が49日後に噴火。」

「安政東海地震1854年、M8.4、房総から土佐沖まで津波。
その32時間後、安政南海地震、M8.4。
安政江戸地震、1855年、M6.9、死者4300人、倒壊家屋約1万戸。」

著者の遠藤薫氏は、「未曾有」ではないと言う。
たしかに・・・

新雅史氏の「災害ボランティア活動」の考察も興味深い。
整然と活動があった石巻と、そうではなかったという女川とを比較している。
そして、「ボランティア迷惑論」は、ボランティアを管理する側からだけ出ていた、という事実の指摘は印象深い。
首相補佐官であった辻元清美さんは仙台で尽力していたことを初めて知った。

こうした動きに関わり続けているひとりとしてぼくは、
NGO側が、もっともっと専門性を高めなければならないと思う。
ボランティアの配置もそうだし、
行政との「連携」の提案の仕方も・・・

そのためには、生きていける程度の経済的な待遇がNGO側に保障されないと、現在のように、
40歳代に近づいたら、
こどもを育てるようになったら、
NGO活動の前線からは離れるしかない状況が続くだろう。
これでは経験が継承されない、積み上げられない・・・

ぼくの関わる心理的支援とは、最終章だけが重なる内容で、社会学者の視点から学ぶところは大きかった。
「災禍を転機に」しなければならないことは多い・・・



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