心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」上・下 草思社

2009-04-29 21:08:41 | 
ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰訳2000「銃・病原菌・鉄」上・下 草思社
原書は1998年にいくつかの賞を受けているという。

著者は、分子生理学者であり、かつニューギニアを特にフィールドとする生物地理学・進化生物学の研究者らしい。

「人類の歴史は世界の異なる場所で異なる発展をとげてきた」事実に対して、
「歴史は・・・社会は、環境地理的および生物地理的な影響下-居住環境の差異-で発達する」ことを学際的に統合しながら謎解きをし、立証しようとしている。

「研磨加工を施し、刃先の長い石器を最初に作ったのは日本人だった」
「世界で最初に土器を発明したのも日本の狩猟採集民だった。それはヨーロッパで土器が見られるようになる5000年前、南北アメリカ大陸で見られるようになる9000年も前」
という記述は、足元についてのもので興味深い。

地名や歴史的事実を地図やネットなどで再確認しながら、
博学な著者から、ぼくはひさびさの知的な興奮を味わっています・・・



「持続可能な社会のための環境学習ー知恵の環を探して」培風館2005

2009-04-22 18:32:49 | エコ・地域・環境
木俣美喜男・藤村コノヱ(共編著)2005「持続可能な社会のための環境学習ー知恵の環を探して」培風館

先週から通っている、東京学芸大の寄附講座「多彩なアプローチによる環境学習」前学期担当者の著書です。

「本書は大人向けの環境学習のすすめである」と目的を位置づけています。
ぼくは、アカデミックな目を失わない冷静な記述や編集に信頼を感じています。

現代「人類の最大の課題」を「環境を開発搾取して科学技術文明を築き、人口を激増させていること」と説きはじめます。

「46億年の地球史からすれば、ごく最近の10万年余の出来事である。私たちの祖先は5万年ほど前に著しく森林を破壊し、前農耕段階を経て、1万2千年前頃に栽培植物を得て農耕段階に達し・・・産業革命を契機に、文明はしだいにグローバル化してきた。とりわけ20世紀は世界を巻き込む物流を背景にした戦争の時代であった」
という歴史観にはまったく同意!

「人類共通の課題に対して見て見ぬふりをして思考を停止させ、課題解決の努力を先送りすることは、現世代の責任回避であり・・・まことにあいすまないこと。」という課題意識と、それへの他者との関係性を見つめた自我関与にも同意。

自然観・生態系・農山村社会・環境活動・廃棄物問題・国際連合・企業価値・環境学習・環境倫理・地域・学校・情報・法制度・教育制度の14章立てです。

とりわけ、4章の「持続可能な社会で暮らすために」は、
ぼくが帰国して日本社会で生き、カウンセリングルームを糧とする視座と重なります。

一つの疑問は、地球温暖化が正面からは取り上げられていないこと。
来週、著者に聞いてみようと思っています。

7月末まで、まだ12回続く講座ですが、学びを楽しみたいと思っています。


高尾・一丁平・城山・相模湖

2009-04-21 22:02:44 | トレッキング・釣り・テニス
タイとネパールで一緒だった知人と高尾・一丁平・城山・相模湖のコースを歩きました。

実は数日前には、これも友人が来たので、このときはケーブルカーを利用して、霧の中の薬王院までを歩いていたんですが。
高尾づいています。

残りサクラを狙った山歩きでしたが、少し遅かったようでした。
でも新緑が目に鮮やか・・・

昼ごろには降りれるかと「舐めていた」ら、しっかり2時頃になってしまいました。
しかも、下りでは浮石ですべって、左ひじに擦り傷なんか作るし・・・

障害児教育が専門の人で関心は遠くなく、
また同世代なので、
気安い話題を話しながらのトレッキングで、とても気分転換になりました。

タケダテツヤとは同学年で専攻は違っても実習などは同じだったんだって・・・
先月に任期終了で帰国したばかりなのに、
山歩き準備にジムに通い始めたとか、早稲田の語学講座に行ってるとか、
まだまだ求めていることの多い人なんだと知りました。

次は、影信まで歩こうとか、安達太良で温泉に入ろうとか、ということになったので、
そのうち実行することになると思います。



2資格1法案ではない、1資格法のイメージ

2009-04-19 21:18:44 | 心理国家資格
国家資格問題について、なんら公人的要素のない立場にいるので、
自由に、今日的な情報を踏まえて、
待たれる1資格法についての私案を述べてみます。

・名称;心理師
・医療法範囲内では「医師の指示の下」で業務を行う(診療補助職)
・養成(形式);4年制大学で指定のカリキュラムを終え、国家試験に合格の後、2年間の指定された現場研修。
2年間の研修はそれを含む大学院修士課程であってもよい。
・養成(内容);わが国の法制度のなかでの広範囲な心理学的ニードに答えうる心理学と関連科目の基本的な教育・現場研修の場とそこでの教育者の明確な位置づけ・基礎心理学系科目を含む・当事者からの学び、などを含む。

法の実施にあたっては、
・喫緊の課題である診療報酬や介護報酬などの保健医療福祉制度上への位置づけを早急に検討のうえ実施し、教育や労働などの分野、また自治体単独事業などにおいても明確化する。
・さらに高度な専門心理資格については、学術団体や専門団体などがその認定を担う。

2005年の2資格1法案という議員立法案に至った流れに沿い、
その後に多様な団体がこの間主張してきた諸項目を含み、
かつその妥協点を見出しうる内容である必要がありますネ。


医療心理師国家資格制度推進協議会に代理参加

2009-04-17 21:07:53 | 心理国家資格
2005年7月の2つの議連による妥協策”2資格1法案”以来、
2008年8月に日本学術会議分科会が、”医療領域に従事する「職能心理士(医療心理)」の国家資格法制の確立を”を提言した以外は、
さしたる大きな動きのない心理職の国家資格化状況について、
各団体が意見を表明し、いろいろ微妙な討論を3時間余続けて・・・一定の意思確認がなされました。
それらの中身は議事録が公開されてからということで。

さて、そこでN療法学会のT先生からホットな情報提供;
4月14日の中教審に、臨床心理士資格認定協会が、専門職大学院の認証機関となる旨の申請があり、その流れになる模様、と。(19日表現修正)

健康保険制度をはじめ、保健医療福祉制度になんら影響しない、大学の延命策をいつまで続けるんだ・・・
というのがぼくの感想。
さしたる社会的な効力を持たない民間資格でいて、いったい誰が得しているの!?

彼らは、心理サービスの利用者も、またその提供者が抱える苦境(ユニオンを見よ)も、見ようとしていない・・・
というのもぼくの感想。

文科省はこうして、大きな資産を持つ資認協を(さらなる天下り先としても)取り込み、さらには文科省資格をめざしているのか・・・
という勘繰りが生まれる。

厚労省側との接触がないと聞いて、議員立法の常とはいえ、ちょっと寂しい想いはある。

心理士の労働運動の現実

2009-04-15 22:34:34 | いろいろ
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/2f341895d0496b399d14eff44f129b07 によると、
心理士ユニオンの第1回目交渉での要求項目は次ということです。

1.児童養護施設で希望する心理職は常勤化にすること。
2.児童養護施設心理職の賃金・待遇について正職員との格差を是正すること。
3.児童養護施設心理職の「遅番勤務」の労働時間・賃金について組合との団体交渉で協議決定すること。
4.児童養護施設心理職の臨時職員の交通費を実費で支払うこと。
5.就業規則、賃金規定、退職金規程について労使協議し作成すること。
6.今後、労働条件の変更については、組合との団体交渉で協議決定すること。
7.健全で良好な労使関係を作るため、日本国憲法、労働基準法、労働組合法などにもとづいて労使ともに努力すること。
8.組合事務所および組合掲示板の設置、施設の利用、コピー機、ファックス、パソコンの利用、電話の取り次ぎなどを認めること。

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一方、日本臨床心理士会による「第5回『臨床心理士の動向ならびに意識調査』報告書」における年収調査結果は、
http://blog.rote.jp/2009/04/06-210000.php によると次のとおり。

2007年度の見込み年収(税込み)は、300万円台が 19.8%と最も多く、続いて 200 万円台 17.0% 、400万円台 14.1%と、この3段階で回答者の約半数を占めた。

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パート職員の現実ということは確かですね。
若き歯科医師の年収調査でも同様な金額を見た記憶があります。
専門性や養成の長さではなく、社会的制度的に裏付けられた需給関係によって賃金は決まるという現実を見ている気がします。


リン・ホワイト「機械と神」みすず

2009-04-12 22:22:55 | 
リン・ホワイト・ジュニア「機械と神」みすず1990

「キリスト教は自然物の感情を気にしないような仕方で自然を搾取出来るようにした」P.88
「聖フランチェスコは、彼が自然および自然と人間との関係についてのもう一つの別のキリスト教的見解を考えたもの(人間を含むすべての被造物の平等性)を提案した」P.95

中世農業技術史という分野を専攻するらしい著者は、キリスト教の歴史には詳しい反面、異文化や、開発途上国への視点や、宗教意識や行動の現在的な変容や、そして精神分析などには不十分な言及だと思います。
産業革命を挙げないのはどうして?

現在の生態学的危機をもたらした要因としてキリスト教に注目しているわけです。
神はアダムに自然の管理を任せた・・・そうでしたっけ?
そうであれば、当然、責任はある、ということになる。
ひとつの卓見でしょう。

しかし「その救済手段もまた本質的に宗教的でなければならない」P.96は違うのはないか・・・

ちなみにこの本が本国で出版されたのは1967年、
ヒッピームーブメントのさなかで、それへの言及もあります。

訳者あとがきによると、
R.デュボスは「目覚める理性、人間のための科学」1970のなかで、
「サンフランシスコのヒッピーは聖フランシスを自分たちの守護神とし、
ホワイトを預言者扱いしている」と、触れているのだそうです。

たった40年の間に、生態学的な危機は危機的な状況に進み、
学的な探求も広がってきた、と感慨深いです。

これから毎月1回、NPO法人APEXの「開発とNGO研究会」に集まった12人で、環境・エコロジーの古典を読んでいきます。
一人だと眠くなってしまう古典はこういう機会に読んで話し合うのがぼくにはいいと思います。

アクセスランキング上位1%

2009-04-11 08:16:41 | いろいろ
4月7日に、某著名ブログで言及されたことで、
8日には約120万ブログ中、9795位のアクセスとなったらしい・・・

ということは、100人訪問・200アクセス/日を越えるブログは全gooブログ中、約1%程度ということ。
1.5倍くらいの訪問数になったのに過ぎないのに。

そして3日経って、また通常のおなじみさん?のアクセス数に戻りました。
ブログのバブリーな1側面でしょうね。

さて、足元の現実=カウンセリングルームのきょうは、受理面接が2件です・・・

心理士のユニオン

2009-04-07 14:05:19 | 心理国家資格
今朝の毎日新聞からです;

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臨床心理士:労組結成、「処遇改善を」 8人で全国初

 東京都が設置する児童養護施設でカウンセラーとして働く臨床心理士らが6日、労働組合を結成した。児童虐待などが増えて子供の心への支援の必要性が言われる中、多くの臨床心理士が非常勤など低収入で不安定な状態に置かれているため。臨床心理士の労組結成は初めて。

 結成したのは、全国一般東京東部労組・臨床心理士ユニオン支部(木村秀委員長、8人)。木村委員長によると、組合員たちは月16日勤務の1年契約などの形で働く。臨床心理士の学会資格を得るには、大学院修了など高度な専門性が求められるが、月収は13万円弱。勤務を続けても賃金は上がらない。他の仕事と掛け持ちしなければ生活できず、辞める人も多い。都の施設では10年間で15人が辞めたという。

 木村委員長は「安心して働けない。子供たちの安定のためにも、私たちが仕事を辞めずに済む環境が必要だ」と話す。今後、約2万人の臨床心理士に労組加盟を呼びかけ、処遇改善などに取り組むという。問い合わせは同労組(03・3604・5983)。【東海林智】
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労働組合って、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」みたいな、
社会的な連帯のなかで闘い、支えあっていくということだと思う。
ー精神医療労働運動の争議経験者としてー

対人ケアをする職種の一部であり、また心理職の一部にすぎない、臨床心理士が、
いかに連帯の動きを作っていけるのか、注目していきたいと思います。

上部団体である全国一般の指導にも注目!

具体的な獲得目標は何?
約2万人の臨床心理士って、業務を遂行する力は一様なの?
身分法や、制度の整備が不可避じゃないのかな?

自分のことだけ言ってると、幅広い支援は得られず、孤立するよ・・・

都下 北浅川 解禁

2009-04-06 10:25:03 | トレッキング・釣り・テニス
4月5日(日)、北浅川解禁!

高尾山の北側、北高尾山稜と呼ばれる稜線の、そのまた北側の谷にある川、そして渓谷ですね。
歴史的には、甲斐へ抜ける街道(陣場街道)として使われていた時期があるというけど、
鉄道や国道20号が異なる場所を通ることになって以降、静けさを取り戻しているといいます。

ぼくは、マス、ヤマメなどに、ほどほどに相手してもらって大満足!
2つの冷凍庫のうちひとつは、先月からの釣果でほぼいっぱい・・・

東京はサクラが先週後半から満開で、
渓谷に入るとそれがまだほころび初めで、蕾も楽しめる。

都下の渓流釣りは、交通至便な分、人が多い。
ここも我が家からわずか30分余。
渓流の「釣堀」といった感もある。放流した分しか釣れないんだから。
でも・・・一応、自然の中での、渓流魚の釣りであることは間違いない・・・

大方の釣りファンのマナーは改善傾向にあって、
ポイントに竿を夢中で出すときも、
その結果で起きる「お祭り」でも、
まあ気持ちのよい声掛けがあることが多い。

ただ問題はグループでやってくる釣り客たち。
大声で話し、傍若無人に振る舞い、無遠慮に割り込み、酒臭い息を振りまいて・・・
一人だったら抑制できていることが、そうはしなくなってしまう。
リスキーシフト!

海外でうるさい、ツアー集団ー近年は日本人はそうでもなくて、中国人と韓国人たちが主に顰蹙ーを、連想してしてしまった。

人がいなくて静かな、たとえば北海道とかサハリンとかで釣りたいな・・・