ちょっと古典的な開発経済学の数字の出し方、国内総生産GDPで、経済的な国の豊かさを、
そして社会経済開発状況を総合的に分析するための、平均予測寿命・識字率と通学年数・購買力からの合成指数である、人間開発指数HDIを、見てみます。
ーUNDP Human Development Report 2005 よりー
ぼくが付き合いのあった国だけ、それも印象的なところのみの、偏見在る考察です。HDI順。
参加型プロジェクトを訪ねたセネガルは、1,648ドル/0.458
NGOで山村保健調査をしたウガンダは、1,457ドル/0.508
今いるネパールは、1,420ドル/0.526
調査を含め数回訪ねたラオスは、1,759ドル/0.545
4年駐在したカンボジアは、2,078ドル/0.571
隣りの大国インドは、2,892ドル/0.602
論文の著者を訪ねた南アフリカは、10,346ドル/0.658
息抜き旅行先だったベトナムは、2,490ドル/0.704
ぼくの昨春までの駐在地、ドミニカ共和国は、6,823ドル/0.749
低所得でもHDIが高いと評判のスリランカは(行ったことがない)、3,778ドル/0.751
もうひとつの大国、中国は、5,003ドル/0.755
アジアのリーダー?タイは、7,595ドル/0.778
最初の派遣地ブラジルは、7,790ドル/0.792
乗り継ぎ地だったパナマは、6,854ドル/0.804
スタディツアーをしたキューバは、GDP不明/0.817
リハビリテーション分野で交流したコスタリカは、9,606ドル/0.838
南米のヨーロッパ、チリは、10,274ドル/0.854
躍進著しい韓国は、17,971ドル/0.901
釣りと山に通ったニュージーランドは、22,582ドル/0.933
精神病院廃止を訪ねたイタリアは、27,119ドル/0.934
留学地の英国は、27,147ドル/0.939
ちなみに日本は、27,967ドル/0.943
どこにも出てくるUSAは、37,967ドル/0.943
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まずは、地域ケアは、HDI,また所得と相関してあるように一見、思えます。
タイ・ブラジルあたりが、しょうがい児者ケアを制度化する分かれ目のようで、国が実効性のあるケア制度を作っていくのは、GDPが、7千ないし8千ドルに到達する必要がある、という現実を感じます。
しかし一方で、食料は配給制で物質的には貧しいが、地域保健医療や教育の充実を図り、高いHDIをみせるキューバという例外があり、事実、地域ケア機関の配置や医療水準はなかなかのものでした。
そして、詳しくは知りませんが、スリランカも低所得ながらHDIも保健指数も高い国として知られています。
つまり、おそらく、よきガーバナンスと、目的的な行政があれば、所得は低くても、その社会の地域ケアシステムは作れるということのようなのです。
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ネパールに戻すと、
現在、打倒の対象になるような王制が250年間続き、
貧富の差や地域格差への政治的な介入は放置されていた、と言うしかない状況です・・・
そして、利権や汚職が横行・・・
ネパールで活動する国際的なしょうがい児者支援活動は、
政治・統治が育つことを期待しながら、
・持続可能なケアの活動モデルを創り、実際に受益者に効果をあげること、
・ネパール人の中にケアの実践者・指導者を養成すること、
・ネパール社会に役立つ技術を探し出し、相手を選んで教育すること、
・手を広げないで活動地域を限定すること、
・政治へシステム作りの提言を工夫しながら続けること、
などが相手に役立つ支援になりうると考えられます・・・
次は、ネパールに限らず、障害者ケア作りに重要なことです。
・しょうがいを持ちながら社会参加する方向のなかで工夫する
・しょうがいを持つ当事者の気づきや自覚を促進すること、
・関係者と協調して、活動の広がりを工夫すること、
以上が、ぼくの、今なりの考察です・・・
「何も支援のないネパールのしょうがい児者がかわいそうだから・・・やっている」って、りっぱな、介入の動機と思います。
ただ、効果を高めるために、支援の戦術や戦略は、勉強し工夫しなければならないと思います。
続く・・・