心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

吹雪の一日と、快晴で遠望した立山連峰

2012-12-28 10:31:49 | 日本で・・・
不幸とは突然やってくる・・・
兄からTelがあって、いとこの奥さんの通夜と葬儀に出席することになった。

中央線ー武蔵野線ー埼京線ー上越新幹線ーほくほく線=北陸線と乗り継いで4時間半。

富士は既に真っ白。
赤城も白くなっていて雪雲の中。
木枯らしのなかの関東平野から谷川に近づくと、もう雪の世界に入って行く。
積雪1mはあろうかと思う越後湯沢からのほくほく線は強風で止まること数回。
でも30分くらいの遅れで済んだ。
日本海に出ると雪は少し少なくなって10cm位かな。

久しぶりの故郷に着くと駅は改修中で出口に戸惑ってしまう。
まだ2年もかかるんだって。
北陸新幹線の駅は少し離れたところなので、改修後といっても使用者数は減るんじゃない?かと気になる。

前にも泊まったことのあるホテルまでは数分なので歩く。
消雪のための散水が歩道も水浸しにしているところがあって、普通の革靴のぼくは所々で爪先立ちで、また除雪されていないところでは滑らないように注意して進む。
雪がずっと止まなかったので、コートやアタマにうっすら雪がついた。

時間まで休んで、通夜の会場へ。
初めてのところでネットで調べたけどよくわからなかったのでタクシーの世話になる。
メーターにある代金を支払おうとしたら、「雪で混んでいて遠回りをすることになったから」と2/3ほどの金額を言う、驚き!
初めてだから、ぼくは遠回りかどうかも分かっていないのに・・・
こういうのは正直者と言っていいんだろうか?

懐かしい顔々が並んでいて、また気遣いをしてくれて、あたたかな気持ちになる。
母の生家の跡取りだけど、敷地から自宅用の野菜畑の間にある灌漑水路に渡した手製の小橋から2mほど下まで落ちてしまったんだという。
夕方だというから見にくかったというのだろうか?
いづれにしろ、一日に何回も、いつもいつも歩いているところだからと従兄は不思議がっていた。
いつもいつも働いていた様子が思い浮かぶ。
送迎を言ってくれる言葉に甘えて、雪の夜道を戻る。

翌日の葬儀の日は快晴で、朝の道路はバリバリに凍っている。
交差点などではスリップしているクルマ、対向車線のクルマを運転している人の表情はいつになくどこか真剣に見える。

遠望すると遠く立山連峰が青空に・・・くっきり!

昼には道路の雪は消えた。
いい日になったな・・・




ギリシア悲劇「トロイアの女たち」蜷川幸雄演出 東京芸術劇場

2012-12-16 08:02:58 | 日本で・・・
今回日本に戻っていて、テレビなどの間接体験ではないライブを見たくて、選んだのが演劇。

名前だけは知っていたモノだけど、内容はよく知らず、ちくま文庫を読んでから行ってよかった。
ギリシア軍によって、例のトロイの木馬を使って、殲滅されたトロイアに残された女たちの在りよう。

それが、イスラエルとアラブと日本人俳優たちがそれぞれ母国語を使って、3言語が叫ばれる舞台。
イスラエル俳優はちょっと声に迫力なく、アラブ俳優に比べると動きも少なく、年増でもあった。
ヘレネ役の宝塚出身の俳優は、早口すぎて、セリフが聞き取れなかった。
たくさんの舞台は経験しているだろうに。

白石加代子は出ずっぱりのへカベ役。
声にも姿勢にもすごい迫力がある。
多少、芝居的すぎる仰仰しさは感じるけど、約3時間飽きさせないで引きつける演技はまちがいなく本物。
蜷川演出はこの方向なのだろう。

この時代、戦争に負けると、市民レベルの女たちは戦利品にさせられたんだ、なんという・・・!

前415年初演だそうだ。
その頃の日本はまだ縄文?
前にエジプトを旅した時にも感じたけど、ギリシア世界の芸術文化的な先行性はすごい。

この作品は2週後の29日からはイスラエル・テルアビブで1週間公演だという。
今度は日本語部分がテロップになるのか。

ぼくは1か月後には、このアラブ世界ヨルダンにパリ経由で入る。
たのしみ!

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ちなみに同じ建物の地下会場では、地元池袋の立教大学の陸前高田支援の展示会場があったので覗いてみた。
ぼくが被災地駐在を始めたころ、この大学が長期的に入るから家を探しているという話があって、たくさんの団体の一つくらいで聞き流していたけど、殆どの緊急支援が引き上げた今、これまでもこれからも大学全体で被災地と出会いかかわり続けていくのはスゴイと思った。
こうして、外部に成果を伝えていく機会を作ることも素晴らしい。
大学生たちが入れ替わりになる体制とはいえ、若い人たちが現地に役立つ工夫が今後とも続いていくことを期待したい。

感染症や母子保健対策から生活習慣病や精神疾患の対策へ

2012-12-15 13:11:07 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
注目記事;世界の病気の動向に変化あり。
精神保健に注目したい!
ただし、その背景をなす実際の生活に着目しながら。

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<世界の病気統計>途上国も病抱え長寿化 国際チーム、187カ国分析
2012年12月14日(金)18:00 毎日

 この20年間に、途上国を含め人類は幼少期の死亡が減少する一方で、生活習慣病など病気を抱えながら長生きするようになったことが、日本を含む国際チームの調査で分かった。世界全体で疾病構造が激変したことを示しており、高齢化に伴う生活習慣病を中心とした保健医療政策が求められそうだ。14日付の英医学誌ランセット(電子版)に発表した。

 187カ国の死亡や病気のデータなどを分析した。その結果、1990年の出生1000人当たりの5歳未満死亡率は男8%、女6・6%だったのに対し、2010年には男4・7%、女3・9%に減少していることが分かった。理由として、経済成長に伴う栄養の改善やワクチンの普及などを挙げた。

 平均寿命は男67・5歳、女73・3歳で、20年前より4・7歳、5・2歳延びた。特に途上国が顕著で、インドなど南アジアは男63・4歳、女67・7歳と5・8歳、8歳それぞれ延びていた。

 また、2010年のけがや病気による治療期間など苦しみを独自に指標化すると、最も高かったのは虚血性心疾患(狭心症など)で、肺炎、脳卒中と続いた。1990年の上位3位は肺炎、下痢、未熟児合併症だった。心疾患や脳卒中は肥満や高血糖などに起因することが多く、生活習慣病による社会影響が深刻化していることを示した。このほか、エイズは33位から5位に、うつ病は15位から11位に上昇した。

 チームの渋谷健司・東京大教授(国際保健政策)は「これまで感染症対策を重点にしていた。これからは、生活習慣病や精神疾患の対策も視野に入れた保健医療に変えていく必要がある」と話す。【河内敏康】
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映画「むかしMattoの町があった C'era una volta la citta' del matti...」

2012-12-15 11:02:31 | 日本で・・・
イタリアの精神医療改革、特にその中心にいた バザーリア Franco Bazagria 医師の動きを描いた映画。

「180人のMattoの会」大熊一夫(元朝日新聞記者の)代表が、各地の支援者を掘り起こして映画会や講演会を開いている。

ぼくは稲城市で昨日在った、(特非)「わくわく」主催の会に出かけてきた。
1030から、たっぷり90分の大熊さんの講演、わくわくショップの名物カレーで食事、質疑1時間程、そして映画が1部と2部を、これもたっぷり3時間。
終わったのは日が暮れた5時を過ぎていた。

当事者や家族が多かったのはさすが、わくわくの東谷さんたちの準備と思えた。
大熊さんとは久々の再会で、握手などをしてしまった。

特に2部には、旧サンジョバンニ病院の旧病棟や小高い丘の上の建物、港や街の広場などトリエステのシーンが各所にあって懐かしかった。
当時はさっぱり聞き取れなかったイタリア語が、その後学んだスペイン語と似ているせいか、耳に入って来るのに気付いた。
ただ、寂しさが狂気の原因としているようで、気になったけど。

ぼくは1986年?にアフリカ経由で出かけ、ちょっといろいろあって松葉づえをつきながら、大熊さんたちのチームと現地で合流し、1カ月ほどいた。

わが日本の精神医療改革の歩みは遅々としている。
とても残念だ。

「もう進むべき方向ははっきりしているのに・・・(進まない・・・)」
これは、大隈さんが週刊朝日に詳細な連載を始めた時にインタビューを受けてぼくが言った言葉。
同じ想いだなあ・・・

・診療や訪問、短期入院ベッドなどの機能を持つ24時間体制の地域精神保健センターを人口3万人程度(日本の中学校区くらい?)ごとに、10人程度の職員体制で設置。
・リーダーが支援の方向性を明確にして、強力に専門職チームを引っ張る。
・働く場所、住む場所、年金などの福祉施策を丁寧に実施する。
などがあれば、そう大変なわけではない、というのがぼくの想い。

あすは総選挙の日、原発廃止を声高に叫ぶのはいいんだけど、
反治療的な単科精神病院を廃止して、地域精神保健ケアシステムに移すという切り替えを政策化している政党はない・・・


カンボジアの地域精神保健支援、SUMHは続ける

2012-12-03 14:37:13 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
きのうはカンボジア精神保健支援NGO=SUMH(途上国の精神保健を支えるネットワーク)が毎月開いている拡大理事会。
駅前クリニックを持つひとりの理事が会議室を提供してくれている。
現地での活動が10年を超え、今はデイ通所活動の中での心理社会教育や集団活動などがシュムリアップ州病院精神科外来と連携し、また精神科のなかったアンコールチュム保健区病院に精神科医師とSUMHスタッフなどを派遣して精神科診療や地域活動を州保健局との連携のなかで継続している。

経済成長が著しいことは喜ばしいが、スタッフの昇給にも影響。
医療系団体のスタディツアーでの訪問希望や、医学生の訪問希望などへ対応。
人材育成についてのカンボジア保健省担当者との打ち合わせでは、地域精神保健分野の大切さは共有できても、その専門医や専門看護師などの高い専門性を持つ人を望んでいることが明確になり、つまりそういう人は田舎には行かないわけで、多くの人々が住む村落部での活動は重視しているとは言えない、つらい現実。
不況を反映して企業からの募金金額の減少。
現地側が収入を得るようなソーシャルビジネスに取り組むべきではないか、などなど。

年明けの次回には、特別に長い討議時間を用意して、資金獲得と、活動の新たな焦点づけなどについて、新たな方法や道を求めてしっかり話し合うことになった。