心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

「哀しみにも終わりがあるのよ」・・・でも25年も?

2012-04-07 15:05:55 | 
正確には「あなたはまだ若いから知らないでしょうが、哀しみにも終わりがあるのよ」

孫引き;伊集院静2011「大人の流儀 a genuine way of life 」講談社
P.189の「数年前の映画のチェチェンの老婆のセリフ」
映画はたぶん、”チェチェンへ アレクサンドラの旅”2008年公開。

この言葉に注目したのは、もちろん、約1年関わってきた震災津波被災者支援の経験が背景にあるから。
昨今の、短期的な解決があるかのような、そして表現を重視しすぎる心理療法アプローチを想起して、ぼくは支持的な環境下での時間経過の大切さを連想して納得した。
この支持的な、あるいは受容的な環境作りが、意外と困難なわけだが・・・現実対応を避けることができない、から。

きょうもNHK海外TVがここではお昼から、そして夕方の今もやっているけど、津波特集を見るのがぼくは辛い。
3月の1周年前後もそうだったし、現に調子を崩した相談も受けた。
被災者自身ならなおさらだ。
波風を立てるのはやめてくれないだろうか・・・番組の初めに予告すればいいということになっているとしたらおかしい。
災害時の映像を繰り返し流すことが、津波体験を忘れず、被害に備えるということとは違うと思う。

さて、この本では、25年経って初めて、前妻=夏目雅子の死について書いているという最終章が注目。
一緒に住むようになる経過、
死には、若くて動揺したこと、
必ず生きると想い、治療に専念してしまい、好きなモノも食べず外出もしなかったという悔やみ、
などは印象的。

こうも言う;
「親しい方を亡くされて戸惑っている方は多いでしょう。
私の経験では、時間が解決してくれます。
だから生き続ける。
そうすれば亡くなった人の笑顔を見る時が必ず来ます。」

英文タイトルは、本書の内容を言い得て妙。
現代の無頼派、と言うところか・・・
はっきりと自分の考えを書いている。

それにしても、Griefが溶解するには、25年もかかったのか・・・


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