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心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

心理職の国家資格化を推進する民主党議員連盟

2012-08-23 02:03:15 | 心理国家資格
心理職の国家資格化を推進する民主党議員連盟、設立総会に出かけてきた。
衆議院第1議員会館。

38℃とかいう酷暑の中、糊のきいたシャツを着て。
これまでの関係者の献身的なご苦労に頭が下がる!

3月には超党派による大集会があって盛り上がったと聞いている。
自民党の議連は既に誕生している。
与党の取り組みがいまいち遅れていた。

「95%は与野党で合意できているだろう」とは、仙石由人共同代表の挨拶。

こんどは期待していいんだろうか・・・


HPに入れなかった理由

2010-01-15 17:31:05 | 心理国家資格
何回やっても通じないので大学のHPから入ったら、こういうことだった・・・
申し込みが殺到?とか?

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2010年1月15日

お知らせ
東京大学大学院教育学研究科/教育学部のホームページは事情により閉鎖中です。
再開は、2010年1月21日(木) 9:00を予定しております。
ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。


なお、下記シンポジウムの受付開始は1月15日からの予定でしたが、
教育学研究科のHPを再開する1月21日(木)午前9:00からとなります。

文部科学省科学研究費研究成果報告会・国際シンポジウム
今、心理職に求められていること
―医療現場で役立つ専門職モデルの確立に向けて―
【日時】  2009年3月28日(日曜日) 午後1時-午後6時
【場所】  東京大学(本郷)安田講堂 (同時通訳付) 午前11時30分開場

教育学研究科ホームページ管理運営小委員会
[問い合わせメールアドレス:webmaster@p.u-tokyo.ac.jp]
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可能性<日本の国家資格心理師の保険点数や配置に思うこと>メモ

2009-08-29 12:47:51 | 心理国家資格
6月以降、心理の資格関係の新たな動きは聞いていません。
明日となった総選挙後の、新たな国内政治の執行体制を待っている状況ともきっと、無関係ではないのでしょう。

地域精神保健と有料心理相談の現場にいる立場から、心理の業務で健康保険制度や福祉制度に乗せたいものを列記してみます。
健康保険制度と連携しないで、つまり自由診療体制を取っている限りは、そのサービスを利用できない人々のほうが多数であり、例外を除いてサービス利用が無料であることは避けるべきだけど、1回3000円前後でなければ普通の社会生活者には負担は大きすぎると感じています。

近い将来に:
保健医療福祉のさまざまな分野で心理職は利用者の役に立てると思います。次に具体的な項目を挙げてみました。
医療分野ではこれらを法制度上、心理師は医師の指示のもとで行うということです。

・ 心理テスト(複雑);1000点や1500点に上げないと人件費も出ない
・ 個人心理療法(カウンセリング);45分で1000点程度
・ 集団心理療法;13人以下で90分?、一人300点程度
・ 精神科デイケアの要員として心理職を配置
・ 社会復帰施設の要員として心理職を配置
・ 訪問心理療法・訪問心理助言;500点以上、在宅訪問指導の一翼を担う職種の一つとして。
・ 入院病棟の職員配置;入院病床を削減した上で。
・ 個別心理教育;30分で500点
・ 集団心理教育;集団心理療法と同じように。
・ 心理診断書や情報提供の有料化;500点程度。
・ 臨床現場における学生の実習指導;これは文科省関連予算かも。
・ 福祉施設への職員配置;児童分野に加えて高齢者対象もありうる。

そう遠くない将来に:
今日の制度では、医師が独占している業務の一部を心理職に移譲することも、医師不足が叫ばれ、現場的にも医師が実施しなければならない業務に忙殺されていることは自明なので、追求されるべきと思います。
・ 心理的な課題が中心で保健医療を利用する患者治療ケアの中心職種になれるようにする。主治心理として他関連職種へ現場で指示を出すことを可能にする。任務と責任を明記する。

理由1;福祉分野では既に心理学専攻者も施設代表者になっている・・・保健医療分野の中にもそうした心理主導の部分が存在しているということを認識する。医師の業務は投薬など、身体への直接的な侵襲を伴う治療行為に限定しても十分に業務は多いはず。他に診療補助職として位置づけられてきた、看護師保健師助産師にも作業療法士にも理学療法士にも言語聴覚士などにも、この方向での見直しがなされるべき。とりわけ地域保健の分野ではムダも多く医師の権限委譲は必要に迫られている。
理由2;看護師の離職は大きな問題だが、医師の補助業務ではなくて、職務権限を持つことはやりがいを高めて離職傾向に好影響を与えるはず。
理由3;社会的入院を地域化したケアに移行させ解決すること。入院治療の真の対象者を限定して、看護職などが3交代勤務しなければならない必要性を減らそう。誰にとってもたいへん負担な業務。
理由4;戦後すぐに成立した日本の医事法制は、医師に権力を与えすぎ。指示や管理など、余計な業務がそこからも生まれている。関連職種が成長してきた今日的な状況を踏まえて、権限を委譲して、対等な保健医療チームが組めるようにしたほうが効率的。
理由5;開業医をはじめ、医師所得が関連職種に較べて高すぎる。保険点数が医師の行為に集中しているという背景もある。新たな心理職の行為を点数化するための財源を得ることも可能だろう。

児童相談分野と教育相談は、小さな政府の方向で、別の機会に。

2資格1法案ではない、1資格法のイメージ

2009-04-19 21:18:44 | 心理国家資格
国家資格問題について、なんら公人的要素のない立場にいるので、
自由に、今日的な情報を踏まえて、
待たれる1資格法についての私案を述べてみます。

・名称;心理師
・医療法範囲内では「医師の指示の下」で業務を行う(診療補助職)
・養成(形式);4年制大学で指定のカリキュラムを終え、国家試験に合格の後、2年間の指定された現場研修。
2年間の研修はそれを含む大学院修士課程であってもよい。
・養成(内容);わが国の法制度のなかでの広範囲な心理学的ニードに答えうる心理学と関連科目の基本的な教育・現場研修の場とそこでの教育者の明確な位置づけ・基礎心理学系科目を含む・当事者からの学び、などを含む。

法の実施にあたっては、
・喫緊の課題である診療報酬や介護報酬などの保健医療福祉制度上への位置づけを早急に検討のうえ実施し、教育や労働などの分野、また自治体単独事業などにおいても明確化する。
・さらに高度な専門心理資格については、学術団体や専門団体などがその認定を担う。

2005年の2資格1法案という議員立法案に至った流れに沿い、
その後に多様な団体がこの間主張してきた諸項目を含み、
かつその妥協点を見出しうる内容である必要がありますネ。


医療心理師国家資格制度推進協議会に代理参加

2009-04-17 21:07:53 | 心理国家資格
2005年7月の2つの議連による妥協策”2資格1法案”以来、
2008年8月に日本学術会議分科会が、”医療領域に従事する「職能心理士(医療心理)」の国家資格法制の確立を”を提言した以外は、
さしたる大きな動きのない心理職の国家資格化状況について、
各団体が意見を表明し、いろいろ微妙な討論を3時間余続けて・・・一定の意思確認がなされました。
それらの中身は議事録が公開されてからということで。

さて、そこでN療法学会のT先生からホットな情報提供;
4月14日の中教審に、臨床心理士資格認定協会が、専門職大学院の認証機関となる旨の申請があり、その流れになる模様、と。(19日表現修正)

健康保険制度をはじめ、保健医療福祉制度になんら影響しない、大学の延命策をいつまで続けるんだ・・・
というのがぼくの感想。
さしたる社会的な効力を持たない民間資格でいて、いったい誰が得しているの!?

彼らは、心理サービスの利用者も、またその提供者が抱える苦境(ユニオンを見よ)も、見ようとしていない・・・
というのもぼくの感想。

文科省はこうして、大きな資産を持つ資認協を(さらなる天下り先としても)取り込み、さらには文科省資格をめざしているのか・・・
という勘繰りが生まれる。

厚労省側との接触がないと聞いて、議員立法の常とはいえ、ちょっと寂しい想いはある。

心理士のユニオン

2009-04-07 14:05:19 | 心理国家資格
今朝の毎日新聞からです;

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臨床心理士:労組結成、「処遇改善を」 8人で全国初

 東京都が設置する児童養護施設でカウンセラーとして働く臨床心理士らが6日、労働組合を結成した。児童虐待などが増えて子供の心への支援の必要性が言われる中、多くの臨床心理士が非常勤など低収入で不安定な状態に置かれているため。臨床心理士の労組結成は初めて。

 結成したのは、全国一般東京東部労組・臨床心理士ユニオン支部(木村秀委員長、8人)。木村委員長によると、組合員たちは月16日勤務の1年契約などの形で働く。臨床心理士の学会資格を得るには、大学院修了など高度な専門性が求められるが、月収は13万円弱。勤務を続けても賃金は上がらない。他の仕事と掛け持ちしなければ生活できず、辞める人も多い。都の施設では10年間で15人が辞めたという。

 木村委員長は「安心して働けない。子供たちの安定のためにも、私たちが仕事を辞めずに済む環境が必要だ」と話す。今後、約2万人の臨床心理士に労組加盟を呼びかけ、処遇改善などに取り組むという。問い合わせは同労組(03・3604・5983)。【東海林智】
***********

労働組合って、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」みたいな、
社会的な連帯のなかで闘い、支えあっていくということだと思う。
ー精神医療労働運動の争議経験者としてー

対人ケアをする職種の一部であり、また心理職の一部にすぎない、臨床心理士が、
いかに連帯の動きを作っていけるのか、注目していきたいと思います。

上部団体である全国一般の指導にも注目!

具体的な獲得目標は何?
約2万人の臨床心理士って、業務を遂行する力は一様なの?
身分法や、制度の整備が不可避じゃないのかな?

自分のことだけ言ってると、幅広い支援は得られず、孤立するよ・・・

学術会議提言;医療領域に従事する「職能心理士(医療心理)」の国家資格法制の確立を(その3)

2008-09-08 23:16:39 | 心理国家資格
その3です。

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7 職能心理士(医療心理)に期待される新たな臨床科学の創成
現代の医療を支える学問領域は、生命科学や物質科学だけではなく、生命倫理を考究する人間科学を必要とする幅広い学問領域から成り立っていることは、周知の事実である。ただ、これまでの医療は、医行為という医学臨床が大きな割合を占めていたが、医療の発達とともに医行為の細分化が起こり、あらゆる学問領域の智を必要とするようになった。
そのために、これまで精神科領域でのみ必要と考えられてきた職能心理士(医療心理)も、細分化された臨床の現場でのニーズが高まってきたことも事実である。特に、高度先端医療の質を担保する点でも、職能心理士(医療心理)が医療チームの一員として機能することが求められている今日的課題を鑑みても、心理査定や心理相談における客観的エビデンスが医療における診断や治療に関わる手技や方法の適用や効果判定の有効性に資することが、医療と心理学の共同研究においても示されるようになってきた。このことは、心理学が医療に新たな実証科学として新しい臨床科学を創成する可能性をもたらすと考えられる。実際に、神経内科や小児神経科では障害の診断バッテリーの作成に当たって神経心理学や認知心理学あるいは発達心理学などの研究者との共同研究が始まっていることも、国内外の専門誌に多く見られるようになっている。
10
表1 職能心理士(医療心理)の養成教育カリキュラム案
科目種
大項目科目
中項目科目
単位数
心理学専門科目
心理学基礎論
心理学概論
2
心理学研究法
2
心理統計学基礎
4
心理学基礎実験
4
心理学特論
知覚心理学
2
認知心理学
2
行動心理学
2
教育心理学
2
発達心理学
2
感情心理学
2
神経心理学
2
個性心理学
2
社会心理学
2
健康心理学
2
職能別専門科目(臨床心理)
臨床心理学
臨床心理学概論
2
心理療法概論
2
家族心理学
2
犯罪心理学
2
職能別専門科目(医療心理)
医療臨床心理
臨床心理実務倫理論
2
心理面接法
2
心理アセスメント基礎
2
心理療法基礎実習
2
医療心理実地実習
5
チーム医療・福祉・
介護組織論
2
職能別専門科目
医学序論
医学序論
4
(医療心理周辺科目)
精神保健学
精神保健学
4
地域保健福祉論
地域保健福祉論
4
障害者支援論
障害者支援論
2
心理学専門科目
心理学卒業論文
心理学卒業論文
6
11
図1 職能心理士(医療心理)国家資格取得の過程
(註1)網かけ部分は、学協会が協力する事業
(註2) 現認心理業務従事者は、法制施行後5年間の経過措置
(註3) 図中の職能心理士補と職能心理士には(医療心理)が付く
12

********以上

学術会議提言;医療領域に従事する「職能心理士(医療心理)」の国家資格法制の確立を(その2)

2008-09-08 23:10:05 | 心理国家資格
その2です。
***********

2 職能心理士(医療心理)養成の基本理念
学士課程における職能教育の観点からすると、心理学教育プログラム検討分科会と本「分科会」が対外報告で示した心理学教育の基準カリキュラム案を核とする心理学専門科目の他に、それぞれの職能に応じた専門科目からなる職能種別専門科目(法律的用語として周辺科目と呼ばれ、各職能教育にとって中心的な科目群でもある)が必要である。
職能心理士(医療心理)養成は、心理学に関する高い専門知識と応用能力を駆使して主体的に行動し、社会に対する責任を果たしながら、医療領域の問題解決に向かえる資質を担保できることが重要である。
そのため、職能心理士(医療心理)の養成カリキュラムが、一定の教育基準を担保しているという第三者認証が必要である。その意味においても、職能心理士(医療心理)養成の資質保証には、わが国の優れた科学技術者養成教育のグローバルスタンダードを作る目的で設立された機関である日本技術者教育認定機構(Japan Accreditation Board for Engineering Education; 略称 JABEE、以下JABEE)のような養成カリキュラム認証制度を確立することが重要である。
現在、科学技術領域での国家資格は「技術士法」に基づく文部科学省所管の名称独占の資格がある。この法律は昭和32年に制定後、昭和58年に全面改正され、平成16年4月からJABEEの認証する技術教育修了者については、文部科学大臣の指定を受けて技術士の1次試験が免除されるようになり、JABEEの認証制度が科学技術者養成教育の資質保証に重要な役割を担っているといえる。この点から、国家資格としての「職能心理士(医療心理)」の資格法制を確立する上で、養成教育の資質を担保する第三者認証制度は重要な機能を果たさなければならない。
大学院修士課程における「技術士」のカリキュラム認定も、JABEEは修士
4
課程で総計68単位の科学技術教育カリキュラムを設定し、この単位の修習者を1次試験受験の要件としている。これは、JABEEが工科系以外からの工科系大学院への入学者に対して、基礎的な科学技術教育を担保するよう教育機関に求めているからである。
この点からすると、どのような専門分野からの大学院進学者も受け入れ、大学院修了要件単位の30単位の授業科目で資格受験を認めている現行の臨床心理士資格認定制度とは、教育理念と資質保証に大きな違いがある。従って、どのような職能心理士(医療心理)養成を指向する大学や大学院であっても、学士課程相当の心理学の専門基礎教育の質を担保する必要がある。

3 職能心理士(医療心理)の養成カリキュラム案
医療領域に従事する相当数の心理技術者が、チーム医療に関わって活動しているのが現状であり、今後の医療の高度化・多様化を展望すると、その必要性が一層増すことが予想されるため、職能心理士(医療心理)が医療法制上の問題がなく活動できることを保証する国家資格法を成立させることは急務である。
そのための養成カリキュラムは、心理学教育の基準カリキュラムの心理学専門科目の外に、どのような周辺科目を加えることが妥当かという点が問われることになる。医療心理の場合、その職能に必要な専門の履修が多岐にわたり、職務遂行にあたって他職種との連携が求められる。一方、心理学は大学で初めて履修をする学問分野であることから、その教育成果を担保するうえで4年間の学士課程教育は欠かせない条件である。
さらに、学士課程では現代心理学諸領域の専門知識を習得するだけでなく、卒業研究による問題処理の力量養成や、全学共通教育科目の履修を通じて広い視野の教養を具えることも、高等教育を受ける者の必須要件である。これらの要件を充たすことで「ジェネラリスト・マインドをもつ心理のスペシャリスト」の職能心理士(医療心理)の養成が可能となる。
医療チームの構成員として医療心理領域の心理技術者としての役割を担うには、心理学の専門教育に加え、医学や保健・福祉関連の基礎的学問知識の習得が求められる。そこで、他の医療関連資格の養成カリキュラムに倣い、表1に示すような医療心理学領域における職能心理士(医療心理)の養成教育カリキュラム案を作成した。
このカリキュラム編成にあたって、心理学教育プログラム検討分科会の対外報告で提示した心理学教育の基準カリキュラムの中から心理学基礎論4科目と心理学特論10科目の計14科目を心理学専門科目とした。
さらに職能別専門科目として臨床心理学4科目と医療心理6科目、医療従事者の知識として最低限必要とされる医療心理周辺科目を4科目とする3科目群総計14科目を設けた。特に、医療心理実地実習は、事前実習1週間を含
5
め5週5単位とした。
また、医療心理周辺科目群は、医療分野の心理学的行為ないし心理業務を行う上で必要な医学分野である精神医学、小児医学、心身医学を中心に概観し、これらの領域に関連する神経薬理学や生理学などの基礎医学や最近著しい進歩をとげた脳科学などを習得する「医学序論」、精神保健、思春期を含む生涯発達心理の問題を、医療並びに福祉の観点から概観し、これに関わる精神保健の国内的、国際的課題を理解する「精神保健学」、母子保健、成人・高齢者保健、心理的・地域的危機介入に関わる地域保健・福祉の問題を、医療・保健・福祉の制度並びに社会保障法制の観点から概観する「地域保健福祉論」の3科目を設け、これらは通年2期4単位の科目とした。
これに加えて、障害者への心理的支援について職能心理士(医療心理)が持つべき障害理論及び各種の障害者の心理的特徴理解のための障害心理学並びにノーマライゼーションに必要な支援技術論を概観する「障害者支援論」を1期2単位として設けた。
表1の教育課程の履修単位数は、基礎科目群となる心理学専門科目14科目32単位と卒業論文6単位に加え、職能別専門科目の医療心理関連科目10科目23単位、医療心理周辺科目4科目14単位となり、これに全学共通科目を30から40単位とすると、職能心理士(医療心理)の養成教育の最低卒業要件単位総数は105から115単位となる。従って、学士課程最低卒業要件単位総数の124単位をやや下回ることになる。
本提言では、これを最低規準単位枠として、各大学の職能心理士(医療心理)養成の特色を出すために必要と考える心理学専門科目、周辺領域科目、実習科目等を、卒業要件単位まで加えることができるよう養成カリキュラム編成上の余裕を持たせた。
この養成カリキュラムを実施する上での問題は、学士課程で心理学教育を行っている大学でも教育担当者数

学術会議提言;医療領域に従事する「職能心理士(医療心理)」の国家資格法制の確立を(その1)

2008-09-08 23:01:25 | 心理国家資格
2006年6月の法案上程の見送り以降、目立った動きのない心理の国家資格化です。

2008年8月28日、日本学術会議は、次の提言を公表しました。
医療領域に従事する「職能心理士(医療心理)」の国家資格法制の確立を
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t62-8.pdf

この提言は、心理系団体の意志一致と、意見表明をした医療系団体の合意を促進するでしょうか。
長文なので、以下に3回に分けて紹介します。ただし図と表が略されているので、それは上記のHPを参照ください。

***********
提 言
医療領域に従事する
『職能心理士(医療心理)』の
国家資格法制の確立を
平成20年(2008年)8月28日
日 本 学 術 会 議
心理学・教育学委員会健康・医療と心理学分科会

この提言は、日本学術会議 心理学・教育学委員会 健康・医療と心理学分科会の審議結果を取りまとめ公表するものである。
日本学術会議 心理学・教育学委員会 健康・医療と心理学分科会
委員長 小西行郎 (連携会員) 東京女子医科大学教授
副委員長 利島 保 (連携会員) 広島大学名誉教授
幹事 長田久雄 (連携会員) 桜美林大学大学院老年学研究科教授
幹事 丹野義彦 (連携会員) 東京大学大学院総合文化研究科教授
長谷川壽一(第一部会員) 東京大学大学院総合文化研究科教授
岡田加奈子(連携会員) 千葉大学教育学部准教授
佐藤隆夫 (連携会員) 東京大学大学院人文社会系研究科教授
重野 純 (連携会員) 青山学院大学文学部教授
箱田裕司 (連携会員) 九州大学人間環境学研究院教授
山田洋子 (連携会員) 京都大学大学院教育学研究科教授
佐藤忠彦 (特任連携会員)桜ケ丘社会事業協会理事長
富和清隆 (特任連携会員)京都大学大学院医学研究科教授
i
要 旨
医療の発展にともなって重度の精神疾患のみならず、神経症や心身症あるいはポジティブメンタルヘルスともいわれる「心の健康」などへの対応が切実な課題となっており、こうした課題に対する心理学的行為ないし心理業務の重要性は広く社会的にも認識され始めている。さらに、終末期医療や小児科における発達障害あるいは神経疾患の急性期のケアなどでもこうした業務を行う臨床心理技術者は不可欠な存在になっている。しかしながら、現行の養成カリキュラムは不備な点が多く、同時に、その立場は医療法制上からすると不安定な職域であり、その職域における貢献度からしてもその地位を確たるものにする必要がある。そのために第20期日本学術会議の心理学・教育学委員会は「健康・医療と心理学分科会」を設置し、心理学専攻生の職能教育や国家資格の在り方について検討してきた。この分科会に先立って設置されている「心理学教育プログラム検討分科会」は学士課程の心理学教育のあり方と心理学専攻生のキャリア・パスについて検討してきたが、2つの分科会は心理学専攻生の職能教育や国家資格のあり方について共通する問題を審議しているので、これまで相互に連携しあって協議を重ねてきた。
その結果、2つの分科会に共通する結論を対外報告として発表してきた。今回「健康・医療と心理学分科会」はその独自の報告として「医療領域に従事する『職能心理士(医療心理)』の国家資格法制の確立を」と題して、分科会の結論を以下の3項目に集約した。その実現を国並びに学協会などの関係機関に要望するものである。
(1
)職能心理士(医療心理)養成カリキュラムの学士課程設置
(2
)職能心理士(医療心理)の国家資格法制化
(3
)職能心理士(医療心理)の国家資格取得の仕組みの確立
これら3項目の実現は、わが国の医療における心理学的行為ないしは心理業務の確立と発展に寄与すると考えられる。また、この提言は、精神疾患のみならず、身体的疾患の治療に伴う心理的ケアへの対応が重要視されてきた今日にあって、広く国民の「心の健康」にも大きく貢献すると確信している。従って、本分科会は、これらの項目の早急な実現を国並びに学協会の関係機関に要望するものである。
ii

目 次
1 作成の背景·····················································1
2 職能心理士(医療心理)養成の基本理念···························4
3 職能心理士(医療心理)の養成カリキュラム案·····················5
4 医療現場での研修と資格取得の過程·······························6
5 職能心理士(医療心理)の業務と職域·····························7
6 国家資格への展望···············································8
7.職能心理士(医療心理)に期待される新たな臨床科学の創成·······10

<図表>
表1 職能心理士(医療心理)の養成教育カリキュラム案···········11
図1 職能心理士(医療心理)国家資格取得の過程·················12

1 作成の背景
精神医療の分野において、その対象となる精神疾患が重度のものだけではなく、軽症化した精神疾患へと広がり、それらの病態が生物学的要因や心理社会的要因が複雑に絡んでおり、一つの学問背景だけでは打開できないという現代医療の直面する現実が指摘されている。
そのため精神医療は開放的入院医療や外来通院医療の進展、デイ・ケアや作業所をはじめとした社会復帰の促進と地域精神保健の推進へと変化し、種々さまざまな活動が展開するようになった。それに伴ってその治療には医師や看護師だけではなく心理業務を含む、多様な職種が必要であり、現に活動が行われている。
また最近では精神疾患のなかでも神経症や心身症などが著しく増加し、さらにはポジティブメンタルヘルスとも言われる「心の健康」への対応も切実な課題とされている。こうした疾患に対する心理学的行為ないし心理業務の重要性は広く社会的にも認識され始めている。実際、心理学の発展は著しく、すでに心理学的行為や心理業務は欠かせないものになっている。それにもかかわらず、医療領域に従事する心理技術者の仕事は医療法制の枠内では表に出てこないのが実態である。
厚生労働省発表の直近調査である平成18年度「病院報告」の概況の職種別病院従事者数でも、医療や福祉関係の職種の従事者の数は示されているが、心理技術者については統計値としては出ていない。ただ、統計表に示されている職種のうち、その他の技術員、事務職員、その他の職員のなかに臨床心理技術者が相当数含まれている。厚生労働省精神・障害保健課が平成17年6月30日付けで調査した資料によると、精神科病院や精神科神経科診療所の臨床心理技術者数は病院では常勤1,698名、非常勤819名、診療所では常勤660名、非常勤1,586名であった。このように精神医療において臨床心理技術者に対するニーズが高いことは確かである。
また、医療機関に従事する臨床心理技術者の仕事内容に関する最近の調査によると、内科系、外科・リハビリテーション系、小児科等の診療科で働く臨床心理技術者の割合が、医療機関で働く臨床心理技術者総数の約1割を占めるようになっており、医療機関が種々の病気や症状に対する心理業務の必要性を認知するようになってきたことを示している。
この傾向は、小規模な診療科よりも病床数の大きい病院ほど高まっていることもその証左といえる。さらに、医療機関における臨床心理技術者の仕事内容は、客観的測定値を必要とする各種の心理検査を主体にして、メンタルヘルスや障害者の社会参加の環境整備を目的とした地域啓蒙活動において、家族面接や個別面接によるコンサルテーションや心理教育からグルーブセラピーやプレイセラピーなど患者本人に対するケアだけでなく家族への心理的支援にまで渡っている。
1
しかし、彼らの年収は、常勤であっても200万から400万円の間が7割を占めており、経済的には恵まれていないのが現状である。このことは、現在医療に従事する臨床心理技術者の立場は医療法制の上からすると不安定な職域であり、その職域における貢献度からしても、臨床心理技術者の地位を確としたものにする必要があることを示している。
このような状況を受けて医療法制の上の臨床心理技術者の国家資格が、本格的に論じられるようになったのは、平成に入ってからであり、平成2年当時の厚生省が心理技術者資格制度検討会を設けて以後、平成13年厚生科学研究事業「臨床心理技術者の資格のあり方に関する研究」に至るまで6つの厚生科学研究プロジェクトが組織され研究がされてきた。
平成14年に終了したこれら事業では心理技術者の国家資格は必要であるという結論を出した。そして、この結果を受ける形で国家資格に向けての動きが始まり、平成18(2006)年6月には国会議員による臨床心理士(註:日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理技術者の民間資格名称で、本名称は登録商標として特許庁登録されている)と医療心理師(註:医療領域に従事する臨床心理技術者の国家資格法制の推進団体「医療心理師の国家資格化推進協議会」が掲げた心理技術者の名称)という2つの臨床心理技術者を国家資格化する法案の骨子案が策定され、さらにこれら2つの資格を1つの国家資格化する「臨床心理士及び医療心理師法」が、それぞれ2つの国家資格法案を推進する議員連盟から提出される予定であった。
しかし、この法案は、関係者の調整が不十分で医療団体などからの反対により提出が見送られた。また、衆議院の解散後は、国会における議員連盟の明確な動きはなかったが、心理学関係者は、心理学関連学協会の任意連合団体である「日本心理学連合」において上記のいわゆる2資格1法案を実現する動きを推進しようとする動きを今日まで展開している。
また、平成18年12月5日に衆議院議員糸川正晃氏の「臨床心理士の国家資格化に関する質問」が、当時の安倍晋三内閣総理大臣になされた。この質問に対して安倍総理は、臨床心理技術者の役割の重要性を認めているものの、「臨床心理技術者の国家資格制度の創設については、その業務範囲等について関係者間の意見が一致しておらず、結論が出ていないところであるが、引き続き関係議員連盟等における国家資格制度の創設に関する検討状況を注視しつつ、関係各方面の意見を踏まえ、どのような対応が可能であるか検討してまいりたい」という答弁書を、平成18年12月15日に河野洋平衆議院議長宛てに提出し、糸川衆議院議員の質問に答えている。
臨床心理技術者の国家資格については、過去平成5年第126回国会で「精神保健法の一部改正」が可決された折り、「精神保健におけるチーム医療を確立するため、精神科ソーシャルワーカー及び臨床心理技術者の国家資格制度の創設について検討するとともに、精神保健を担う職員の確保に勤めること」
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という参議院の附帯決議が、さらに、平成7年第132回国会の「精神保健法の一部改正」が可決した時も,衆議院において「精神保健におけるチーム医療を確立するため、精神科ソーシャルワーカー及び臨床心理技術者の国家資格制度の創設について検討を進め速やかに結論を得ること」という附帯決議がなされた。それ以来約10年を経過して、行政の長である内閣総理大臣が臨床心理技術者の業務範囲等について言及したこの公式発言は、医療領域に従事する心理技術者並びに臨床心理技術者養成の側にも、その職能を確立する上で重く受け止める必要がある。この認識の下での医療における臨床心理技術者の養成教育では、その業務範囲を明確にした教育課程の編成や資格取得の過程をこれから十分検討をする必要性が生じてきた。
一方、医療における心理業務は、精神科領域だけでなく、小児科領域における発達障害や虐待あるいは不登校や非行などのいわゆる「子どもの問題」や一般の身体的疾患の終末期医療や神経疾患の急性期の医療、さらに、高齢社会に伴い増加すると予想される「高齢者」が入院時に示す精神的混乱などによる不適応行動や社会的孤立・孤独などの問題、エイズなどの感染症、代替医療のインフォームドコンセント、歯科治療の疼痛コントロール、遺伝相談などへの対応と増す一方であり、現実にこうした領域でも心理業務を行う心理技術者への要望は益々強くなっている。従って、このような医療現場のニーズに応えるためには、医療心理学に関わる専門基礎教育に裏付けられた専門技術を高める専門職大学院の教育が、現代高等教育においてなされるべきである。
平成19年9月、中央教育審議会大学分科会は「学士課程教育の再構築に向けて」という答申を公表し、学士教育で身に付けるべき教育成果について、各専門領域に関して明確な基準を設けるべきであると提言した。この提言に沿えば、心理学でも学部段階で心理学の専門性を生かした心理学職能資格の総称である「職能心理士」を各専門領域について養成する上で、基本的に身に付けるべきものが何であるかを明示しなければならなくなった。
そのため、第20期日本学術会議ではこれを受けて、学士教育のあり方についての具体的検討に入っている。心理学教育や職能心理士の養成教育においては、平成18年から日本学術会議の心理学・教育学委員会の下に置かれた「心理学教育プログラム検討分科会」において、心理学教育の基準カリキュラムと、学部専攻生のキャリア・パスをいかに保障するかについて、心理学の種々の業務領域を総称する「職能心理士」養成の観点から検討し、平成20年4月7日には「健康・医療と心理学分科会」(以下本「分科会」と略す)との共同で対外報告「学士課程における心理学教育の質的向上とキャリアパス確立に向けて」を公表した(註:「職能心理士」の詳細については、日本学術会議のホームページ掲載の対外報告(平成20年4月7日公表)を参照)。
先に述べたように医療領域では現在、相当数の心理技術者がチーム医療に
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関わってすでに活動しており、今後の医療の高度化・多様化を展望すると、その必要性が一層増すことが予想される。そうした意味において、医療における職能心理士養成は心理学専攻生のキャリア・パスを考える上で最も重要でかつ現実的な課題であるといえる。
本「分科会」では平成19年から心理学専攻生のキャリア・パスの観点と職能心理士(医療心理)養成といった双方の面から「心理学教育プログラム検討分科会」と歩調を合せつつ検討を重ね、職能心理士(医療心理)基準カリキュラム案、資格取得のプロセス案を作成した。ただし、この提言では、職能心理士(医療心理)に関わる学士課程での養成教育課程を中心に、医療心理における専門基礎教育の在り方を提案し、専門職大学院については、専門基礎教育に基づいた専門技術の習得を実習という側面から向上させる高度専門職業人養成について述べた。

***********その2へ続く。

50年余続いた医事法制が動き出す・・・予感?

2007-12-14 00:13:03 | 心理国家資格
医療従事者への「医師の指示下での業務」という縛りが、日本の医事法制の特徴です。

政府の規制改革会議が「多忙な医師の業務軽減」という名目から、看護師と助産師に、
往診、薬剤の処方、会陰切開という手術(ということは麻酔も?)などを解禁するという内容を含んでいる答申をするという報道があります。

医師会は黙っているのだろうか・・・

心理職の国家資格化準備の局面で、あれだけ心理の開業に反対していたのに・・・
精神保健分野では、
心理社会リハビリテーションを医師が後追い的に形式的に指示出ししていること、
心理療法や心理テストを心理職が行っているのに医師が行っていることにすること、
精神科デイケアに医師がいることにすること、
などなどは、現実離れした無理な医事法制下で起こってきた矛盾です。

時代は、昭和23年制定の医事法制の先を行っているのは自明です。
経験あるスタッフに医師が処方を聞いたり、
医師に従事者が患者処遇などについて助言する、
病棟運営の形式上の責任者である医師が病棟にはちょっと顔を出すだけ、
などというのは、医療機関で日常的に起こっている現実なんですから。

ぼくは、それぞれの職種に専門性を認め、それぞれが業務に責任を持つのが合理的な医事法制だと考えます。
また国際的に見ても、あまりに特異な制度を持つ日本であってはいけない!
国際舞台に出たときに戸惑う関係者は、たとえば医師の指示を求めてしまったり、マイナーな縫合さえできない看護職など、多いのです。
医師は狭義の医学の専門家であればいいのであって、既に多様に分化した保健医療ケア全体に指示を出す役割を取り続けることには、「忙しい」などという理由以上に、現場的に無理があります。

とにかく医師団体の反応が楽しみです。
独占してきた業務を譲るということは、当然、経済的に突出した既得権も、譲ることになるはずですよね・・・

この時代を切り拓く(かもしれない)、優れた答申を推進した委員は誰なんだろう???

戦後日本の医事法制という現実

2006-11-24 21:32:48 | 心理国家資格
今国会における議員立法による心理職の国家資格化についての経過情報が少ないです・・・
精神科7者懇の反対声明以降、11月中旬段階では、諸議員の動きが止まっているようです。

対決法案については名目的な調整がついたようですから、
中心的に動いている方々の医師団体との調整に期待しています!
この国会終了まで、あと3週です・・・

そして、心理側からは、医事法制や先行する資格などについての現実検討のない意見や態度表明で、事態を混乱させないようお願いしたいです・・・
昨年7月には医師団体側の反対を生んだことで、2資格法案が国会上程されなかったのですから・・・

現実の社会を生き抜くには、原則だけではなく、negotiationと妥協も必要ですネ・・・!
さもないと、若いねーと言われておしまいです・・・

「医行為の範囲」や「医師の指示」、「大学院養成」などの課題は、10年?後に対応すべき、長期的な課題と考えます・・・

ひとつの資格

2006-11-19 19:00:28 | 心理国家資格
日本での心理の国家資格は、議員立法という形で、今開かれている国会でも準備されていることは、先にも触れたとおりです。

現在、「ひとつの資格」という論議があります。
準備されている法案が、「臨床心理士、および医療心理師法」という2資格法案だからです。
たしかに、2資格は活動分野をはっきり分けない限り、わかりにくい部分があると同感するところもあります・・・
ただ、分野別資格という国も、アメリカの各州を始めとして、在るのも事実だし、将来的な分野別に時間をかけた専門養成の道も開くことにつながります。

今頃になって、再び、日本の医事法制を踏まえない、数10年早すぎる論議
ー大学院卒業を受験資格にして、全分野にーがありますが、
これは、日本社会の制度について現実検討のない、国家資格化を先延ばしにするだけの論議だということを、力説しておきたいと思います。
医療系団体の中には、診療補助職という主張も、依然として在ることに留意してほしいのです。
また、心理学教育の基盤である、基礎系の心理学教育研究を軽視しているという、諸心理学会からの批判にもまったく無責任と言うしかありません。

昨年7月に上程されなかった理由を熟慮してほしいと思っています。
付け焼刃で準備された資格法(臨床心理士部分)案に、医療系団体が、反対声明を出したことが大きいわけです。

ぼくは、もし、ひとつの資格で行くなら、
・名称を、心理師とし、
・大学卒業を受験資格とし、
・業務分野はすべてとするが、医療分野では、医師の指示をつけ、
・取得後2年間の研修を義務付ける、
のが現実的だと考えます。

就職先もないのに、資格幻想を振りまいて、130余もの臨床系指定大学院を作ってしまったことは、臨床心理士資格認定協会の、社会的責任の自覚がない、大きな誤りであり、
その失敗の責めは、しかるべき人と団体がしっかりと負うべきです・・・

国家資格は、
一部の受益者かもしれない大学の延命策とは関係なく、またその有資格者の待遇などでもなく、
先行する日本の諸制度との磨り合わせや、国民に利用しやすいという利益があるかどうかで
準備されるべきです。

延長がない限り、後25日間しか、この国会は開かれていません・・・
(与野党の対決法案がある限りはムリ!という話はありますが)
先延ばし策動はゴメンです・・・!

心理の国家資格、今国会で・・・!?

2006-10-29 15:48:57 | 心理国家資格
日本から、10月26日(木)に起こった、心理の国家資格についての、2つの情報が入りました。

A. 自民党の鴨下一郎政調副会長ら、臨床心理士と医療心理師の国家資格化を目指す国会議員が26日会合、今臨時国会での法案成立を目指すと確認。

B. 精神科七者懇ー日本精神科病院協会、日本精神神経学会、精神医学講座担当者会議、国立精神医療施設長協議会、日本精神神経科診療所協会、日本総合病院精神医学会、全国自治体病院協議会精神科特別部会ーは、26日総会で、臨床心理士、医療心理師の国家資格法制化について、「法案要綱骨子について現時点でも重大な疑義があり、法案が昨年同様の内容であれば、反対」との緊急声明。

鴨下氏らは、昨年は不可としていた法案の手直しを、今回は匂わせているようです・・・
他にも論点はありますが、2資格が重なる医療分野の扱いが、焦点と思います・・・

国外にいて、このプロセスに直接にお役に立てないのは心苦しいですが、
M氏ら関係者の調整努力の実が稔るよう、
祈っています・・・

郵政解散がらみと医師団体の反対から流れてしまった、昨年の轍を踏まないような今年の展開を、切に、期待しています・・・

心理の国家資格についての、昨年の日精協の主張を点検しておく

2006-01-09 10:42:52 | 心理国家資格
通常国会の開催を控えているのに、心理の国家資格については、日本精神病院協会の動きしか、聞こえてきません。
そして、当事者の手の届かないところで、政治という枠との絡みで、かろうじて動いているようです。
いろいろ動いてきたけれど、心理職って、政治の舞台に主体的に登場する人として、未だに見なされていない・・・という残念な感じもあります。

昨年の反対声明と修正要求との2つの資料から、日精協の主張を再点検しておきたいと思います。
なお、日精協は、精神科病院経営者の組織です。
1991年から始まった旧厚生省による心理の国家資格準備では、中心的な役割を果たしてきた団体で、今回の議員立法による法案上程では、反対の先陣を切った団体でもあった、と言えます。

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2005年7月22日 臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)に対する反対声明

社団法人 日本精神科病院協会
会 長  鮫 島  健

 日本精神科病院協会としては、以前より医療現場における心理職の必要性をチーム医療の観点から強く訴えてきたところである。その上で、過去厚生科学研究班においても当協会より参加し、その国家資格化について十分議論を積み重ねてきた。
 このような努力にもかかわらず、心理職の国家資格化は進展しなかった。その後、全国保健・医療・福祉心理職能協会の強い要請もあり、また心理行為における認識が一致し、医師の指示の下に業務を行うことを前提に、その国家資格化については、当協会として協力することを機関決定した経緯がある。
 しかし、今般議員立法として提案されようとしている「臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)」は、「臨床心理士」及び「医療心理師」を一つの法律に規定しようとするものであり、「医療心理師」の国家資格化を推進してきた当協会としては、容認しがたい点がある。国家資格化のために尽力していただいた議員連盟の先生方には心から敬意を表すものであるが、当協会としては修正を要望している通り、現状の「臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)」については、反対せざるを得ないと判断したものである。
 以上、心理職の国家資格化については、原点に返り、法的にも医師法、保助看法との関係も明確なものとして、再考されるべきものと勘案する。先にも述べたように、当協会としては、医療現場における心理職の国家資格化については、十分その必要性を感じており、今後とも十分議論を重ね、各種関係団体が合意出来る国家資格化を実現することを切に願うものである。

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臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)に対する
日精協 医療従事者問題検討部会の見解

 日精協は、医療心理師国家資格制度推進協議会に参加し医療心理師国家資格化に賛同してきたところであるが、今回の臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子案については容認できない部分がある。仮に骨子案の通り臨床心理士、医療心理師の二つの資格化を一つの法案で行うこととするなら、下記の項目について反対意見を表明し法案の修正を要求する。
 1.「臨床」という名称は一般的には医療を表す名称と受け止められている。臨床心理士という名称は「社会心理士」等の名称にするべきである。
2.骨子案では医療心理師が臨床心理士に包含された形になっていて、二つの資格に権限の差が歴然としている。また、医療の分野においては臨床心理士と医療心理師の両方の資格が認められることとなり、精神医療の現場を混乱させる可能性がある。二つの資格の職域を明確にするため以下のように骨子案の訂正を求める。
① 第一 二 定義 1 「教育、保健医療、福祉」を削除し「医療、福祉を除く」を挿入する。また「高度の」を削除する。
② 第一 二 定義 2 「当該障害者の精神の状態の維持又は改善に資するため、」の後に「保健、医療、福祉等の分野において」を挿入する。
③ 第四 一 臨床心理士及び医療心理師の義務 3 関係者との連携等 ② 全文を削除する。
 3.対象の違いが不鮮明である。一方は「心理的問題を有する者」とあり、一方は「傷病者」となっているが、両者の本質的な差があるとは思えない。したがって上記2の職域を明確にすることをもって二つの資格の並存を認めざるを得ない。
4.臨床心理士の受験資格の認定には、主務大臣が①に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者となっているが、経過措置としては認められても通常の試験資格としては極めてあいまいな基準となっている。削除すべきである。
 5.現在の臨床心理士の臨床実習ははなはだ貧困である。医療心理師の受験資格に医療現場での2年間の臨床実習を義務付ける。
 6.国家資格となる場合、試験、登録、更新などの委託業者については現在の「臨床心理士認定協会」をそのまま指定することには問題がある。もっと公正中立な新たな組織、機関を考えるべきである。

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反対声明の論点は以下;
1.医療現場における心理職の必要性をチーム医療の観点から強く訴えてきた
2.医師の指示の下に業務を行うことを前提に、その国家資格化については、当協会として協力することを機関決定した
3.「臨床心理士及び医療心理師法案要綱骨子(案)」は、「臨床心理士」及び「医療心理師」を一つの法律に規定しようとするものであり、「医療心理師」の国家資格化を推進してきた当協会としては、容認しがたい点がある
4.法的にも医師法、保助看法との関係も明確なものとして、再考されるべき

修正要求は、すでに項目化されているので、趣旨をまとめたい;
1.名称
2.2つの資格の職域の明確化
3.受験資格のあいまいさ
4.医療現場での2年間の臨床実習の義務化
5.資格認定機関

これらの日精協の主張は、かねてからのものから、保助看法解除を降ろし、修士の資格を認め、いわば大胆な譲歩の上で、立法のために条件を示したものと、ぼくには読み取れます。昨年の議員立法時に、調整が必要だったことは、自明とも思われ、悔やまれます。
しかし河合隼雄文化庁長官らの、いわゆる横断的資格や、医師との連携or指示という関係などの論旨とは、まだ距離のあるものです。

今後、立法の主体としてはどこが動くのか、
各論点は、法の中ではどう具体化されるのか、
それらに当事者はどう関わればいいのか、
今後も注目していく必要があります・・・

ぼくは、多くの国々でそうであるように、既存の社会制度との整合性が取りやすいし、養成も円滑に進むという理由で、心理の資格は分野別であるほうが現実的だと考えています。

とりわけ、経営でも、運営でも、他の保健医療職種との関係でも、医師を頂点とする日本の医事法制は、世界でも大変特殊なものという理由もあります。
この部分との戦いは、利害や既得権などは巨大なので、拙速に進めたら、負けるだけと思います。
横断的という主張の法案が上程されなかったのは、言い換えると、この部分との戦いに敗れたんだと、認識したほうがよいと、ぼくは考えています。