心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

ブータンで一人目の精神科医師

2012-11-30 09:27:39 | 地域精神保健
近代医療と伝統医療の役割について考えさせられる。
それなりに長くかかわってきたカンボジアでもネパールでも、現地の精神科医師は薬を言うばかりで、伝統医療との統合を言う人とは出会ったことがない;

++++++++++++引用 2012/11/29付 西日本新聞朝刊
http://nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/topics/20121129/20121129_0001.shtml

「感謝すれば人は幸せ」 ブータンで初の精神科医 鹿児島で患者と交流

 国民の97%が幸福と感じ、「幸せの国」と呼ばれるブータン。国民総生産(GNP)ではなく、心の豊かさを示す国民総幸福量(GNH=グロス・ナショナル・ハピネス)を国の指針としている。そんなブータンで最初の精神科医となったチェンチョウ・ドルジ医師(53)が14、15日に鹿児島市を訪問。精神障害者の就労支援と自立訓練事業を展開する「ラグーナ出版」で、心の病を抱えた人たちと交流した。人間にとって真の幸せとは何なのか‐。ブータンの孤高の医師と、精神の自立を目指す人たちの対面に立ち会った。

 「ブータンで1999年から、たった1人で国中の精神障害の治療に当たってきたチェンチョウ医師を、ぜひラグーナのみんなに会わせ、いろんな話を聞かせたかった」。ラグーナ出版会長で精神科医の森越まやさん(52)はこう語る。ラグーナでは、統合失調症や不安障害、うつ病などの53人が、治療を受けながら製本や編集などの作業や自立訓練に取り組んでいる。

 チェンチョウ医師はスリランカやインドの大学で西欧の精神医学を学び、ブータンに西洋式の薬物療法などを導入した。一方で、仏教に根差した祈祷(きとう)や薬草など、伝統の治療法も併用し、独自の治療システムを構築している。森越さんは2年前、チェンチョウ医師が勤務する国立病院を視察し、来日を働き掛けていた。

 チェンチョウ医師は14日夜に鹿児島国際大学で講演した後、15日に丸1日、ラグーナに滞在。自立訓練中の8人、利用者13人と約2時間ずつ意見交換した。

 チェンチョウ医師と森越さんによると、ブータンに西洋医学が入ったのは1960年代。今も祈祷や薬草による伝統療法が一般的という。精神医療が世界保健機関(WHO)の支援で導入されたのは97年のことで、まだ歴史が浅い。

 精神障害の人はシャーマン(みこ)に相談に行き、どうしても治癒しない人だけがチェンチョウ医師の病院を訪れる。「西洋の薬は統合失調症などによく効く。一方で、薬草などの自然成分は長く摂取しても副作用がない利点がある。西洋医学と伝統医学とのバランスをうまく取ることが大切」と説く。「今年ようやくわが国2人目の精神科医が誕生した」と喜んだ。

 「なぜブータンで精神科医になったのですか」‐。その問いにチェンチョウ医師はこう答えた。

 「私には4歳上の兄がいる。賢い僧侶だったが、19歳で精神障害に陥った。伝統療法では治らず、10年も部屋に閉じこもった。私は本当は外科医になりたかったのだが、兄を治すために精神科医を志した」

 兄は回復し、今はチェンチョウ医師の家で一緒に暮らしている。弟も統合失調症にかかったが、治療で全快し「今は立派な2児の父親だ」と笑顔を見せた。

 自殺についての質問も出た。チェンチョウ医師は「ブータンでも2010年、10~15人の若者が自殺したとの報告があった。ただ、仏教徒が多いブータン人は輪廻(りんね)を信じているので、基本的に自殺はしない。自殺は過ちだ」と強調した。

 やりとりは日本人論にも及んだ。「100年前の日本はブータンと似ていたが、古い文化を見失ってしまった。今は経済力で世界のトップにあるが、何でもコントロールできると、人は横柄になる。長く深呼吸して、自分たちが何をしているか考えるべきだ」。日本人が心豊かに暮らすには「みんながつながり合い、頼り合うことで宇宙ができていると自覚することが大切」と語った。

 「長年、心にもんもんとした問題を抱えていたけれど、少しヒントが見えた」「新鮮な気持ちになれた」‐。意見交換を終えたラグーナの利用者は、それぞれ心の中に何かを得た様子。チェンチョウ医師は「全てのことに感謝すれば、人は幸せになれる。いろんな心の問題を抱えつつも、ラグーナのような場所で人と関わっていくことが大切。あなたは独りではない」とメッセージを送った。
   
 ブータンは中国とインドに挟まれたヒマラヤ山脈南麓の国。人口約70万人で、面積は九州とほぼ同じ。立憲君主制で仏教を国教とする。GNHは1970年代、前国王が提唱した国の指針で、経済成長よりも伝統文化や環境に配慮して国民の幸福実現を目指す。2005年の国勢調査で国民の97%が「幸福」と回答し、08年に施行された憲法にも盛り込まれた。心理的な幸福、国民の健康、教育‐など九つの指標がある。このため、ブータンでは医療費と教育費は無料。国土の森林面積を60%以上に維持することも定められている。

+++++++++++++引用終了

初物さんまの刺身、脂がのっていて、うまい!

2012-08-27 09:59:17 | 地域精神保健
25日、日臨心大会参加。
他に人がいないという理由で、総会議長を引き受けることになる。
しかも40分も延長するしかない、またまた議論沸騰状況に驚く。

その後のシンポ「震災とこころのケア」で、「津波で壊滅した街で創った避難所と仮設住宅での心理社会ケアの1年-プロジェクトの形成に焦点を当ててー」を報告。

クルマを7時間飛ばしてー途中で4時間の仮眠-、一ノ関で高速を降り、走り慣れた道路を通って陸前高田着。
数か月暮らしたNGO事務所でシャワーを使わせていただく。

この仮設の自治会長にも挨拶。
さっそくヒラメ釣りの仕掛けについての講義を頂く。

26日、大船渡での「東日本大震災における心理支援者のための合同勉強会」参加。
兵庫臨床心理士会、羽下大信さんや高橋哲さんたちが呼びかけた。
事例3つ。
昼食後には1時間の昼寝をしてしまったけど、若き同業者たちの真剣な支援的なかかわりに気合が入る。

遅くまで復興屋台村で一杯。
昨日挙がったというさんまの刺身、脂がのっていて、うまかった!
朝晩は東京よりも過ごしやすいナ・・・

国際シンポジウム「放射能汚染とメンタルヘルス」

2012-08-10 14:33:07 | 地域精神保健
ちょっとのご無沙汰、ネット環境にいませんでした。 

4日(土)、福島県相馬市大野台応急仮設住宅団地第一、集会室着、泊。3月以来ひさびさの仮設住宅宿泊。
5日(日)、こころの健康づくり(健康講座と盆踊りなど)、主催・多文化間精神医学会ほか。酷暑のなかなのに、地元自治会の全面バックアップがうれしかった。
6日(月)、相馬広域こころのケアセンターなごみ、見学。10Km検問まで肉薄。真摯な実践に感服。できることがあったら、ぼくも支えたいけど・・・
7~9日、あだたら・くろがね小屋泊、乳首登頂。懐かしい小屋番と一杯やりながら朝から晩まで温泉三昧。

11日と12日は、
国際シンポジウム「放射能汚染とメンタルヘルス」、
主催;NPO法人「相双の新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会」、
所;福島県立医科大学看護学部棟、
に参加予定で、福島前泊中。

初めての原発被災地訪問。
被災、そして避難がもたらす2次的3次的な人間関係や個人への影響が心痛いくらいに印象的!
津波だけの被災とはまた異なる、制限区域による差別などを知る。

東電と政府、しっかり責任を果たせ!
こころのケアはそれがあってからの課題。

作業所の市民向け勉強会

2012-07-27 09:30:30 | 地域精神保健
近所にあるユニークな作業所の市民向け勉強会に行ってきた。

岡田靖雄「精神科病院の歴史と精神病者をめぐる法律と制度」

ぼくたちの世代には懐かしい講師の名前。
長く松沢病院に勤務し、病院改革や精神医療史研究で名高い超ベテラン精神科医師。

精神障がい者への差別意識や社会的な差別に関して、市民への働きかけを意図しているらしい。
20人ほどは集まっていただろうか。
ただ、いわゆる当事者以外は数人いるかどうか・・・
でも、当事者からの質問には真剣さがあった。
措置入院されたことがあるが、その入院期間はだれが決めるのか?
(自分の思う)事実と違うことが書いてあった、医師の紹介状や診療録の開示は?など。

日本の万対精神病床数は2009年で、27.2床。
第2位のほぼ倍の、ダントツの世界1!

講師は、「単科精神病院の廃止、総合病院で」とはっきり言い、
今年6月、厚生労働省委員会が答申した「入院は原則1年以内、医療法特例の廃止」に注目したいと言った。
そして、「診療録や紹介状の開示は、これまでやってこなかったけど、今の話を聞いて、やらなければと思った」との決意を語っていた。
80歳を超えていらっしゃると思うが、会話は若い!

もう何とかしろよ、保健官僚や政治家諸君!
私立精神科病院経営者団体の日精協も、悪あがきは終わりにしてほしい・

日本では、病院精神医療ではなく、地域精神医療の展開が待たれる!

ぼくは、精神保健ケアが優先されない開発途上国や医療過疎である東北太平洋沿岸の被災地での経験をもとに、精神科病床は本来どの程度必要なのか、と精神医療改革の大先輩に質問してみた。
「いくらかは必要かと思う、ただし総合病院で。」という答えだった。

そういう地域精神保健ケアの実践モデルとその理論が必要だと思う。

ACTは都市型の、その一つだろう。
被災地の精神保健ケアの新しいものとしては、相馬での実践に注目している。
1週後には現地で活動の実際を見れるように、現在調整中。

開発途上国については、先進国型のイメージから離れられない地元の専門家の意識変革がまず、重要と思っている。

岡崎祐士・笠井清登 監修、2011、精神病早期介入ー回復のための実践マニュアル、日本評論社

2012-03-07 08:47:46 | 地域精神保健
Paul French, Jo Smith, David Shiers, Mandy Reed, Mark Rayne, ed, 2010, "Promoting Recovery in Early Psychosis: A Practice Manual", Wiley - Blackwell が原著。

訳書は昨年12月10日の発行で、つい3か月前だ。
そして監修者の名前から分かるように、東京大学精神科・松沢病院グループの翻訳。

こうした権威?のある部分の人たちと在野のぼくが視点を共有できるのは不思議な気持ちだ・・・

三陸沿岸部における被災者のこころのケアを長い展望で行おうとする時、専門施設や専門家に依拠する病院医療モデルではないアプローチが不可避とぼくは考えている。
そのシステムに近づけるかどうかが、復興の中身だと。
そのヒントがほしくて手にした本。

英国では既に20年余、看護師・心理士・精神科医師・ケースマネージャー・作業療法士などの専門家と、ユーザー・介護者(家族)らによって継続された精神病早期介入戦略の実践本だ。

章立ては以下;
テーマ1.アクセスと関係作りの改善
テーマ2.啓発活動
テーマ3.回復と普通の生活を促す
テーマ4.家族に対するかかわりと支援
テーマ5.実践家の研修

わかる、わかる・・・
こう整理できるか・・・

納得の本だ。
訳語が少し硬いかな?

こういう時代を日本はいつ迎えることができるのだろうか?
各職種が臨床的な力を高めること、
地域ケアのネットを充実させること、
そして収容型単科精神科病院の廃止につながること、などが条件だよね。

3月11日が1週後に近づいている

2012-03-04 10:26:32 | 地域精神保健
3月11日が1週後に近づいている。

記念日だ。
年が明けてから、その日のことを話す人が増えている印象がある。
感情を抑えきれない様子で話す人もいる。
幸い、受診に至る人はそういない様子だ。

岩手県の合同慰霊祭がここ陸前高田市で行われると聞いたので、参列できるか聞いてもらった。
遺族のみ、という返事で、参列はかなわないらしい。
献花の時間はとってあると。

今回のぼくの滞在の任務である、記念日反応への対処はこうして過ぎている。

4月以降の、このNGO=NICCOの活動プランはようやく固まってきたようだ。
その担当者によると、40点くらいかな、と控えめな評価。

ぼくは、被益者へ有効に提供できるNGO活動を考えると、引いてもいい時期だと思ってるんだけど。
長くここで生きる地元の人々や地元機関が復興を中心的に担う時期に入っていると思うから。

高気圧に包まれた、快晴の日曜日。
温泉でも行ってこようかなあ・・・
ただ、まだ風は冷たいね・・・

H先生お別れの会

2012-01-29 13:35:36 | 地域精神保健
若いころに「勉強しろ」「患者さんの(病棟のものではなく家での)生活を知れ」「原著を読め」などと叱責され、目前でそのモデルとなり、同じ病棟勤務でお世話になった医師が昨年9月に亡くなって、昨日「お別れの会」が神田神保町の学士会館であった。

30年ほど前からの精神医療改革系の人々のほとんどが、それなりに年を重ねてそこにはいた。

10数年ぶりになる在職した元病院長81才は、閉鎖病棟が作られた無念を漏らし、そしてぼくが丸くなったと言っていた。
そんなにトンガッテタかなあ・・・

東北支援ではM県で新たな役割を引き受けた医師は重圧に?元気なかったなあ。
そしてがんばるOT、また支援している被災地に同輩を持つ岩手医大系の精神科医師とも出会った。

立ち話を重ね、原則を忘れずに生きていきたいものだとぼくは思い直した。

そして今の状況に即して言えば、向かうべき被災地復興の中でのこころのケア支援とは、都市型と同じではなくて、
精神医療資源過疎地における、専門家と専門施設に多くを依拠しない、地域精神保健医療福祉ケアモデルを創出することに他ならない
と確信した。

アレッ?
開発途上国の精神保健ケア支援と同じじゃない!!!

2月開始予定の岩手県こころのケアセンターが11日から職員募集開始

2012-01-14 14:59:56 | 地域精神保健
岩手県被災地支援のための常勤職員が公募されました。
県から岩手医大に委託された長期こころのケアプロジェクトです。

盛岡の岩手医大勤務が約10名、沿岸被災地勤務が約40名の約50名。
大学正職員待遇、とか。

1年契約・延長してもH30年までの期限付き、というあたりがネックかな・・・

++++++++++++++++以下、募集案内

岩手県こころのケアセンター職員募集案内

岩手県では、この度の東日本大震災津波により被災された方々に、様々なこころの問題が生ずることが予想されていることから、学校法人岩手医科大学に事業を委託し、被災者に寄り添った「こころのケア」対策を推進することといたしました。
事業内容は、「岩手県こころのケアセンター」を内陸部に、「地域こころのケアセンター」を沿岸の4保健医療圏域に設置し、仮設住宅等への訪問による相談活動、市町村保健師への専門的助言、人材の育成、調査・研究など、「こころのケア」対策を総合的に推進することとしています。
これらの「こころのケアセンター」における業務に従事する職員を募集します。

1. 職種・採用予定人員・職務内容等
(1)岩手県こころのケアセンター
  ア 職種
    保健師、臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、事務員等
  イ 採用予定人員
    専門職8名程度及び事務職1名程度
  ウ 職務内容
    岩手県こころのケアの総合的なコーディネート、人材育成・研修、普及啓発、支援者支援、県内被災者への支援、災害時こころのケアに関する調査・分析・研究等
  エ 勤務場所
    盛岡市
(2)地域こころのケアセンター
  ア 職種
    保健師、臨床心理士、精神保健福祉士、看護師、事務員等
  イ 採用予定人員
    各地域で専門職11名程度、事務職1名程度
  ウ 職務内容
    被災者に対する相談・支援活動、支援者支援、地域内連携促進のコーディネート、住民への普及啓発、人材育成・研修(こころのケアセンターと協働)、地域支援
  エ 勤務場所
    大船渡市、釜石市、宮古市、久慈市

2. 応募資格・経験等
ア保健師、臨床心理士、精神保健福祉士、社会福祉士、看護師のいずれかの資格を有し、実務経験のある方。自動車免許があれば、なお良い。
  イ事務員は自動車免許必須、PCスキルがあれば、なお良い。

3.申込方法等
(1)申込先・問合せ先
  岩手医科大学 総務部人事職員課 人事係 〒020-8505 盛岡市内丸19-1
  電話番号 019-651-5110(ダイヤルイン) 内線3233~3235
e-mail : jinshoku@j.iwate-med.ac.jp
(2)申込方法
  自筆の履歴書(市販のものに写真貼付)1通及び資格・免許証の写しを上記申込先まで持参又は郵送してください。
(3)受付期間
  岩手県こころのケアセンター勤務:平成24年1月27日(金)までに必着のこと。
  地域こころのケアセンター勤務:平成24年2月10日(金)までに必着のこと。
  受付時間は、平日9時~17時までです。(土曜、日曜、祝日は受付不可)

4.選考・内定
(1)書類選考
  応募資格の有無等について行います。
(2)面接
  書類選考後、面接を行います。面接日及び面接会場はおって連絡します。
  面接会場までの交通費は岩手医科大学旅費規程に準じてお支払します。
(3)内定
  内定者には後日連絡し、健康診断書等の必要書類を提出していただきます。

5.雇用期間等
(1)採用予定日(面接時に具体的な勤務開始日を相談させていただきます。)
   岩手県こころのケアセンター:2月中旬
   地域こころのケアセンター:2月下旬~3月上旬
   
(2)雇用期間
  ア 採用日より平成24年3月31日(土)まで
  イ 以降、「こころのケア」事業委託契約終了(予定:平成30年度末)までの間、1年毎に更新されることがあります。

6.勤務形態・給与
(1)勤務形態
  ア 勤務時間 午前8時30分から午後5時15分まで(実働1日8時間)
  イ 休日   土・日・祝祭日・年末年始・その他
(2)給与等
  ア 年収約600万円(経験約20年の場合)、詳細は岩手医科大学給与規程による。
  イ 通勤手当、住居手当は対象者に支給。賞与あり。退職金はなし。
  ウ 雇用側で住居を準備(近隣市町村の賃貸住宅又は仮設住宅。この場合、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、衣類乾燥機、電子レンジ、ガスレンジ、炊飯器、電気ポット、座卓、ベッド、寝具一式を準備します)。
  エ 社会保険等
    健康保険・年金(私立学校教職員共済)、雇用保険、労災保険完備

7.その他
(1)特定の勤務地を希望される場合は、履歴書「本人希望記入欄」に希望する勤務地を記載ください。
+++++++++++++以上

仮設住宅でリスキーな集団を支える活動の工夫

2011-09-08 07:58:03 | 地域精神保健

陸前高田では仮設住宅団地で30余の「サロン」「お茶っこ」などと呼ばれる活動が、市社協や県生協などの手で行われている。
ぼくたちのNGOでは5月の避難所から「こころとカラダの健康の集い」を開始し、今は8カ所の仮設住居で原則隔週1時間半、継続中。

これは阪神淡路のときに仮設住居において増えた孤独死などの経験が生かされていると言える。
しかし問題がある・・・
女性しか参加していないのだ。

リスキーと指摘されている成人男性が活動の輪に入っていない・・・
・仕事の道具を失って絶望
・住宅再建のメドが立たない現実不安
・家族を支えられない無力感
などなどのなかに成人男性はいる。

そこでぼくたちのNGOでは成人男性を的にした活動を模索中。

一昨日、A仮設での上記の「集い」の際、そこの自治会長宅をスタッフが訪れて「男だけの温泉旅行」を企画しているが仮設の皆様に呼びかけてもらえないかと話した。
しかし、答えは「いまは男は忙しいからね・・・」で、断られてしまった。

思い当たることがある;
・港に陸揚げされた海のガレキ撤去が漁民たちのアルバイトとなっていること。
・震災後に受給開始した失業保険が6か月目の今は続いていること。

昨夕は、夕方の男たちの帰宅時間を狙ってB仮設住宅団地を訪ねた。
震災直後から、物品の提供や、医療チームの訪問から始まり、5月以降は「集い」で隔週には会ってきている人たちがいるところだ。

話が弾んだ・・・
家が流されて、いったんは、もうホタテ筏や船の借金はできないし、どうしようもできないと途方に暮れた。でも今は一人だけじゃないと思うようになった。
「あんたは4月から来てるね」と笑顔になってくれるのもうれしかった。

同じ仮設に単身で住む高齢の女性で、「一つ一つやっていこうと思うけど、説明会は(隣り町の)大船渡でやってる。私は行けない。バスもわからない」」と絶望と無力感を「集い」の時に語っていた人がやってきて、「陸前高田の市役所でもやっていると聞いた」と近づいてきた。
力になりたいと思って、問いたい内容を聞く。
「家が全部流されて、畑が水が来た上にあるから、そこに建てられるか、土地を平らにしてくれるのか、お金はいくらくれるのか・・・」と語り出す。
よく耳にする被災者の今の現実不安だ・・・
次の活動日に、スタッフが市役所の中のどこが答えてくれるか、調べて伝えることを約束する。

今はこの仮設の代表になったCさんに「男だけで焼き肉会をしましょうよ、ガレキが終わる10月に」とぼくは意を決して誘った。
「あまりそういう気にはならないんだよね」との答え。
隣りにいる住人から「やってたじゃない」と横やりが入る。
「じゃあ、やるか」
ということになった。

日没も早くなって7時になって、もう暗くなり始めたので帰途に就くことにした。
話していた人たちが「また来てね、ゆっくり話せた」などと言いながら見送ってくれる。
昼間に活動で訪れた時とは違って、腹を割った話ができたなと充実感が心に広がっているのを感じた。

ぼくは10月の男の焼き肉会には日程的に参加できない見込みだけど、残る同僚スタッフが盛り上げてくれるだろうと確信している。 

新しい「こころのケア」を創るプロセス

2011-08-28 02:17:22 | 地域精神保健
気仙沼でのNICCOとしてのこころのケアは、9月10日に初回を実施して、その後にリノベイトしていく方向を会議で決めた。
(土曜も日曜も休みなしで働いてるよ・・・)

「ストレッチ体操+精神保健講話+血圧測定・健康相談+炊き出し食事会」という内容で、
地元自治会との共同準備・運営。

陸前高田はほぼ残っている社会資源がない中で外部からの支援者が活動を作っているのに較べて、
気仙沼では、社会福祉協議会組織の地域部分や、公民館活動などが動いているという点、また入っているNGOの数はかなりになること、さらにいまだ避難所は一部残っている、などという違いがある。

まあ、メンタリティの違いも感じているので、異なる「国」で活動しているという風に考えて、双方を引っ張らないでそれぞれ独自性のある活動を作っていきたいと思っている。

+++++++++++

それと今日明日は陸前高田で「街おこし・夢おこし」という復興街づくりイベントが高田小学校校庭を舞台に行われている。
被災し流失した地元商店が60店余、全国各地の応援で店が約30点舗あって、大変な盛り上がり!
ときには楽しみたいんだとつくづく思った。
2次ストレスで休職中の市のK健康増進課長や、Y商店の社長ともひさびさに会えた。

そして、白井貴子のステージがあって、地元の新作の「陸前高田松の花音頭」も歌ってた。
ぼくは気にいったけど・・・なにか?
ロックンローラーだって、○○音頭を歌ってもいいよね!

今週末の陸前高田行きが中止

2011-07-07 01:34:33 | 地域精神保健
今週末の陸前高田行きが中止になった。

今度の「こころとカラダの健康の集い」を予定していた仮設住宅団地が、避難所からの引っ越しから1週間経っていなくてまだ落ち着かず、代表者もでかけたままでそこにはいない、などの理由。
作業療法を使った出会いを楽しみにしている人たちもいるけど、まあ急がずに。

それで、4月初めからの約2/3を現地で過ごしてきた、ここ3か月のぼくの被災者psychosocial支援に節目を迎えている。
次に行くのは、8月第4週の予定で、1か月半空く。

きょうは地元のH保健師さんから副知事が来るから会って!というTelを受けたけど、いない日に当たっていて残念。
PSWのHさんを中心に、NsのMさん、ロジのKさんも今後は一緒に動けそうで、踏ん張りと工夫を期待している!

ぼくは約束していた、友人が移住している石垣島で10日間、連れ合いが駐在しているネパールへ行って1ヶ月過ごす。
今週末には、かつての同僚のクリニックへ行って、一杯かも。

この間の自分の動きを見つめ直す機会にしたい・・・

被災者への心理社会サポートの効果?!

2011-06-26 06:17:58 | 地域精神保健
昨夕の○小学校避難所での「こころとカラダの健康の集い」で、自由に選んだビーズやパウダーアート、パズルやデコメなどの作業療法課題に集中しているなか、参加者の了解を得て少し時間を使って、スクリーニングテストをした。

2か月ほど隔週で「集い」を継続したので、その効果=評価をこのプロジェクトのドナーにわかりやすく報告したいと考えて。

・・・ところが!
PTSD 64%、うつ71%、両方とも該当57%、両方なし21%、という驚きの高率・・・
むしろ増えている!

さて、さて、どう解釈すればいいか・・・
次回の仮設住居に移ったセッションでは結果を返すのに。


ぼくたちの被災した方々への心理社会サポート

2011-05-22 18:07:08 | 地域精神保健
第1週分の「こころとカラダの健康の集い」5カ所を終了。

金曜15時からは、77~95才の対象の高齢者9名が全員参加。
金曜18時から、オートキャンプ場の避難所で18名が参加。
土曜9時半から、漁師さんが多い地域の公民館で23名。
土曜16時半から、お寺に避難した34名。
そしてきょう日曜日13時からには、公民館が流されてしまって残った民家に分散して避難している地域の支援物資配布所で6名。
ちょうど市営温泉の送迎日と重なってしまって、向こうへ20人が出かけてしまった企画ミス。

次週は、金曜18時に別の公民館と、土曜17時半に避難所になっている小学校での、2カ所の予定。

病院臨床は夢がないですよ・・・!?

2010-10-07 19:54:39 | 地域精神保健
参加させてもらって3年目に入っているH市の精神科デイケア。
管内に民間医療機関がDCをやっていないこともあって、自治体が週1回約3時間行っている。
近年は少なくなっている形式。

市の地区担当の保健師さんや、市役所の障害福祉課と密接に結びついている特徴がある。
長期入院の経験者は1割もいなくて、地域で生活しているけど、みなさん病状はそれなりに重い。
2年を原則的な滞在限度としていて、実際に(!)作業所などへ移っていくからフシギ。
病院での長期入院経験者への居場所提供?デイナイトケアの経験者としては(オトシマエ仕事?)。

担当保健師さんが異動することになって、その送別会があった。
そこにはぼくの前任者の心理職で、常勤職を老舗の単科精神科病院に得て、でも最初は経理課長、今はPSW課長になっている人も招かれていた。
その保健師さんと長く一緒に働いてきた人だから。

保険制度に居場所のない心理職のリアリティ!

「減床が精一杯、ACTなど地域ケアはムリですね」
「病院臨床は夢がないですよ」
と、真顔で言われてしまった・・・!!!

心理職としての求職自体がアキラメ状況・・・2重に辛い!
そういえば、ぼくが長くいた病院から心理職がすべて洗い流されてしまっている。

臨床家の自己疎外、乖離状況だ・・・深刻!

対応策;
・心理職の国家資格化に猶予はない・・・<メインは心理の開業ではなくて、保健システムのなかに地域ケア要員としてしっかり位置づけること(ぼくには自己矛盾???)>
・そして地域精神保健ケアの充実策を具体化すること。
・限定された医療機関の役割を明示すること(=ぼくも単科精神病院はいらないと思う、けど)
・ほか。

**********
PS.2週ほど、PC持たずにT国とV国に旅に出ます・・・レスに猶予を!
**********

<新政権への政策提言>収容型単科精神科病院廃止を!

2010-06-10 01:23:57 | 地域精神保健
収容型単科精神科病院廃止を政策化してほしい<新政権への政策提言>

政権が変わった。
障害者の人権条約を批准するための国内法の手直し準備が、当事者を過半数含んだ会議が政府の手で進められている情勢だ。
これはこれですばらしい・・・が、もっとわかりやすい政策をしよう!

民主党政権には精神病院経営者の利益を代表する議員はいないようだ。
既得権益から自由になれる政権であるはずだ。

精神分野でいうと、自立支援法廃止はもちろん、医療観察法廃止・職員配置の特例なども廃止されるべきだ。
そして進むべきは、精神障害者差別の温床である収容型単科精神科病院を廃止することを明示することだ。

長期入院を正当化する治療的な根拠はない。
精神しょうがい者差別に依拠して成立していた制度に過ぎないことはあきらかだ。
過去の遺物!

長期入院してきた精神障害者が地域で生活できる保健医療福祉の数年間の道筋を具体化すること。
それには、次を含む。
・ 住む場所
・ 集うことや作業し金を稼ぐなどの社会参加できる場所(多様な運営が可能な各種の保護的就労)
・ 支援する地域ケアシステム
・ 支援するスタッフの養成や研修やサポート体制を含む
・ 障害年金や生活保護
・ 必要な精神科医療の提供システム
・ 地域で生きる精神障害者が夜間の救急に流れているような、地域ケアの不備に手を打つこと
・ 医療分野扱いをすることで無駄な医療スタッフの配置を要求する精神科デイケアを位置づけしなおすこと
・ 限定したサービスに傾きがちな増加している精神科クリニックに地域医療との連携を義務化すること
・ ほか

1990年代から行われてきた、接木だらけの制度変更はわかりにくく一貫性がないので、スッキリとしたケアシステムに向かうべきだ。

こうすることによって初めて、日本が精神病床を削減して地域ケアを充実させるという世界の精神医療情勢に胸を張って登場することができるようになると思う。

既存の単科精神病院の、新規入院はなくなっている純粋収容型はつぶれてもらい、老人医療に切り替えるところは切り替えてもらう。こうした変化は既に起こっている。
長期入院の場である療養型病床はなくなる。
短期入院に取り組むなどの工夫している精神科医療機関には、職員配置や入院期間、また病床数制限などの条件を明示して手厚くし、地域精神保健の拠点になってもらう。

まず、走り書き・・・