心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

「災害ユートピア-なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか」亜紀書房

2011-06-30 01:28:23 | 
レベッカ・ソルニット著 高月園子訳 2010「災害ユートピア-なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか」亜紀書房

「不幸のどん底にありながら、人は困っている人に手を差し伸べる」現象について、1989年のサンフランシスコ地震、1917年のカナダ・ハリファックスでの大爆発、1940年のロンドン大空襲、1985年のメキシコ大地震、2001年のいわゆる9.11、2005年のハリケーンカトリーナ、などで起こった事実、報道されたこと、流れた噂、などを克明に挙げている本。

ぼくには、災害後にアメリカでもカナダでもイギリスでもメキシコでも、人類に共通?した愛他行動があると確認されたことが発見。
今回の東日本大地震でも、日本人特有!みたいな愛国的な表現が気になっていた。

ではなぜ、その「楽園」が日常に生かされることはないのだろうか・・・?
そう思う。

Rebecca Solnit, 2009, A Paradise Built in Hell – the extraordinary communities that arise in Disaster, が原著。


ぼくの推薦文 「ハインツ・コフート その生涯と自己心理学」

2011-06-29 08:01:16 | 
推薦文を求められたので、次のような小文を送った。

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神戸甲南大シンポの指定討論者としてお会いしたC.B.Strozer氏は、銀色の長髪を靡かせる長身の、人なつっこく話す方だった。彼が19年費やして、重厚に資料を積み上げてコフートの生涯だけでなく、自己心理学の展開を理論の背景となる事例の検討を含めて継時的に紹介したのが本書である。精神分析学の前に歴史学を学んだという彼の手法が生きているのかもしれない。
私は今、陸前高田市こころのケアチームで震災被害者にかかわって3か月、多数の深いトラウマを持つ人々への支援に、コフートが重視した「共感」や、「自己対象」になる支えなどの有効性を確認している。
翻訳者たちが苦心されたのであろう、訳文は見事な日本語になっている。
本書は、読者のコフート理解を一層、深めることと確信する。

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被災者への心理社会サポートの効果?!

2011-06-26 06:17:58 | 地域精神保健
昨夕の○小学校避難所での「こころとカラダの健康の集い」で、自由に選んだビーズやパウダーアート、パズルやデコメなどの作業療法課題に集中しているなか、参加者の了解を得て少し時間を使って、スクリーニングテストをした。

2か月ほど隔週で「集い」を継続したので、その効果=評価をこのプロジェクトのドナーにわかりやすく報告したいと考えて。

・・・ところが!
PTSD 64%、うつ71%、両方とも該当57%、両方なし21%、という驚きの高率・・・
むしろ増えている!

さて、さて、どう解釈すればいいか・・・
次回の仮設住居に移ったセッションでは結果を返すのに。


陸前高田こころのケアチーム約3か月の簡易統計

2011-06-22 19:39:50 | 日本で・・・
3月22日から6月16日までの、陸前高田こころのケアチームの簡易統計がきょう東京都チームから発表された。
いまだに医師を3人も含んだりの8人派遣で、ケア現場が日曜日には休むことになっても、その日にも派遣を続けるという余裕(ゴメンね!)チームは、余力を発揮してもらわないと。

ちなみにこのチームは他には、千葉県派遣チーム、日本赤十字、(社福)大洋会、そしてNICCOが現在の構成団体で、かつては横浜市や東邦大学なども参加。

480名にケアを行った。
女性対男性は、69%と31%。
1回だけの面接が75.83%と、圧倒的に多い。
「診察」と「相談」が、73.13%。

一日あたりに平均してみると5~6人の診療と相談などであった、ということになる。
なおここに木曜午後の「こころのケア外来」の数字は含まれていないようだ。

ぼくたちのスクリーニングでは、津波2か月半後の段階で、約1/3の人がPTSDないしうつであったので、人口23000人のこの街では、8000人が診断がつく状態ということになる。
とすると、クリニックメディカルモデルと訪問診療では、そのうちの6%の人だけが相手できたということ。

それでいいの?
やっぱり、地域に出向いていって実施する心理社会サポート Community Based Psycho-Social Support を拡大すべきでしょう・・・

早池峰1917m速攻、エーデルワイスも食料もなし!?

2011-06-21 19:25:01 | トレッキング・釣り・テニス
やっぱり岩手にいるのだからと想い、早池峰登山を速攻で。

早朝3時に起きて、R396を西北へ、そして小田越からの登山開始5時。
ピークには7時、ちょっと休んで下山、クルマには8時45分だった。

高山植物の名所なので、勝手に想像していた山容とは違って、予想外の岩山だった。
和製エーデルワイスのウスユキソウは、残念!まだ早かった。7月からだって。
気品のある黄色のミヤマキンバイがあちこちにお花畑状態だった。

速攻にはもうひとつ理由があって、午後は雨の天気予報。
確かに帰りのクルマではワイパーを動かすようになった。

ひとつ、大失敗!
コンビニで、朝食・行動食を購入予定でいたのが、遠野を出たら何にもなくて・・・食料はいつもポケットに入れてるキャンディ+ビスケットだけ!
と思ったら、登山口で単独登山者とばったり!
バナナ1本とアンパン2個、寿司を2切れ貰えて、一安心。

東北の山へ行くには前日までにしっかり準備をすること!
東京周辺の24時間営業のコンビニがいくつもある状況との違いを痛感!

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シャワーを浴びて、昼には陸前高田へ出勤。
高田一中コンピュータ室の、こころのケアチームのデスクでは、避難所と違って扇風機もなく、汗だくで書類作り。
こんな日々が続くと思うと、汗かきのぼくはちょっと辛いかな!

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これでテニスがあれば、ぼくの長期現地駐在用のエア抜き体制が完成する?!

仮設住居支援へのNGOの視点

2011-06-20 19:32:44 | 日本で・・・
岩手県沿岸部で支援活動をしている13のNGOが、仮設住居支援を焦点にした会議を行い、参加した。

呼びかけ団体は、Japan PlatForm、NGOのアンブレラNGOだね。

日本赤十字が、海外からの支援金を使って、家電6点セットを配布中。
ピースウイングジャパンとワールドビジョンジャパンは、南部と北部に分けて、日用必需品を配布中。

まず行政の対応について、県の担当者によると;
・目標の14000戸は、遅れても7月中旬に完成。約300の仮設住宅団地ができる。他の自治体に比べて早い。
・スロープや寒冷地仕様などの課題は追って対応予定で、まず数の充足を行っている。
・陸前高田市では、仮設住居入居とともに食事やモノの支給は停止となる。
が、市町村によっては独自な判断。支援物資の支援センターが無料スーパーになっているとの批判があり、地元経済への悪影響も考慮が必要となっている。
・50戸以上には100㎡の集会所、それ未満には談話室を作る。
・既存のコミュニティ()には配慮、しかし必ずしもそうはならない。
・義援金は、死者・行方不明者には50万円、全壊家屋には50万円、半壊家屋には25万円の第1次分が5月10日段階で48%の振り込みが済んでいる。2次配分分167億円は既に県には届いており、6月中に市町村に送られる。
・弔意金や見舞金については、詳細な把握はできていない。
・沿岸部のNPOで、「連携復興センター」が作られている。
・沿岸部の市町村の被害が大きく、近隣の自治体が支援分担を決めている。

NGOとして論議して、次の課題が浮かび上がった。
・仮設団地で、いかにしてコミュニティを創りあげるか。自治会や班の役員の選任など。
・集会所には、鍵の管理、光熱水費などの問題。
・申し込みの少ない仮設がある。坂の上に作られている、商店や学校へのアクセスなど。
・狭い、音が漏れる、窓が少ない、湿気が抜けにくいなどの居住環境の問題。
・2重の支援がある。
・個人情報が守られる中で、調査が重なるという問題。記録の共有へ進みたい。
・雇用を作るという大きな問題。
・自殺、うつなどへのこころのケア。
・こどもが遊び場に住居が作られ、広場がなくなっている。
・避難所に残る人たち、自宅避難者に支援が届きにくくなっている。
など。

これからはコミュニティ作り支援が大きな課題となることで一致、語られた具体策は次;
・外出機会を作るために、仮設の外側に、家庭菜園や、出会いのサロン、仮設店舗などを作る工夫。
・地域で祭りができないか。
・地域通貨を期限付きで作り、たとえば肩たたきや花への水やりなどの共同的な支援を創り出す。
・無給ボランティアではなく有償ボランティアを地域から募る。
・ぼくたちの「こころとカラダの健康の集い」の実践、そして仮設での工夫や継続の見通しを説明した。
など。

ぼくとしては、大方考えてきた内容だった。
でも、支援者間の輪が確認できて、うれしかった。

そして、あいまいなままで頻回に語られる”こころのケア”について、この分野から唯一の参加者だったので、
・うつやPTSDは被災者の1/3に及ぶので、疾患性ではなく、個々の人の生活支援上の必要性から考えること、
・市町の健康推進課に、保健医療からのサポートの必要性を感じる人と出会った時にはリファーすること、
などを要請した。

隔週で打ち合わせを継続することが確認された。

ちなみに13の団体は次の通り、順不同;
ジャパンプラットホーム、日本赤十字社、国境なき子供たち、ピースウインズジャパン、セイブザチルドレンジャパン、難民を助ける会、日本ユニセフ協会、ワールドビジョンジャパン、BHN、シャンティ国際ボランティア会、パレスティナこどものキャンペーン、JANIC、そしてNICCO日本国際民間協力会。

その場で撮った集合写真を配る「写真プロジェクト」

2011-06-19 06:32:46 | 日本で・・・
朝6時発、夜8時半戻り。
汗を冷やしてしまって鼻閉が始まっている、カゼにならないように気をつけなくっちゃ。

7時半、○避難所の最後の朝ミーティング。
あす日曜が最後のみんな一緒の食事で、月曜からは仮設住宅でそれぞれ「自立」した食事になる。
ぼくたちは、仮設移行後の活動を案内するために出席させてもらった。

13時、避難所のこどもたちを相手に、毎週土日に活動している○団体の活動を見に行く。
就学前と低学年の子どもたちが7人、3人の青年たちが相手している。
よく見ると彼らはアジアからの留学生だった。
ひと通り外で走り回ったら、家に入ってゼリー作りへとつないでいた。

小学校中学年や高学年や中学生は相手になっていないことが分かった。

15時半、○避難所で、温泉バスから戻った10人を相手に「ちぎり絵-朝顔、ひまわり」を2グループに分かれて開始。
きょうは作業療法士は参加していないけど、彼女が用意してくれた準備は完璧。
折り紙各種、のり、カレンダーの台紙、そして糊の手をぬぐうタオルハンカチまである。
都派遣のソーシャルワーカー、千葉県派遣の看護師も助っ人参加。
「小さいほうがいいかねえ」などと口にしていた言葉がすぐに静かになって、一心不乱な様子。
30分ほどで完成する。

製作者たちのサインを入れ、床の間の前に並んで記念の集合写真を撮る。
そして、一人一人にその場でプリントして-そういう器械を購入した-写真を手渡す。
歓声が上がって、大騒ぎ!
震災以来、写真は撮っていない人たちだ。

過去から現在へ目を移していってもらいたい・・・
それがぼくたちの狙いでもある。
そして仮設住居に移って行って、家族ごとに分かれてしまう人々に避難所で一緒だった頃を思い出してもらいたい。
そういう思いもある。

1830から別の○避難所で同様の活動を行う。
作業にはすぐに集中する。
ここでは小学校高学年の女の子たち3人が参加するので、いつも彼女たちが中心になる。
枠をはみ出してちぎり絵が広がって、ひまわりが花火のようになってしまった!
そして写真にはまたまた、ここでも大騒ぎ。

ここちよい疲れを感じながら帰途に就いた。

震災被災者を担当する精神保健専門家を募集!

2011-06-15 00:35:23 | 日本で・・・
今度は、現地で半年から1年滞在できる、ぼくの引き継ぎ者を募集です!

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【震災関連】NICCO東日本大震災被災者支援担当:精神保健専門家若干名募集
公益社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)

■ 職 務 内 容
形態 契約
募集分野 保健医療・人口、多岐にわたる分野 
業務内容 作業療法士、心理士等の専門職の方で、陸前高田市または気仙沼市での津波
被災者を対象とした心理社会的ケアプログラムの実施に当たる方を募集。プ
ログラム内容の立案、実施のための各関係機関との調整、プログラムの運営
まで実施可能な方。
皆さんの積極的なご応募をお待ちしております。 
業務対象国/勤務地 東北事業地 
業務期間 2011/06/下旬 ~  

■ 応 募 条 件 等
必要な語学力 英語等の語学能力は問いません。 
学位  
必要な技術資格  
類似業務経験年数 3年以上  
業務内容による
年齢の目安 制限なし 
青年海外協力隊経験 不問 

その他 1) 専門分野での経験が3年以上ある方
  (災害支援経験のある方は尚可)
2)  6ヵ月から1年に渡って現地に滞在し、プログラムの実施が
 可能な方
3) マネージメント能力及びコミュニケーション能力を重視
 
待遇 報酬:当会規定により謝金をお支払い。
   *事業地までの交通費支給。1カ月に1度の休暇取得可能。
   *事業地での滞在場所を提供。
   *当初は1カ月間の契約。その後半年間の契約を随時更新。
勤務時間:午前8時30分~午後5時30分
     *週休1日 
募集人数 若干名 
募集期間 2011/06/14~2011/06/27 

■ 応 募 方 法
応募方法 履歴書(E-mailアドレスも記入)、職務経歴書、及び志望動機書
(A4用紙1枚程度)を下記連絡先にE-mailか郵便にて送付。
なお、応募書類は返却いたしません。
*書類選考後、面接日時を本人に直接通知します。
*決定次第終了します。 
応募時の注意事項  
募集団体の求人ページ http://www.kyoto-nicco.org/advertisement/index.html 
■ 問 い 合 わ せ 先
担当部課  
担当者 上田 
電話番号 075-241-0681 
FAX番号 075-241-0682 
E-mailアドレス recruitment@kyoto-nicco.org 
担当者から一言  
参考画像


■ 募 集 団 体 情 報
募集団体情報 公益社団法人 日本国際民間協力会(NICCO) 
設立年月 1979年12月 
設立目的 地球規模の視野に立ち、人種と国境を越え、途上国の現場でともに生活をしながら、特定の宗教や政治的立場には一切関与せず、人道主義に基づいて、途上国の人々の経済的・精神的な自立を図ることを目的とする。 
活動対象分野 保健医療・人口、教育、農業開発/農村開発、環境(自然環境保全/公害対策)、貧困削減 
活動実績(海外) パレスチナ:オリーブオイルの品質向上とマーケティング支援
ヨルダン:イラク難民人道支援(心理社会的ケアなど)、女性グループの自立支援
イラン:アフガン難民のためのIT職業訓練
アフガニスタン:女性のための識字教室、IT職業訓練
マラウィ:農業技術移転と食糧増産、有用樹植林による収入創出、衛生改善(エコサントイレ建設など)、マラリア対策、母子保健事業
ハイチ:ハイチ地震被災者緊急支援
パキスタン:パキスタン洪水被災者緊急支援
 
活動実績(国内) 国際協力に関する広報とコンサルティング、人材育成(インターンシッププログラム)、琵琶湖モデルファーム運営 
所在地 604-8217 京都府京都市中京区六角通新町西入西六角町101番地
URL http://www.kyoto-nicco.org/ 
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「ハインツ・コフート その生涯と自己心理学」CBストロジャー著 羽下大信 他訳

2011-06-14 14:50:19 | 
C.B.ストロジャー著
羽下大信・富樫公一・富樫真子 訳
「ハインツーコフート その生涯と自己心理学」
金剛出版
8500円

Charles B. Strozier, 2001,
Heinz Kohut - The making of a Psychoanalyst,
Farrar, Straus and Giroux

実は20日発行なので、本屋にもアマゾンにもまだ出ていない・・・
が、12日のシンポの時に著者割引で入手。

甲南大シンポでのストロジャーの発言は、ジャーナリスティックな話題を無理やりフロイト心理学側からやアメリカ価値観の多数派から、あるいはキリスト教主義などから語っているようで、アジアを視野に入れていないし、ぼくには結構アバウトと思えた!
初著は、リンカーンの伝記だという原著者は、歴史学で学位をえたのち、シカゴで精神分析家になったというが、現在は歴史学の教授とトレーニングアナリストの2足のわらじのよう。

が、この本では違う。
19年の年月をかけて資料を集め、関係者と会い、きわめて資料主義・実証主義的な記述方法を取っている。
用語についてもフロイトはじめ関係者への論述が、繰り返し繰り返し行われて、単に伝記と思うと大違い!

573ページの大著。
著者も大変だっただろうが、翻訳者の労苦は想いに余りある・・・
こうして出来上がって、さぞかしの達成感があることだろう。

たぶん、次の旅には持って行って・・・夜な夜なページを捲って、ウイーンやアメリカの風土に入ってみたいと思っている。

ストロジャー、C.B.「原理主義と歴史的トラウマ」

2011-06-07 07:17:31 | いろいろ
突然ですが神戸でのシンポジウムの案内;

2011年6月12日(日)午後1時より4時
甲南大学5号館511号教室(岡本キャンパス)
タイトル  ;原理主義と歴史的トラウマ
シンポジスト;C.B.ストロジャー
指定討論  ;かりぶ & 森茂起
企画    ;羽下大信 & 富樫公一
主催    ;日本精神分析的自己心理学研究グループ
共催    ;甲南大学人間科学研究所 & 栄橋心理相談室
入場無料
通訳付き

ぼくは、カンボジアやネパールなどの現地で見つめてきたポルポト派やマオイストら原理主義者の行為と、周辺のトラウマ、その連鎖、そして修復などを、ここ2カ月余夢中で工夫してきた被災者支援には距離を置いて、この機会に考え直してみたいと思っている。

それとは別に、企画者のお2人は、このシンポジストによるコフート本を9日に翻訳出版されるようだネ。

パキからの支援者

2011-06-04 05:39:53 | 国際協力・現地NGO分野
陸前高田の保健支援チームの活動のベースになっている高田1中コンピュータ室にいるNICCOこころのケアチームに、めずらしい来客があった。
ボランティアでがれき撤去をしてきて、そして避難所や、こころのケアを見たいというのだった。

そこまでは、そう珍しいわけではない。

彼ら2人はパキスタン人でラホールから自費(!)でやって来た・・・ひげ面のおっさんたちだ。

NICCOがパキスタン洪水支援の際に協力した現地NGOの代表、サジド・イクバルさんたち、本業は建築関係らしい。
的確な質問をして、理解の速さがわかる。
避難所では声を潜めて、相手に気遣いをしている。

「そんなにたくさんの人たちが家族を失って・・・一人で生きていくしかないのか・・・」というのが彼らが繰り返した反応。
彼らには家族がそんなに大きな意味を持つのだろうと、個人化した文化とは違う社会背景を改めて感じた。

対策本部に表敬して紹介すると、遠路の支援に対してかえって感謝されてしまい、彼らは目に涙を浮かべている。
外人らしく突然に、写真をいっしょに撮りたいと言いだして、パチリ。
日赤の診療室では、いつも忙しいスタッフたちがうれしそうに取り囲み、書類整理中の医師たちまでが席を立ってきてくれて写真に納まってくれた。

こういう日本側の、外国からのボランティア支援者に感激した気持ちが彼らにはしっかり伝わったと思う。

彼らは現地では高額な、1人当たり1500ドル以上を使ってやって来ているだろう。
でもその金額以上の支援効果をぼくたちに届けてくれたと思う。

ぼくは説明と通訳をしていて、とても心温まる時間をもらった・・・