心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

ことしの初釣りは、広田湾で仮設自治会長とタラ

2012-02-28 15:29:42 | トレッキング・釣り・テニス
ようやく高気圧に覆われる日が来て出港!

たっぷり着込んでいったので、一時は汗をかくほどで快調。

ここH仮設住宅団地の130世帯をまとめるK自治会長が流されてしまった船をムスメさんに買ってもらったという話を聞いていて、機会があればぜひ、とお願いしていた。
先週には、1月は大型カレイが上がったりよかったけど、また釣れなくなっている、たぶん水温が下がって活性が低いと思うと、わざわざこの部屋まで話に来てくれたり。

待ちに待ったこの日、一緒に乗り込んだのは、ぼく以外は被災者3人のフィッシャーメン。
約束の8時にはすでに船で凍りついた甲板を溶かしていた、年金生活のAさん。
もう一人は、自治会での仕事を手伝っている、本業はホタテ養殖のBさん。
そして会長とぼく。

被災した人によっては、大好きだった釣りに被災後は気持ちの整理がつかず、とても出かける気にならないという人たちもいるが、動きだしている人もいる。

広田半島先端の黒崎あたりから南下、遠く金華山や牡鹿半島までかすんで見えた。

おもり50号、カレイ仕掛け、青イソメ、タラ狙いでは冷凍サンマの切り身。
中型と小型のカレイ、アイナメなどがポツポツ上がる。
ただし、ぼく以外。

「しゃれこうべが・・」と○さんが言うのは悪い冗談、あるいはすべてを失ったことを笑い飛ばしたいのか・・・

会長は、こまかに「小突き」の方法をぼくに教える。
誘わないとカレイは来ない、ということらしい。

2回ほど場所替えして、ようやく中型タラがぼくに来る。
続いて、小型のカジカ。

4人で30くらいだろうか・・・
まあよかった。

水深が80mほどなので、エサ替えにも、揚げるのが大変。
電動リールがほしい・・・

釣りに夢中で、ほかの話は一切しなかった。
Aさんが帰り際に、ぼくが属しているNICCOには電気が通らなかった時期にLED電燈を持ってきてもらい助かったとの謝辞を頂いたくらい。

こういう○○に夢中で気兼ねない関係が、支援ー被支援の人間関係の中で生まれたのはうれしい・・・

國井修2012「国家救援医ー私は破綻国家の医師になった」角川書店

2012-02-25 16:14:57 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
初版なんだけど、アマゾンでは注文して3週余かかった。

「常にあるミッションは、その国の最も弱い人びとが自分の足で立てるようにする」ことと言い、ソマリア、ミャンマー、アフガニスタン、ルワンダ、スリランカ、イラクなどで活動した記録。

国際保健協力を志す保健医療関係者や、国際協力の現場に関心がある方々には超お勧め。

國井さんとは東大に行く前の、ブラジル・レシフェの公衆衛生プロジェクトでご一緒したことがある。
ポルトガル語習得の早さに舌を巻いた記憶や、
アリスのカラオケなどが印象的。

今後とものご活躍を期待しています!

初物ワカメのしゃぶしゃぶ

2012-02-22 21:47:14 | いろいろ
津波ですべてが流された後の広田湾で復活し始めているワカメ養殖いかだ。

この週は、そこから収穫された初物ワカメをたくさんいただいている。
しゃぶしゃぶがいいよ、と教えてもらって、さっそく挑戦。

鍋の中で色が、それこそワカメ色に変わって、きれい!
海の香りがほんのり。
噛みごたえがしこしこ。

今のシーズンは、より良いものを収穫するために、間引くんだそうだ。
若々しくて、生き生きしてて・・・
こういうのは初めて食べた。
カラダに良さそう!

もっとあるから、ヌタと、サラダが次で、さらに余ったら天日干しのつもり。

京都で東日本震災へのかかわりから思うことについての話を2つ

2012-02-18 21:55:42 | 日本で・・・
きのうきょうと淡雪が舞う京都で、私立病院で働く中間管理職研修会でと、経営側の事務長たちの勉強会で、支援から思っていることをそれぞれ話した。

報告にシーンとする静けさや、ぼくの動きへの質問に、手ごたえを感じた。

明日帰京して、あさって午後には陸前高田・広水仮設の現地入り。

これまでの、ぼくたち支援者が準備し運営する「こころとカラダの健康の集い」による支援活動とは異なって、
長期にわたるであろう復興を見据えて、住民の自治活動や農業復興支援を入り口にして、そして地域保健活動の中で、「こころのケア」を行うという4月以降の方針がほぼ決まってきたので、それのつなぎを丁寧に進めようと思っている・・・

釣り東北社「釣り東北 2012 2月」

2012-02-06 12:05:47 | 
東北で釣りをやるなら、事前に情報収集。
これが定評ある地元誌。

カレイ、ソイ・・・いいなあ。

宮古では年末に400人も参加した釣りイベントが開催されたことを知った。

東北の1月2月の寒さは厳しく、釣りはまだオフシーズン。
そのうえ、震災の影響で海を見たくないという人々とも多い。
その中での地域復興への具体的な歩みは、すがすがしい!

昨日の日曜は、ぼくも休日で海岸線を北上してみた。
大槌では年末オープンのホームセンターが盛況。
山田ではカキ小屋が再開して、津波を生き延びた3年物の大きなカキにビックリ。
田老では大きな重機が海岸線でうなっていた。

で、海岸線の釣り人は、釜石港の突堤にひとり見ただけ・・・
まだまだだなあ・・・

こころのケアセンター(兵庫県)編、1999、「災害とトラウマ」みすず

2012-02-05 08:42:40 | 
この本は阪神大震災について1997年に開かれたシンポジウムの記録。

東日本の今の経験を見直すにも、とても有効。

ぼくは、オーストラリアのAlexander MacFarlane 氏の「自然災害の長期的経過」に注目。
ちょっと断定が多すぎない?という部分もあるけど、研究者が少ない分野だからね。

いわゆる縦断研究から、
「災害直後の初期症状とそれに引き続く心的外傷性症状の慢性度の予測因子」について、
「災害後の生活環境と被災者に再受傷をもたらすような可能性」を重要といい、

いくつかの事実を紹介する;
・PTSDのアメリカでの生涯有病率は7.8%
・生涯に外傷事件に遭遇する確率は男性で60%、女性で50%。
・PTSDを発症した60%の人は72か月後までには改善。
 しかしそこで改善していない人は適切な治療を受けない限り、症状は遷延する。
・GHQでみると、震源からの距離に反比例して高得点者の割合は減っていく。
・PTSDが慢性化しやすいのは、直接的な被害の大きい人。閾値効果 threshold effect。
・雲南地震の8か月後調査では、ほとんどの家が崩壊した一番被害の大きかった村ではPTSDが22.8%。
・森林火災後の小学生の追跡調査では、直後には症状はなく、時が経つにつれて症状が増えた。長期の影響(集中困難など)を与える。子ども自身の体験ではなく親の側のPTSDである場合が多い。親の問題の把握を。
・復興の過程で生じる2次ストレスに注意。
・災害後の2年間は、人々は専門的な治療を受けに行かない。
・外傷性ストレスに対する自然な対処法は、そのこと自体を意識の外に置き、つらい体験を思い出させるものごとを避けること。回避。治療を受けに来ない要因の一つ。
・これこそ最善の治療というものはない。さまざまな治療が必要。

そうだな、と納得。
でも、文化差には言及しない人なんだとの印象あり。

+++++++++
そして2月1日大船渡での、加藤寛先生の講演内容は、この本の
「こころのケアの4年間ー残されている問題」pp151-172.
にあったことを確認。

鈴木満2012「異国でこころを病んだ時ー在外メンタルヘルスの現場から」弘文堂

2012-02-05 04:06:27 | 
多文化学会で初めてお会いした時から、鈴木先生の博学に敬服し、
昨年来の東日本震災支援においては、行動力にアタマが下がっています。

そして満を持して長年のかかわりを文字にされたのがこの著作です。

日本を離れた地で学び働く人々のメンタルヘルスについて多極的に考察されています。
・在外生活と心の危機
・事例と見立て・対応
・在外生活でのセルフケア
・適応の向こう側
の項目は経験と理論に裏づけされていて頷かせるところばかり。

また編集された
・各都市の取り組み
は、優れて今日的な情報なので、すぐにも役立てる情報を提供しています。

3つの要望がぼくの心に浮かんだ。
・在外勤務者の家族の不適応には「付いて来た」という、自我関与の低い、あるいは受動的な態度が不適応の背景に伺われること。
・開発協力事業で活動する人々に言及がなかったこと。
・国際協力活動に従事する人々のメンタルヘルス維持には、自己効能感が大きな要因であること。
第2版の折には、こうした心理療法な介入の意味についてと、開発事業で活動する人々についても言及していただけるとよいと思いました。

世界別冊no.826、2012、「破局の後の世界を生きるー被災の手記」岩波書店

2012-02-05 03:15:07 | 
やっぱり被災者自身の体験を聞くたびに、
とんでもない事態に遭遇した人たち、
自分ならどうしただろう、
こうかも、ああかも、と想いが過る。

ぼくが3週後の避難所に入った時、また「こころとカラダの健康の集い」を開始した5月頃には、こういう気持ちの人たちと会っていたんだと知り、あの対応でよかったのかと点検する。

そして福島の災害の複雑さを知る。
情報を信用できないということは、孤立を進めてしまう・・・

重大な危機の中にいて当惑するしかない人を支えるのは、”ひとりではない、一緒にいる”というメッセージが心に響くようであること。

これは自殺志願者への対応と同じと思った。
ヒトは個で成立しているんではなくて、やっぱり関係の中でヒトになっているんだろうと思う。

阿部恵一郎2012「精神医療過疎の町からー最北のクリニックでみた人・町・医療」みすず

2012-02-03 08:37:28 | 
三陸沿岸部でのこころのケアは、今後、数年10数年という長いスパンで起きてくるであろうストレス障害に対する支援体制を作る時期に来ていると思っている。
もともと過疎の地域だ。
この地域で可能なシステムを創りあげることが、精神保健分野においては復興の中身であり、課題だと思っている。
人がいない、医療機関が採算をあげられず開業しない・・・悪循環。

地元の保健所長とこの話題になって、彼は県に意見を言ったそうだ。
すると、医療側の人員の基準を緩めるから、という話があったと言う。

そうじゃないでしょう、これでは個人の負担が増えて続かなかくなってしまう。
①特区のようにして、医療単価を上げること、従事者の給与をあげて誘導する、これが方法かもしれない。

そして、②非専門家の活動範囲を拡大することだ。
南相馬で進んでいるらしいACT?は参考になるかも。

そういえば、東京都チーム「こころのケア外来」の3月撤退に伴う継続ケース検討の際、その半数以上が投薬されていないことを知った。
ナニしていたんだろう・・・
周囲には、PHNやCP、PSWやNsなど常駐しているのに。

さてこの本は、北海道名寄で開業して5年になる精神科医師のエッセイ。
隔週で飛行機で通勤し4日開業、他は大学教員。
こういう体制でもかなりの役割を受け止めていて素晴らしいと思った。

③「情報通信機器を用いた診療(遠隔診療)」もヒントになるんだな・・・


加藤寛+最相葉月2011「こころのケア-阪神・淡路大震災から東北へ」講談社現代新書

2012-02-01 23:26:54 | 
あまり講演会は出ないほうだけど、隣りの大船渡市で保健所主催の著者の会があり出てきた。

事実に基づく説明がなされていて納得。
ぼくの経験からも納得。
そういう「こころのケア」講演会だった。

阪神と違って、ここは過疎地だが、ケアには何を心すべきか、と質問してみた。
・非専門職の役割を増やす
・リソースを増やすチャンス
・DVなどにも光を当てる
という、これも納得の答えだった。

そしてこの本が会場で参加者に配布されていた。