市環境学習室主催の講座の2回目。
「H市の農業と環境の変化」と題した講義を農業委員会会長のN氏71才が、
経験を踏まえて、熱く語るのを7名(少ない!)で聞きました。
・急激な農地の減少、宅地化。
・30年で農家数は半減、放棄農地40町歩。
・2町歩雑穀を作っても年間200万円程度の収入、儲からない商売。(不動産収入がなければ食べていけない)
・多品種少量の生産。
・市場へは約半分の出荷、残りは直売や直接取引。
・昭和30年初頭までは、米麦養蚕が続いていた。
・農業者の平均年令が高い。
・かつて盛んだった養蚕は2戸のみ、それも伝承文化関連。
などの現実があります。
今の取り組みは次のようです。
・休耕田での指導つき体験農園。
・小学校での稲作り
・ホタル鑑賞会
・基準が厳しくなった農薬(すぐ効果アリ、すぐ効果が消えるという手間)
・生産者名を入れた販売
・直販が始まって元気が出ている
・付加価値をつけたネットでの米販売
そしてこれからの展望;
・虫食いの大根やキャベツ、曲がったキウリなどを消費者は食べてほしい
・農地への課税削減
・農地の均等相続の見直し
・生産緑地法の見直し
など。
参加者からあった提案;
・H市の農産物のブランド化
ぼくは、2つ感じました。
1.政策上の農業保護の方向付けが不可避。
開発途上国では、日本の1/10で米が買えます。
流通が、経済のグローバル化は止めようにありません。
日本の食を守るなら、まずは助成金をつけて農業従事者の経済保障をすることでしょう。
儲からない仕事をやれと言っても、効果のない空文句で終わるでしょう。
2.消費者の意識と食をめぐる行動変容が必要。
食の安心や、地域と繋がる食、ひとつの地域で互いに交流し支えあいながら共に生きていく視点を確実にした実践です。
これは、住民の生き方の次元ですが、同時に行政からの制度的な誘導策も必要と思います。
農業問題は、エネルギー消費や、また環境保全や再生などと密接であるだけでなく、
経済的な収入に縛られた競争主義、消費主義、家族の分散したありようなどのヒトの生きかたをも見つめさせると感じました。
日曜には、緑地保全の体験学習です、楽しみ!