SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CHARLES MINGUS 「THE CLOWN」

2007年04月29日 | Bass

もう一枚ベースが主役の作品をご紹介する。
今度のは強烈だ。とてものほほんとして聴くわけにいかない。
ジャズには軽いジャズと重いジャズがあるとつい先日書いたが、各パートのソロといい重厚なブラスといい、これ以上重いアルバムはないかもしれない。
中でもミンガスのベースはすごい。部屋中に彼の弾くベースの音が充満してむせかえるようだ。
特に出だしと中間のベースソロは、ジャズ史上最高の出来映えだと豪語してしまいたい。個人的にはこの瞬間を味わうためだけにこのアルバムはあるような気がしている。それくらいこの「HAITIAN FIGHT SONG」は重要な曲だ。
この曲を聴くとこれ以後登場してくる様々なジャズマンの顔が浮かぶ。みんなミンガスの後を追って真似をするが、結局は挫折して軟弱な売れ筋ジャズマンへと変貌していった輩がどれだけ多くいたことか。そういう意味においては、ミンガスはモンクと並んで真のアーチストだったのだ。

このジャケットをじっとよく見てほしい。私たちは表面的な道化師の後ろに真実の顔が隠されていることを忘れてはいけない。
ジャズは人気のあるなしで評価してはいけない音楽なのだ。