SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ENRICO PIERANUNZI TRIO 「The Night Gone By」

2007年04月15日 | Piano/keyboard

スライド・ハンプトンのすさまじいのを聴いた後は、こんな優しいピアノトリオで口直しはどうだろう。
エンリコ・ピエラヌンツィ。彼はイタリアでは知らぬ人がいないくらいの名プレーヤーで、アルバムも数多く出している。
彼はドン・フリーマンと共に、いわゆるエヴァンス派と呼ばれる最たる人ではないかと思う。しかしそれは彼らにとって迷惑な話だろう。結局はビル・エヴァンスの二番煎じといわれているようなものだからだ。以前彼のインタビューを聞いたことがあるが、その話題になると、もううんざりだというような顔をしていたのが印象的だった。
しかし彼にも責任がある。いいところだけ似ているのならまだしも悪いところまでエヴァンスに似ているのだ。
個人的にエヴァンスに不満がある部分はどこかと言うと、アルバム全体を通して感情の起伏を掴みづらいところにあるのだと思っている。だからアルバムの最後に辿りつく頃には、聴いている側の感情とズレが生じてしまうことがある。要するにプレイヤーと一体化できないもどかしさがあるのだ。まぁ、それがいいところでもあるのかもしれないが....。
エンリコも同じである。一曲一曲はとてもいい演奏なのだが、まともに最後まで集中して聴いた試しがない。
しかしこのアルバムは例外だ。マーク・ジョンソンの強靱なベースに助けられて最後までメリハリの利いた演奏を行っている。エヴァンス的でないのはマーク・ジョンソンのベースが、スコット・ラファロとは明らかに違った響き方をしているからだ。
因みにこのアルバムでドラムを叩くのはポール・モチアンである。ベースを比べるのにはもってこいの取り合わせだ。