SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CLIFFORD BROWN 「JAZZ IMMORTAL」

2007年04月03日 | Trumpet/Cornett

若くして亡くなったジャズマンは数多い。
その中でも最も惜しまれるのがこの人、クリフォード・ブラウンだ。享年25、自動車事故だった。
ジャズ界において彼の死は大きな出来事だった。前年にはチャーリー・パーカーを失い、大きな方向転換を強いられた中で現れたこの天才トランペッターに、多くの人がジャズの将来を感じていたからである。
彼にはまず第一に歌心があった。
ジャズのアドリブとはあくまで即興で行う演奏ではあるが、そのミュージシャンが持つネタの引き出しがどれだけあるかで勝負が決まる。もちろんその引き出しに入っているネタの内容にもよるが、その多くはその人の「癖」がフレーズ化したものだともいえる。
彼の場合、その引き出しの数が圧倒的に多かったことと、癖そのものにも品があったことが天才たる所以なのである。それもそのはず、彼はドラッグ漬けだった周りの多くのジャズマンと違い、麻薬はもちろん、酒もタバコもやらないという優等生だった。このアルバムで共演しているウェストコーストの面々とも何ら違和感なくプレイできる背景には、そんな彼の性格の良さと引き出しの数がものをいったのだ。

ここでもまた彼の雄弁なアドリブが他を圧倒している。それに引きずられるように他のメンバーも普段以上の演奏をする。
これは天才一人が全体のレベルを引き上げたいい例だ。