SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

TORD GUSTAVSEN 「CHANGING PLACES」

2007年04月02日 | Piano/keyboard

奥の深いピアノトリオが好きだ。
しかもこのトルド・グスタフセンのように琴線に触れる静かな音がたまらない。

昔、サイモンとガーファンクルが歌ったサウンド・オブ・サイレンスという歌があった。我々は全く音が聞こえない状態の中にいると、この歌の歌詞がいうように不安でいっぱいになるはずだ。私たちはこの状態を指して「静か」だとはいわない。
では静かな状態というのはどのような状態なのだろうかと考えると、心が落ち着く、或いは考え事ができる状態を指すのだと思う。私たちには小鳥の鳴き声や小川のせせらぎ、やさしい雨の滴のようにアルファー波を発生させる音が必要なのだ。これは毎日の生活の中で食事をとるのと同じくらい大切なことである。

彼はノルウェーの若いピアニストだ。ノルウェーのピアニストといえば、最近めざましい活躍を見せるヘルゲ・リエンを思い出す人も多いだろう。聞き比べてみると実に多くの共通点がある。
まずメロディを大切にしながら高まる感情を抑えて演奏していること、それからリズムの取り方に斬新な工夫があること、鍵盤の一音一音を大切に扱っていることなどが挙げられる。総じて奥深い「静けさ」が辺り一面に漂う。これがノルウェーという国が持つ底力なのだろうと思う。

ジャズでこれだけアルファー波が出ているアルバムも貴重である。
だからといってこれをヒーリング・ミュージックと勘違いしてはいけない。