無精髭

無精者の日記です

16,000名が「原発いらない」訴える

2012-03-12 23:48:27 | 日記


 3・11福島県民大集会に参加してきました。 バスで出発する頃はどんよりと重たい雲に覆われていた天候も会場に着いた頃には太陽も顔を見せました。 大型バスで県内各地や全国から集まった参加者16000名が郡山市の開成山球場のアルプススタンドを埋め尽くしました。 座りきれない参加者の方々のために外野席が開放されたのですが「外野席を開放します。 ただし外野席の芝生は除染されていませんので放射線量が高くなっています。 自己責任で判断してください。」との放送に会場がどよめく場面も。



 当日は加藤登紀子さんのコンサートも開かれ大きな感動が会場を包みました。 また連帯のあいさつに立った大江健三郎さんは「科学技術に絶対はない、絶対安全を保証するためには原発をなくさなければならない。」「ドイツで原発廃止を決めたのは科学技術の組織ではなく倫理委員会です。 子供達の未来を守るためには人類と共存出来ない核を廃絶する倫理的判断が必要です。」と訴えていました。



 人、人、人、人波に押し出されてデモに出発。 こんなに大規模なデモは初めてでした。 

3・11は郡山へ!! 原発いらない福島県民集会

2012-03-06 07:04:15 | 日記


 3月11日は「原発いらない福島県民集会」が郡山市で開催されます。
福島原発事故は幸いにも炉心爆発という最悪の事態は避けられましたが、福島県の大半と岩手や静岡に及ぶ広範な放射能汚染を引き起こしてしまいました。 今や日本中の食物は放射線量の測定なしには安心して食べることが出来なくなってしまいました。 全国に散らばった避難民は地域の絆も家族の絆もばらばらに引き裂かれ、今心の絆さえ傷いて生きる希望さえ奪われようとしています。 福島県の人口は30年後には半減するだろうという予測さえ出されています。 

 ここから脱出するための第一歩は「原発はいらない」とはっきり意思表明することです。
これだけの大事故を起こしながら原子力安全保安院は事故が収束もせずその検証も進行中であるにもかかわらず「ストレステスト」などという得体の知れないテストで合格点を与えて今回の大震災のレベルにさえ耐えられない原発を再稼動しようとしています。 全く狂気の沙汰としかいいようがありません。 大震災はまた私たちの目前に予想されているのですからこのままでは再び原発大事故がおきてしまうでしょう。 そうなっては狭いこの国はおしまいです。 いまが最後のチャンスです。


 

「反面教師にしてほしい...」双葉町井戸川町長インタビュー

2012-03-04 08:30:19 | 日記
「反面教師にしてほしい...」双葉町井戸川町長インタビュー


「爆発音を聞いた。空から保温材のようなものが降ってきた。 これで終わりかと思った。」 

 原発立地町でさえ国からも東電からも何の連絡もないなかで町長は避難を決断せざるを得なかったという。 町長は振り切れる線量計を見ながら町民を引き連れて逃げ惑っていたそうです。 南相馬市に限らず原発立地町村までこのような事態にいたったのには安全神話に浸りきって机上の事故対策に終始していた国や東電の無責任きわまる対応があります。 SPEEDIなど放射能の汚染状況を予測するデータに基いて避難対策をたてるのは安全保安院の仕事でした。 しかし汚染レベルがどの程度の地域まで避難させるか判断できないとして、原子力安全委員会に丸投げしたのです。(このあたりの経過について事故検証委員会でのやり取りがあります) しかし受け取った安全委員会は避難のノウハウは全く持っていなかったし、そもそも原発から放出された放射能の量が不明だからSPEEDIのデータは出せないなどと言っていたのですから話になりません。 武田教授はYOUTUBEで「安全委員会も保安院も国民を守ることなんか全く考えていませんよ。日本には国民を被曝から守る組織なんかないんです。」と言い切っていましたが、彼らがやったことをみると全くそのとおりというほかありません。 南相馬市の除染活動を支援している東大アイソトープ研究所の児玉龍彦教授がいうように「原発行政はまず安全委員会や安全保安院を解体し、これらの組織と全く関係のないメンバーで規制委員会を構成することです。」
ということでしょう。

 双葉町長は「住民の安全が一番。 まだまだ原発は収束なんていえる状況にない。 4号機が壊れただけでも再び汚染が広がってしまう非常に危険な状況に変わりはない。 今は帰町などを考える時期ではない。 他町村も県も住民を放射線からどう守るかに全力を尽くすべきで今後何十年かかるかもしれない除染などにお金と時間を使っているうちに子供たちはどんどん被曝してしまう。 それよりも避難を希望する子供を持ったお母さんたちがいつでも安心して避難できる体制を整えて未来をになう子供を守り育てることこそ今一番大事なことではないですか。」と訴えていました。 私たちも冷静に状況を判断して今何が一番大切で必要なのかをじっくりと考える必要があるようです。


希望なくして生きられない・・・南相馬市 桜井市長

2012-03-03 22:12:46 | 日記
 3月1日、南相馬市の桜井市長の講演を聞くことが出来ました。
南相馬市は旧小高町・原町市・鹿島町の1市2町が合併して出来たのですが、原発事故で旧原町市の南部から小高町は20Km圏の警戒区域に、またその外の大半が30Kmの緊急時避難準備区域に入りました。 一番北側に位置する鹿島町は南の一部がこの30Km圏という一つの市が3分される結果となりました。 そんな中での震災発生から今日までの経験をはなされました。

 3.11の地震・津波の対応に追われていた中、12日には半径20Km圏内の住民に避難指示が出され14日には3号機が爆発、その爆発音は鹿島でさえ聞いた人がいたとか。
市では国からも県からも何の連絡、行動指示も得られない中15日から独自にバスを手配し市外への非難誘導を始めたそうです。 市長は市民の被曝の危険が迫る中必死に県との連絡を試みたもののなかなか電話がつながらず、やっとつながっても県の返事は「今対策を協議中」というばかりで誰も判断を下さず結局、市独自でバスの手配から避難先の手配、ガソリンの手配まですべてやらざるを得なかったということです。 住民の危機が迫っているのに誰も責任ある判断をしない国、県に対する強い憤りを話しました。 

 そしてその後市内に残った人々は食料を含め物資不足の危機に見舞われます。 被曝を恐れて誰も物資を搬入してくれないのです。 困った市長はある市民の提案を受けて「YOUTUBE」で世界に訴えます。 これが大きな反響を呼んで外国のメディアが入る、物資も徐々に入るなどして危機を脱したのですが、市長は原発震災後一斉に姿を消したマスコミの対応にジャーナリストの使命を忘れて何をしようとしていたのか、被害地域住民が一番困っている時に何の情報発信もせず、南相馬市から放射能汚染牛が出たとなったら大挙押しかけ被害農民を追及するような姿勢は許しがたい、と。 

 そういえばマスコミは原発事故に際して40Km以内には立ち入らない申し合わせをしたとか。 研究者の木村真三さんらが事故のあと15日ごろから現地(20Km圏内)に入りNHKスタッフとともに車で放射線量を測定したり汚染土壌のサンプル採取などをし道路に沿った汚染地図まで作成していたのにNHKは放送することを自粛し、放送したのは12月になってからでした。 こんな大災害時にマスコミの対応は大本営発表そのもので多くの国民の信頼を失いました。 国民が最も欲している風向きや放射能の汚染予測など日本発の情報が国内のマスコミからは語られず、ドイツやスエーデンなどのメディアを通してインターネットで日本に伝わっていたのです。 原子力安全保安院の海外メディアへの会見場では大本営発表に見切りをつけて誰もいなくなった会場で担当者が発表を続けていたという笑えない事態になっていたのです。

 話を戻します。 市長が最も危惧していることは、市民が避難によって全国にばらばらにされてしまったこと。 仮設住宅に住む高齢者夫妻は嫁さんと孫は県外に避難、息子さんは仕事で残り家族ばらばらにされて、ここ仮設住宅では死にたくない地元に帰りたい、家に帰って自殺したいと訴えられたといいます。 市民は避難地域割りによって警戒区域から30Km外の地域までに3分され、東電の保証金をめぐって分断され、仕事は奪われ、家族はばらばらにされ、個々人は自分の利害に振り回されて周りが見えなくされて相手を思いやる気持ちを失った。 こんな事態を引き起こしたのは東電の原発事故、決して許せない。 

 市の職員は震災後必死で復旧復興にむけて頑張ってきたが、いま100名を超える職員が早期退職を希望している。 その理由は子供の被曝を避けるための避難だったり、家族の介護などの事情もあるのだが、ストレスで多くの職員が精神的に参っている、つらい職務と市民からの心無い非難などで働き続けることが出来なくなっている人も少なくない。 というのです。 

 市は復興予算で今までの何倍もの仕事をしなければならない、ありがたいことに職員を派遣して応援してくれている自治体や、杉並区は5億円もの支援をしてくれ、いまも600人もの子供たちが募金を続けてくれているそうです。 今市民は生きる希望さえ失おうとしているが、希望なくしては人は生きられないし、決して希望がない訳ではない。 数兆円といわれる除染予算、これをゼネコンに渡すのではなく地元の雇用に生かす取り組みや原発をなくし新エネルギー基地として新たな南相馬市をつくりあげる、新しい形の職場をつくろうという取り組みもやれるのではないか。 世界に誇れる南相馬市の再生に力を合わせよう。 と結んだ市長に会場には静かな感動と共感がひろがったように感じられました。



  

Mr,100mSV これでいいの?講演会

2012-03-01 07:17:31 | 日記
 2月28日新地町で「放射線と健康について」と題する講演会があるというので参加してきました。 講師は福島医大の放射線健康管理学講座の宮崎真さんでした。

 福医大は「ミスター100ミリシーベルト」と世界的に有名になった福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一氏が副学長として県の放射線対策を担っています。
山下氏は事故当初から県内各地で講演を行いましたが、「100mSV/h以下では健康被害は確認できていないので心配要りません」、計画的避難区域に指定され全村避難した飯舘村でも講演で「この程度のレベルでは子供を外で遊ばせても大丈夫」などと発言し後に多くの批判を浴びました。 批判が大きく広がったことで山下氏が「私が言っていることは安全ではなく安心です」などと発言したことがさらに批判を拡大しています。

 このような対応は山下氏の方針でもあるのでしょうが、このような方をアドバイザーに任命した福島県がこの方向でやっていこうとしているのでしょう。 問題はこのような対応が住民の避難行動や子供たちの被曝を最小限に抑える対策を遅らせる原因になっていることです。
事故直後の13日には福島県にはスピーディによる放射能の汚染地図が届いていました。 文科省はこの情報にもとづき環境放射線量の測定を飯舘村長泥地区で行いその値が300μSV/hであることを把握しておりました。(YOUTUBEに検証委員会が文科省の委員に質問したものがアップされています。 朝日新聞の「プロメテウスの罠」にも掲載されました。 現在では単行本も発売になっています)長泥の住民は白装束の何者かが測定しているのを不信に思い彼らに質問し続けていたのですがその測定結果を知らされたのは1週間も過ぎてからでこの値を見た住民は高い値にビックリしたといいます。 いったい何のための測定なのでしょうか。 住民の命を、健康を守るためではなかったのでしょうか。 大変な税金を費やしてこの日のために準備されていたものが何の役にも立たてずに住民をただただ被曝させ続けるというのは犯罪です。 (文科省のホームページのSPEEDIをみてください、建前と現実の違いに怒りが爆発します・・・高血圧の方は要注意)。

 講演会の感想を書こうと思っていたのですが、話がだいぶ横道にそれてしまいました。 つまるところ今回の講演会もこの流れなのかなぁと感じたのです。



 これは数ページあった資料の中の1ページなのですが、このページを見ると言わんとしている内容が分かります。 政府や電気事業連合会、電力各社が原発について書いているホームページとほとんど同じです。 

  ①今までの生活の中でもこんなに放射線を浴びているんですよ。
  ②自然放射能でもとても高い国や地域があります。
  ③事故前より放射線量は高いですが100mSV/h以下では影響はありません。
  ④放射線の被害よりストレスや喫煙、食生活の影響のほうが大きい

などこれまで言い尽くされたことばかりです。 これらのひとつひとつのデータが誤っているなどというつもりはありませんが、正しい個別のデータでも組み合わせることによって全体として誤った認識を持たせることがあります。 このページ全体を見ると大体の人は放射線もそう心配しなくても大丈夫と思うのではないでしょうか。 しかし一方で放射能や放射線は確実に人間の細胞や遺伝子を傷つけます。 CTスキャンでは6.9mSVも浴びることが紹介されていますが、これは検査が必要な方の病気を見つける・治すためにやむなく甘受するリスクであって安全だから浴びるものでないことは明白です。 肺のレントゲン検査も日本ではほとんどの国民が健康診断で毎年1回受けていますが、医学的にはこの有効性が疑われています。 毎年レントゲン検査を受けたグループと全く受けなかったグループの間に死亡率の「有意な差」がないということが報告されているからです。 実際に病気が発見された方にとっては有意義なのですが、全体で見るとやってもやらなくても効果が見えないのです。 放射線を浴びることで増えるガンの発生率の上昇や検査にかかる費用が無駄になります。 これは周知の事実なのですが日本ではこの事業にかかわっている事業者や働いている人たちの雇用の問題などがあり継続されているというのが実態です。 この胸部X線検査の100倍を超える放射線を浴びてしまうCTスキャンも日本ではあまりに安易に実施されているために、医療関連放射線量を少しでも低減するための委員会もあってそこには山下氏も名を連ねているのです。 放射線被曝線量は出来る限り少なくしたほうがいいということが世界共通の科学的判断です。

 これらの資料を見て私がとくに問題じゃないかと思ったのはページ中央の「セシウム137の生物学的半減期と体内滞留」の部分です。 講師は若年のほうが代謝が早い、若年の方が滞留量が少ないことを説明しましたが賢明にもそれが健康にどう影響を及ぼすかについてはお話されませんでした。これだけの説明では「子供は放射線被曝に強い」と勘違いする方多いでしょう。 先生の生まれて数ヶ月のお子さんが比較的線量の高い地区(外で1μSV/h、屋内0.4μSV)で生活されている話と合わせるとなおさらですが、子供の放射線感受性が大人の数倍あることを否定する専門家はいないのではないでしょうか。 データは正しくても使われ方によっては誤解を生んでしまいます。 これが故意でないことを願うばかりです。

 もうひとつ気になったのは小学生などが付けているフィルムバッチです。 生活の中でどれだけの放射線を浴びているかを調べるもので、この前高線量を示した児童の住宅を検査したところ建物の基礎に使用されていたコンクリートが原因だったことが判明し話題になりました。 このフィルムバッチなんですが、結果報告される被曝量はバックグラウンド(自然放射線を引いた値だということです。 もともとあった線量は引いておきましょうということですが、フィルムバッチの仕様ではそういう使い方になっているのでしょうが子供にわざわざフィルムバッチをつけさせたのは実際に被曝した線量を知るためなのですから検査結果から一律にバックグラウンドの線量を差し引いてどんな意味があるのでしょうか。 国のいう1mSV/hがバックグラウンド線量を差し引いた目標なので1.5mSV/年(この資料から)の値がプラスされるのがいやなのでしょうが、体が放射線から受ける影響は自然放射線+事故によるもの+内部被曝によるものなどの足し算なので健康を規準にすればすべての線量を合計した値にすべきでしょう。(ちなみに電気事業連合会のHPによると日本人は医療被曝などが他国より多いので平均3.4mSV/年位だという)

被曝線量と安全基準については専門家の間では議論のあるところですが大量の放射能を撒き散らした事故が起きてしまった今、低レベル放射線被曝の影響云々を議論しても仕方ありません。 武田教授が主張されているようにこれまで日本の法律や国際放射線防護委員会が決めていた一般人の被曝線量 1mSV/年が最も妥当な値ではないでしょうか。 世界の専門家が長年議論し諸説ある中で直線閾値なしモデルが結果的に支持されており、そこから安全率を見込んでこの値までなら犠牲を甘受しようと決めた値なのです。 これは日本政府も専門家の方々を集めて十分議論して1mSV/年と決めていたわけですから科学的にも政治的にも妥当な数値であることは論を待たないでしょう。 国・県・市町村はこの1mSVをどう達成し住民の被曝を最小限に抑えるために全力を集中すべきです。