ここでちょっと休憩

ビーチリゾートが大好きな私の旅行記

千羽鶴

2009-03-26 | English

英会話の先生から、メールがやってきた。

 

 少しの間、レッスンを休ませてほしい。

 家族に緊急事態が起こって、おうちに戻らないといけない。

 

 電話をかけて事情を聞いてみると、叔母さんが癌で難しい状態になっていると

 言う。

 

 彼は日本語学校に通いながら、日本の大学院を目指している。

 プライベートカフェレッスンで生活費を賄っている。

 彼の口から、生活が苦しいと聞いたことは無かったが、察する事は出来る。

 

 私には彼と同じ年の年の離れた弟がいる、そのせいか?

 それとも、関西人のおばさんは東京にお嫁に来ても、”おせっかいなおばさん”

に見事に成長を果たしたのか?

 開口一番口にしていた。

”Do you have money? Can you get a ticket?”

 彼は、ルームシェアしている友人に少し、お金を借りたらしい。

 

 私は、平日レッスンを受けた事は無かったが、彼は帰国するまでの一日を使って、レッスンを受けることによって、彼の旅費の足しにでもなればと、急遽レッスンをお願いした。

 

 彼は、げっそりとしていた。

”僕は、どうしたらのいいの?お医者さんでも無い、医学の知識があるわけでもない?僕は叔母さんに何がしてあげられるんだろう。昨日一生懸命考えて、今日一日千羽鶴作ってたんだ。一つ手伝ってくれますか?”

 そう言った、彼は折り紙を私に差し出した。

 私がカフェに来る間も、一人で鶴を折っていたようだ・・・・

 

 二人で、一つづつ鶴を折った。

”なんで、千羽鶴なんだろう?

 調べたけど解らなかった。

 でも折っていると、少し解ったんだ。

 叔母さんのことを一生懸命、想ってた。

 鶴を折るって、想いを籠める行為なのだなぁ。

 そして、すごく、静かなんだ。

 早く、帰りたいのに、帰れなくて・・・いらだったり、不安だったけど。

 静かに時間を過ごす事が出来たんだ。

 千羽折れるかな・・・?”

 

 ”千羽無くてもいいのよ、数字は重要じゃない。

 あなたの想いが大切なの”

 

 ”私達も、あなたに何かしてあげたいの。あなたの大好きな日本人の伝統的

 なやり方を考えたの。”

 

 よしおさんと考えて、お見舞い金をきちんと、お見舞いのし袋に入れて。

 きちんとお名前を書いて渡した。

 

 ”どんなメッセージか、見てもいい?・・・なんで?”

 お金を見て、びっくりしてた。派手なメッセージカードだと思い込んでいた。

 

”日本のよい、文化よ。日本人なら、当然の行為よ。”

 

”僕はどうしたらいいの?”

”あなたは、おばさんの所に行って、彼女に沢山あなたの力を渡してあげて、

 あなたに会えて嬉しくなったら、体も少し楽になるかもしれない。

 彼女を抱きしめて、あなたの力を分けてあげて。それでいい。”

  

 テーブルには、のし袋と色とりどりの鶴。

 私は、当たり前だった日本の文化を、改めて感嘆の思いで見つめ直した。

 

 ひとしきり、二人で静かな涙を流した後の3時間後・・・・

 

 私達は、関西人のおばちゃんのように今度は、裸のお金を押し相撲。

 

 ”あかん、ちゃんとレッスン料払う。3時間もあなたの時間を使ったんだから、

 受けっとって”

 ”だめだよ、僕は、あなたと話せて心が楽になって、すごく幸せになって、

 レッスン料なんか、もらえない”

 

 英語と関西弁どっちが勝つか?

 もちろん、関西人のおばさんに勝てる訳が無い。

 

 なんだか、ちょっと素敵な恋の始まりのようなストーリにも思える?

 残念ながら彼はゲイです。 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿