ラチャ・ヤイ島はプーケット本島から12マイル南、プーケットのチャロン湾の桟橋からスピードボートで約40分。
プーケットでは楽しめない、海の青さとシュノーケリングを楽しみにデイトリップに
訪れる人や、ダイバーには立地の良い場所。
しとしと雨の中、スピードボートに。
この間の写真は一枚もありません。
鞄の中に忍ばせておいた、ビーチサンダルに履き替えて、高いヒールは鞄の中に。
事前チェックで、スピードボードから到着する先は浮桟橋との事。
この靴の変更は全てにおいて正解でした。
スピードボートに乗り込む際には、橋からヒョイと乗りこまなくてはいけない。
なんでも、水滴が付くと滑りやすいもの、安定感のある靴で、すべりにくく、濡れても
気持ち悪くないビーチサンダルは、最上の履物となった。
ボートに乗り込むと、ライフジャケットと雨合羽が渡された。
もちろん、気まじめな私達。ライフジャケットを着込んで、上から雨合羽装着。
そして、大人しく、きちんと着席。すっごく、いい子に。
なぜなら、私は、シンガポールからビンタン島に行く時もこんな、悪天候で・・・
気持ち悪くなったり、怖くなった経験があるから。
海はいつでも、表情を変える。悪魔にも、天使にでも変身出来る事を経験しているから。
”ギュイーン”と言う音と共にスピードボートは出発。
走り始めるとともに、写真を撮ろうとしていた外国人はあわてふためき、デジカメ
をしまい始める。
その瞬間、高波がボートのあたり、ボートの中に海水侵入。
私達の足元も濡れそぼる。
雨脚も強くなり、ビニールシート―でカバーされているが・・・どんどん濡れそぼる
私達。
ようやく、デジカメをしまったゲストは・・今度はあわててビニール合羽を・・
実は準備万端で出発した私達ですら、まさかこんなすごい事になるなんて思ってもいなかった。
怖い・・・・
ボートは波で右に左と揺れ。
そして、上に下へと落ちる。
揺れている時は、まだましだ。
上に持ち上げれて、落ちる時、落差は2メートル程なんだろうが、
豪華な30人程度がのれるスピードボートが。海に叩きつけれるように落ちる時、
思わず、声が漏れる。
はじめは、みんな遊園地のアトラクションの如く、”わぁおー”っと楽しんでいた。
臆病者の、私達は口を開いた瞬間 舌を噛まないように・・・・じーとしてる。
なにが、怖いって・・・他の船を見ることだ・・・
船が木の葉のように海にもてあそばれ。。。傾く姿・・・
あっ、転覆しちゃう!!って程傾けられているのだ・・・
あー大丈夫なんだ、船ってよく出来ているのねぇなんて、感心したり。
キャプテンが波を見ながら舵を取る姿、まっくろに日焼けした姿に、白いマリン
がよくお似合い。
そこから見える、筋肉の動きが見える腕も。
すばらしい、ふくらはぎの筋肉も きゃーかっこいい!!
なんて、思う余裕もありますが・・・
でも、楽しいクールージングなんて言葉はありません。
まだ?
まだ?着かないの?
真黒な雲が山に見えて、もうすぐだ!って勘違いして、そうじゃないらしいと分かって
落胆したり・・
だんだん、お腹がおかしくなってきた。
私のお得意の緊張性下痢。満員電車で、お腹がおかしくなってきて、
そのまま我慢して立っていると、貧血状態になる。
今は座っているから大丈夫、大丈夫と言い気利かせる。
実際この下痢状態は、電車から降りるとおトイレ行かなくても大丈夫なんだから。
よしおさんと手をつないで、二人でにこりと笑顔を浮かべ合う。
お互いに大丈夫だよと、安心させ合う。
だんだん、誰も歓声を揚げ無くなり、波の音とエンジン音だけの船内になる。
お天気の良い日はオープンにされ、雨の日はビニールシートで覆われる。
周りはよく見えるし、そしてシートの間からは、雨と海水が入ってくる。
自然を満喫だ。今日はしたく無い。
足を踏ん張って、体を安定させて、ギュッと握りしめていた手も痛く。
体中が、悲鳴を上げ始めた頃。
ようやく、島が見えた。
”あーあと10分長かったら・・もどしてたかも・・・”
ぎゅっと力を入れてたせいか?年のせいか?
ぎこちない動きで船を降りる。
しかし、その前に
”キャプテン、今日は大変だったでしょう?ありがとう。
私達の命を守ってくれて”
しっかり、キャプテンと握手。
もちろん、キャプテンの指はちゃんとチップを受け取れるように軽く曲げられてる。
にっこり、笑って、右手の指は軽くチップを挟んでも、目の前に手を合わせて、
”コップンカァー”
キャプテンにとっては、この時期の航海は、座って運転出来ないだけで、大した
大仕事では無いのだろう。
そして、私が思っているほど大変じゃなかったんだろう。
私は、ポケットに忍ばせた、チップを全部渡した程だったが・・・
キャプテンの手はさらりと汗ばんでもいなかった。
よたよたと、浮桟橋を歩く私・・・・
スタッフの女性がさっと私の腕を掴んでくれて、エスコートしてくれた。