犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ヘボン式ローマ字

2024-05-15 21:46:58 | 言葉
写真:ジェームス・カーチス・ヘボンさん

 ヘボン式ローマ字ヘボンは、人名に由来します。

 ジェームス・カーチス・ヘボンというアメリカ人の名前です。

「ヘボン」という名前、珍しいなあ、と思って英語のつづりを見ると、

 James Curtis Hepburn

 Hepburnは、女優のオードリー・ヘップバーンの姓と同じ。

「ローマの休日」などに出ていた往年の名女優ですね。

 ヘボンさんは、Hepburnのカタカナ表記として、「ヘボン」がよいと判断して、みずからそのように書き記していたそうです。

 ハンバーガーのマクドナルド/McDonald's は、音節(シラブル)で区切ると、

Mc・Don・ald's となって、3音節。

 カタカナでマクドナルドと表記すると、マ・ク・ド・ナ・ル・ドで6拍(モーラ)になります。

 アメリカ人は、「マクドナルド」のカタカナ音が、 McDonald'sからかけ離れていると感じるようです。

 同様に、Hepburnを音節で区切るとHep・burnで、2音節。

 カタカナのヘップバーンは、ヘ・ッ・プ・バ・ー・ンで6拍。

 ヘボンのほうは、ヘ・ボ・ンで3拍。

 ヘボンさんは、「ヘップバーン」より「ヘボン」のほうが、原音/hé(p)bɚ(ː)n/に近いと感じたのでしょう。

 ヘボンさんは、もともと医師で、米国長老派教会の牧師でもありました。

 幕末に来日し、横浜で医者をしながら、聖書の日本語訳をしたそうです。

 1867年には、日本初の和英辞典である『和英語林集成』を編纂。そこでラテンアルファベット(ローマ字)を使って日本語を書き表したものが、後に「ヘボン式ローマ字」の名で知られるようになったということです。

 訓令式(学校教育などで採用)とヘボン式を比べると、以下のような違いがあります。

し(shi/si)/じ(ji/zi)

ち(chi/ti)/ぢ(ji/di)

つ(tsu/tu)/づ(zu/du)

ふ(fu/hu)

しゃ(sha/sya)/しゅ(shu/syu)/しょ(sho/syo)

じゃ(ja/zya)/じゅ(ju/zyu)/じょ(jo/zyo)


 そのほか、撥音(ん)は訓令式では常にnで表記するが、ヘボン式では後ろにp, b, mが続くときにはnの代わりにmで表記するという違いがあります。

新橋(Shimbashi/Sinbasi)



 ローマ字は、外国人用の地名・人名表記に使われますが、実は日本人にとってもよく使われているのではないでしょうか。

 それは、ワープロ/パソコンの日本語のキーボード入力で、ローマ字・かな変換を使う人が多いからです。

 最近のスマホ入力では、かなの直接入力がふえているかもしれませんが。

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