差し入れ

　妻が入院しているリハビリ病院は、食事制限のない患者への食べ物の持ち込みが自由。

　もちろん病院食はカロリーや栄養バランスがよく考えられている出されているはずなので、みだりに食べ物を持ち込むことは望ましいことではありません。

「コンビニでサンドイッチ買ってきてくれる？」

　私が面会に行くときに、妻から所望されました。

「朝ごはん、パンも出るでしょう？」

　入院時、朝ごはんで週２～３回はパンも選べると言われたので、そのようにお願いしたはずでした。

「出るけど、おかずは変わらなくて、ご飯のかわりにロールパンがでるだけだから…」

　洋食の朝ごはんというわけではなく、しゃけに味噌汁にロールパン、ということのようです。

　それはかわいそうだ。

「駅前にパン屋があるから買っていくよ」

　妻には、毎日のように見舞い客が来ては、果物とかお菓子を持ってきてくれます。

「甘いものは飽きちゃったから、同室のおばあさんたちにおすそ分けしてるの」

「ちゃんと看護師さんに確認したほうがいいよ、食事制限があるかもしれないから」

「そうね」

　つい2か月前は、死線をさまよっていたというのに、贅沢な話です。