犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

クレイジーな結婚式

2017-09-15 23:23:22 | 大阪暮らし

 7月に神前結婚式を挙げた長女が、今度は千葉県で人前(じんぜん)結婚式を挙げるんだそうです。

 こういうの、流行っているんでしょうかね。

 最初の結婚式は岩手県で、家族だけしか呼べなかったので、今度は友達を中心に呼ぶんだとか。千葉県の土気(とけ)という田舎にある大自然に囲まれた施設だそうです。

 招待状には、

ピクニックの格好でお越しください。ストッキングは禁止です」

という、わけのわからないドレスコードがあります。ウェディングプランナーに頼み、奇を衒った結婚式を企画したらしい。その詳細は、家族にも事前に明かされませんでした。

 私たち家族は、それぞれ離れた所にいるので、前日移動。私は金曜日の東京での勤務が終わったあと、電車で千葉へ向かいました。4女は、残念ながら、ホッケーのリーグ戦が近いので不参加。

 当日、私たちはリハーサルのために会場に向かいました。会場といっても野原です。天気予報は雨かもしれないといっていたのに、晴天になって良かったです。

 すでにウェディングドレス姿の娘と、式のときに歩くコースや所作をリハーサル。先に披露宴をやって、そのあとに結婚式なんだそうです。普通とは順序が逆のような気が…

 控室に戻り、あらためて定刻に会場に向かうと

ビーチサンダルに履き替えてください」

という、謎の指示が。

 そして、足を3色のペンキの中に入れ、大きな布に「足形」をとらされます。

(だからストッキング禁止だったんだ)

 出席者がほぼ揃ったところで、プロっぽい司会者のもと、披露宴が始まりました。

 野原にしつらえられたテーブルは、親戚、長女の高校ホッケー部の友達、大学の獣医学部の友達、新郎新婦共通の少林寺拳法部の友達、勤め先の友達などに分かれています。みな、芝生の上にあぐらをかいています。

 料理、飲み物はブュッフェ式。

 長女の会社の上司があいさつ、少林拳の友達が乾杯の音頭をとって宴が始まりました。

 それぞれ、番号札が渡され、100人ぐらいの出席者が8チームに分かれました。

 ラジオ体操のような準備運動のあと、運動会のような催しが続きます。スプーン競争、むかで競争…。

 一画には、新郎新婦がこれまでに旅したさまざまな景色の写真が、大きく引き伸ばされて飾られていますが、説明がない。

 説明がない理由は、これが「クイズ大会」の答えの選択肢だったからですね。

 グループごとに、問題が出題されます。私のグループの「お題」は、「最も標高の高い場所の写真は?」というもの。

「わかった。ウユニ湖だ」

 新郎は登山が趣味で、雪山の写真も多く飾られていましたが、長女が行った南米ボリビアの塩湖、ウユニ湖には勝てないでしょう。

 写真の飾られている一画に走っていって、それらしき写真を探したが、ありません。

「これ、マチュピチュでしょう? これもかなり高いんじゃない?」

 私のグループの一人がそう言いながら、マチュピチュらしき写真をもってきました。

 しかし、そのあとの答え合わせでは、やはり正解はウユニ湖。しかし、別の問題の答えだと勘違いした別のグループがすでに持って行ってしまっていたのでした。

 披露宴は2時間を過ぎつつあります。

「ではみなさん。芝生に仰向けになって、目を閉じてください。そして静かに虫の音に耳を澄ませてください」

 いわれるがままに目をつぶって自然豊かな会場で目をつぶっていると、長女の幼いときからの成長過程が走馬灯のように蘇ります。

(ソウルにいたとき、ペルセウス座流星群がやってきて、夜、漢江市民公園の芝生に、家族全員で、こんなふうに仰向けになって、流れ星を眺めたっけ)

 やがて披露宴はお開きになり、隣接した「結婚式場」に移動。もちろんこっちも野原です。

 ここから、式に出席できなかった4女のために、スマホのスカイプで中継を始めます。

 私が娘をエスコートして、新郎に引き渡すという儀式。それに続いて、指輪の交換とか、新郎の母の手紙の朗読などのメニューが続きます。妻は、手紙のかわりに歌を歌う。

♫願うことはただ一つ 

どんなときも支えあって

笑顔絶やさずにいてね

パパとママとがそうだったように

これからは彼と一緒に 新しい歴史を刻む

あなたがくれた楽しい日々への

ありがとうがあふれ出す

この門出に拍手を送らせて

素敵な未来が待ってるように

私たちにとっては 今日が最高にうれしくてさみしい日 

YOUR WEDDING DAY 

あなたが選んだ人だもの 

きっと幸せになってね 

役目を終えた私たちから送るメッセージは 

心からの 「おめでとう!」♫

(竹内まりや「うれしくてさみしい日」)

 ここで、さきほどみんなが足型を押した布地が登場。これが「結婚証明書」だということです。宗教とは関係ない、「人前結婚式」のお決まりの儀式だそうです。

 新郎の父親、そして私が締めのメッセージを終えたあと、最後は出席者全員が手をつないで輪になり、フォークダンス(なつかしい!)風に踊りながら歌をうたってお開きに。


 こうして奇想天外な結婚式は大団円を迎えました。

 ちなみに、このクレージーなイベントを企画したウェディングプランニング会社の名前は、クレージー・ウェディングだということです。


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