犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

日本に勝ってコロナに負けた文大統領

2021-11-05 23:09:05 | 韓国雑学
 韓国の新型コロナウイルス感染症のワクチン接種完了率が、ついに日本を上回ったそうです。報道各社は嬉しそうに伝えています。

 朝鮮日報は、10月25日の統計サイト「Our World in Data」のデータをもとに、11月3日付記事で、「OECD加盟38カ国・地域のうち、韓国はワクチン接種完了率79.62%で8位にランクインした」と伝えています。韓国は、「日本を引き離し、フランス、英国、ドイツ、米国などの主要先進国を上回った」んだそうです。(リンク

 そして、順位を表すグラフを載せています。



 でも、この数字、ちょっとおかしい。

 日本政府が発表している「接種完了率」は11月1日時点で72.5%。韓国は11月3日時点で75.7%です。どちらも10月25日の「Our World in Data」の値をかなり下回っています。

 Our World in Dataの元データに当たってみると(リンク)、10月25日の日本の接種率は一回目77.2%、接種完了70.6%、韓国の接種率は一回目78.9%、接種完了70.4%

 朝鮮日報が掲げた数字は、「接種完了率(2回接種)」ではなく、「一回目の接種率」で、日本のデータは10月24日(77.0%)または25日(77.2%)、韓国のデータは11月1日(79.6%)だったのでした。

 一回目の接種率を「接種完了率」と偽り、なおかつ韓国の数字だけ新しいものに差し替えていたんですね。

 10月25日時点の接種完了率は、日本が韓国を0.2%上回っています。

 また、グラフではカナダと日本の間に「…」があって、「日本を引き離した」ことを視覚的に印象づけようとしています。でも、もし「…」が「省略」を表すのだとすれば、10位のカナダと11位の日本の間ではなく、11位の日本と17位のフランスの間に置かれるべきものです。ほほえましい小細工です。

 いずれにしろこの記事が載る直前の11月1日時点で、韓国の「接種完了率」は日本を抜いているので、大した違いはありませんが。

 もともと韓国は、PCR検査で先行し、「K防疫」などと言って世界中に自慢していた間に、ワクチンの手配で後手に回り、ワクチン接種率がなかなか上がりませんでした。

 でも、PCR検査が進まず、バカにしていた日本に負けたくないために、「一回目の接種率」を上げることに躍起になり、二回目のことを考えず、なりふり構わず一回目の接種を進めました。案の定、二回目用のワクチンが足りなくなり、長い間、一回目と二回目の接種率が不自然に乖離していました。

 そして、本来3週間間隔で打つことが推奨されているものを、6週間までOKとしたり、一回目と二回目で別のワクチンを接種(交差接種)したり(リンク)せざるを得なくなりました。

 これまでも、「日本に負けていない」ことを示すために、母数を変えるなどして数値を操作してきましたが(リンク)、ここにいたって、接種完了率でもめでたく日本を抜くことに相成りました。慶賀の至りです。

 でも、本当の敵は日本ではなく、コロナ19のはずです。

 肝心の感染者数は、11月2日に2667人、過去4番目に多い水準になっています(リンク)。でも、一足先にウィズコロナに移行した日本に負けられないとことでしょうか、そんな状況ではないはずなのに、11月1日からウィズコロナに転換しました。

 日本に勝っても、感染を抑えられなければ元も子もありません。

 韓国の報道によると、最近の感染者の多くがブレイクスルー感染(ワクチン接種完了者の感染)なんだそうです。

「10月31日のソウルの新規感染者646人のうち49.4%の319人がブレイクスルー感染事例」(ソウル市パク・ユミ防疫統制官、中央日報11月3日付

 ワクチン接種完了率で日本を上回っている韓国で、なぜ感染が止まらないのか?

 私は専門家ではないので、たんなる憶測ですが、これは韓国におけるワクチン接種の運用に原因があったのではないでしょうか。

 一回目の接種率にこだわるあまり、きちんとした裏付けがないにもかかわらず、接種間隔を守らなかったり、「交差接種」を行ったりしたことです。それでワクチンの効果が落ち、ブレイクスルー感染が多発しているのではないのでしょうか。

 韓国の大統領は、就任時に「歴史に名を残す大統領になりたい」というようなことをよく言います。

 文大統領も「歴史に名を残す」ため、朝鮮戦争の「終戦宣言」を出そうとして関連国に働きかけていますが、当の北朝鮮をはじめとして、米国、日本からも相手にされていない。

 このままコロナ19感染者数が減らない場合、「日本への対抗意識のために、コロナ19の対応に失敗した大統領」として歴史に名を残すことになるのではないでしょうか。

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1 コメント

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自画自賛 (bosintang)
2021-11-06 13:58:30
誤って、自分の記事に自分で「いいね!」を押してしまいました。取り消しができないのでそのままにします。
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