品川のミャンマー人が働いている居酒屋に、あらためて出直しました。
日曜日の夜だったため、前回よりも客は少なめ。厨房にいるミャンマー人も二人だけ。前回ホールにいたミャンマー女性はおらず、代わりに日本人の男性がいました。
「この店のお勧めはなんですか」
「そうですね。これがよく出ますよ」
日本人の店員が指さしたのは、激辛牛すじ煮込みなる一品。
「じゃ、ビールとそれください」
あたりを見回すと、どのテーブルにも牛すじ煮込みがありました。
「ここ、ミャンマーの方が多いですよね」
「ええ。私はいつも別の支店にいるんですけど、そっちにもミャンマー人がいます。なんでも、20年くらい前にここで働いたミャンマー人がいて、その人の紹介、紹介で、ミャンマー人が多くなったらしいです」
「牛すじ煮込みもミャンマー風ですか」
「いや、そんなことはないですよ」
出てきたのは、激辛の名にふさわしく、煮込まれた牛すじ肉が油ぎった汁の中で赤黒く光っています。とはいっても、さまざまな激辛料理に慣らされている私にとって、それほど辛いとは思えませんでした。
日本人店員の話では、ミャンマー風ではないという話でしたが、これはまぎれもなく、ミャンマー料理のアメーダーヒン(牛肉カレー)。
「ヒン」は日本のミャンマー料理屋ではカレーと訳されていることが多いけれど、おかず、または煮込み料理のこと。アメーダーは牛肉です。ミャンマー料理は油を大量に使い、「~ヒン」と称される煮込み料理は、上のほうに油の層が分離するほどです。この店の牛すじ煮込みがまさにそんな感じでした。使われている牛肉は、メニューによれば100%和牛だそうで、とてもやわらかくておいしい。
「ああ、そういえば、これがミャンマー料理です」
店員さんが指さしたのは、お店のまかない料理の残り。
「ミャンマー風の香辛料の入ったスープ麺なんですけど、材料はよくわかりません」
それで厨房内のミャンマー人に聞いてみました。
「それ、材料はなんですか」
「ココナッツミルクです」
「ああ、オンノウカウスェーですね」
「ホウッテー(そうです)」
お店の人がときどきマイクに向かってミャンマー語を話しています。二階にも席があるようで、前回見たミャンマー女性は二階のホール係をやってるのかもしれません。厨房内の、私の目の前にいたミャンマー人は無口であまり話がはずまないので、ビール2本を飲んで、席を立ちました。
ちなみに、「激辛」という言葉は、94年発行の三国(三省堂国語辞典)第4版にはなく、2008年発行の第6版にはあります。意味は、a味がとてつもなくからいこと。「-のカレー」、b評価がひどくてきびしいこと「-批評」。
「激」の似た用例として、「激安」もありました。ひどく安いこと「-の商品」
2014年の最新版では、「激-」という造語成分が立項されていました。
げき-【激】 (造語)[俗]はなはだ。たいへん。「-安・-やせ・-混み・-吸収タオル」
激吸収タオルって? 妻に聞いてみると、キッチンタオルで、油などの吸収がとてもいいやつがあるんだそうです。
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