僕が最も好きで、尊敬する漫画家の一人の横山光輝。彼の古書漫画をコレクションするのが趣味の一つで、これまでも『鉄人28号』、『伊賀の影丸』、『おてんば天使』などの貴重な古書漫画の初版本などを持っている。そんな中、また恐ろしく希少価値の高い『夜光島魔人』という作品の単行本をネットで見つけ、即購入した。状態にも寄るが、市場では30,000-50,000円くらいはする単行本である。独特の横山光輝タッチ満載な装丁・表紙を見ているだけでワクワクしてしまう。
『夜光島魔人』は、1960年から1961年にかけて約1年間、雑誌『たのしい四年生』に連載されていた漫画で、全200ページくらいほどの中編作品だ。現在読めるのが講談社漫画文庫の文庫本版と、今年6月にゲットした、アップルBOX版で、こちらは両方既に持っている。
そして、一番レアで入手困難なのが当時単行本化されたもの。しかしこれは殆ど出回っておらず、なかなか手に入らない代物なので、ゲットするのは恐らく難しいと長らく思っていた。しかしそんな中、なんとこの幻にも近い単行本が売られているのを発見してしまったのだ。それなりに高かったが、相場よりは安かったし、多少のお金を出してでも入手する価値がある作品。横山光輝漫画コレクターとしては是が日でも手に入れたいものだったので、今回入手出来たのは本当にラッキーであった。これも本当に出会いとタイミングである。
『夜光島魔人』のストーリーだが、映画を観た帰りに海岸を散歩していた山形武と三郎の兄弟は、叫び声を聞いて駆けつけると、そこには男が横たわっていて、『夜行島』と言い残して息絶える。また、海上にアカエイのようなものが飛んでいるのを見る。事件を警察に通報したあと帰宅した兄弟は、見たものを確認する為、アカエイを撮影した赤外線カメラのフィルムを現像してみるが、そこには確かにアカエイが写っており、改めて兄弟は警察に報告。しかし、担当の刑事が来るのを待っている間に、兄弟の家はアカエイに襲われ、フィルムは奪われてしまう。そして二人は刑事と共に、『夜光島』探索を始めるのだったが、『夜光島』を基地にするアカエイとそれを操る組織の手によって捕えられてしまい、島の地下工場で働かされることになってしまう。果たして、『夜光島』とは一体なんなのか、またアカエイを操る組織の黒幕は誰なのか?というのが大まかなあらすじである。
今回入手した単行本版は昭和36年(1961年)に出版された初版本。もう62年も前だと思うとそれだけで凄い重みを感じてしまう。さすがにかなり痛んでいるし、各ページに染みや汚れも結構あるが、それでもカバーも付いた状態で保存されているものはそうたくさん出回っておらず、これはかなり貴重である。前半のカラーページを見ていると、娯楽がまだ少なかった当時の子供たちが、夢中読んでいた姿が想像でき、何だかワクワク感や臨場感が伝わってくる。そして夢中で読めるのは、巧みな横山光輝のストーリーテリングにも寄るものも大きい。
それにしても、今回またまたレアで貴重な横山光輝遺産をゲットすることに成功したが、これからコレクションとして大切に保管していきたい。