10月から始まったクールもドラマを観まくっている。今観ているドラマは、『Silent』、『Sister』、『アトムの童』、『クロサギ』、『親愛なる僕に殺意をこめて』、『PICU』、『トラベルナース』、『ファーストペンギン』、『祈りのカルテ』、『君の花になる』、『エルピス』、NHKドラマストリーム『階段下のゴッホ』、NHK夜ドラ『つまらない住宅地のすべての家』、NHK朝ドラ『舞いあがれ!』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。。。なんと15本のドラマを観ているのだ。
今回、『親愛なる~』、『Silent』、『PICU』、『エルピス』の4本を放送しているフジテレビがかなり元気だし、頑張っている。ここ長らくドラマは日テレかTBSが強かったが、今回はフジの異様なまでの健闘が目立つと言える。NHKは相変わらず安定の4本。特に今回の朝ドラ『舞いあがれ!』は、翼に乗せて毎朝爽やかな風を運んでくれる。
そしてこの15本のドラマの中でも、今クールで一番楽しみにしているドラマが『Silent』だ。川口春奈とSnow Manの目黒漣の2人が共演という、何とも爽やかな組み合わせだけでもワクワクするが、物語(脚本)が何とも秀逸で、毎回号泣してしまう展開が話題を呼んでいる。
物語は高校生の時に病気で急に耳が聞こえなくなってしまった青年、佐倉想を目黒漣が演じる。当時好きだった青羽紬(川口春奈)を悲しませたくないと、当時の友達全てと離れ、聴覚障害者として新たな人生を生きて行くと決めるが、ある日紬と再会してしまい、また心の歯車が動き出す・・・・・。手話でコミュニケーションをとる聴覚障害者のドラマと言えば、あのトヨエツと常盤貴子の名作ドラマ、『愛してると言ってくれ』を思い出すが、今回こういったドラマは久しぶりだろう。
そしてこの『Silent』だが、脚本が実に巧みだ。ただ単に物語が時系列で進行していくわけではなく、物語は過去に少し遡ったエピソードなども織り交ぜながら、実に丁寧に、そして静かに関係者の物語が展開されていくのが印象的。心の機微を実に細かく描いていく間合いテクニックが素晴らしく、また目黒漣を始めとする俳優陣もかなり好演していると言える。
ドラマは毎回感動的な展開になり、まさに涙腺崩壊である。ドラマが始まった当初は、再会で心が激しく揺り動かされる紬と、耳が聞こえなくなってしまっていた想の哀しきエピソードで号泣。そして、その後は、紬のことが好きだった同級生の戸川湊斗(鈴鹿央士)の哀しい物語なども展開される。理由も告げずに想の前から消えてしまい、深く傷ついていた紬をそれからそばで3年間優しくサポートし、そしてついには紬と恋人同士になっていたのだが、高校時代愛していた想と再会してしまった紬と、そんな2人の思いを、そばで昔から見ていて一番良く知っている湊斗が、紬と哀しき別れを決意するシーンなどでまたまた感情移入してしまい、涙腺崩壊。想の家族や、紬の弟を演じる板垣李光人なども好演。他にも、手話教室の先生を風間俊介が演じている。
耳が聞こえなくなってから想が唯一友達となった桃野奈々(夏帆)という、同じくろう者の存在が登場するが、更に先週放送された第6話では、この奈々と想のエピソードがメインにフィーチャーされ、想のことが好きになっていた奈々の切ない恋模様で、またまた涙腺崩壊!特に奈々演じる夏帆が本当に素朴でいい演技をしており、その名演技で観るものの涙を誘う。ろう者は手話を使う為、なるべく両手をふさがず行動する必要がある為、通常はショルダーバッグや、リュックが多い。しかし、奈々はお店のショーウィンドーで可愛い小さなブルーの手提げバッグを見つけてしまう。この青いバッグも、青羽の青を象徴しているようで比喩的だが、そんな青い小さなバッグを手に持ち、スマホを耳に当てて想とデートするような妄想シーンなども描かれ、何とも涙を誘う。実にきめ細かくて素晴らしい脚本である。
そして涙腺崩壊を決定付けるのが、ドラマ主題歌であるOfficial髭男dism (ヒゲダン)の『Subtitle』。毎回ラストの感動的なシーンで畳みかけるようにこの曲がかかるのだが、何とも切なく感動的なヒゲダンらしい名曲がまた新たに誕生した。
ドラマも折り返し地点を過ぎたが、これからの想と紬の、恋の展開を楽しみしたいし、奈々も湊斗も幸せになってくれるような、みんなのHappy Endを願いたいものである。