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エディー追悼: Van Halenの魅力を振り返る

先月、世界のギタリストやファンから惜しまれつつ亡くなったエディー・ヴァン・ヘイレンを追悼する意味で、僕の好きなVan Halenのアルバムを3枚紹介したいと思う。



Van Halenは1978年にデビューし、1980年代に一世を風靡したハードロックバンド。コアなハードロックファンは、既にVan Halenのデビューからの5枚のアルバム(Van Halen I, II, Women & Children First, Fair Warning, Diver Down)から熱狂し、エディーのギターテクニックに痺れていたものだ。



1) アルバム『1984』
しかし、ハードロックファンだけではなく、広くVan Halenが認識されて一般的に知名度が一気に広まったのは、やはり1984年にリリースされたアルバム、『1984』だろう。マイケル・ジャクソンの『Thriller』や、マドンナの『Like a Virgin』、プリンスの『Purple Rain』などが大ヒットしていた当時の眩しい音楽業界においても、このVan Halenの『1984』はしっかりと歴史にその爪跡を残した名盤となった。



まずはこの『1984』だが、アルバムジャケットのイラストが、羽の生えた天使(赤ちゃん)が、たばこを吸っているのだ。これが当時何とも反抗的でカッコいいジャケットであった。今ならすぐにコンプライアンス問題に発展しそうで、恐らく許可されないイラストだ。

そしてこの『1984』が大ヒットした理由としては、やはりVan Halenの代表曲となった、『Jump』が収録されていたからであろう。シンセをメインにフィーチャーした『Jump』は当時あまりにも斬新で画期的であったし、それまでハードロックでギター一辺唐ナあったVan Halenのサウンドに、美しいシンセのメロディーと融合したというのが衝撃的であった。これ以降、シンセの起用が80年代のロックやャbプスにも多投されるようになり、一つの大きなトレンドの流れを作ったと言っても過言では無いだろう。シンセで言えば、その後A-haの『Take On Me』で更にブームを巻き起こすのだった。



改めて名盤『1984』をじっくり聴くと、まずはシングル曲が素晴らしいことに気が付く。アルバムには『Jump』以外にも、王道のハードロックサウンド『Panama』、そしてエディーの天才的なギタープレイが満喫出来る『Hot For Teacher』など、どのシングルヒット曲もバンドを代表する作品となった。特に世の中のギター少年は『Hot For Teacher』には痺れたに違いない。

アルバム『1984』収録曲
1) 1984
2) Jump
3) Panama
4) Top Jimmy
5) Drop Dead Legs
6) Hot for Teacher
7) I’ll Wait
8) Girl Gone Bad
9) House of Pain

そしてシングル曲以外も、かなり多彩且つレベルが高い。中でも『Jump』同様にシンセを使ったメロディーが印象的な『I’ll Wait』、エディーのギターが堪能出来る隠れた名曲『Girl Gone Bad』も甲乙つけがたいくらい素晴らしい。全9曲の構成で、しかも1曲目のタイトル曲『1984』は短いイントロ曲ということを考えると、実質全8曲という何とも潔い曲数のアルバムなのだ。

2) アルバム『5150』
Van Halen最高のアルバムは、やはり『1984』だとは思うのだが、個人的には1986年以降、サミー・ヘイガーをボーカルに迎えてからの新生Van Halenのアルバムも結構好きなものが多い。中でも名盤だと思うのは、1986年にリリースされた『5150』、そして1988年にリリースされた『OU812』。共に、暗号のようなアルバムタイトルとなっているこの2枚はエディーのギタープレイが冴えわたる曲あり、『Jump』を彷彿とさせるシンセを使った名曲もあり、とても素晴らしいアルバムとなっている。



まずは『5150』だが、当時アメリカに住んでいた時、発売と同時にこのアルバムのカセットテープを購入したのを今でも鮮明に覚えている思い出深いアルバムだ。ジャケットもなかなかカッコいいのだが、デイビッド・リー・ロスと決別した後最初のアルバムで、しかもそれまでソロとして多少名前が知られるようになって、シングル『I Can’t Drive 55』という曲をリリースしていたサミー・ヘイガーを新たにボーカルとして迎えた作品として、ファンの注目もかなり高い作品となった。色々と賛否はあったと思うが、結果的には大ヒットアルバムとなり、サミーもVan Halenの一員としてしっかり認知されたアルバムとなったのだ。

アルバム『5150』収録曲
1) Good Enough
2) Why Can’t This Be Love
3) Get Up
4) Dreams
5) Summer Nights
6) Best of Both Worlds
7) Love Walks In
8) 5150
9) Inside



このアルバムからは、まず先行シングル『Why Can’t This Be Love』が大ヒット。これは気持ちエディーのギタープレイは抑えめの曲となったが、サビのメロディーがハードロックの域を超えた見事なャbプスとして昇華されており、Van Halenの代表曲となった。そして、続くシングル『Dreams』は、シンセを使ったとても美しい名曲。エディーの早弾きギターテクを楽しめるのは『Good Enough』と『Hot for Teacher』を若干彷彿とさせる『Get Up』だろう。個人的には『Summer Nights』と『5150』でのギターも結構好きである。

3) アルバム『OU812』
1988年にリリースされたサミー参加第二弾のこのアルバムは、まるでビートルズかのようなVan Halen 4人の顔写真だけというシンプルなデザイン。一方でタイトルのOU812とは、『Oh, you ate one, too』という意味なのだが、デイビッド・リー・ロスがソロ2枚目のアルバム『Eat’Em and Smile』に対する対抗心から付けた面白いタイトル。



アルバム『OU812』収録曲
1) Mine All Mine
2) When It’s Love
3) AFU (Naturally Wired)
4) Cabo Wabo
5) Source of Infection
6) Feels So Good
7) Finish What Ya Started
8) Black and Blue
9) Sucker in a 3 Piece
10) A Apolitical Blues

この曲を聴いていた1988年は、ちょうどアメリカでハイスクールを卒業して、日本の大学に入学した頃にヒットしたアルバムでとても印象に残っているが、一見地味ながらも実は結構ヒットしたアルバムだ。前作『5150』は、若干荒削りながら、それが返って勢いを感じさせる意味で魅力に満ちたアルバムであったが、こちらの『OU812』では、サミーとの連携も増して、アルバム全体としてのクオリティーは更に高まった作品であり、またアコースティックギターなども使ったことで、ブルース的な魅力も新たに加わった作品としてとても好きな一枚だ。



まずはこのアルバムで一番有名なのがシングル『When It’s Love』。『Jump』、『Dreams』に続く美しいシンセの王道バラードであり、とても美しいイントロのメロディーが耳に残る名曲。そして、『AFU (Naturally Wired)』と『Source of Infection』の2曲は、あの『Hot for Teacher』のような疾走感のある曲で、エディー天才的な早弾きテクニックを満喫出来る傑作である。そして、ブルース的で結構好きなのは『Finish What You Started』。Van Halenの曲の幅が広がった名盤となった。



他にもVan Halenの素晴らしいアルバムはあるのだが、僕はやはりこの3枚のアルバムがなんと言っても好きだ。デイビッド・リー・ロスと組んだ集大成で、Van Halenの人気を決定付けた『Jump』、サミーを迎えてもVan Halenは健在だということを証明した、勢いとエネルギーに満ちた『5150』、そしてサミー時代の中での偉大なる野心作『OU812』。それぞれ、Van Halenとして大きな転機となった名盤たちを改めて聴いていると、エディーの天才ギタープレイの様々なバリエーションや、シンセバラードの変遷などを聴き比べる楽しさもあって感慨深い。そして、聴けば聴くほど、エディーが既にもうこの世にいないことが悔やまれ、なんともやるせない気持ちがこみ上げてくる。このVan Halenの魅力が詰まった3枚のアルバムをこれからも大切に楽しんで行きたい。

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