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横山光輝の名作、『魔法使いサリー』!

僕の尊敬する漫画界の巨匠“手塚治虫”と、漫画界の鉄人“横山光輝”。この二人の偉大なる漫画家の作品が大好きでコレクションしていることはこれまでにも何度も取り上げてきたが、今回は横山光輝の大人気少女漫画、『魔法使いサリー』を取り上げてみたい。





それまで横山光輝は多くの少女漫画を描いてきたが、どちらかと言えば巨大ロボット漫画のパイオニア『鉄人28号』や『ジャイアントロボ』、忍者漫画で一世を風靡した『伊賀の影丸』などが有名だが、1967年に連載を開始した『魔法使いサリー』で、少女漫画としても大きな金字塔を打ち立てた。これは一般的に1964年に米国での放送が開始されていた『奥様は魔女』、1965年に放送開始となった『可愛い魔女ジニー』の魔女ブームを日本に持ち込んだ動きとも言われているのだが、実はこれら米国ドラマが入ってくる前の1963年に、横山光輝は『ちびっこ天使』という、サリーちゃんの前身となる漫画を既に制作していたというのは驚きだ。



話をサリーちゃんに戻すが、『魔法使いサリー』は1966年の7月から集英社の少女漫画雑誌『りぼん』に連載が開始された。そしてその年の12月から、アニメ版の放送も開始となり、東映動画の魔法少女シリーズ第一弾として大ヒット(その後、『ひみつのアッコちゃん』や『魔女っ子メグ』などに繋がっていく一連のシリーズにおける記念すべき第一作である。






この魔法使いサリーのアニメは、僕もその昔再放送か何かでかなり見た記憶があり、少女アニメと言っても男性でも楽しめる内容でとても好きだったのを良く覚えているが、漫画版も大好きで、これまで発売された4つの異なる単行本バージョンを持っているので紹介したい。

まずは一番古いのが、1980年に翠陽社から発売された『魔法使いサリー/グランドコミックス版』。ハードカバー仕様で、表紙のレトロ感がとても良い。一番入手困難で、高値で取引されるバージョンである。僕もこれは1980年当時に本屋で購入し、それ以来40年間大事に保管している貴重なものである。『りぼん』に連載された5話分を収録。



続いては、講談社が2004年に発売した、『魔法使いサリー/原作完全版』ハードカバー。翠陽社版に収録されなかった2話を加えた全7話を収録しているバージョンという意味で“原作完全版”となっているのだが、各話の区切りがされていないのがやや残念。



こちらは同じく講談社が2007年に発売した『魔法使いサリー/テレビ復刻版』ハードカバー。原作完全版の姉妹編となっており、テレビ放映と連動して描いていた『テレビコミックス』や雑誌『よいこ』などに連載された作品を収録しているという意味ではとても貴重な一冊。



そして最後にこちらが一番最近となる2014年に集英社から発売された『魔法使いサリー/カラー版』ハードカバー。講談社の原作完全版と内容は被っているが、当時カラーで連載されていた箇所がそのままカラー版として初収録しているという意味ではとても貴重であり、今現在でも一番手軽に入手可能なバージョンでもある。




漫画版の『魔法使いサリー』はとても面白い。今読んでも大変良く出来た作品で、横山光輝作品の中でも特に明るく、楽しい内容が強く印象に残る。僕は横山光輝の初期少女漫画もかなり好きで読んできたが、1959年に描かれた『おてんば天使』が特に大好きで、これは1977年に発売された全3巻の翠陽社ベストコミックスシリーズを持っている(現在では入手困難な作品で、古本市場ではかなりの値が付くタイトルだ)。この作品は魔女ものでは無いのだが、数ある横山光輝作品の中でも珠玉の名作で、善意とか、思いやりとか、大切なものが全編に溢れていて、何度読んでも感動の涙でいっぱいになる作品だ。そんな『おてんば天使』の流れを引いているのが『ちびっこ天使』であり、そして『魔法使いサリー』であると言えよう。



魔法使いサリーの原点でもあった『ちびっこ天使』、『魔法使いサリー』の4冊、そしてこれに加えサリーちゃんのアニメ放映から半年後の1967年7月から実写版ドラマとして放送が開始された『コメットさん』の漫画版も横山光輝が描いているが、こちらの原作完全版ハードカバーも保有している。この6冊は、横山光輝一連の魔女シリーズ作品なのだが、今改めて読むととても新鮮で面白い。



『コメットさん』は、実は異色な作品で、横山光輝の原作というわけではなく、実写ドラマがまずありきだったようで、それを横山光輝が『週刊マーガレット』に漫画版として連載したらしい。またこれが横山光輝最後の少女漫画作品となったことも特筆に値する作品である。『魔法使いサリー』とは少し毛色が違うのが面白いのだが、それでも横山光輝の漫画作品はどれも面白い。横山光輝作品はどれでもそうなのだが、ストーリーテリングの流れがとても自然で、絵のタッチも美しく、スピード感のあるなめらかなキャラクターの動きも見事であり、読み出すとグイグイと引き込まれてしまう。魔女シリーズはどれも個性豊かだが、それぞれを読み比べてみるというのもなかなか面白い楽しみ方である。

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