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最強タッグ復活!

2006-07-23 | music : favorite


Soul Asylumのニュー・アルバムがリリースされた5日後の7月17日、ミネアポリスが誇る最強タッグ・バンド、Golden Smogの通算4枚目(EP含む)のアルバム 『Another Fine Day』 が、Ryan Adamsでお馴染みのレーベルLOST HIGHWAYよりリリースされた。
こちらも実に8年ぶりのアルバムである。
バンド結成当時は覆面バンドとして、各々のメンバーの名前も伏せていたが、今ではその名も明かし、今年はツアーも行なっているれっきとしたバンド。
初期は元ReplacementsのChris Marsが居て、Big StarのJody StephensやHoneydogsのNoah Levyが参加したりして、始めた当初は気の合う仲間が集まってセッションし、遊び心満載の楽しんで作っちゃいました~的な部分があったが、どんどん知名度もバンドそのものも大きくなって行った。
今回のレコーディング・メンバーは、オリジナル・メンバーGary Louris、Marc Perlman(共に元The Jayhawks)、Dan Murphy(Soul Asylum)、Kraig Jarret Johnson(元Run Westy Run)と、途中参加のJeff Tweedy(Wilco)。
もうこのメンツを見るだけで、どれだけの実力派が揃っているか一目でわかる。
いやぁ、もうその完成度と言ったら脱帽もの。一曲目から唸らせる。
デビュー・アルバムのEPはオール・カヴァー・ソングだったが(レビューはこちら)、その後の2枚はネオ・カントリー寄りだったのに比べ、今回のアルバムはいろいろなテイストが散りばめられたアルバムになっている。
Marc Perlman以外全員がそれぞれリードVo.を取り、オルタナ・ロックあり、ポップな曲あり、Gram Parsonsを彷彿させるようなカントリー・ロックあり、The Jayhawksを思い出させるような切ない曲ありと、とても楽しめる。
私はKraigの温かい歌声が大好きなのだが、そのKraigがVo.のちょっダークなナンバーM-1 「You Make It Easy」 で始まる。
響き渡るギターの音色がアクセントの、勢いがあって軽快なラヴ・ソングだ。
GaryがVo.のアルバム・タイトル・チューン、M-2 「Another Fine Day」 では、ガラッと雰囲気が変わり、アコギとウーリッツァとピアノとディストーションの効かせたギターが絶妙に絡む。
M-3 「5-22-02」 は女性のバック・コーラスも入ったとっても可愛いらしい曲で、ほんわかしてくる。
彼らがハイ・スクール時代にガレージでセッションをしていた頃の感情が、溢れんばかりに湧き出てくると言うM-5 「Corvette」 は、とってもポップで疾走感のあるナンバー。
これまでに亡くした多くの友のことを歌ったもの哀しいM-7 「Listen Joe」 は、GaryとJeffのツインVo.が切なくハモる。
Soul Asylumでは殆んどコーラスに徹しているDanがVo.の M-9 「Hurricane」 や、KraigがVo.のM-11 「Frying Pan Eyes」 は力強いロック・ナンバーで、Marcのベースが軽快にズンズンと奥まで響く。
ハーモニカが印象的なGaryがVo.の M-12 「Gone」 は、愛と死を歌った切ないナンバー。
M-14 「I Can」 のハーモニーは絶妙。優しく響くスライド・ギターとキーボードの音色が心地良い。
全15曲、とても聴き応えのある楽曲ばかり。
JayhawksもRun Westy Runも解散してしまったので、是非このバンドでライヴを堪能してみたいものだ!

耳触りの良い音

2006-07-09 | music : favorite


Neil Young & Crazy HorseやBruce Springsteenと言った超大物と共演しているのにも関わらず、日本では殆んど知られていないLimbeckというバンド。
私はSoul AsylumやThe Jayhawks、Golden Smog繋がりで知ったのだが、とっても素晴らしい音楽を奏でるバンドだ。
このアルバムは、昨年リリースされた3rdアルバム 『Let Me Come Home』。
プロデュースは、元The JayhawksのGary Lourisと、Polaraというバンドのフロントマンであると共に、ソングライターとして、またGolden SmogやThe Replacementsなどのプロデューサーとしても、Minneapolisでは有名なEd Ackerson。
彼らの音楽はアメリカン・クラシックなカントリー・ポップで、JayhawksやWilco、Big StarそしてTom Petty辺りを彷彿させる。
ほのぼのと優しくて柔らかく、そして力強さもあってとても耳触りの良いサウンド。
そこにキャッチーなメロディが上手くミックスされ、更にシタールやウィンド・チャイムなどの楽器が入ったアレンジによって、バンド独自の味を出している。
暑い夏の日、夜風がほんのり涼しげに感じるような心地良さを感じる。
ジャケはちょっとインパクトに欠けるが、これは外箱で、中のジャケは木漏れ日溢れる木の下にリラックスした表情のメンバーが写っている。
パワー・ポップ好きにもおすすめだし、Jayhawks好きはチェックして損はないと断言できるアルバムだ。

試聴は、彼らのMySpaceで!

よりアグレッシヴに・・・

2006-06-29 | music : favorite


昨日、もう一枚買ったCD。Keaneの2ndアルバム 『Under The Iron Sea』。
先行シングルの 「Is It Any Wonder?」 をMySpaceで初めて聴いた時、“ん? これKeane?” とちょっとした驚きがあった。
私の中の彼らのサウンドのイメージは、夜にじっくり聴くのに相応しい、ピアノのメロディが綺麗で繊細な透き通ったイメージ。
そのイメージをいい意味で裏切るかのような、アグレッシヴな曲だった。
そして、アルバム全曲を聴いてみると、そこにはより一層エモーショナルでタイトな佳作が詰まっていた。
アルバム・タイトルが示すように、紺碧の深い海に吸い込まれ、身を委ねて漂っているような気分にさせられる。
繊細で美しいメロディはそのままで、サウンド面に変化が伺え、ストリングスのアレンジを壮大に取り入れたり、ピアノにエフェクターを繋ぐという試みを施した新しい音が印象的だ。
この上なく気持ちのいい透明感の 「Atlantic」 で始まり、Tom Chaplinの突き刺さるように透き通った歌声が、それぞれの楽曲の素晴らしさをより一層引き立たせている。
綺麗なバラードM-6 「Hamburg Song」 なんか、もううっとりしてしまうくらい美しい。
前作以上にバラードのメロディは更に美しさが増し、アップテンポな曲はよりアグレッシヴでハードになって、期待を遥かに上回るステキなアルバムを届けてくれた。
また、フィンランドのデザイナーが手がけたジャケットのアートワークも、音との相乗効果をもたらしている。
切り絵で作ったような、竜宮城みたいな御殿が深い海の底にあって、絵本さながらの夢のあるジャケだ。
彼らは今年、サマソニに出演。
残念ながら彼らの生のステージに触れることはできないが、きっと見終わった後の爽快感は、何事にも変えられないほど気持ちいいものになることだろう・・・。

ここらでUKな気分

2006-04-13 | music : favorite


しばらく投稿するのも聴くのもUSものが続いていたが、そろそろUKな気分が訪れてきたので、今日はとっても久しぶりにoasisを聴いた。
それも、私が所有する彼らのアルバムの中でもいちばん聴いている回数が少ない、97年の 『Be Here Now』 を聴いてみた。
とってもとっても新鮮だった。確か、このアルバムは彼ら自身もメディアも駄作としているアルバム。
しかし時が経った今、改めて聴いてみると、これはこれでアリなんじゃないだろうか・・・と思う。
確かに一曲一曲が長い。無駄に長い・・・。
ギターの音が容赦なく前面に出て、これでもか・・・というくらいに弾きまくっていて、アレンジも大袈裟だ。
でも、「Stand By Me」 と 「Don't Go Away」 と 「All Around The World」 が収録されているということだけで、これからも私はこのアルバムを聴いて行くだろう。
oasisの曲の中では、誰もが好きであろう 「Whatever」 や 「Don't Look Back In Anger」 のミディアム・バラードを、私はこよなく好む。
ロックン・ロール・ナンバーももちろん好きだけど、あのガツンと脳天ぶち抜かれた 『Morning Glory』 以上のロックン・ロールの魅力は、残念ながら現在もない。
Andyがメンバーに加わったことで楽曲に変化が生じたのは確かだし、それは確実にいい方向に流れていると思う。
ま、これからもこと彼らに関しては、波風立ったいろんなことが起こると思う。
昨年の 『Don't Believe The Truth』 のあとNoelは、この先5年はアルバムは作らない、と言っていたが、この兄貴がoasisを引っ張っている限り、良くも悪くも私達を期待と興奮に導いてくれるに違いないだろう。

全てがエレガント!

2006-04-09 | music : favorite


先日取り上げたToad The Wet Sprocket。
そのToadフロント・マンGlen Phillips。
Toadの頃から彼はとても紳士的で、知的な人というのが私のイメージで、ソロになってからは益々エレガントになり、そのルックスは、USのPaul Wellerと言った感じの、粋でカッコいいハンサムなミュージシャンだと勝手に思っている。(笑)
これは、昨年リリースされた彼のソロ作第2弾 『winter pays for summer』(ライヴ・アルバムを入れると3作目)。
もちろんルックスだけでなく、彼の作り出す音楽、歌詞、そして歌声は、とてもエレガントで優しくて温かい。
そう、もう、何もかも全てがエレガントなのである。
ソロになった直後は、アコースティック・サウンドのイメージが強かったが、このアルバムではToad時代にも通じるバンド・サウンドに目を向け、とても聴き易いハートフルな作品に仕上がっている。
そして、ゲスト・ミュージシャンの顔ぶれが豪華。
バッキング・ヴォーカルでJellyfishのAndy Sturmerが3曲、Ben Foldsが1曲、ギターでJon Brion(元JellyfishのJason FalknerのバンドThe Graysのメンバーで、Aimee MannやFiona Appleのプロデューサー)が2曲参加している。
他にもSemisonicのDan Wilsonや、Elvis Costello & The AttractionsのDrs.であるPete Thomasなんかも参加している。
決して派手ではないが、落ち着いた中に華やかさが際立つ、聴かせるサウンドで魅了してくれる。
そして、Toad時代よりもさらに磨きがかかった彼の独特の声に、ぐぐ~っと惹き付けられる。
ポップなM-1 「duck and cover」 やM-10 「finally fading」 は、単にポップというだけでは終らない、深みと華やかさがある素敵なナンバー。
M-2 「thankful」、M-6 「falling」 は、Andyのコーラスがハッキリとわかり、軽やかで思わず手拍子したくなり、聴いていて楽しくなる。
しっとりと聴かせるナンバー M-3 「courage」 やM-8 「true」 の叙情的なメロディ・ラインは、泣きそうになるくらい心にぐっとくる。
M-5 「cleareyed」、M-9 「easier」、M-12 「gather」 なんかは、Toadを彷彿させるようなサウンドで、聴き応え十分である。
ラストを飾るM-13 「don't need anything」 は、生ピアノをバックに歌い上げるとても美しいバラードで、ノスタルジックでどこか懐かしい気分にさせてくれる。

そんなGlenの歌声を、もうすぐ生で聴くことができる。
ソロ・アコースティック・ライヴが今月末にあるのだが、こじんまりとしたライヴ・ハウスでのライヴなので、エレガントな彼のステージを存分に堪能できるであろう。
アコースティックが似合う曲が多いし、新曲も聴けそうなので、とても楽しみだ。

 男も惚れる(?) handsome guy

a man among men

2006-04-01 | music : favorite


男の中の男。こう呼ぶに相応しい男、Paul Westerberg。
“Mr. ロックンロール・ダンディ” ・・・私は勝手に彼をこう呼んでいる。
The Replacements解散後、Seattleを舞台にグランジ・ミュージシャンを中心に描いた、キャメロン・クロウ監督の映画 『Singles』 の音楽を担当し、サントラにも2曲提供した。
そして、93年に発表された初のソロ・アルバムがこれ、『14 Songs』。
シンプルすぎるくらいシンプルで、何のてらいもないストレートなガレージ・ロック。
ほとんどの曲がギター・ベース・ドラムのみで、Saxやピアノを加えた曲が2~3曲あるだけ。
ハッキリ言って、ヒット・チャートを賑わすような曲はないし、これほどまでシンプルかつストレートなのは、時として何か物足りない感じがしたりする。
しかしこのアルバムには、エッジの効いた突き抜けるロックンロール、どことなく懐かしい気分にさせてくれる古き良き4ビート・ロックンロール、セピア色の記憶が甦るような淡いバラードなど、とても味のある曲が詰まっている。
夜な夜な酔っ払い、手当たり次第にそこら中のモノを壊し、その破天荒な行動で全米のクラブから閉め出しを喰らっていたThe Mats(The Replacements)の若かりし頃。
そんな時代を思わせるようなパンキッシュな曲もあって、ロックンロールに理屈は要らないってことが伝わってくる。
ちょっぴりダミ声の渇いた彼の声は、独特の雰囲気をかもし出し、そのフックの利いたロックはいつ聴いてもホッとさせてくれる。
また、抜群のロックンロール・テイストを放っている、ポップでご機嫌なナンバーのM-1 「Knockin' On Mine」、M-3 「World Class Fad」、M-11 「Things」、M-13 「Mannequin Shop」なんかを聴くと、テンションが上がる。
NirvanaのKurt Cobainらにも多大な影響を与え、Bob Mouldと並んでMinneapolisのロック・シーンには欠かせない、師匠的存在のミュージシャンズ・ミュージシャンである。


★今月のプロフィールの画像は、4月が誕生月のSoul AsylumのDave Pirner。
  これは彼の最新の写真。息子ももうすぐ3歳、そして彼は42歳になる。

儚く美しい知的アメリカン・ロック

2006-03-19 | music : favorite


今回は、Toad The Wet Sprocketの4th 『Dulcinea』(1994年) のこと。
当時結構ヒットしたので、このジャケに見覚えがある人も少なくないだろう。
実は、来月このToadのVo.だったGlen Phillipsが来日する。
そこで、そのGlenのソロ作よりも、まずToadのことに触れておこうと思う。
当時、CMJなどのカレッジ・チャートで常連だった彼らは、本国USでは大プレイクとまでは行かなかったものの、常に評価されていた。
彼らが生み出す音楽は繊細で儚く、しんみりと心に残る。
バンドのアンサンブルもしっかりしているし、全ての作詞を手がけるGlenの書く詞は知的で美しく、彼のVo.はとても優しく澄みきった声で憂いがある。
特にこのアルバムは、ノスタルジックで心癒される曲が詰まっている。
また、98年に解散するまでにリリースした彼らの6枚全てのアルバムのアート・ワークが、その儚く美しいサウンドを表現するかのようで、絵画タッチのジャケが素敵だ。
聖パウロが登場する、ヒット・ナンバーのM-1 「Fly From Heaven」 は、アコギの綺麗な音色とゆったりとした旋律、そして2コーラス目から絡んでくる歪んだギターの音色が印象に残る。
ついくちずさみたくなるような親しみやすいメロディのサビでは、GlenのVo.が冴え渡る。
ちょっとメランコリックなM-3 「Something's Always Wrong」 は、当時Gin Blossomsが好きだった友達を泣かせたという思い出がある。
その優しいサウンドにうっとりしてしまうM-5 「Crowing」 やM-7 「Windmills」。
The Jayhawks辺りにも通じるM-8 「Nanci」。
このアルバムの中ではいちばんビートの効いたM-9 「Fall Down」 は、当時彼らのライヴでも盛り上ったナンバー。
最後を飾るM-12 「Reincarnation Song」 は、まるで夢の中を彷徨っているかのような曲で、そのまま深い眠りへと誘ってくれそうな曲だ。 

日本での評価はあまり高くなかったが、確実にファンの心を捉えていたToad。
このアルバムからはもう10年以上経ったが、甘いマスクの超美男のGlenは、その凛々しさに更に磨きがかかって、そしてこの声である。
彼のソロ・ライヴでは、これはもう酔わずにいられないだろう。
アコースティック・ライヴだし、Toadの曲はアコースティックが似合う曲が多いので、是非Toad時代の曲も披露してくれると嬉しい・・・。

クウォリティの高さがモノを言う

2006-03-13 | music : favorite


今日、オンライン・オーダーをしていた待望のThe Wonder Stuffの新譜、『Suspended by Stars』 が届いた。
再始動の前作 『Escape From Rubbish Island』 から約2年、彼らは丁度いいインターバルで新作を届けてくれた。
まずひと通り聴いた第一印象は、これまでのアルバムを全部凝縮したような感じだということ。
特に、『Construction for the Modern Idiot』 と 『Never Loved Elvis』 を足して2で割ったような感じだ。
一曲目 「Tricks Of The Trade」 から、力強いドラムのリズムに乗って、極上のポップなメロディが流れてくる。
前作でも思ったが、彼の声は初期の頃とちっとも変わっていない。
なので、完成された楽曲のクウォリティの高さはキャリアを感じても、時が経っているとはあまり感じないのだ。
M-2 「Last Second Of The Minute」 では、お馴染みのMiles節が流れる。
歌詞に “your life you can save” というのがあるのだが、この “save” の部分を “セ~イエ~イエ~イエ~(ヴ)” と歌う。これが、私の好きなMiles節だ。
M-4 「Blah Blah Lah Di Dah」 を聴くと、『Modern Idiot』 の 「Cabinfever」 を思い出させるようなリズム・パターンで、なんか懐かしい気分になった。
今作では、以前の彼らの音楽の特徴でもあるフィドルが復活するということが、兼ねてから話題になっていたが、M-6 「Angelica Maybe」 では、そのフィドルがフィーチャーされいる。
今回の奏者はErica Nockallsと言う女性で、スリーヴの写真はとても美人で、凛としている。
だが、今までのカーニヴァルのような音ではなく、まるで葉加瀬太郎のように弾きまくっているのだ。
この美しい女性が、髪を振り乱しながら弾いている姿が目に浮かぶ。
そのメロディが、ズシンと響くバス・ドラのビートと融合して、何とも言えぬドラマティックなサウンドに仕上がっている。
爽やかなメロディ全開のM-7 「Sun Goes Down On Manor Road」 は、今のところこのアルバムの中でいちばん気に入っている。
そのあとは、最後まで一気に、躍動感に溢れたグルーヴィでカッコいい曲が続く。
M-10 「Someone Tell Me What To Think」 での、まるでオペラ曲のようなフィドルのメロディとコード進行の展開。
M-11 「No One Tells 'Em Like You Do」 と共に、ダークでアグレッシヴに、成熟された大人のメロディを聴かせてくれる。
『Never Loved Elvis』 のような陽気な明るさはないが、堂々とした各曲の完成度は、本当に素晴らしい。
そしてもちろん、歌詞に込められたMilesお得意のひねくれさも健在。

シリアスな顔をして写っているジャケ写だが、裏側での4人は満面の笑顔で大笑いしている。
前作から、オリジナル・メンバーはMiles HuntとMalc Treece(G)だけになってしまったが、今の4人の時間が、いい感じで流れて行っているんだな~と伺える写真だ。
ここらで一発、来日でもしてくれると申し分ないのだが・・・。

埋もれていた一枚のCD

2006-03-08 | music : favorite


仕事が休みだった昨日、CD棚を移動して整理していた時のこと。
棚の奥の方に、何か白いものが・・・。ん?何だろう・・・と取り出し、手にしたのがこれ。
JellyfishのS-CD 『Baby's Coming Back』 だった。
この奥に仕舞っていたのを、すっかり忘れていた。
というのもこれは、“NAPPY PACK” という赤ちゃんのオムツ・カバーに見立てたタオル地の袋に入れられた限定盤で、棚に入らないから奥に置いていたのだった。

 『Baby's Coming Back』 LIMITED EDITION CD NAPPY PACK (1991)

埃をかぶってちょっと汚れていたので、早速 “オムツ・カバー” をお洗濯。
綺麗になったところで、久々に聴いてみた。
好きなアーティストのS-CDは、コレクションという感じで入手するので、買った時に1~2度聴くだけでその後はあまり聴かない。
このCDには、私が彼らのカヴァー曲の中で最も好きな 「No Matter What」 のライヴが収録されている。
90年10月に行なわれた、L.A.の老舗ライヴ・ハウス “ROXY” でのテイクで、もう一曲オリジナルの 「All I Want Is Everything」 もこの時のライヴ・テイク。
タイトル曲の 「Baby's Coming Back」 は1st 『Bellybutton』 に収録されている、とっても可愛くって軽快なナンバー。
この頃のJellyfishは、まださほど凝りに凝ったアレンジは施していなかった。
この曲では、何と言ってもハンド・クラッピングと、スネア・ドラムのリズムの掛け合いがポイント。自然と身体がリズムを刻む。
コーラスもシンプル。でもそのハーモニーは完成されていて、やはり心地良い。
「No Matter What」 のカヴァーは本当に好きで、オリジナルのBadfingerよりも、こっちの方が好きになってしまったくらい。
イントロのツイン・ギターの掛け合いが気持ちいい。恐らくもうひとつのギターは、Rogerだろう。
彼はKey.の前でいろんな楽器をプレイするから・・・。
サビの “Knock down the old brick wall~” のAndyの声を振り絞ってキバッて歌う歌い方が特徴で、この歌を口ずさむ時はつい真似してしまったり・・・。(笑)
「All I Want Is Everything」 も 『Bellybutton』 に収録されているが、ライヴ・ヴァージョンはかなり激しい。
ディストーションを効かせたギターが炸裂する。この時のギターはJason Falkner。ベースはRogerの弟Chris Manningだった。
子供の頃はハード・ロックも好きだった彼ら。擬似HR成りきりプレイって感じで、とても楽しく演奏している姿が音に出ている。
2nd 『Spilt Milk』 の評価が異常なまでだったが、結局バンドの音ががオリジナリティよりも尊敬するミュージシャンにいかに近付くか、ということの方に重点を置いた 『Spilt Milk』 よりも、私は素直に楽しめる 『Bellybutton』 が好きだったりする。
もし、今でもJellyfishが活動していたら・・・と考えると、オリジナル・メンバーはAndyしか居ないのかな~なんて思ったり・・・。(苦笑)

帰ってきたポップの魔術師

2006-02-25 | music : favorite


その音がスピーカーから流れてきた途端、ジワッと涙が浮かんできてしまった。
夢中だったあの頃からかれこれ15年の月日が流れ、彼は私の音楽生活の中に帰ってきた。
あのポップ・マニアJellyfishのRoger Manningが、Roger Joseph Manning Jr.という正式名義でついにリリースされた初のソロ・アルバム 『Solid State Warrior』 である。
このアルバムに収録されている曲は、海外のダウンロード・サイトで配信されていたが、殆んどダウンロードして聴いたりしないアナログな私には、CDとしてのリリースが何より嬉しい。
そして、これは今のところ日本からのみの発売で、ジャケのアート・ワークも日本のアーティストによるもの。なんて嬉しいことだろう。
ブレイク前からJellyfishが好きで好きで、好きになりすぎた故、バンドが解散する原因となったかつての彼の相棒のことに失望してしまった私は、その後を追いかけることをあまりしなかった。
Rogerがその後結成したバンド、Imperial DragもMoog Cookbookもほとんど聴いていない。
それにこのふたつのバンドでは、彼のポップ・テイストを押し殺していたような気がした。
そんな私だったが、Jellyfish時代のようなポップな彼の初ソロ・アルバムがそろそろ出そうだということを去年耳にし、今回のリリースを心待ちにしていた。

JellyfishでのRogerの音作りの才能は、もう今更語るまでもないだろう。
Key.を中心に、様々な楽器をまるで魔法のように操り、完璧なまでの職人ワザで私たちを魅了してくれた。
リードVo.こそ取っていなかったが、コーラスでみせる彼の声は、とても華やかだったので、このソロではたっぷりと彼のVo.が聴ける。
そんな音の天才魔術師は、もちろんこのアルバムも全ての曲を自宅のスタジオでひとりでレコーディングして作られた。
誰にも邪魔されず、誰にも意見されず、自分のやりたい音をやりたいように作って色付けし、のびのびと作られた工程が、アルバムから伝わってくる。
どの曲もファンタジーに満ち溢れ、夢のあるキラキラと輝いた素晴らしい曲でいっぱいだ。
無限の引き出しから色んな題材を引っ張り出し、様々な要素のポップ・ミュージックを見事に奏でている。
まずM-1 「The Land Of Pure Imagination」。
しっとりとしたアコースティックな出だしから、サビで一気にアップ・テンポな軽快なサウンドに展開し、巧みにアレンジされたKey.の音が炸裂する。
“この音を待っていたよ~” と言わんばかりの、マジカル・ポップ・ワールド。
M-3 「I Wish It Would Rain」 には参った。こういうのを演られると、もう腰がくだけてしまう。
3連のリズムにめっぽう弱い私は心をわしづかみされ、更に厚みのあるステキなコーラスに留めを刺された。
同じ3連の、Jellyfishの 「New Mistake」 を思い出してしまう。いや、もうJellyfishとは切り離して聴かねば・・・。これはRogerのアルバムなのだから・・・。
M-5 「Sandman」 では、イントロでお得意のQueenバリのコーラス・ワークを聴かせてくれる。
これはRogerがティーン・エイジャーの頃、様々な音楽を聴いていた中で最も夢中になって聴いていたというQueenやSweetの影響の表われだろう。
M-6 「What You Don't Know About The Girl」 の楽しい雰囲気。
新しいガール・フレンドができた喜びを歌った曲なのだが、弾むようなメロディと温かみのあるコーラスが、歌詞の内容を更にイメージ・アップさせてくれる。
M-8 「Creeple People」 のようなヴォイス・チェンジャーを使ったちょっとプログレっぽい曲があったり、M-9 「Sleep Children」 のようなストリングスを壮大に使った、その歌詞どおりの子守唄のような優しい曲もあったりと、単にキャッチーなだけのポップ・ナンバーではないところに、彼の才能の豊かさが伺われる。
ラストのM-11 「'Til We Meet Again」 は、恐らくかつての相棒を思って書いた曲であろう。
歌詞を聴いて胸が熱くなった。Rogerはもう許しているんだね、ってことが伝わってきて、あの人は聴いただろうか・・・聴いて欲しい・・・と思う。
メロディもさることながら、詞の世界もとても分かり易く、誰にでも思い当たる日常のちょっとしたことや感情が綴られ、とても身近に受け止めることができる。

とにかく、一聴の価値が十分あるアルバムで、ポップス・ファンにはマスト・アイテムになるだろう。
そして、またあの頃のように、熱心なポップス好きの心を射止めて虜にしてしまうに違いない。