without A trace

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『ターミナル』

2006-08-31 | cinema & drama


前々から観たいと思っていたが、レンタル店でいつも貸出中でなかなか観ることができなかった映画があった。
そんな待望の作品のDVDをやっと借りることができ、今回2本借りてきたのだが、まず先に観たこの作品から。
トム・ハンクス主演、スティーヴン・スピルバーグ監督の2004年公開作品 『The Terminal ~ターミナル』。
結論から言って、ストーリー云々よりも、旅好き、空港好き、海外好きの私には、とっても楽しめる作品だった。
公開時にはかなり話題になった作品なので、改めてここでストーリーを語る必要もないと思うが、Wikipediaから引用すると、「母国、クラコウジアでおきたクーデターのため、到着したニューヨークの空港施設内(ジョン・F・ケネディ国際空港)に突然足止めとなってしまった男ヴィクター(トム・ハンクス)。
お金も尽き、パスポートは無効、国に帰ることも出来ずアメリカに入国することも出来ない彼は、“ある約束” を果たすためになんとか空港内での生活を始めた。
空港から出られる日、アメリカへ入国出来る日を待ち続けるために・・・」 という内容。

何が面白かったかと言うと、主人公ヴィクターが、空港施設という限られたスペースで、生活に必要な糧を様々なアイデアや知恵を絞って築いて行く様、周囲の人々とほのぼのとした交流を深めていく姿が、何ともユーモラスに描かれているところ。
そして、彼の人柄によって深まって行く人間模様や友情がほのぼのと綴られていて、現実には有り得ないような出来事が、そう思わせないくらい楽しく描かれている。
実際、フランスの空港で16年間生活する男が居たそうだが、こちらは映画、娯楽作品。かなり楽しく描かれている。
そして、ヒロインのキャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じるアメリアと、いい感じになっても結ばれない、というのも良かった。
“最後はふたりでハッピー・エンド” というのだと、きっとこの映画の楽しさが半減していたに違いない。
後半、“ジャズ” が重要な鍵となるのだが、スタンダード・ジャズのサックス奏者、Benny Golson本人が出演しているのは見もの。 
空港施設の隅々まで見れるのが、この映画のまた違った醍醐味で、本屋さんのBordersや、吉野家、Burger King、スタバなど、セット内にある全て実在する店舗をチェックするだけでも楽しかった。
早くまた旅に出たくなったというのは、言うまでもない。(笑)

寝苦しい夜のアロマ効果

2006-08-25 | music : favorite


彼らの音楽は、いつだって心地良い気分にさせてくれる。
寒い時はホクホクに、暑い時は涼しげに、そして疲れている時はリラックスさせてくれる、まるでアロマ効果のようなTeenage Fanclub。
今回選んだのは、2000年の6thアルバム 『Howdy!』。
このアルバムには、『Bandwagonesque』 の歪んだノイジー・ギターや、『Grand Prix』 の軽快な疾走感はなく、とっても優しくて甘くって柔らかい音が詰まっている。
一曲一曲が輝いていて、じわ~っとした何とも言えない味わい深さがある。
もしかしたら、いちばんしっとりとしたアルバムかも知れない。でも、私はこのアルバムが大好きだ。
派手さはなくとも、Norman、Gery、Raymondの3人が、それぞれ自分らしさ溢れるクウォリティの高い楽曲を生み出し、キラキラときらめいている。
そして決してそれがバラバラにならず、ガッチリとひとつに溶け込んでいるのがTFCの最大の魅力。
TFCにしか出し得ない音。自然体で、聴くほどに味があり、心の奥まで沁み込んでくる。
ここぞという時には必ず傍にいてくれる、大切な友達のような感覚。
カリフォルニアン・ハーモニーと表現したくなるような、M-3 「Accidental Life」 に代表される絶妙なハーモニー、Normanらしさ溢れるM-6 「Dumb Dumb Dumb」 の左右でおちゃめにチャチャチャと鳴るギター、M-11 「My Uptight Life」 の素朴なメロディ、いつも優しいGeryの声etc...。
いろんなところに、愛すべき要素が散りばめられている。
60~70年代のソフト・ロックが好きな人にも十分受け入れられる、とても聴き易い曲ばかり。
ちなみにこのアルバムのドラムスは、後にThe Primary 5を結成するPaul Quinnと、元BMX BanditsのFinlay Macdonaldがプレイしている。
あ~、来日はまだかなぁ・・・。

変幻自由自在なプライマル

2006-08-20 | music : normal


来月ライヴに行くということもあって、最近Primalをよく聴いている。
新作はもちろんだが、ここんとこ特に繰り返し聴いているのが、98年リリースの2nd 『Primal Scream』。
とてもポップな曲が多くて聴きやすいアルバムで、そしてカッコいい。
The Byrds風で、Glasgowのバンドらしいキラキラしたギター・ポップの1stから、ガレージ・ロックへとサウンドが変化し、Primalはロック・バンドだということを、改めて実感させられる一枚である。
M-1 「Ivy Ivy Ivy」 は、甘くてポップで軽やかで、今でも大好きなナンバー。
ライヴで是非やってほしいな・・・。
このアルバムでは、ハード・エッジなアップ・テンポの曲と、サイケでメランコリックなバラードが、ほぼ交互に収録されているのも特徴。
そのバラードでは、気だるそうに歌うなよっちぃBobbyのVo.は、憂いを帯びていて、そこがまた何とも言えない魅力なのである。
中でも甘くてソウルフルでとっても切ないバラード、M-5 「I'm Losing More Than I'll Ever Have」 には、その魅力がぎっしり詰まっている。
その後、様々な新しい試みを重ね、カリズマ的バンドへと成長していくPrimalの、原点とも言える傑作。
さて、12年ぶりに観る彼らのステージ。果たしてどんな “カリズマ・ロケンロール” を魅せてくれるか! 楽しみである。

どうでもいいことだけど(笑)、ここのカテゴリを “favorite” にするか “normal” にするか、いつも迷ってしまう。
ダブやテクノを取り入れた、アシッド・ハウスやエレクトロなPrimalはどうも苦手で、ロケンロールなPrimalが好きな私・・・。

『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』

2006-08-11 | cinema & drama


例えそれがフィクションであろうが、ノン・フィクションであろうが、観たかった。そして、観て良かったと思っている。
The Rolling Stonesの創始者であり、27歳という若さでこの世を去ったギタリスト、Brian Jonesのことを描いた映画、『Stoned』 (邦題:ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男)。
94年に公開された 『Back Beat』 というThe Beatles結成時のメンバーで、5人目Beatlesと言われているStuart Sutcliffeの生涯を描いた映画をプロデュースした、スティーヴン・ウーリーの初監督作品である。
自殺か他殺か事故死か???と、今もなお “謎の死” を遂げたと言われているBrianの、死の真相に迫るという内容とのこと。
監督のインタビューでは、彼自身10年以上の年月を費やしてリサーチしたが、結局肝心な証言は得られなかったと言う。
しかし、その後映画にも登場する二人の女性を見つけ出し、その間に脚本が何度も変わり、予定していた監督も降りてしまい、結局彼自身が監督を務めることとなったと話している。
Brian役は、『フーリガン』 という映画に出演していたが、主役はこれが初のレオ・グレゴリー。
頑張ってBrianを演じている。Brianのファッションや髪型を真似て、Brianに成りきろうとしている一生懸命さが伝わってくる・・・が、果たして彼はBrianを演じる前はBrianのことをどこまで知っていたのだろうか・・・。
Ray Charlesを演じたジェイミー・フォックスは、まるでRay Charlesが乗り移ったかのようだったが、どうしても無理さを感じざるを得ない場面がいくつかあった。
ただ、エンディングのアップの笑顔は、とても良かった。
 これがBrian本人の笑顔!

さて、内容についてだが(ネタバレもあるのでご注意!)、エンターテインメント作品としてはなかなか面白く、十分楽しめた。
時代を遡ってStonesの歩んできた様々なことを知るために、一気にいろんな本を読みまくり、Stonesにどっぷりハマった頃の記憶が甦った。
Stonesの曲は一切使用せず、「Little Red Rooster」 や 「Stop Breaking Down」 など、Stonesのルーツであるブルーズ・ナンバーを、The Counterfeit Stones、The Beesらがプレイし、Robert Johnson、The Small Faces、Traffic、Jefferson AirplaneからKula Shaker、22-20'sと言った新旧様々なバンドがプレイしている曲を起用している。
そしてそれらは、初期Stonesの空気や雰囲気を十分伝えていて、全く違和感がなかった。
 サントラ 『Premium Tribute To Stoned』

何でもアリな60年代のサイケな時代背景が、忠実に描かれているのも面白かった。
MickやKeith、Bill、Charlieも本人に似た俳優を起用しているのだが、そっくり度ではMickがいちばん似ていたかな・・・。
あくまでも中心がBrianなので、MickとKeithふたりは少しのセリフで、Bill、Charlieに至っては、全くない。
「くまのプーさん」 の作者ミルンが住んでいた屋敷を、Brianが買い取って住んでいたので、撮影も実際にその場所が使われている。
 映画の殆んどのシーンはこのお屋敷

Brianという男は、計り知れないくらい孤独で淋しがり屋で、繊細な神経の持ち主だと思う。
そういうところは、とても忠実に丁寧に描かれていたのが良かった。
成功に溺れ、麻薬に浸かり、最愛の女性AnitaをKeith奪われ、モロッコでみんなから置いてけぼりにされ、そしてMickとKeithからクビを言い渡される。
その、それぞれの切ないBrianの表情、特にStonesの創始者本人がクピにされるシーン。
これにはぐっとくるものがあり、Brianのとてつもなく淋しそうな目にジーンとした。
映画のいちばん最後に最高の笑顔で言うセリフ、“Happiness is Boring!”。
このエンディングが良かった。
もちろん、MickやKeithはこの作品を認めていない。
しかしドキュメンタリーではないので、あくまでもひとつの娯楽作品として、そしてこの時代の音楽が好きな人であれば、なかなか楽しめると思う。

ポップス・クラシックス その六

2006-08-08 | music : basics


何故か突然彼の歌が聴きたくなり、ベスト盤を買った。
Paul Young 『From Time To Time』、91年リリースのシングル・コレクション。
彼のアルバムは、85年の大ヒット・アルバム 『Secret Of Asociation』 のアナログを1枚持っているだけだが、かなり好きでコンサートにも行った。
80年代に “ブルー・アイド・ソウルの第一人者” とまで称されたPaulは、かなりアイドル的な扱いをされていた雑誌などもあったが、私は彼のソウルフルな歌が大好きで、今聴いてもホッとする。
Marvin GayやThe Chi-Litesなどのソウル、R&Bを始め、彼は様々なアーティストの曲をカヴァーし、それを自分のものに確立させて、持ち前の甘くてソフトな歌声で歌いこなしている。
さすがにシングル・コレクションだけあって、名曲が並ぶ。
1曲目はPaulのいちばんの代表曲で、大ヒット曲「Everytime You Go Away」。
ご存知Daryl Hall & John Oatesのカヴァーで、私はオリジナルも好きだが、Paulヴァージョンの方がより好きだ。
イントロを聴いただけで80年代にトリップさせてくれる、最高のラヴ・バラード。
「Everything Must Change」 を聴くと、今でも武道館で観た彼のステージが目に浮かぶ。
王子様のような袖口が広がってレースが付いたシャツのステージ衣装で、くるくる回りながら歌っていたっけ・・・。
Crowded Houseの名曲 「Don't Dream It's Over」 もカヴァーしている。
Neil FinnよりもPaulの方が声が太くて甘いので、オリジナルのあのキラキラした感じというよりかは、しっとりと仕上がっている。
本家Joni Mitchellとデュエットしている 「Both Sides Now」 は、まるで子守唄のように優しい。
この曲は、邦題の “青春の光と影” と言った方がピンとくるだろう。
The Chi-Litesの 「Oh Girl」 もステキなバラードで、抒情たっぷりとソウルフルに歌い上げる彼のVo.に聴き入ってしまう。
84年、Bob Geldof主催のBand AidではメインVo.に抜擢され、彼の歌声で始まる 「Do They Know It's Christmas?」 の “It's Christmastime ~” のフレーズは、とても温かく響く。
翌年のLive Aidでも、Alison Moyetとデュエットしていた。
今はどうしているのだろう・・・。

『From Time To Time ~ The Singles Collection』
01.Everytime You Go Away
02.Come Back And Stay
03.I'm Only Fooling Myself
04.Senza Una Donna(Without A Woman)
05.Broken Man
06.I'm Gonna Tear Your Playhouse Down
07.Everything Must Change
08.Wonderland
09.Don't Dream It's Over
10.Love of the Common People
11.Wherever I Lay My Hat(That's My Home)
12.Both Sides Now
13.Some People
14.Oh Girl
15.Softly Whispering I Love You

英国風情に垣間見るアメリカン・テイスト

2006-08-04 | music : newcomer


ちょこっと試聴してアンテナに引っかかったので、アルバムを聴いてみたくなり、購入したRazorlightの2ndセルフ・タイトル・アルバム。
国内盤と輸入盤(オリジナル)とではジャケ写が違う。
ちょいワルなUKの香りがする国内盤に比べると、輸入盤の方は実にシンプル。
1stは聴いていないが、The LibertinesやKasabianが一気に盛り上った頃、その名前だけは頭の片隅にあった。
彼らに対するイメージは、ユニオン・ジャックとダブル・デッカーとぬるいビールとラヴァー・ソウル・・・と言った、いかにも “ロンドンっ子” と言った感じのイメージが強く、音もパンクっぽいんだろうな~と思っていた。
しかし実際に聴いてみると、かなりポップなので意表を突かれた。
メンバーの2人はUK出身だが、あとの2人はスウェーデン出身とは、これもまたちょっとしたサプライズ。
Drs.が代わり、新生Razorlightの新作。1stの評判がいいと2ndでコケるアーティストが多いが、彼らは敢えてバンド名をこのアルバムのタイトルにすると言う自信を覗かせている。
1曲目の 「In The Morning」 を最初に聴いた時、まず頭をよぎったのが後期のThe Mats(The Replacements)だった。
シンプルなギターとポップなメロディ、そして雰囲気のあるやさぐれたVo.の声。
特にイントロのギターのカッティングは、The Matsが放っていたポップでシンプルなロックン・ロールに共通するものがある。
楽曲はどれも3分半前後のコンパクトにまとまった短い曲ばかりで、そのシンプルでストレートなところに、ロックを感じる。
それにしても、M-4 「America」 には心底惚れた。USツアー中に生まれた曲のようで、“There's panic in America. There's trouble in America” と皮肉る。
しかし、そのメロディには胸がキューンと絞めつけられるような切なさが溢れ出ていて、何とも言えない寂しささえ漂い、情感たっぷりに歌うVo.もグッとくる。
M-8 「Kirby's House」 の軽やかなリズムも、大好きなパターンだ。
彼らが表現したいことが、シンプルにまとまって直球で伝わってくる。
ガレージ・ロックのスタイルをベースにした、ポップでタイトな曲ばかりで、どこか懐かしくて親しみ易く、聴き易い。
TelevisionやTalking Heads、The Cars辺りに通ずる感もあり、風貌はUKでも音はアメリカンというのが、アルバムを聴き終えてからのイメージだ。かなりカッコいい!!

 こちらが国内盤ジャケ

Mark Gardener(ex-Ride) @Shibuya O-Nest 08/01/06

2006-08-02 | performance


SPORTSという、日本のポップ・バンドが主催する “FANTASISTA PLUS” というライヴ・イベントに出演する、Mark Gardenerを観に行ってきた。
渋谷O-NestはBMX Banditsで行った以来。
開場時間の約30後に着き、中に入ると、まだ人がまばらだった。
後ろの段差があるところを確保し、オープニングを待つ。
まず登場したのは、女性Vo.のKARENという日本のバンド。つまんなかった。全くノレず、立っているのが苦痛だったほど。

40分ほど演った後のセット・チェンジの間、BGMで流れてきたPrimal Screamの 「Country Girl」 で元気を取り戻す。
オーディエンスも増え、フロアの前半分は混み合ってきた。
それにしても、若い子が多い。この子たちは、Rideをオン・タイムで知らないんだろうな・・・とか考える。
暫くするとMarkが登場。写真で見て知っていたが、Rideの頃とかなり雰囲気が変わったMark。
私が90年代に夢中になったバンドの中では、The Wonder StuffのMiles以上にイメージが変わったのがMarkだ。
マイク・スタンドが2本並んで置いてあり、2本ともMarkに向けられているのがとても不思議だった。(どうしてかは、後に判明)
12弦ギター1本で、淡々と進んで行く。一曲一曲終る毎に “アリガトウ” とはにかむMarkの笑顔は、昔とちっとも変わっていなかった。
で、その2本のマイク。向かって右側がメインで、もう一方はMarkが歌ったフレーズを遅らせて流し、コーラスとしてVo.とハモって行くという仕組みのものだった。
テープではなく、その場で歌ったものをディレイする・・・う~ん、こういうのは初めてだったので、なんだか不思議な感じだった。
Andy Bell(元Ride、現oasis)と連絡を取っているらしく、“日本のみんなによろしくって言ってたよ” と話すMark。
Andyの名前が彼の口から出ると、あちこちから歓声が上がっていた。
ニュー・アルバムからの曲を中心に進む中、Rideの 『Carnival Of Light』 から 「From Time To Time」 をプレイしてくれて、すごく嬉しかった。
ギターと彼自身のハモりだけのとてもシンプルなライヴだったが、それ故に彼の温かくて優しい歌声がとても鮮明に響き渡り、聴き入るライヴだった。
最後にドリンクを掲げ、“カンパーイ!” と言って何度も投げキスをして、ステージを去って行った。

彼のファンはどのくらい居たのだろう・・・。客の反応がほとんどなく、話しかけてもシーンとしちゃってるので、Markは戸惑っていた。
8/3のライヴはMark中心の、彼をリスペクトする日本のミュージシャンが集まるイベントなので、私は行かないがそっちはもっと盛り上るんだろうな・・・と思う。
トリは主催者SPORTSのステージだったが、観ずにクラブを出た。背中越しに聞こえるSPORTSの音は、キャッチーなパワー・ポップで元気いっぱいの音だった。


★今月のプロフィールの写真は、復活を切に願うgigolo aunts。
  8月は、Dave Gibbsの誕生月。彼ももう今年で41歳!