without A trace

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weezer / weezer (Red Album)

2008-07-30 | music : favorite


今回のweezer(ウィーザー)の新譜 『weezer(Red Album)』 は、様々なヴァージョンがリリースされ、それぞれボーナス・トラックが異なっている。
どうせ買うならボーナス・トラック付にしようと思い、私が購入したのは6曲のボーナス・トラック入りで、歌詞とパーソナル・ライナー・ノーツが書かれたブックレットが付いた、UK盤デジパック。(文中のメンバーのコメントは、そのライナー・ノーツより抜粋)
プロデューサーは、前作 『make believe』 に引き続き、大御所Rick Rubin(リック・ルービン)。
先行シングルの 「Pork and Beans」 を初めて聴いた時、“ん?ちょっと違うな~” と何かしら違和感を感じた。でもそれは最初の部分だけで、ブリッジに入るとヘヴィなギター音が炸裂し、ポップなメロディが展開。気持ちは “いいんじゃない~?” に変わった。
オープニングを飾るM-1 「Troublemaker」 は、同じようなメロディのくり返しなのに、何故かポップで楽しい。
M-2 「The Greatest Man That Ever Lived (Variations on a Shaker Hymn)」 は、ピアノの音は可愛いんだが、出だしのメロディは私にはどうしてもしっくりこなかった。でもそんな違和感は、すぐに打ち砕かれた。この曲にはいろんな要素がたくさん含まれていて、ロック調に展開したかと思うと、とってもポップになったりセリフが入ったり、そして途中でゴスペルっぽくなったりして、6分弱という長さの中で、様々な楽しみを味わわせてくれる壮大な曲だ。
たくさんのシンガーやバンドの名前が出てくるM-4 「Heart Songs」 は、Riversにとってとてもパーソナルな曲だそうで、学校の寮の部屋でこの曲のアイデアが浮かび、自分が覚えている限り、これまで自分の成長と共に聴いてきた曲をリスト・アップしたとのこと。そして、この曲にABBA(アバ)の名を何故挙げたかというと、10歳の時に初めて買ったのがABBAのアルバムで、彼らは常にRiversの中の偉大なるバンドだからなんだそうだ。
M-6 「Dreamin'」 は、これまでのweezerが示すままの、厚みのあるギターとキャッチーなメロディで流れて行き、 『Green Album』 に近いサウンドを感じる。
M-7 「Thought I Knew」 でリードVo.を取るのはBrianで、曲を作ったのも彼。ずっとSorry~と歌い続ける歌詞には、コメントできないとRiversは言っている。でも、このアルバムの中でいちばん楽しい曲だろうとのこと。この曲では、Riversがドラムを叩いている。あっさりした軽快な曲で、私が初めてこのアルバムを聴いた時に、最初に好きになった曲だ。
Patが作って歌っているのが、M-9 「Automatic」。彼の家族について歌った曲だそうで、ヘヴィなギター・リフが至る所に炸裂する、ヘヴィ・ロック・チューン。そんなアグレッシヴなギターを、ドラムスのPatが全部弾いたそうだ。
6分45秒という超大作のM-10 「The Angel and the One」 は、しっとりと始まり、後半からドラマティックに盛り上がる、スタンダードなポップ・ソングで、アルバム本編の最後を締めくくる。
ボートラの1曲目 「Miss Sweeney」 は、ゆったりとしたドラマティックな曲で、この曲のアコースティック・ヴァージョンのデモを、RiversがBrianに送って来た時から彼の大好きな曲で、アルバムに是非入れたくてずっと要望していたが、収録曲の最終選考で漏れてしまったらしい。確かに、本編に入ってもいいくらいの完成度の高い曲だ。
「Pig」 は、どこかで聴いたことがあるような懐かしいメロディで、サビでちょっとQueen(クィーン)の 「Bohemian Rhapsody」 を、ちょこっと感じさせたりする。
「The Spider」 は、アコギの音が綺麗に響き渡る中、ギュイーンと言うEギターのアクセントやストリングスが入る、しっとりとした美しいバラード。
「King」 は、このアルバムのデモ・セッション 『Deliverance At Hand!』 の中で、ベースのScottがいちばん好きだと言う、ちょっと哀しげで切ないメロディが印象的な曲。
「The Weight」 はご存知The Band(ザ・バンド)のカヴァーで、本家本元のこの曲が大好きな私には嬉しいカヴァー。weezerらしい音作りで、オリジナルのイメージを損ねることなく、彼らのオリジナリティも存分に発揮している。
「Life is What You Make It」 は、あまり私好みの曲ではなかった。

今回のアルバムは、往年のweezerファンにとっては賛否両論のようで、確かにいろいろ挑戦していてあまり統一感のないアルバムではある。
でも、初めて聴いた時と何回も聴いた今とでは、印象が確実に違って上昇している。ちょっと???な曲もなくはないが、やっぱりweezerだな~って感じのアルバムだ。ジャケ写の怪しげなヒゲとカウボーイ・ハットのRiversは、どうかと思うが・・・。パパにもなったことだし、メガネの弱々しいRiversくんは卒業ということか・・・?
ブルー、グリーン、レッドと来て、果たして次は何色だろう? イエローとかパープルとか? 意表を突いてブラウンなんて、面白いかも。
9月に久しぶりに来日公演を行なう彼ら。東京と大阪では、weezer Festivalなるものが開催される。
東京でも単独がきっとあるよな~という予感が当たり、Zeppで行なわれるのだが、既にフェスのチケットを買っていたので、お財布と相談して断念。
フェスに出演する日本のアーティストに関して私は未知なので、取りあえず一緒に行く同僚にアジカンだけは曲をコピーしてもらったが、まだ聴いていない。
単独と変わらないセット・リストで、全力ステージを期待したい。
ところで、出演者リストには載っていないが、BoAちゃんは飛び入りするだろうか・・・。(笑)

ginger / far out

2008-07-22 | music : special


私がThe Grapes of Wrath(グレイプス・オブ・ラス)というバンドを知って愛して、もうかれこれ18年になる。(バンドについてのコラムはこちら
1992年、4ピース・バンドだったGrapes解散の翌年、Grapesではベースを弾いていたセカンドVo.のTom Hooper(トム・フーパー)がメインVo.となり、ひとり抜けてginger(ジンジャー)という3ピース・バンドで再スタートし、5曲入りのセルフ・タイトルのデビューEPをリリースした。
この 『far out』 は、94年にリリースされた1stアルバムで、私の数多くの愛聴盤のひとつだ。
ソフトでちょっともの哀しいメロディ、アコースティックな心安らぐ優しい曲、とびっきりポップで爽やかな曲が並び、オルガンやスライド・ギターのアレンジと、所々に入るエッジの効いたギター・リフが、ほど良いアクセントになっている。
一曲一曲が、とてもメロディを大切にしているというのが伝わってくる。
そして何と言っても、Grapes時代から変わらぬその美しいメロディは、Tomのソング・ライティングの天性の才能であろう。
今となっては、Grapesもgingerも知る人ぞ知る的なバンドだが、クオリティの高い楽曲は、いつ再評価されてもおかしくないくらいだと思う。
現在Tomは、カナダのブリティッシュ・コロンビア州にある、エメラルド色の海に囲まれた大自然の景観がとても美しいソルト・スプリング島に暮らし、地元のクラブやホテル、カナダ本土でアコースティック・ライヴを行なう傍ら、自宅の地下のスタジオで曲作りをして音楽に携わっている。
彼とは今でも交流があるのだが、ソルト・スプリング島は、最近やっと暖かくなってきたというほど寒さが厳しいところなのだそうだ。涼しさを少し分けてもらいたい。(笑)


★ginger / Solid Ground



"The Redwalls news flash" pt.12

2008-07-16 | music : special


関東はまだ梅雨が明けていないのに、ここ一週間くらいまとまった雨が降らず、連日真夏のような暑さが続いてる。
The Redwalls(レッドウォールズ)の新曲 「Such is Life」 は、そんな夏の太陽にピッタリな曲。
軽快なリズムで、思わずステップを踏みたくなる感じの、ノリのいいとってもポップなナンバーだ。
まだデモの段階だが、とてもよく仕上がっている。


★Such is Life



The Red Button / She's About To Cross My Mind

2008-07-11 | music : newcomer


このステキなジャケットから連想するのは・・・レトロなフレンチ・ポップス。
で、その内容はと言うと、これまたキュートでスウィンギンな60'sテイスト溢れる、心地良いとびっきりのポップ・チューンが満載。
The Red Button(レッド・ボタン)のデビュー・アルバム 『She's About To Cross My Mind』。
The Red Buttonは、USロサンジェルスを拠点に活動するSSWのSeth Swirsky(セス・スワルスキー)とMike Ruekberg(マイク・ルークバーグ)のユニット。
デビュー作と言っても、このふたりのキャリアは長く、ふたり共もういいおっさんだ。
Sethは、Al Green(アル・グリーン)やTina Turner(ティナ・ターナー)、Rufus Wainwright(ルーファス・ウェインライト)など、数々のアーティスに曲を提供していて、中でも極めつけなのが、Taylor Dayne(テイラー・デイン)の88年の大ヒット・ダンス・ナンバー 「Tell It to My Heart」 を手がけたのも彼だったということを知った。
一方Mikeは、ミネアポリスで活動するRex Daisy(レックス・デイジー)というバンドを持っていて、XTCのPaul Fox(ポール・フォックス)がプロデュースしたアルバムもリリースしている。
4年前にふたりは出会い、メロディックなポップ・ソングに対する愛情にお互い共鳴し合い、一緒に曲を書き始め、このアルバムが生まれた。
ノスタルジックでちょっと陰のあるM-1 「Cruel Girl」 で幕を開け、続くアルバム・タイトル曲M-2 「She's About To Cross My Mind」 は、マージー・ビートのキュートなナンバーで、ふたりの息の合ったコーラスも絶妙。
個人的にもの凄くTeenage Fanclub(ティーンエイジ・ファンクラブ)を感じるM-4 「She's Going Down」 では、スライド・ギターがアクセントになっている。
メロディはもちろん、歌い方、コーラス・ワークに至るまで、ビートリッシュなM-6 「Hopes Up」。
軽快なアップ・テンポのリズムに乗って、可愛いオルガンの音が鳴り響くM-7 「Can't Stop Thinking About Her」 は、ブリッジのメロディ・ラインがとても切ないガレージ・ポップ。
ヴァイオリンのソロで始まるM-9 「Ooh Girl」 は、本当にこのおっさんたちが作ったのか?と思ってしまうくらい、キュートでセンチメンタルな曲。
そして、キラキラしたギターの音と優しいメロディのM-11 「It's No Secret」 で、最後を締めくくる。
1曲3分前後の優しくてキラキラした、甘くて切ない極上のポップ・ナンバーが全11曲、ほんわかした懐かしさが味わえる。

このステキなジャケットは、よく見るとロンドンのWaterloo(ウォータールー)にあるハンガーフォード・ブリッジで撮影されているみたいだし、セピア色の裏ジャケには、ダブル・デッカーとビッグ・ベンが写っている。
何もかもがとてもLAのバンドとは思えないくらい、60年代辺りのブリティッシュ・カラーがにじみ出ている。

★試聴はこちら

Ben Kweller / Ben Kweller

2008-07-06 | music : favorite


いつもゆったりとした気分にしてくれる、Ben Kweller(ベン・クウェラー)の音楽。
何故か、Benちゃんのそのゆる~い脱力感に、いつも癒される。
彼のアルバムの中で私がいちばん好きなのは、デビュー作 『Sha Sha』
でも、3作目であるこの2006年リリースのセルフ・タイトル・アルバムも素晴らしい。
ピアノをフィーチャーした曲が多く、そのピアノの美しい音色とノスタルジックなメロディが、ピュアで感性豊かな彼の才能を引き出しているかのようである。
語りかけるように歌うM-1 「Run」 は、ミディアム・テンポの爽やかな可愛い曲。
このアルバムの中でいちばんのお気に入りは、M-2 「Nothing Happening」。 ピアノとアコギの音がとても美しく響き、心温まる。
M-3 「Sundress」 は、もの哀しく始まるが、後半は力強く歌い上げる感動的なナンバー。
とってもポップなM-4 「I Gotta Move」 や、アップ・テンポのM-6 「Penny On The Train Track」 でさえも、ゆるくてふんわりしている。
M-9 「Red Eye」 とM-10 「Until I Die」 と続けてしっとりと聴かせてくれた後、ガラッと雰囲気の変わる最後の曲M-11 「This Is War」。
ただ、どうしても私はこの曲があまり好きになれない。いつも飛ばしてしまう。
アルバムの中でいちばんハードでエッジの効いた曲なのだが、ちょっとこの曲だけテンションが違うので、折角味わってきたゆったり感が崩れてしまうというのが個人的な感想。
そうは言っても、やはり全体的に自然体で研ぎ澄まされたソングラインティングの素晴らしさに心奪われる、ステキな一枚である。