★10月31日 : プラハ(Praha)
クトナー・ホラから、プラハのフローレンツ・バスターミナルに着いたのは、定刻の14:15。そこから地下鉄C線でヴィシェフラッドに向かった。
ヴィシェフラッドとは、チェコ語で “高い城” という意味。かつてプラハ城のほかに、もうひとつの城があった場所。
今は城址公園として、市民の憩いの場所となっているほか、絵本作家として日本でも人気のカレル・チャペックや、大作曲家のドヴォル・ジャークやスメタナなど、多くの文化人が眠る墓地がある。
プラハの中心から少し外れているためか、観光客の姿はほとんどなく、地元の人たちが散歩したり集ったりするのどかな公園だった。
お兄さんのヨゼフ・チャペックがデザインした、カレル・チャペックのお墓は、とても独創的だった。
墓地の隣には、聖ペトロと聖パウロ参事会教会があり、教会の鐘がスメタナの 『わが祖国』 のメロディを奏で、お墓にいる時に流れてきたので、なんだかジーンとくるものがあった。
カレル・チャペックのお墓 スメタナのお墓
それぞれのお墓の前で手を合わせたあと、教会に立ち寄り、城壁の上の道を歩いた。そこから見るヴルタヴァ河越しの景色は、のどかでとても綺麗で、遠くにプラハ城とカレル橋も見えた。
ヴィシェフラッドの城壁から
ヴィシェフラッドを出てトラムの停留所まで歩いていると、途中にキュビズム建築のステキなビルがあった。これは、キュビズム建築の天才、ヨゼフ・ホホルが設計した住宅で、100年も前の建築なのに、とても近代的。
ヴルタヴァ河沿いを走るトラムに乗り、トラムの中から外の景色を見ながら(タイトル写真)プラハの中心まで戻る途中、ダンシング・ビルが見えた。ダンスをしているように見えるので、そんな愛称が付けられているこのビルは、建設された当時、歴史的景観が損なわれると、プラハ市民から猛反対を受けたビルだそうだ。
キュビズム建築 ダンシング・ビル
プラハのトラムとその車内
だんだんと日が暮れてきたので、カレル橋のところを通り過ぎたところでトラムを降りて、カレル橋旧市街橋塔に昇った。
昨日昇ったマラー・ストラナ橋塔より少し高いので、昨日とはひと味違った景色が目の前に広がり、だんだんと暮れ行く街の景色を堪能した。
塔の階段は、四角い塔の中を狭い範囲でぐるぐると螺旋になっているので、下まで降り切った時にちょっと目がくらんだ。
プラハの街中で気になったのが、郵便ポストがないこと。見つけられなかっただけなのかも知れないが、アメリカやイギリスでは、日本同様街のあちこちにポストがあるのに、プラハにはない。
昨日のことだが、絵葉書を出そうと思い、ホテルの近くに中央郵便局があったので行ってみた。奥に記念切手を扱うコーナーがあったので、せっかくだからと思い、記念切手を買ってさて投函・・・と思ったものの、ポストがない。
チェスキー・クルムロフの郵便局では、局内にまとめて投函する差し出し口が設けられていたが、中央郵便局のどこを探しても、それらしきものが見つからない。
そこで、ロビーにいた男性客に聞いてみた。彼は、私の絵葉書に切手を貼っていることを確認したあと、外に導いてわざわざポストの場所まで連れて行ってくれた。
そして、外の入口のところにオレンジ色のボックス型のものがあり、それを指して、右側に入れるといいよと教えてくれた。
それがポストだなんて、気付きもしなかった。これなら、街のどこかにあっても気付かなかったのかも知れない。街中にポストがないなんてことはないだろう・・・。
チェコの郵便ポスト
昨日買ったルドルフィヌムのコンサートに行く前に、食事をしようと思い、ブランド店が並ぶPařížská(パジージュスカ)通り、通称パリ通りをヨゼホフ(ユダヤ街)の方まで歩いて行った。
街を歩いていると、建物や風景のほかにもいろいろなものが目に入る。ピクト・サインも日本のそれとは違って、なんだかユーモアがあって可愛い。
歩行者専用サイン 駐車禁止サイン
“飛び出し注意” だろうか・・・
プラハのボタン式信号、和訳で “待て”
夕飯に選んだのは、昨日お店の前を通ってメニューをチェック済みの、絵本作家ヨゼフ・ラダの作品に登場するキャラクター “Švejk(シュヴェイク)” の名がそのまま付けられた 「ŠVEJK RESTAURANT」。
お店の中は、椅子や食器に至るまで、Švejkの絵が描かれていた。英語のメニューもあり、手頃な値段でチェコ料理を提供している、気軽に入れるレストランだ。
プラハ最後の夜にオーダーしたのは、ビーフ・コンソメ・スープとチェコ名物スマジェニ・スィール(チーズを揚げたもの)とラテ・マキアート。パンも付いてきた。
スマジェニ・スィールには、ソテーしたポテトとサラダが付いていて、チーズ・フライとタルタル・ソースとの相性が絶妙だった。全然しつこくなく、チーズの香ばしさが口の中に広がって、とっても美味しかった。スープの味もあっさりしていて美味しかった。
何かŠvejkのキャラクター・グッズがあれば記念にと思ったのだが、特に販売はしていなかった。
ŠVEJK RESTAURANT
翌日の昼間に撮った看板と外観
お腹も満たされ、そろそろ7時からのルドルフィヌムのコンサートに行く時間。レストランからルドルフィヌムまでは徒歩10分弱。
コンサートはドヴォルジャーク・ホールではなく、SUK HALLという800人ほどの小ホールで行なわれ、パルナス・アンサンブルという8人の弦楽八重奏団の演奏。
中にはチェコ・フィルに在籍している人もいるそうで、先日の教会コンサートの演奏より遥かにレベルが高かった。
ヴィヴァルディの 『四季』 やモーツァルトの 『小夜曲』、ドヴォルジャークの 『ユーモレスク』、ビゼーの 『カルメン』 など、私の耳にお馴染みの曲ばかり。最後はブラームスの 『ハンガリー舞曲』 で大いに盛り上がった。
アンコールは全員ピチカート奏法で演奏。コントラバスの人がとってもユーモアがあって、クルクルとコントラバスを回しながら弾いたり、わざと音をカスって笑いを誘ったりと、リラックス・モード。大歓声の中、拍手は鳴り止まず、再度登場。でも演奏はせずに挨拶だけだった。
これで、700CZK(3500円)はお得! 素晴らしい演奏で、プラハ最後の夜をとてもいい気分にしてくれた。
パルナス・アンサンブル
そのあと、夜のカレル橋を歩いた。かなりの人で賑わうカレル橋では、ストリート・ミュージシャンがいたるところで演奏したり歌ったりしていた。
この日はハロウィン。でもヨーロッパはアメリカほど派手ではないので、ホテルのフロントや一部のレストランの店先にかぼちゃが置かれているのを見ただけだったが、向こうから奇声を発しながらスキップしてくる仮装した人たちがやってきた。なかなかキマッテいたので、カメラを向けるとポーズを取ってくれた。
ストリート・ミュージシャン That's Halloween!
そのまま歩いて旧市街に入り、Husova(フソヴァ)通りの 「Cream & Dream」 というジェラート屋さんでピスタチオとカプチーノのジェラートを買って、食べながらホテルに戻った。
ピスタチオのジェラートは、本場ローマに比べると少し甘かったが、カプチーノはほど良く苦味が効いていて美味しかった。
一旦ホテルの部屋に戻ったあと、最後の夜くらいはホテルのカフェに行かなくちゃと思い、お財布だけ持って1階にある 『のだめ~』 のロケでも使われた 「Café Evropa」 に行った。
オーダーしたアイス・コーヒーは、日本のアイス・コーヒーとは違い、コーヒー・フロートのようで、アイスクリームがたっぷりで美味しかった。
私の席の横にピアノがあり、しばらくすると演奏が始まったのだが、何曲目かから流れてきたのはなんと、滝廉太郎の 「花」! その後も 「赤とんぼ」や 「七つの子」、「上を向いて歩こう」 など、日本の曲のメドレー。思わず笑みがこぼれ、ピアノ弾きのおじさんの方を見ると目くばせしてる。
私のほかには、お客さんの中に日本人はいない。きっと私のために弾いてくれてるのね~と勝手に解釈。(笑) それにしても粋な演出だ。カフェを出る時に、おじさんにお礼の会釈をすると、おじさんはウィンク。ピアノの上のチップの小瓶にコインを入れて去った。
いい感じでプラハ最後の夜を満喫したあと、部屋に戻って荷物のパッキングをした。
Café Evropa
チラチラと私の方を見ながら演奏するおじさん
★この日の万歩計の成果 : 歩数32.879歩、消費カロリー606.4Kcal、歩いた距離14.7km