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The Grapes of Wrath / These Days

2009-07-30 | music : special


私のall time favoriteで、常に心の中にいるバンドのひとつ、The Grapes of Wrath(グレイプス・オブ・ラス)は、US及びUKのバンド中心に聴いている私には珍しく、カナダのバンドである。 
1980年に、まだ少年だったChris Hooper(クリス・フーパー)とTom Hooper(トム・フーパー)兄弟は、Gentlemen of Horror(ジェントルマン・オブ・ホラー)というパンク・バンドを経て、Kevin Kane(ケヴィン・ケイン)とVincent Jones(ヴィンセント・ジョーンズ)と共に1984年にGrapes of Wrathを結成。1992年に解散するまでEP1枚とアルバム4枚をリリースした。
その翌年、GrapesからKevinが抜けた形でginger(ジンジャー)を結成したが、3年間で活動中止。そして2000年にTomは、KevinとふたりでGrapes名義でアルバムをリリースした。
その後、TomとKevinはそれぞれソロで音楽活動を続けているのだが、なんと今年ふたりが再びタッグを組み、Grapes名義で今月地元でライヴを行なったのだ。(どんなに行きたかったことか・・・)
 Tom & Kevin、Tom(右)は、ヘア・スタイルもルックスも昔とちっとも変わっていない・・・

これはそんなGrapesの、1991年にリリースされた、4ピース時代の最後のアルバム 『These Days』。
私が所有するGrapesのオリジナル音源は全てアナログ盤のため、いつも聴くのはベスト盤なのだが、少し前にこのアルバムをiTunesにダウンロードした。
元々音楽を始めたのがパンクだとはとても思えない、優しくて抒情的で、美しいハーモニーと爽やかなメロディに癒される。
TomがVo.のM-2 「You May Be Right」 は、このアルバムでいちばん好きな曲。ゆったりとしたリズムのソフト・ロックで、後半で鳴り響くハモンド・オルガンの音色がめちゃくちゃ心地良い。
スライド・ギターの音色とオルガンの音色が絶妙に絡み合う、とても優しいメロディのM-4 「I Can't Find My Home」、続くM-5 「Days」 は、コーラスが美しく響くキラキラしたギター・ポップ。
前半がちょっとディスコティックなアレンジのM-6 「I Am Here」 は、本当にディスコ・サウンドのようなRemix Ver.でシングルのカップリングになり、後にベスト盤にも収録された。そうは言っても、サビの広がるようなメロディは爽やかさ度満点。
短い曲だが、淋しげでノスタルジックなM-7 「No Reason」 のハーモニーは、この上なく美しい。
M-8 「Travelin'」 でも素晴らしいコーラス・ワークを披露。ゆったりとしたギタター・ポップだが、アウトロでの熱いピアノ・ソロとギター・ソロが、アルバム唯一のアップ・テンポなロック調のM-9 「A Fishing Tale」 に繋げる。
ちょっとウキウキしてくるような可愛いメロディのM-11 「Now」 も、大好きな曲。
最後のM-12 「Mirade」 は、メロディの展開がカッコ良い。彼らにしては6分強の大作なのだが、アウトロが3分もあるのはちょっと長すぎ。でも何故がダレなくて、心地良いギター・リフが続いてF.O.して終わる。

Grapesの美しいオーガニック・サウンドは、18年経った今でも全く色褪せることなく、心に響き、安らかな気持ちにしてくれる。


★Grapesの関連記事はこちら
★gingerのアルバム・レビューはこちら


★The Grapes of Wrath / You May Be Right



FUJI ROCK FEST. フジテレビNEXT生中継

2009-07-25 | music : other


全国的に雨模様のぐずついた天気の中、フジロックがスタートし、無事初日を終えたようだ。
毎年必ず雨に見舞われるという苗場だが、今年は豪雨の中の幕開けだったらしい。
それでも時々は雨が止んで太陽も顔を出し、昼間は降ったり止んだりだったそうだが、夜になると再び強い雨に見舞われた模様で、「オールナイトフジ」 は中止になった。
Paul Weller(ポール・ウェラー)のステージのあと、初日のトリだったoasis(オアシス)も、雨のせいでいつもより人が少なかったらしい。
足元のぬかるみは増す一方で、川の増水などもあるようなので、参戦している皆さんには、怪我のないように、そして風邪を引かないように温かくして、楽しんできてほしい。


そんな苗場の模様を、今年はフジテレビNEXTで前夜祭から生中継されている。(とは言っても私はCTVでこのchは契約していないので見れないのだが・・・)
自宅に居ながらフジロックを楽しめるという、優れものの企画。詳しい放送スケジュールはこちら

尚、苗場の様子は、「Fujirock Express」「Fujirockers.org」にて随時更新中。
特に写真が豊富な 「Fujirock Express」 はアクセスが集中していて繋がりにくくなっているが、“再度アクセスしてください” のメッセージが出ても更新ボタンを押し続けるとよい。


★写真は 「Fujirock Express」 より。 Paul Weller大先生、か・か・髪がぁ・・・おでこがぁ・・・。

NANO-MUGEN FES. 2009 @Yokohama Arena 07/20/09

2009-07-22 | performance


ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下アジカン)が主催するフェス、NANO-MUGEN FES.が横浜アリーナで2日間開催され、2日目に行ってきた。
開演は正午だったが、少し早めにアリーナ前で友達と合流。入場は長蛇の列だったが、止まることなくスムースにすんなり中へと進むことができた。
先に腹ごしらえをと思い、フード・エリアに行くと、お好み焼きや佐世保バーガー、讃岐うどん、宇都宮餃子、ラーメン、カレー、天むすなどなど、様々な美味しい食べもの屋さんが出店。目移りしたが、まだ汗が引いていなくて温かいものは体が拒否したので、私は冷やし讃岐うどんにした。美味しかった。
このフェスは、当日会場に行ってからでないと出演順が分からない。タイム・スケジュールがマニックスのキャンセルで変更になったので、確認しながらどう行動するかを打ち合わせ。
まずは、スタンディング・エリアに入り、前方真ん中のブロックに入り、左端辺りが空いていたので、そこで開演を待った。
楕円形のアリーナを縦長に使うのではなく、横長に使用していたので、横に広いがその分後ろでもステージにかなり近い感じがした。
モニター・ヴィジョンでは出演バンドのPVが流れる中、場内には飛行船が飛んでいたりしていて、お祭り気分を演出。


━まず、アジカンのメンバーふたりがステージ袖に出てきて、オープニングの挨拶。

【Farrah (ファラー)

当初は、入場時のオープニング・アクトとしてセッティングされていたのだが、急遽ステージでの演奏となったFarrah。フル・セットではなく、Vo.とベースのふたりだけのアコースティック・セットだった。
ちょっとBMX Bandits(BMXバンディッツ)のDouglas(ダグラス)に似ているVo.のJez(ジェズ)は、“スッゴイネ!” を連発。Michelle(ミシェル)は、細い体でベースを弾く姿がカッコ良かった。綺麗な女性がベースを弾く姿って、本当にカッコいい。
Farrahの音楽は初体験だったが、ふたりの美しいハーモニーと、ポップで爽やかなメロディが印象的で、す~っと入って行けた。
“とっても悲しい曲です” と言って、キーボードの弾き語りで歌った曲がとっても美しくて感動。
ハンド・クラッピングとコーラスを会場に促し、“スッゴイ! カンペキ! スッバラシイ!” と言ってとっても満足そうだった。
“次の曲が最後の曲” と言った時は、“えっ!? もう?” と思うくらいアッという間で、もっと聴きたかった。アルバムを聴いてみようと思う。

【サカナクション】

全くどういう音楽をやるバンドかは、この時まで知らず。エレクトリックなスペース・ミュージックという感じだった。
このバンドもベースが女性で、Key.の女性は宇宙服のようなコスチュームだった。広い会場に似合う音を出すバンドだった。

━最初とは違うアジカンのふたりが出てきて、海外のアーティストのライヴを盛り上げるためと言って、掛け声の練習。とは言っても、全部 “フォー!” だったが・・・。(笑)
洋邦関係なく、フェスを楽しんで盛り上げようとするふたりの姿には、好感が持てた。
ここで、サカナクション目当ての人たちが居なくなったので、ラッキーにも最前をゲット。

【Nada Surf (ナダ・サーフ)

“初めて日本に来ました~!” と言って 「Hi-Speed Soul」 でスタート。アルバムを聴いてイメージしていたのとは違って、かなりハードなステージング。
透き通るようなMatthew(マシュー)の声が響き、Daniel(ダニエル)はロングのドレッド・ヘアを振り乱してベースを弾き、ドラムスのIra(アイラ)は、ハチマキしたりカーボウイ・ハットを被ったりしながらプレイすると言う茶目っ気ぶり。
曲前にMatthewが、“とっても簡単だから、みんなでダンスしてね。こうやるんだ。でも、みんなが揃ってやってるのをここから見るととても異様だけど素晴らしいんだ” と言って、左右に揺れながらステップを踏むお手本を見せてやったのが、 「Inside Of Love」。見渡すと、2階席も3階席も一体になって皆左右にステップを踏んで盛り上がっていたので、Matthewは曲が終ると、“ミンナ、サイコー!” と言ってとても嬉しそうだった。
「Weightless」 の3連のリズムは、重厚に唸ってかなりヘヴィに展開し、「I Like What You Say」 では、Matthewの高音が響き渡って気持ち良かったな~。
慣れたステージングでオーディエンスののせ方も上手く、みんなをNada Surfの世界へといざなって行き、曲が進むにつれてだんだん拍手や歓声が大きくなって行くのが感じられた。
待ってましたの 「Always Love」 は、アルバムよりも少しテンポ・アップしていてロック色が強く感じたが、キラキラと輝く爽快さと優しさに包み込まれた。やっぱりいい曲だ。
最後は 「Blankest Year」。曲前に “Oh~ fuck it” のあとの “fuck it” のコーラスをオーディエンスに覚えさせ、大合唱でノリノリだった。
音が止まり、終わるかなと思わせておきながらまたギターを掻き鳴らし、それが2~3回繰り返され、最後にはMatthewはギターのネックをマイク・スタンドに擦り付けてギュインギュイン言わせ、Danielはベースを床に叩き付けていた。
最後にIraが前に出てきてDanielとハグをして、Matthewはカメラを持ってきて “サイコー! ミンナ、チーズ!” と言いながら、オーディエンスの写真を何枚も撮っていた。
まろやか~なライヴを想像していたので、意外にもハードなステージングにちょっと驚いたが、とっても楽しかった。

━次のThe Young Punx!(ヤング・パンクス)は、ヴィジョンのPVを見て私も連れも肌に合いそうになかったので、一旦出て食事タイムにした。
お腹いっぱいになったあと、最初ユニコーンはスタンドで見る予定だったが、Ben Folds(ベン・フォールズ)がユニコーンの次だったので、終わってから移動するのには少しムリがあるかなと思い、スタンディング・エリアに入ることにした。やはりユニコーン目当ての人が多いのだろう、入場するのに列が出来ていた。
列に並びながら2階から1階へと向かう階段に差し掛かった時、目の前階段の下にNada Surfが!
どうやらロビーで演奏していた様子。マイクなしで歌っていたので、声が聞こえず気付かなかったのだ。惜しいことをした。
階段の方に目を向けたIraに手を振ると、両手を挙げてピース・サインをしてこっちにおいでと手招きしてくれたのだったが、丁度演奏が終わったところで、Matthewがみんなに囲まれてしまって大変なことになっていたので、その場に行くことができなかった。

【ユニコーン】

前方左側のブロックで見たが、途中で足が痛くなって疲れてきたので、連れとは離れて私は隅っこに寄って座ってヴィジョンで鑑賞。「服部」 と 「WAO!」 は分かった。

━真ん中のブロックに移動。再びアジカンのふたりが出てきて、漫才のようなゆる~い掛け合いで次のBen Foldsにつなげるトークをして、会場を湧かせた。

【Ben Folds】

いきなりア・カペラのコーラスで突入した 「Effington」。この曲だけ参加したタンバリンのおじさんは、オーディエンスにお尻を向けて、バンド・メンバーと円陣を組むように座り、Benの超絶技巧の指は鍵盤を転がって行き、もはやピアノがピアノではなく、打楽器と化したかのようだった。
バンド・セットだが、ピアノ中心であれだけハードなロックを奏でるのは凄い。そして、椅子をピアノにぶつけて暴れる暴れる。
「Hiroshima」 でまさかの日本語詞。エコーがきつくて歌詞が聞き取りにくかったが、“オレノアタマ~” とか “マッカッカ~” というフレーズが聴こえてきた。
通訳の女性をステージに呼んで、“いちばん低い声の人はこう”、“次にさっきより少し高い声の人はこう”、“いちばん高い声の人はこう” と言って練習させて即席合唱団となった私たちは、「Not The Same」 で3部合唱に挑み、曲終わりにBenはピアノの上に立ち、指揮者よろしくやりたい放題。左右に分けていろいろやらせ、楽しく盛り上がった。
最後にやったのが、なんとBen Folds Five時代の名曲 「Philosophy」。この曲がライヴで聴けて、嬉しかった。超高速奏法でエンディングを弾き終えたあとは、再び椅子をピアノにぶつけて去って行った。
ってか、あのピアノ、Benのピアノじゃないんだから・・・。使い捨てじゃないんだから・・・。(笑)

【スピッツ】

かなり長い時間のセット・チェンジで待ちくたびれたあとは、待ってましたのスピッツ。マニックスが出ない分、私のいちばんの楽しみはスピッツだった。
マサムネくんは白いシャツで爽やか度満点。三輪さんはグレイに染めた長髪を振り乱し、田村さんはあちこち飛び回ってベースを弾き、崎山さんは寡黙にドラムを叩くと言った、相変わらず4人の個性がバラバラの彼ら。
のっけから 「今」、「放浪カモメはどこまでも」 と、ロック・チューンでハードに疾走して行った。
“俺達ライヴ自体が久しぶりなので、ドキドキしてるんだよね” と言うスピッツは、意外にも横アリでライヴをやるのは初めてなのだそうだ。iPodでよく聴いているNada Surfが見れて、嬉しかったと言っていた。
「チェリー」 で甘酸っぱい気持ちにさせてくれたあと、続けて 「スパイダー」、「ガーベラ」 ときた。この流れにはやられた。マサムネくんの声に癒され、萌えた。
「8823」(はやぶさ)で再びロック・モードになったあと、「俺のすべて」 では、マサムネくんはハンド・マイクでタンバリン片手にステージの端から端まで歩きながら歌い、田村さんはジャンプしまくってベースを回したりマイク・スタンドにぶつけたりと、凄まじい弾けっぷりだった。(マサムネくんの初々しさもそうだが、とても42歳とは思えん・笑)
最後は 「僕のギター」 でしっとりと終わったが、なんかアッという間に終わってしまって、短く感じたスピッツだった。

━またまたアジカンのふたりが登場し、改めてマニックスが出られなくなったことを話した。“みんなにもマニックスを好きになってもらいたいので、映像をなんとか手に入れました” と言って、カーディフでやった1999年の 『Leaving The 20th Century』(ミレニアム・イヴ・ライヴ)の映像が3曲流れた。
チア・ガールの衣装でぴょんぴょん跳ねてるNickyを見るとなんだか泣きそうになったが、ライヴ映像の観客の歓声や拍手が横アリと同化して、まるでその場にいるような雰囲気を感じさせてくれた。
流れた曲は、「Everything Must Go」、「Motorcycle Emptiness」、「A Design For Life」。あ~、本当にライヴが見たかった。残念・・・。

【Hard-Fi (ハード・ファイ)

ステージの左側が開いてミニ・ステージに早変わりし、Hard-Fiが登場。私は前方ブロックの左端に居たので、あのこゆ~いRichard Archer(リチャード・アーチャー)が目の前に・・・。
周りは明らかにその後控えているアジカン目当ての人ばかりだったが、結構盛り上がって皆楽しんでいる様子だった。
「Gotta Reason」 の “ンッチャチャッ、ンッチャッ” のリズムに合わせてハンド・クラッピングしながら踊れたのは気持ちが良かった。
ずっしりとした男臭さ溢れる 「Suburban Knights」 では、当然のように “Ohhhhh Ahhhhh” と合唱になり、「Little Angel」 では、ブラスも入ってぶ厚いサウンドが響き渡った。
それにしても、残念だったのが歌がヘタだったこと。アルバムを聴いてかなり気に入っていたので、これにはガッカリした。
それに加えて、持ってきていた水が既になくなってしまって喉がカラッカラだったのと、足が棒のようになって痛かったので、「Stars of CCTV」 が終わったあとは、後ろに下がって柵にもたれて見たのだった。

━トリはアジカン。スタンドでゆっくり見ようと思ったのだが、2階も3階も立ち見の満席。上からスタンディング・エリアを見下ろすと、皆同じ手の振りが気持ち悪いくらいに揃っていて、ある意味異様だった。
結局座ったのは、The Young Punx!の間に食事した時とユニコーンの途中からだけで疲れが足に来ていたので、立ちっぱなしで見る気力がなく、帰りの電車も混まない内にと思い、これだけいいバンドを揃えてくれたアジカンには申し訳なかったが、楽しいひとときを過ごさせてくれたアジカンに感謝の気持ちを残し、一曲だけ聴いて会場をあとにした。


アジカンが洋楽とか邦楽の枠を超えて開催するこのフェスは、とてもいい企画だと思う。
お目当てのバンドしか見ない人や、場所取りだけのためにその場にいてシラケテいる人もいるが、知らないバンドを知り、興味を持つバンドが見つかるいいきっかけになると思う。
私は、今回行ってFarrahに興味を持ったし、連れはNada Surfが気に入ったらしい。
これまでも、The Rentals(レンタルズ)やPhantom Planet(ファントム・プラネット)など、なかなか来日しそうにないバンドを呼んでくれるので、是非これからもレアなバンドをオファーしてほしい。


[2009-07-23 画像追加]

マニックス、NANO-MUGEN FES.出演キャンセル!

2009-07-18 | music : other


ショックで、まだ少しボーゼンとしている・・・。
実は、下のNada Surf(ナダ・サーフ)の記事作成中に、NANO-MUGEN FES.のメルマガで、何ともショッキングな内容のものが届いたのだった。
明後日に迫ったNANO-MUGEN FES.に出演するはずだったManic Street Preachers(マニック・ストリート・プリーチャーズ)が、ベースのNicky Wire(ニッキー・ワイアー)の急病でドクター・ストップがかかり、急遽来日そのものが中止になったとのこと。
Nickyはずっと腰を痛めていて、今年はその腰痛が更に悪化してしまい、それでもコルセットをはめてライヴをやっていて、ツアーは続けると公言していたのだった。
ステージではいつもピョンピョン飛び跳ねて動き回るNickyからはちょっと想像できないが、ベース・ギターはとても重い楽器。腰に負担がかかるのは、止むを得なかったのだろう。
ダイナミックな演奏はなくても、ライヴが見れるだけで良かった。益々来日が遠のいて行く気がする。でも、ドクター・ストップなら仕方がない。来日中止はショックだけど、それよりもNickyが心配。
元はと言えば、NANO FESに行くのを決めたのがマニックスの出演だった。本当に楽しみにしていた。
フェスの翌日、タワレコで行なわれる予定だったアコースティック・ライヴも当然中止で(当たっていた・・・)、本当に残念な限りだが、一刻も早くNickyが回復して、今度は単独で来日して欲しい。
マニックスが出ないのはとっても淋しいが、大好きなスピッツが出るし、Ben Folds(ベン・フォールズ)やNada Surf、Hard-Fi(ハード・ファイ)と、折角の魅力的なラインナップなので、ちゃんと楽しんで来ようと思う。
Hard-Fiで踊って、Nada Surfの優しい歌とマサムネくん(スピッツ)の歌声に癒してもらおう・・・。


[2009-07-19追記]
★アジカンのメンバーのブログによると、今回のNickyの急病は 「severe bacterial gastroenteritis(重度の細菌性胃腸炎)」 が原因とのことで、腰痛(椎間板ヘルニア)が直接の原因ではない模様。
でもNickyの腰痛は慢性的で、今年本国でも痛みが酷くなってライヴが中止になったことがあったので、何はともあれ、一日も早く元気になって、そして一刻も早く来日してくれることを祈るばかり。Nicky.....お大事に!

Nada Surf / Weight Is The A Gift

2009-07-17 | music : normal


今更私がここで、このバンドのことをあれこれ語るのはおこがましいのだが、ひと足もふた足も遅れて私の音楽コレクションの仲間入りしたNada Surf(ナダ・サーフ)。
彼らのことは、ブログを通して知り合った方々が皆さん、声を揃えて絶賛しているので、常に気にはなってはいた。で、名曲 「Always Love」 だけはよく知っていて、去年ウィーンのTVで彼らのMTVの特集を見て、益々聴かなきゃ聴かなきゃと思ってはいたものの、結局今になってしまった。
お察しの通り、Hard-Fi(ハード・ファイ)同様、NANO-MUGEN FES.に行くのでじっくり聴いてみたというわけだ。
まず、先にやはり 「Always Love」 が入っているという理由で4thアルバム 『Weight Is The A Gift』 を聴き、しばらくしてから最新アルバム 『Lucky』 も聴いた。
全体を通して聴いた第一印象は、Vo.の歌い方がとっても優しいということ。そして、ギターの音がとても心地良い。
Vo.もギターを弾いているのも、フロントマンのMatthew Caws(マシュー・カーズ)。最初、高音がちょっとFountains of Wayne(ファウンテインズ・オブ・ウェイン)のChris Collingwood(クリス・コリンウッド)に似てるかな?と思ったが、何度も聴いている内にそんな感じも消えていた。
軽快で爽やかなアコギの音に誘われるように、スーッとポップなメロディが溶け込んで行くM-1 「Concrete Bed」 で幕を開け、M-3に 「Always Love」。
この曲は本当に優しくて切なくて、でもどこか力強くて、温かく包み込んでくれるステキな曲。至極のメロディとは、こういうのを言うのだろう。
メロウ&ソフトなM-5 「Your Legs Grow」 でじわ~っとさせ、弾けるようなアップ・テンポのリズムが気持ちいいM-7 「Blankest Year」 で楽しくなり、再びM-8 「Comes A Time」 で優しさに包まれる。
その後は、ポップでほど良く軽快なナンバーが続く。アルバムの中でいちばんドラムのビートが気持ち良く耳に残るのが、M-10 「Armies Walk」。
そして、ラストのM-11 「Imaginary Friends」 はパワー・ポップ全開! とてもキラキラしていて、心躍る爽快な曲だ。

『Lucky』 も美しいメロディが詰まっていて大満足だが、まだ未聴の3rd 『Let Go』 が好きだという人が多いようなので、近々聴こうと思っている。
でもまずはNANO FESで、彼らのライヴをじっくり楽しんで来よう。

Hard-Fi / Once Upon A Time In The West

2009-07-08 | music : normal


NANO-MUGEN FES.に向けて、いろいろ予習中。
以前から気にはなっていたものの、なかなか音を聴く機会のなかったHard-Fi(ハード・ファイ)。今回いい機会となり、アルバム2枚を聴いてみた。
これは、彼らの2nd 『Once Upon A Time In The West』 で、2007年にリリースされたもの。
UKワーキング・クラス出身のハングリー精神に溢れた4人の若者による、グルーヴ感がそこかしこに感じられるギター・ロックは、なかなか渋くていい感じで、ライヴが楽しみだ。
“Ayyyyyyy Ohhhhh Ahhhhh” という野太いの掛け声じみたコーラスが耳に付くM-1 「Suburban Knights」 は、単調だけどバランスが取れていてインパクトがある。
アコギの音色を活かしたM-2 「I Shall Overcome」 は、重く陰ったメロディで、続くピアノをフィーチャーしたM-3 「Tonight」 は、最後のチェロの音色が美しい。
M-4 「Watch Me Fall Apart」 は、とてもドラマティックでタンバリンの音色が印象的。
1st 『Stars Of CCTV』 に比べると、ダンサブルなナンバーが減っているが、ストリングスやブラスを巧みに入れたアレンジは分厚く、バラエティに富んだ楽曲が続く。
M-7 「Help Me Pleas」 では、とても優しい一面を見せてくれるし、M-6 「Television」 やM-8 「Can't Get Along」 での心地良いポップなメロディや、M-9 「We Need Love」 のエキゾチックなメロディにはゾクッとさせられる。
M-10 「Little Angel」 のブラスのアレンジは、ちょっと音が重なりすぎて暑苦しいが、M-11 「The King」 で静寂を与えてくれる。最初は静かに始まり、だんだんと力強くなって行く、エモーショナルなバラードで締めくくる。

ずっしりと重みのある、男臭さが染み込んだ音と言った感じで、派手さはないが無難な内容で悪くはないが、1stの方が勢いがあって聴き応えがある。
アルバム・ジャケットに “NO COVER ART.” と大きく書かれていることについては、Vo.のRichard Archer(リチャード・アーチャー)はこう語っている。
“アルバム・ジャケットの重要性は、今やiPodのスクリーン上に表示される1cm四方の正方形と同等になりつつある。ジャケットというものは、かつてはアルバムに別の一面をもたらしてくれるものだった。だが、それも消滅しつつあるようだ。本当に悲しいことだね”
確かに同感だ。かつて、CDが普及し始めた頃、私はジャケットの楽しみが半減するという理由で、発売がなくなるまでアナログ盤を買っていた。
アルバムのアート・ワークも、そのアルバムの音楽と同じで、ひとつの重要な作品なのだ。
まだ日本ではCDの需要が廃れていないが、アメリカではもうほとんどダウンロード中心で、CDショップやレコード・ショップはどんどん閉店して行っている。
それでも、UKでは今でもアナログ盤が発売されている。そういうところは、古いものや定番のものを大切にするというお国柄が出ている気がする。
彼らのこのアルバム・ジャケットは、中を開いても “SECOND ALBUM PHOTOSHOOT.” と大きく書かれているだけだった。

Manic Street Preachers / Journal For Plague Lovers

2009-07-02 | music : favorite


腕の方はまだ少しだるさが残るものの、昨日鍼治療をしたお陰か肘の痛みがなくなり、PC操作も苦にならないほどに回復。まあぼちぼちやって行こうと思っているが、久しぶりなので、今日はほぼ毎日聴いているこのアルバムのことをたっぷり語ろう。

Manic Street Preachers(マニック・ストリート・プリーチャーズ)の9作目 『Journal For Plague Lovers』 は、1995年に突如失踪したギターのRichey Edwards(リッチー・エドワーズ / Edwardsは本名だがRichey James(ジェームス)での表記もあり)が残していた散文を元に製作され、Richeyが表現する愛や怒りが詰まった、彼への愛とリスペクトに溢れた “4人” で作ったトリビュート・アルバムで、シングル・カットのない一枚を通してひとつのアートとして成立したコンセプト・アルバムになっている。
雑誌のインタビューでベースのNicky Wire(ニッキー・ワイアー)は、こう語っている。
“彼の歌詞に導かれるようにしてアルバムが出来上がった。彼のリリシストとしての才能を再確認すると共に、改めて彼の才能への敬意を表したいと思ったんだ。”
昨年、英国の裁判所がRicheyの死亡宣告を表明したことが、今回のアルバムのコンセプトと関係しているように表現しているメディアが多いが、Nickyはずっと前から計画していたことで、Richeyの死亡宣告とは関係ないと言っている。
そしてもうひとつ、今回のアルバムは、彼らの3rdアルバム 『The Holy Bible』 の続編と言われている。確かに、音的にポップ・センスが発揮された前作 『Send Away The Tigers』 とは違い、このアルバムはエッジの効いた尖った音でダークなイメージなので、そういうところからも 『The Holy Bible』 の続編と言われるのだろう。
しかしこのことについても、Vo.&GのJames Dean Bradfield(ジェームス・ディーン・ブラッドフィールド)はこう否定している。
“『The Holy Bible』 の歌詞も殆んどがRicheyの手によるもので、アルバムのアート・ワークもRicheyが好きだった同じジェニー・サヴィルというアーティストが手がけているし、収録曲数も同じ13曲ということで 『The Holy Bible』 を思い出させる。でもテーマが違う。『The Holy Bible』 は怒り、憎悪を取り扱っているが、このアルバムはもっとデリケートで、続編ではない。”

プロデュースは、Nirvana(ニルヴァーナ)やPixies(ピクシーズ)を手がけた、オルタナティヴ・シーンを代表する名エンジニアSteve Albini(スティーヴ・アルビニ)を起用。アナログ・テープでライヴ一発録りで完成させたとのことで、心地良い緊張感と溢れんばかりの感情がほとばしっている。
M-1 「Peeled Apples」 は、Jamesが特にインスパイアされたと言っている “The More I See The Less I Scream(私は分かれば分かるほど、より悲鳴をあげなくなる)” という詞で始まる。ズンズンとベース音が響き、ぶ厚いギターのリフがとどろく。
M-2 「Jackie Collins Existential Question Time」 では、マニックスならではのポップ・センスが光る。ギターのメロディが素晴らしい。詞の面では、サビで “Oh Mammy, What's a Sex Pistol(ねぇママ、セックス・ピストルって何?)” と繰り返され(バンドのSex Pistolsではない)、それが頭の “Tonight we beg the question(今夜我々は話をはぐらかす)” に繋がる。“beg the question” は、“論点となっていることを真実とみなして話を先へ進める” という意味だが、この曲では反社会的行為についての疑問を投げかけている。Jackie Collins(ジャッキー・コリンズ)は、現在71歳の英国の小説家/元女優の名前。
疾走感溢れるロック・チューンM-3 「Me And Stephen Hawking」 では、冒頭で “ラジオを点けてください” と日本語で二回繰り返される。これは、6thアルバム 『Know Your Enemy』 に収録されていた、“目、とっても美しいですね” という日本語が流れる 「Ocean Spray」 を思い出させる。
M-4 「This Joke Sport Severed」 ではアコギの音が切なく響き、ストリングスも入って哀愁が漂い、歌詞にも哀しみと虚しさが滲み出ている。
M-5 「Journal For Plague Lovers」 はアルバム・タイトル曲。Richeyが残した3冊のノートは、詞というよりも “Journal(日記)” のような形になっていたそうで、全てRicheyの言葉で作るということもあってこれをタイトルにしたそうだ。
M-6 「She Bathed Herself In A Bath Of Bleach」 は、ヘヴィでエッジの効いたロックで、間奏の重厚でメロディアスなギターが印象的。
アコギとハープが哀しく響くM-7 「Facing Page: Top Left」 は、とても美しい曲。
打ち込みリズムで淡々としたM-8 「Marlon J.D.」 は、前後の曲と違ってかなり異色を放っている。
M-9 「Doors Closing Slowly」 では孤独から生まれる悲痛が歌われていて、Richeyの心の叫びが聞こえてきそうだ。
続くM-10 「All Is Vanity」 でも、孤独感と虚無感がメランコリックなメロディに乗せて歌われている。
M-11 「Pretension / Repulsion」 は、マニックスらしいロックの約2分の短い曲で、Richeyの表現する怒りが、Jamesの叫ぶように歌うVo.にも表れている。
このアルバムの中でとても好きなのが、M-12 「Virginia State Epileptic Colony」。メロディはポップだが詞はかなりアイロニカルで、サビではそのメッセージが込められたタイトルの頭文字V.S.E.C.がくり返される。
ラストを飾るM-13 「William's Last Words」 は、Nickyが歌っている。“I'd love to go sleep. And wake up happy. Cos I am really tired.(眠りたい。そしてハッピーな気分で目覚めたい。とっても疲れているから)” と繰り返されるフレーズが切なすぎて胸が痛くなる。反社会的な怒りやメッセージは全くなく、バンド初のラヴ・ソングとも言えるだろう。Richey無きあと、彼に代わってマニックスの言葉の代弁者となってきたNickyが切々と静かに歌い、幕を閉じる。

Richeyを失ったことで、更に4人の絆が深まったということを示すかのようで、ずっとマニックスを聴いてきた者にとっては、ある意味パーソナルな存在のアルバムでもある。
ずば抜けて・・・というほどではないが、デビューからずっと好きで、Richeyのいる4人のライヴも体験しているが、Nickyファンの私はあまりRicheyを見ていなかったようで、Richeyのステージでの記憶が殆んどないのが残念な事実。
謎の失踪事件はかなり衝撃的だったが、メンバーもファンも、ある日ひょっこり帰ってきて、また4人のマニックスが戻ってくると、少なくとも心のどこかで思っていたに違いない。初期からのファンは、誰もRicheyのことは忘れていない。
今となっては、4人に書いてもらったサイン入りの 「You Love Us」 の12"は、何物にも替えがたい宝物だ。
そしてあれから15年近く経った今、“ALL LYRICS BY RICHARD EDWARDS” と書かれているのを見ると、何とも言えない複雑な気持ちになる。
Richeyのカリズマ的な存在と天才的な言葉のマジックは、マニックスには切っても切り離せないもの。言わずもがな、彼の才能を再確認させられる。
このアルバムに併せたツアーは2部構成で、1部はなんと新作を全曲やり(もちろん曲順もそのまま)、2部は初期作品を中心に、といった涙ものの構成。1部はRicheyに捧げ、2部はファンに捧げるライヴという感じの憎い演出だ。
NANO-MUGEN FES.では、ステージにRicheyが居るかのような錯覚に陥るかも知れない。


★歌詞の内容や和訳は独自の解釈によるものなので、本来の意味とは違う場合あり。