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without A trace

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心を込めて、welcome!

2006-02-17 | music : favorite


Glasgowの音楽仲間の輪ほど、広くて親密で温かくて、愛と友情が溢れ出ている輪はないだろう。
80年代からそのGlasgowの音楽シーンを支えているのは、PastelsのStephen PastelとBMX BanditsのDuglas T Stewartだと私は思う。
その輪を辿って掘り下げて行くのは、いくら時間があっても足りないくらいに広くて深く、そのバンドの数は数え切れないほどである。
そんな数多くあるバンドの全てを聴いて知っている訳ではないが、私がその輪の音楽が好きなのは、音はもちろん、彼らの音楽に対する姿勢がすごく好きだ。
セールスなんて全くと言っていいほど気にせずに(・・・と私は思っている)、ただ好きな音楽をのんびりと目一杯楽しみながら続けている姿。
そんな心から音楽を楽しんでいる姿が音に現れているからこそ、どのバンドの音楽を聴いても温かい気持ちにしてくれるのだと思う。

ただいま来日中で、既に関西と名古屋でライヴを終え、東京公演ももうすぐのBMX Bandits。
そのBanditsの最新アルバムに参加し、今回来日もしているマルチ・プレイヤーDavid Scott率いるバンド、The Pearlfishers。
今回のライヴでは、そのThe Pearlfishersの曲も披露してくれるみたいなので、今日はこのアルバムを聴いた。
The Pearlfishers、1999年の 「the young picknickers」。昨年ボーナス・トラックを3曲追加して再発もされている。
彼らの音楽は澄み切った美しさ溢れる音で、とても癒される。
そして彼らのアルバムやシングルは、ジャケのアート・ワークがとってもステキで、そのどれもがポスト・カードにしたいくらいだ。
中でも私はこのアルバムがいちばん好きで、静かに眠りたい時や疲れを癒したい時の魔法の薬のひとつになっている。
もうM-1 「we're gonna save the summer」 の出だしのハーモニーを聴いた途端、その美しさの虜になる。
Davidの綺麗な声と、キラキラしたハーモニーが、美しいメロディにとっても合っていて、わくわくする。
The Beach BoysやThe Byrds辺りのハーモニー・テイストや、Bacharachバリのメロディが散りばめられ、M-5 「you justify my lofe」 やM-11 「strawberries in the snow」 のような、Prefab Sproutを思わせるAORの香り漂う楽曲ありと、本当にゆったりとした気分で聴いていられる一枚。
フィドルやバンジョーと言った楽器も効果的に取り入れ、そしてそれが決してごちゃごちゃしていないシンプルなサウンドも魅力だ。
ジャケの裏に小さく “play loud!” と書かれているのだが、フル・ヴォリュームにして聴いてもとても気持ちよく、スカッとする。
さて、BanditsのDuglasとはまた違った声色で癒してくれる、Davidが歌うPearlfishersの曲を生で聴ける日が近づいて来た。楽しみだ!

UKギター・ロックの雄

2006-02-10 | music : favorite


モノクロの写真が大好きだ。
だから、ジャケがモノクロ写真だと、ショップでも気になり、つい手に取ってしまう。
そしてそれが、好きなアーティストのものだったら、尚更嬉しい。
これは、Stereophonicsの99年の2nd 『Perfomance And Cocktails』。
この女性は、恐らく突然kissされたのだろう・・・。目は見開いてるし、手もブラリとしたままで男性を抱きしめていない。
スリーヴの中にはもう少し広いアングルでの同じ写真が載っているのだが、いかにもイギリスって感じの写真だ。
よく覚えていないのだが、恐らく半分はジャケ買いで、あと半分はクチコミだったような気がする。
Stereophonicsは、日本ではoasisやradioheadに押されてイマイチ人気が低いようだが、UKギター・ロックの雄としては最高レベルのバンドと言っても過言ではないはずだ。
1stの 『Word Gets Around』 も絶賛すべきアルバムだが、私はこの2ndから入ったので、こっちの方がより思い入れが深い。
ハスキー・ヴォイス好きの私のツボを思いっきり刺激したKelly JonesのVo.、アコースティック・サウンドの爽快感、シンプルかつ叙情的なロックン・ロール。
まず、M-3 「Hurry Up And Wait」 の美しいアコースティック・サウンドが、私の琴線に触れた。
そして、M-4 「Pick A Part That's New」 の軽快なロック・サウンドの中にキラキラと輝くポップなメロディ。
その後もストレートでシンプルなギター・ロックと、リリカルな曲が駆け抜けて行く。
言うまでもなく、一聴で好きになったのだった。
3ピース・バンドだが、アグレッシヴなサウンド、完成度の高い洗練された楽曲。
ギターの音、メロディが優れているし、それに何と言ってもKellyのVo.が輝いている。
ゆったりとした曲とドライヴ感のある曲がバランス良く収録されていて、聴き手を惹き付けて止まない。
このアルバムは全英No.1となり、当時低迷していたUKロック・シーンに渇を入れてくれた一枚。

ここ数年はサウンド面でかなり骨太になって、シンプルなロックン・ロールから、より一層ダイナミックなサウンドに変化している彼ら。
今でもバリバリ活動中だ。最近GIGのキャンセルが続いているようだが、今年は恐らくニュー・アルバムが出るはず・・・。

★ちなみに、これは私の大好きなモノクロ写真。
   「市役所前のキス」 ロベール・ドワノー(1950)

心の中に灯してくれる小さな炎

2006-02-08 | music : favorite


今回のBMX Banditsのアルバムは、とてもパーソナルな内容だ。
アルバムの曲順のとおりにレコーディングされたそうで、ひとつのストーリーになっている。
そのどれもに、フロント・マンDuglas T Stewartの愛が溢れている。
本当にものすごく切なくて悲しくて、それでいて温かくて優しくて、そしてちょっぴり可笑しい。
アルバム・タイトルの 『My Chain』 が示すように、鎖で繋がれた14曲。
それは、Duglasが想い、愛し、失ってしまったひとりの女性についてのストーリー。
そしてそのサウンドは心の中にポッと小さな炎を灯して、暖かく包み込んでくれる。
長年の最高の相棒だったFrancis McDonaldが脱退し、新たなメンバーで20周年を飾るこのアルバムをリリースした。
正式メンバーかどうかは定かではないが、そのメンバーとは、The PearlfishersのDavid Scott、様々なバンドでプレイしているStuart Kidd、ギタリストのJamie Cameron、そして紅一点のRachel MacKenzie。
彼女の声は、今回のアルバムの曲をとても色付かせている。
特にM-12 「Almost Nothing」 では、決して前に出ることなく、それでいてとても存在感のある歌声を聴かせてくれている。
もちろん、Teenage FanclubのNormanも参加していてることは、言うまでもない。
決して派手ではなく、奇をてらったものでもない、ピュアでナチュラルなアルバムだ。
全曲ゆったりとした曲で構成されていて、とても心温まる優しっくて飾らないメロディばかり。
コンクリート・ジャングルのこんな狭い部屋で聴くのではなく、広い部屋の暖炉の前でロッキング・チェアに揺られながら聴くと、どんなに浸れるだろう・・・なんて想像してしまう。
これほどまでに自身のパーソナルな面を出したら、一歩ずれるとセンチメンタル一色になってしまいがちである。
でも、M-3 「Something About Us」(Daft Punkのカヴァー)やM-5 「Not Knowing You」 のような切ない曲も、M-9 「Taste」 やM-12 「Almost Nothing」 のようなちょっぴり前向きな曲も、そしてM-4 「Dot to Dot」 やM-10 「I'm Still Hungry」 のようなユーモラスな曲も、全て心から癒される。

さて、彼らの来日ももうすぐ。このステキなアルバムをひっさげての、セミ・アコースティック・ライヴ。
この温かさをじかに触れたら、きっと心の奥底まで癒してくれるに違いない。

春の足音が聞こえてきそうな音

2006-01-27 | music : favorite


この人たちの音と出会った時は、いろんな面で衝撃的で新鮮だった。
CDショップに流れていた曲に惹かれ、“Now Playing” のCDを指して、「コレください」 と買ったCDが、Del Amitriの 『Some Other Sucker's Parade』 だった。
まず、てっきりアメリカのバンドだと思っていたら、実はScotland出身だったこと。
そして、こんなムサ苦しい(失礼!)おっさん風のルックスからは、とても想像できないなんともポップで爽やかな音に戸惑いすらあった。
その前の95年のアルバム 『Twisted』 の存在も知っていた。
でも、まさかこんな音楽の人たちだとは思いもせず、ジャケだけ見ておよそHR/HM系なんだろうなと思い込んでいた。
だってコレ、かなりジャケで損してるな~と、音を聴いてつくづく思ったものだった。
特に最初に買った 『Some Other Sucker's Parade』、いくらなんでもコレはちょっとなぁ・・・。

『Some Other Sucker's Parade』 1997   『Twisted』 1995

Scotlandと言えば、やっぱり真っ先に思い浮かぶのが、BMX Bandits、Teenage Fanclubを中心としたGlasgow相関図。
Del Amitriも同じGlasgow出身と言うことをあとで知り、驚いたものだった。
彼らはUSでの人気が定着していて、TOP40なんかにもたくさんチャート・インしている。
そういうバック・グラウンドからも、USのバンドというイメージがあったのだった。
そう、人を外見で判断してはいけない・・・でも、だいたいはルックスやジャケの感じと音というのは、結びつくものがあるのは事実。
そんなモミアゲと髭がジョリジョリのJustin CurrieとIain Harvieのふたりからスタートしたバンドは、その後メンバーも定着して5人組となり、今では少しすっきりとした感じにイメチェンしている。(笑)
今回取り上げるアルバムは、98年リリースのシングル曲を中心としたベスト・アルバム 『Hatful Of Rain』。
もう、全17曲秀作ぞろいのベスト中のベストである。どの曲を聴いても、どこから聴いても素晴らしい。
Scotlandというか、UKというか、いわゆるあの辺の雰囲気はそこはかとなく漂うのだが、USギター・ポップ路線の方が濃い。
個人的に表現するなら、UKの香り溢れるFountains Of Wayneの逆パターンと言ったところだろうか・・・。
オープニングの未発表曲 「Cry To Be Found」 から、ストリングスを巧みに起用した、大人っぽい極上のポップスが流れる。
FMのヘヴィ・ローテーションにより、日本でもプチ・ヒットしたM-2 「Roll To Me」 は、落ち着いたポップ・サウンドが多いこのアルバムの中では弾けた曲で、サビのカスタネットの音が可愛い。
M-3 「Kiss This Thing Goodbye」 やM-5 「Nothing Ever Happens」 のようなブルーズ・ハープやバンジョーやアコーディオンを取り入れた、アメリカン・ルーツ・サウンドっぽい仕上がりの曲とか、Gin Blossoms辺りのサウンドを思わせる、M-4 「Not Where It's At」 やM-6 「Always The Last To Know」 なんかを聴くと、やはりUSの香りがする。
しかし、アレンジの所々にXTC辺りのポップ・センスが伺われ、USのアーティストには出せない味も感じる。
M-11 「Driving With The Brakes On」 は、とてもアグレッシヴなバラードで、感情表現豊かなVo.と厚みのあるハーモニーがじっくりと聴かせる。
ラストを飾る曲は、“Official Team Scotland Song World Cup '98” というサブ・タイトルが付けられた 「Don't Come Home Too Soon」。
Vo.のJustinはScotlandのフットボール・チームのサポーターだそうで、この曲はW杯のオフィシャル・アルバムにも収録された。
応援歌なのに意表をつく、ストリングスのアレンジが綺麗なしっとりとしたバラード。
しかもその歌詞は、チームの実情をしっかりと捉え、見つめている。
“負けて帰ってくることは最初から分かっているさ。それでも俺たちは気にしないよ。だけど、あんまり早く帰ってくんなよ。”
という何とも皮肉な内容だ。でも、ただ単に盛り上る内容のお祭りソング的な曲ではなく、こういう好きなチームへの愛情の溢れる曲が書けるというのが素晴らしい。

いつもよりちょっと早く帰宅できた今日、久しぶりに部屋で少しだけ音楽を聴く時間があった。
このアルバムを選んで聴いてみたら、彼らの落ち着いたポップな音の中に、春の足音を見つけた感じがした。
まだまだ寒い毎日だが、なんか温かい気持ちになった。

彼にしか出せないメロディ

2006-01-11 | music : favorite


パワー・ポップのコンピレーション・アルバム 『Yellow Pills』 シリーズの常連で、Velvet Crush好きにはお馴染みの、Adam Schmitt。
彼は、Velvet Crushの 『Stereo Blues』 で共同プロデュースもしていて、彼らとは古くからの友達同志である。
これは、2004年にそのVelvet Crushの 『Stereo Blues』 でCD輸入権が話題となったレーベル、Parasol Recordsから2001年にリリースされた3rdアルバム 『Demolition』。
“Thank You” のところには、Ric MenckとPaul Chastainの名前がちゃんとある。
これは、Adamが1993年から2001年の8年間に書きためて温めていた曲を、自宅のスタジオでレコーディングしたアルバムで、楽器も含め、プロデュースからエンジニアリング、ミックスまで全て彼が手がけている。
彼は全てマルチに何でもこなす。そのマルチぶりが高い評価を受けてきたが、彼の生み出す音楽は決してポップスおたくになっていなく、すんなり馴染める。
2ndが出たのが1993年だったので、長い間待った甲斐あって、M-1 「See Me Fall」 を初めて聴いた時は、どこをどう聴いても彼の曲だとわかるそのメロディ・ラインに感激したものだった。
特にこのアルバムでは、アコギが出す本来の綺麗な音色を全面に出していて、Eギターの音はかなり控え目になっている。
そんな音作りが、より一層爽やかなサウンドに仕上がり、Adamにしか出せないメロディが駆け抜け、気持ちのいいポップ性に優れた楽曲が並んでいる。
パワー・ポップ・ファンの間で絶賛されたデビュー・アルバム 『World So Bright』 に比べると、全体的に穏やかな曲が多い。
 『World So Bright』(1991)

甘すぎず、切なすぎず、弾けすぎず、本当に丁度いい感覚で、繰り返し聴いても飽きない。
ちょっとスパイスの効いたひねった曲もあるが、かえってそれがクッションになっている。
自分で全部やってしまうっていうのは、全てが自分の納得の行く仕上がりに違いない。だからだろう、彼のアルバムにはいつも捨て曲がない。
このアルバム以降、近年はもっぱらインディーズ・アーティストのプロデュースに専念しているようだ。
そして久しぶりにVelvet Crushのアルバムで名前を見つけたが、彼が昔から温めている曲はもっともっとたくさんあり、このアルバム一枚には収めきれなかったと言う。
その内 『Demolition』 のVol.2を出そうと思っていると、Parasol Recordsのサイトにメッセージを寄せていたが、はて?どうなったんだろう・・・。

覆面バンドの正体

2005-12-24 | music : favorite


まぁ、元々バレバレではあったが、92年にMinneapolisのインディ・レーベルCrackpot Recordsより、このデビューEP 『On Golden Smog』 をリリースしたGolden Smog。
リリース当時は、Minneapolisのミュージシャンのファミリー・ツリーに詳しい人以外は、知る人ぞ知るという存在だった。
その後、Rykodiscより96年に再発され、今ではその正体もすっかり有名になった。
顔写真を載っけているので、覆面でも何でもないのだが、彼らは今だにクレジットに実名を使わず、通称 “Smog Name” で通している。
そしてこれまでにこのEPの他、アルバムを2枚リリースしている。
そしてそのメンバーは、様々なビッグ・ネームが参加し(Smoggerと言う)、どんどん大きくなって行っている。
このEPリリース当時のメンバーは、次のとおり。(左がSmog Name)
David Spear=Dan Murphy from Soul Asylum
Michael Macklyn=Gary Louris from The Jayhawks
Raymond Virginia=Marc Perlman from The Jayhawks
Jarrett Decatur=Kraig Johnson from Run Westy Run
Eddie Garfield=Chris Mars from ex-The Replacements
その後、WilcoのJeff Tweedyや、元Big StarのJody Stephens、HoneydogsのNoah Levyが参加したりしている。

趣味的なお遊びが興じて本格的にレコーディングにまでに至り、リリースされたこのEPは、全5曲全てクラシック・ロックのカヴァー。
当時、本国では “joke-cover band” と呼ばれたりしていた。
セッションから生まれたような、実にリラックスした感じの作品である。
M-1 「Son」 は、Michaelangeloのカヴァー。知識不足でMichaelangeloというのがどういうバンドなのか知らないので何ともコメントし難いが、Vo.はDan Murphy。
M-2 「Easy To Be Hard」 は、Three Dog Nightのカヴァー。Vo.は、Gary Louris。彼の声を聴くと、どんな曲でもJayhawksに聴こえてしまうのは、私だけだろうか・・・。
M-3 「Shooting Star」 は、ご存知Bad Companyの名曲。ここでは、Soul AsylumのDave Pirner(Smog NameはTony James)がリードVo.で友情参加している。サビの “Don't you know?” のリフレインがとっても感情がこもっていて、オリジナルに負けない仕上がりになっている。
M-4 「Back Street Girl」 は、もちろんThe Rolling Stonesのナンバー。Vo.は恐らくKraig Johnsonだろう。
M-5 「Cowboy Song」 は、Thin Lizzyの名曲。ここでのVo.は、元Replacementsのローディで、当時はSoul AsylumのマネージャーもしていたBill Sullivan(Smog NameはJohnny Vincent)がVo.を務めている。ちょっぴりおどけた感のある歌い方だが、なかなか上手い。
ジャケットのイラストは、自分のソロ・アルバムでもジャケットのイラストを手がけている、Chris Marsが描いたもの。
93年にLos AngelesでSoul Asylumに逢った時に、このジャケのイラストをモチーフにした手作りTシャツを着ていたら、まずGolden Smogを知っていたことに驚かれ、感激してくれたものだった。

このEPを含め、Golden Smogの2枚のオリジナル・アルバムは、The JayhawksやWilco辺りのネオ・カントリー・ロック好きにはたまらない作品に違いない。おすすめのアルバムのひとつなので、機会があれば是非聴いてみて欲しい。

ライヴ・モードに切り替え

2005-12-21 | music : favorite


ちょっと60年代のレトロな世界にどっぷり浸かっていたので、この辺でそろそろ頭の中を切り替え。
目の前に迫ったweezerのライヴに向けて、weezerを聴くことが多くなってきた。
私の今年の最後を締めくくるライヴ。それがweezerということは、とても嬉しいことだ。
今回のツアーは、既に大阪・福岡・名古屋・東京初日と終っているが、余計な前情報なしで臨みたいので、敢えてライヴ・レポなどは読んでいない。
サマソニ後の単独ライヴとはまた違ったパフォーマンスで湧かせてくれるに違いないと、期待は膨らむ。

これは、彼ら自身がプロデュースした、96年リリースの2nd 『pinkerton』。
正直、初めてこのアルバムを聴いた時はかなり戸惑った。
1st “blue album” が心の奥底から好きで、元気な中に切なさが垣間見られる、パワフルでノリが良いギター・メロとハーモニーにぐっときてたので、?マークが頭の中を駆け巡った。
音の重圧さは変わっていないが、その音に怒りや反抗的なものが感じられて、最初は受け入れることがなかなかできなかったのがM-1 「tired sex」 とM-2 「getchoo」。
M-3 「no other one」 で、ん?、で、M-4 「why bother?」 を聴いてやっと、あ~weezerだ!と感じたものだった。
しかし、このアルバムは実に聴けば聴くほど、どんどん好きになって行った。そして今ではもうすっかり、大好きなアルバムとなっている。
“気付くの遅いよ!” と言われそうだが、まるでスルメのように、何度も何度も繰り返して聴くことによって、このアルバムの素晴らしさがジワジワと伝わってきた。
脱力感さえ感じるRiversの心の叫びを聴いているようなこのアルバムの曲は、やはり何も隠さずストレートに表現している歌詞にやられる。
音的にもそんな彼のモヤモヤ感を打ち出すような、ある意味少し爆発するようなところがあったり、かと思えばM-5 「across the sea」 の心に響く訴えかけるようなメロディや、M-6 「the good life」 のサビのような切ないメロディも聴かせてくれる。
M-7 「el Scorcho」 のアップ・テンポになるところや、M-8 「pink triangle」 の重くてノイジーな中に覗く、ぐっとくるメロディ。
M-9 「falling for you」 のような歪んでいるんだけど爽快で切ないメロディは、やはりweezerならではの音。
最後のアコースティック・ナンバー 「butterfly」 は、アルバム・タイトルの “pinkerton” =蝶々夫人からインスパイアされているのだろう。
哀愁を帯び、しっとりと聴かせ、アルバムのラストを飾っている。

前回は、“blue album” からの曲が多く、リリースされたばかりの 「make believe」 からの曲は少な目だったので、今回のステージではやはり 「make believe」 からが多いのだろうか・・・。
果たしてどんな選曲で魅了してくれるのか、とっても楽しみだ。

寒い夜は暖かい音楽を・・・

2005-12-13 | music : favorite


今日はとっても寒かった。昨夜は初雪も舞った。
こんな寒い夜には、心から暖かくなる音楽が聴きたくなる。
何を聴こうか・・・と、CDラックに目をやる。さほど迷わず、一枚のCDに手が伸びた。
BMX Bandits、93年の作品 『life goes on』。
85年にバンドをスタートしてからもう20年の月日が経つが、いつも変わらずに私たちに暖かさを与えてくれる。
今更彼らのことは、特に何も語る必要はないだろう。
陽だまりのような暖かさの、ほんわかとした優しい音楽。
ピュアでナチュラルでシンプル。それでいて心に残る、やわらかさ溢れるBanditsサウンド。
今年はクリエイション時代のベスト・アルバム 『Serious Drugs』 をリリース。
そして来年2月に、新作 『My Chain』 のリリースと来日が決定! 
フル・バンドのセットではなく、セミ・アコースティックのライヴで、Banditsの曲はもちろん、現メンバーのDavid Scottのバンド、The Pearlfishersの曲の中からも、好きな曲をやるそうだ。
そして、恐らく新曲もプレイしてくれるだろう。
会場も小さなクラブなので、アット・ホームであったかいライヴになること間違いなし。
94年に行ったあのライヴ以来、とっても久しぶりに聴けるDuglasの奏でる音楽を、今から心待ちにしている。

【ライヴ・スケジュール】
・2月14日(火) 大阪 新世界Bridge
・2月16日(木) 京都 アンデパンダン
・2月17日(金) 名古屋 KD Japon
・2月19日(日) 東京 渋谷O-Nest

マージー・ビートに魅せられて

2005-12-10 | music : favorite


以前、彼らのことを取り上げた時にも書いたが(こちら)、やはりこのデビュー・アルバムもUKの香りを感じずにいられない。
Fountains Of Wayne、96年リリースのセルフ・タイトル・アルバム。音だけでなく、このジャケもUKのバンドっぽい。
もう既に手元にないので比べることができないが、実はこのジャケはその昔 「This Appointment」 だったかな?・・・確かそんな感じのタイトルの曲がプチ・ヒットした、The Flamingosというバンドが使っていた写真と同じだったということが後日わかった。
このアルバムが出た時から、発売されたばかりなのにどこかで見たことあるジャケだなぁ・・・と思っていたのだった。
4人編成のバンドとは言え、Fountains Of Wayneは、Chris CollingwoodとAdam Schlesingerとの、ふたりのユニットと言ってもいい。
このコンビが生み出すポップ・ソングは、いつでもサラッと耳に心地良い音を届けてくれる。
日本では、2ndアルバム 『Utopia Parkway』 でジワジワと人気が高まったが、この1stもとても良質のポップ・ミュージックが詰まっている。
彼らはマージー・ビート好きということを自ら公表していて、ビートルズ・フォロワーと言われていることにも抵抗を感じていない。
その彼らが愛するマージー・ビートを効かせた60年~70年代のサウンドを思わせる楽曲の数々は、凝った味付けをせずに素直に表現している。
それでいて印象に残る良質の音楽を作り出すふたりのソング・ライティングの才能は、Elton Johnも太鼓判を押している。

単調な中にもフックを効かせ、覚えやすいメロディが印象的なM-1 「Radiation Vibe」。
サビでギターの音をノイジーに奏でることによって、Aメロとのメリハリを効かせているM-2 「Sink To The Bottom」。
スピード感溢れるM-3 「Joe Ray」 や M-5 「Survival Car」。
優しく歌うとっても可愛いメロディのM-4 「She's Got A Problem」。
メランコリックなアコースティック・ナンバーM-7 「Sick Day」。
ちょっと気だるそうに歌うChrisの声が、時々oasisのLiamを思わせるM-8 「I've Got A Flair」。
爽快なメロディが駆け抜けるM-9 「Leave The Biker」。
M-11 「Please Don't Rock Me Tonight」 のような控え気味のマージービートに乗っかるストレートな曲。
どの曲も聴いた後に爽快感が残り、飽きのこない曲ばかりで、デビュー作とはとても思えない、本当にクウォリティの高い曲が詰まっている。

シアトル・ミュージック・シーンの原点

2005-12-02 | music : favorite


NirvanaもPearl JamもSoudgardenもみんなここに原点があると、私は思う。
皆、彼の影響を多大に受けていた。もし彼が居なかったら、Nirvanaもあの頃あれほどの注目を浴び、今も語り継がれる存在にまでにはなっていなかったかも知れない。
Andrew Wood ・・・ Seattle幻のバンド、Mother Love BoneのVo.である。
Mother Love Boneは、80年代半ばに活動していた伝説のバンド、Green RiverのStone Gossard(G)とJeff Ament(B)が、Stoneも在籍していたことのあるRose Of The WastelandというバンドのフロントマンAndrewを誘い結成され、89年に 『Shine』 というミニ・アルバムでデビューした。
当時、ジワジワとSeattleの音楽シーンが活気に満ち溢れつつあり、そんな中Mother Love BoneはSoudgardenに続くバンドと称され、群を抜いて注目されていた。
しかしそんな周囲の期待も虚しく、1990年3月にAndrewはオーヴァー・ドーズでこの世を去ってしまった。それが事故なのか自殺なのか、未だ誰にもわかっていない。
生前の89年にレコーディングしていたこの 『Apple』 を90年にメモリアル・アルバムとしてリリース、そしてバンドは空中分解した。
その後、StoneとJeffはPearl Jamを結成し、もうひとりのGのBruce FairweatherはLove Batteryを結成、そしてDrs.のGreg Gilmoreは後にGuns N' Rosesに参加している。
また、StoneとJeffは、SoudgardenのChris CornellとMatt Cameronらと共に、Andrewへの追悼を込めたバンドTemple Of The Dogを結成し、セルフ・タイトルのアルバムをリリースした。
そのアルバムは、彼の死の衝撃、悲しみに打ちひしがれた辛い日々などが歌われ、とても内容の深いアルバムだった。

たった一枚のフル・レングス・アルバム 『Apple』。
AndrewのVo.は、聴けば聴くほど胸が痛くなる。まるで死を察していたかのようにとても哀しげだ。
13曲全てがとても完成されていて、“グランジ” というひと言ではくくりようのない素晴らしい楽曲の数々。
歌詞は全てAndrewの手によるものだが、曲はAndrewとStoneとJeffが書いている。メジャー・コードの曲は、バラード・ナンバーのM-6 「Stranger」 1曲だけ。
M-1 「This Is Shangrila」 やM-3 「Holy Roller」、M-8 「Captain Hi-Top」 なんかは、ダークで重圧のある音がめちゃくちゃカッコいい。
Andrewを支えるStoneとBruceのツイン・ギターは、彼のVo.の邪魔をすることなく、それでいて実に痺れるようなカッコいいリフをさり気なく聴かせ、JeffとGregのリズム隊は、ヘヴィでぶ厚いビートを刻む。
M-9 「Man Of Golden Words」 やM-11 「Gentle Groove」 のAndrewが作ったメロディはとても悲しく、詞の世界も切ない。何度聴いても胸がジーンと熱くなる。
バンド名 “Moter Love Bone” のフレーズが歌詞に出てくるM-10 「Capricon Sister」 は、やり場のない怒りをぶつけているかのようなサウンドだ。
どの曲を聴いても、全身全霊を曲にぶつけ、本能のままに音楽を作り出しているという感じが心の奥底まで伝わってくる。

私はStone Gossardの奏でるギターが好きで、Green River → Mother Love Bone → Pearl Jamと聴いてきたが、今でもいちばん好きなのはMother Love Boneである。
そしてこのバンドを通過してきたことによって、複雑に枝分かれして絡み合う、シアトル・ミュージック・シーンのファミリー・ツリーにかなり詳しくなった。