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Matt Duke / Kingdom Underground

2008-10-24 | music : newcomer


この人懐っこい表情が目に留まり、タワレコで試聴。その時は、サラっと全曲頭出しで聴いただけだったが、どの曲も爽やかで柔らかく、とっても自然体の綺麗なメロディが印象的だった。
USフィラデルフィアを拠点に活動する弱冠22歳のSSW、Matt Duke(マット・デューク)。
7歳の時からピアノを始め、Van Morrison(ヴァン・モリスン)やThe Band(ザ・バンド)、Pearl Jam(パール・ジャム)などに影響を受けながら、お母さんのヴィンテージ・ギターを弾き始めたと言う。
高校のときから地元のコーヒー・ハウスなどでライヴ活動を行い、フィラデルフィアのドレクセル大学が設立したMAD Dragon Recordsより2006年にデビュー。(ちなみに、The Redwalls(レッドウォールズ)のセルフ・タイトル・アルバムも、MAD Dragon Recordsからのリリース。)
そしてこのアルバム 「Kingdom Underground」 は2ndで、Rykodisc配下よりリリースされた。
試聴した時、M-1 「Father, The Son and the Harlot's Ghost」 を聴いてコレはイケる!と確信した。何とも言えない爽やかなメロディがス~ッと頭に入り、私の右脳を刺激した。
通して聴いてみてもその第一印象は裏切ることなく、全10曲、オーガニックで癒し効果抜群の気持ち良い曲ばかり。
最初は手作り感丸出しの打ち込みのドラムの音が気になったM-2 「Sex and Reruns」 も、サビの軽快でポップなメロディを聴くと気にならなくなってしまい、その覚えやすいメロディはつい口ずさんでしまうほど。
ダークでドラマティックなM-4 「I've Got Atrophy on the Brain」 は、アコギとピアノでロック調に力強く歌い上げ、それまでのふわ~っとした感じを一気にくつがえす。
そしてガラっと雰囲気が変わって、アコギのとても美しいイントロで始まり、切なく歌うM-5 「Rabbit」。この曲は、場違いではあるが、USのセレブリティ・ゴシップ・ブロガーのPerez Hilton(ペレズ・ヒルトン)がブログで大プッシュしたため、一躍注目を浴びることとなった。
きっかけはどうあれ、全米の多くの人がこれで彼のことを知ることとなった。しかし、この曲は本当にステキな曲なので、いろんな人が共感するのも頷ける。
ワルツのリズムが心地良いM-7 「Happy Hooligan」 は、後半いろんなパターンのメロディが展開し、だんだんと盛り上がって行くのが気持ちいい。
この曲からM-9 「Walk It Off」 まではアップ・テンポの曲が続くが、悲しげなメロディにのって、語りかけるように歌う最後のM-10 「Spilt Milk」 で、再びしっとりと穏やかになる。

クセのない声で、時々ファルセットが入るのもとても自然で、爽やかで美しいメロディにとても合っている。
今はかなりの頻度で聴いていて、是非デビュー作もチェックしなければ・・・と思っている。
Jason Mraz(ジェイソン・ムラーズ)や、James Morison(ジェイムス・モリソン)辺りのSSWが好きな人には、きっと彼のことも気に入ると思う。


★まずは、こちらでぜひ試聴を!

"The Redwalls news flash" pt.14

2008-10-19 | music : special


今朝起きたら、予想もしなかった驚きのニュースが届いていた。
The Redwalls(レッドウォールズ)のギタリスト、Andrew Langer(アンドリュー・ランガー)が、バンドを去ることになった。
AndrewはThe Redwallsの前身バンドThe Pages(ペイジズ)からのオリジナル・メンバーであり、それ以前からベーシストのJustin Baren(ジャスティン・バレン)とは同級生で、幼なじみだった。
メンバーとして7年間苦楽を共にしてきた彼が、まさかバンドを去るとは夢にも思わなかったので、この事実を知ってショックだ。
今のところ新メンバーを入れる予定はなく、サポート・ギタリストの参加はあるかも知れないが当面は3人でやって行くようだ。
Andrewは何曲かメインVo.も取っていて、彼のギターはThe Redwallsの音にとっても、重要な役割を担っていたので、バンドの音が今後どう変化するのか少し不安でもあるが、逆に新生The Redwallsがどういう音作りをして行くのかが楽しみでもある。
私が知る限り円満脱退のようなので、ここはポジティブな気持ちで彼の新しいキャリアが成功するよう望んでいる。
しかし、“いい人” を絵に描いたような温厚で優しい彼が居なくなったのは、淋しい限り・・・。
先日のUK&西ヨーロッパ・ツアーが、The Redwallsでの彼の最後のプレイとなった。
そして3人は再びUKに渡り、11月から12月にかけてThe Zutons(ズートンズ)のサポート・アクトとしてツアーを敢行する。

  ★新生The Redwalls★



The Redwalls on the radio in Chicago

2008-10-15 | music : special


少し前になるが、今年7月にThe Redwalls(レッドウォールズ)が、彼らの地元シカゴのラジオ局WLS890AMで、『The Roe Conn Show』 という番組に生出演した時の模様。
アコースティックで 「You Can't Forget Yourself」 をプレイしている。
この曲は、ライヴではまだあまり披露されていない曲なので、この映像は貴重だ。
サビのBaren兄弟のハモりは、いつもながら息がピッタリ。
ちなみにタイトル写真は、6月にウィスコンシン州で行なわれた “Metro Jam” という野外フェスに出演した時のもので、ミルウォーキーの友人が撮ったもの。




ロベール・ドアノー写真展 『パリ・ドアノー』

2008-10-11 | art


私の大好きなモノクロ写真。
あまりにもメジャーで、多くの世界中の人々に愛されている写真なので、“いかにも” なのだが、でも好きなものは好きとしか言えない。
上の写真 「パリ市庁舎前のキス/ La baiser de l'Hotel de Ville, Paris」(1950年)。きっと一度は誰もが目にしたことがあるだろう。
ロベール・ドアノー(Robert Doisneau)、1994年に死去するまで60年以上の間、パリを舞台に庶民や子供たち、芸術家やデザイナー、動物などを撮り続け、雑誌VOGUEやLIFEの仕事でも活躍していた。
どれも皆、眺めているだけであったかい気持ちになる。
この写真の舞台となったパリ市庁舎で、2006年に大回顧展が開催され、現在世界中で巡回展が開催されている。
そして今、東京日本橋三越本店のギャラリーで開催中で、今日仕事帰りに行ってきた。
今回展示作品は200点、モノクロの写真で描かれたパリの街。
まるで自分がその風景の中にいるかのようで、作品の中に引き連れて行ってくれそうな錯覚に陥る。
無性にパリに行きたくなった。
1枚1枚が優しさと温かさで溢れていて、時にはユーモラスな表情で思わず笑みがこぼれそうになったり・・・。
ピカソやディオール、ココ・シャネル、ゴルチエなどのポートレートもあり、特に “パリの犬たち” “パリの子供たち” と題されたコーナーでは、好きな作品がたくさんあり、何回も往復して鑑賞した。
もちろん、「パリ市庁舎前のキス」 の前では、“わ~本物だ! ついに本物が見れた!” と心の中で言いながら・・・。
ドアノーの写真はとてもお洒落れで、絵になるパリの街を見事に捉えていると思う。
ギャラリーの入口には、“パリは、時間の浪費がチケット代わりになる劇場だ。そして、私はいまだに待っている。” というドアノーの素敵な言葉があった。
約17分の記録映像で、“私の撮影の演出は、待つこと。自分が望むものを、自分が心地良い瞬間を待っている” というようなことを言っていたのが、とても心に残った。

「パリ市庁舎前のキス」 以外に、特に好きな彼の作品は次の3点。

 芸術家橋の上のフォックス・テリア(1953年)
 かがんで口づけ(1950年)
 ピピ・ピジョン~おしっこと鳩(1964年)

そして、今日ひとめ惚れしたのがこちらの作品。

 お使いのお駄賃(1945年)


今月二度目の写真展。ピカソ展も始まったことだし、芸術の秋を満喫!


ロベール・ドアノー写真展 『パリ・ドアノー ~ Paris en liberté』
東京日本橋三越本店新館7階ギャラリー
2008年10月13日(月)まで開催
午前10時~午後7時半
入場料 : 一般・大学生 900円/高校・中学生 700円(小学生以下無料)

京都伊勢丹美術館 「えき」 KYOTO
2009年1月31日(土)~2月22日(日)
午前10時~午後8時
入場料 : 一般 800円/高・大学生 600円/小・中学生 400円

Plain White T's / Big Bad World

2008-10-05 | music : favorite


ヤバい! 唐突な書き出しだが、何がヤバいのか・・・。
すごく好きなアーティストのアルバムでも、必ずと言っていいくらい、1曲はちょっと好みに合わなかったりで、iPodで聴いていてもつい飛ばしてしまう曲がある。
全曲捨て曲なしと感想を書くアルバムにも、自分には “ちょっと違う” という感じの曲がどうしてもある。
ところが、このアルバムにはそういった “ちょっと違う” という感じの曲が全くなく、ヤバいくらいに全10曲どの曲も私のツボに入り、琴線に触れ、好みの曲ばかりなのだ。
そのアルバムとは、昨年 「Hey There Delilah」 の大ヒットでグラミー賞にもノミネートされ、一躍全米に知れ渡ったシカゴの5ピース・バンド、Plain White T's(プレイン・ホワイト・ティーズ)のニュー・アルバム 『Big Bad World』。
2006年に3rd 『Every Second Counts』 のツアーでその 「Hey There Delilah」 がクチコミでヒットし、ずーっとツアーに明け暮れていた彼らが、いつの間にレコーディングをしていたのか・・・とちょっと驚いたが、乗りに乗っている今だからこそ、このようないい楽曲が作れる環境にあったのかも知れない。
ここで彼らのことを取り上げる度に、PWT'Sはエモ系でもパンク系でもなく、パワー・ポップだと毎回同じことを書いているが、今回のアルバムは今まで以上にそれを証明してくれる。

心地良い軽やかなリズムに乗って、アルバム・タイトル曲 「Big Bad World」 で始まる。ホーン・セクションがアレンジに加わり、楽しい曲に仕上がっている。
先行シングルのM-2 「Natural Disaster」 はとてもPWT'Sらしい曲で、ちょっと複雑なリズムを刻むドラムスに、覚えやすいとてもポップなメロディがうまく乗っかり、合間に入るハンド・クラッピングも気持ちいい。女の子とのことを “Natural Disaster(天災)” と表現しているところは、ユーモアのセンスがある。
切なさが漂うギターのイントロから入るM-3 「Serious Mistake」 は、Aメロは明るく流れ、イントロのメロディと同じメロディのサビでぐっと切なく迫ってくる。この曲にもホーンが入っていて、サウンドの厚みを感じさせ、後半にCメロで盛り上がったあと、最後はAメロで終わると言う、メロディ展開がとても面白いミディアム・ロック。
アコースティックなM-4 「Rainy Day」 ではストリングスが加わり、綺麗なメロディとさり気ないコーラスが心地良い。
M-5 「1,2,3,4」 はとっても可愛い曲で、ギターはソロもバッキングもアコギで、生の音が楽しめる。ハーモニーもとても綺麗で、「Hey There Delilah」 路線の曲とも言える、ラヴ・ソング。
M-6 「That Girl」 は、ステップを踏みたくなるような軽快でポップな明るい曲。“ドゥドゥッドゥ~” とか “ララッラ~”、“ババッバ~” というコーラスが、Do do do you~、La la love~、Ba ba bottom~という歌詞に続き、ライヴでは一緒になって楽しく盛り上がれそうな曲だ。
M-7 「Sunlight」 にはヤラれた。これまでもビシッと決まったコーラス・ワークを聴かせてくれている彼らだが、この曲の素晴らしく綺麗で厚みのあるコーラスは、本当に感動的。なんとも言えない切ないメロディの、心に沁みる美しいバラードだ。叙情的に歌い上げるTom Higgenson(トム・ヒゲンソン)のVo.に、美しいハーモニーが絶妙に重なり、より一層エモーショナルに展開して行く。一瞬ア・カペラになるところなんて、ゾクっとする。
ガラっと変わって、アップ・テンポで明るく楽しいM-8 「I Really Want You」 では、Tomがハープを吹き、間奏の転がるようなピアノも軽快だ。
M-9 「Meet Me In California」 は、王道路線的なミディアム・ロック・バラード。丁度いいテンポが気持ちよくて、覚えやすいサビ・メロのくり返しと転調していく様は、アグレッシヴでぐぐ~っと盛り上がらずにいられない。
最後の曲M-10 「Someday」 では、アコースティックでしっとりと始まり、後半はストリングスのオーケストレーションが入り、ドラマティックに盛り上がってアルバムの最後を締めくくる。

曲は全てVo.のTomによるものだが、彼の作り出す楽曲は、必ずと言っていいほどCメロがある。Aメロ(1番)⇒サビ、Bメロ(2番)⇒サビと続いたあと、間奏が入って新しくCメロが流れてくる。
このメロディ展開が予想外の時もあり、それが一曲一曲のメリハリを効かせている。
そして特に今回のアルバムでは、コーラス・ワークの素晴らしさが目立つ。
どちらかというとポップ路線寄りの曲が大半なので、これまでのアルバムに比べるとロックぽさは欠けるが、そのポップなメロディが明るく楽しく、時には切なく泣きも入り、パターン化することなく1曲1曲を楽しませてくれている。
PUNK SPRING 08の来日中に出演した 「ベスト・ヒットUSA」 で、来年また来日すると言っていたので、彼らのポップでノリのいい曲を、早くライヴで聴いてみたい。

★とっても可愛い曲 「1,2,3,4」 を始め、「Natural Disaster」 と 「Big Bad World」 の試聴はこちら
 (2008/10/04現在)

パヴェル・シュミッド写真展 『Carpathian Ruthenia』

2008-10-03 | art


実は、今月末にチェコに行く。
今年の2月にローマに行った時に、帰りの飛行機の中で次はチェコだと心に決めていた。
理由は漠然としているが、チェコの絵本とカレル・チャペックの世界観が好きというのと、映画 『存在の耐えられない軽さ』 で見た “プラハの春” に衝撃を受けていた。
今の私が夢中になっている音楽とは無縁のところだが、かつてクラシック音楽に携わっていたこともあり、ドボルジャークやスメタナの生まれた国で、プラハはモーツァルトゆかりの街というのも、興味を惹く理由のひとつだった。
行くと決めた後、たくさん本を読んだり映像を見たりして、チェコという国(とりわけ首都プラハ)についていろいろ調べて行くうちに、まだ未踏のこの国のことがとても好きになり、もう何度も行っているかのように、街の地理は頭の中にインプットされた。

昨日の仕事帰りにも観に行ったのだが、お休みだった今日は、渋谷の小さな映画館で9月20日から三週間、週替わりでいろんな作品が上映されている “Ahoj! チェコ映画週間” で、実写とアニメーションの2作品を観たあと、六本木のギャラリーで開催されている、チェコ出身の写真家パヴェル・シュミッド(Pavel Smid)の写真展を見てきた。
私は、絵画を見るのも写真を見るのも大好きだが、特に詳しいわけでもなく、感覚で鑑賞するタイプ。
この写真展のテーマは、“When Used To Be Czechoslovakia ~ かつてのチェコスロヴァキア”。(チェコスロヴァキアは1993年に、チェコ共和国とスロヴァキア共和国に分離した)
カルパチア・ルテニアという、かつてチェコスロヴァキアの一部だった地域のモノクロ写真で、パヴェル氏が捉えた子供の目が強烈だった。何かを訴えかけているような、鋭く、そしてどこか寂しげなその目に惹きつけられた。
チェコスロヴァキア時代のカルパチア・ルテニアは、とても幸せな時代だったが、第二次世界大戦後にはソビエト連邦の支配下となったとのこと。
1990年に冷戦が終結し、パヴェル氏がこの地を訪れたのは1998年だそうだが、自由になったとは言え、現在もまだまだ様々な束縛や抑圧があるに違いない。
ある意味怯えたような眼差しが、その寂しげな表情を映し出しているのかも知れない。

ギャラリーのオーナーさんが声を掛けて下さり、もうすぐパヴェル氏がいらっしゃると言う。
“チェコに行ったことはある?” と聞かれ、今月末に行くのに、まだ10月になったという感覚がなかったのか、私は来月と答えてしまった。そのことに気付いたのは、帰りの地下鉄の中(苦笑)。
オーナーさんが2年前に行ったプラハのことや、その他いろんな旅の話をさせて頂いていると、パヴェル氏がいらっしゃった。
とても大柄で人懐っこい笑顔のパヴェル氏に、覚えたてのチェコ語で “こんにちは!(ドブリーデン!)” と挨拶をしてみた。
でも、パヴェル氏は英語だった。(私もすぐに英語で答えたので、聞こえなかったかな?)
握手した手は、大きくてゴツゴツしていて、これからのプラハは雨が降ったりもするけど、とても綺麗だよと話してくれた。


パヴェル・シュミッド写真展 『Carpathian Ruthenia』
六本木ストライプハウスギャラリー
2008年10月18日(土)まで開催
午前11時~午後6時半(日祝休)
入場無料 詳細はこちら

同時開催 : パヴェル・シュミッド写真展 『one World one Story』
お茶の水コダックフォトサロン
2008年10月06日(月)~10月17日(金)
午前10時~午後6時(土日祝休)
入場無料 詳細はこちら

Ahoj! チェコ映画週間
渋谷シネマ・アンジェリカ
2008年10月10日まで開催
詳細はこちら