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Tinted Windows / Tinted Windows

2009-05-05 | music : newcomer


一応デビュー・アルバムなので、カテゴリーを “newcomer” にしたが、この人たちをnewcomerとするのはあまりにもおこがましい。
少し前から、あのバンドにいたあの人が始動するという噂があり、そしてキャリアも人気も第一線を行く4人が集結してバンドを結成。3月にテキサスの音楽祭SXSWでお披露目し、ついにアルバムを発表した。
その4人とは、元Smashing Pumpkins(スマッシング・パンプキンズ)のJames Iha(ジェイムズ・イハ)がギター、Fountains of Wayne(ファウンテインズ・オブ・ウェイン)のAdam Schlesinger(アダム・シュレシンジャー)がベース、ドラムスにはCheap Trick(チープ・トリック)のBun E. Carlos(バン・E・カルロス)、そしてVo.を務めるのは、Hanson(ハンソン)のTaylor Hanson(テイラー・ハンソン)という、豪華な顔合わせ。もうここに挙がった名前を聞くだけで、ステキなポップ・ミュージックが頭の中をこだまする。
バンド名はTinted Windows(ティンテッド・ウィンドウズ)、アルバムタイトルも同じだ。
AdamとTaylor、IhaとAdamという交流からバンドを結成し、ドラムスは是非にと頼まれたBun E.が、快く引き受けたという。
私なんかがHansonと聞いてすぐに思い出すのは、「キラメキ☆MMMBOP」 だ。兄弟3人組バンドHansonが1997年に放った、日本でも大ヒットしたデビュー曲 「MMMBop」 の邦題。
デビュー当時14歳だったTaylorも今では26歳。デビュー当時はアイドル視されていたが、10年以上の年月が経った今でも3人はHansonとして活動し続けている。
Ihaは、2000年にスマパンが解散した後、2006年の再結成時には参加せず、現在に至る。
Hansonのアルバムは聴いたことがないのだが、Matthew Sweet(マシュー・スウィート)と共作したりと、良質のパワー・ポップをやっていることは知っていた。
このアルバムを聴いて、大人になったTaylorの声を聴いてまず思ったのが、The Goo Goo Dolls(グー・グー・ドールズ)のベース&Vo.のRobby Takac(ロビー・テイキャック)に歌い方や声がとても似ているということだった。
そして、音楽の方はと言うと・・・良くないわけがない。アップ・テンポの曲はスピード感溢れる煌きを放ち、しっとりとした曲は泣きメロ全開。
11曲中7曲がAdam、Ihaが2曲、Taylorが1曲、AdamとTaylorの共作が1曲といった構成。
M-1 「Kind Of A Girl」 のイントロを聴いただけで確信できる、究極のパワー・ポップ。ついつい踊り出したくなるようなご機嫌で覚え易いメロディに、“Woah-Woah” というコーラスとIhaのギターが絡み、気持ちいいスピード感でM-2 「Messing With My Head」 につなげる。
M-3 「Dead Serious」 のサビ、“I'm serious” “Yeah baby dead serious” のあとにギターのメロディが追いかけるように流れてくるのだが、こういうのを “泣きのギター” というのだと実感させられるような音。こういうメロディ、こういうギターの音は、私の琴線に触れまくる。
「Dead Serious」 でキュンとなったあとは、ロック・チューンのM-4 「Can't Get A Read On You」 でたまらない疾走感を生み出し、Ihaの作ったミディアム・ナンバーM-5 「Back With You」 で、再び切なく迫ってくる。
M-7 「Cha Cha」 やTaylorが作ったM-9 「Nothing To Me」 は、80年代のパワー・ポップを彷彿させ、どこか懐かしく感じる。
M-10 「Doncha Wanna」 では、Ihaのギターが炸裂する。
AdamとTaylorが共作した最後のM-11 「Take Me Back」 は、一見単純なメロディのようだが、途中で変化して行く様が面白い。

Taylorとは親子ほどの歳の差のあるBun E.は、さすが大御所。正確でタイトな力強いリズムを淡々と刻み、AdamとIhaはコーラスに徹している。
しかし、全11曲、Ihaのギターなくして語れない。それほどに、彼のギターが重要な要素となり、Adamが作り出す素晴らしいポップ・ナンバーをより一層盛り上げている。そして、そんな3人に支えられて歌うTaylorは、とても張りのある伸びやかなVo.を響かせる。
パワー・ポップ・ファンは必ずハマるであろう、気持ちの良い曲のオン・パレードで、聴きながらにんまりと口元が緩んでしまう。


★Tinted Windows / Kind Of A Girl



Kai Reiner / Kai Reiner

2009-04-14 | music : newcomer


Teenage Fanclub(ティーンエイジ・ファンクラブ)やBMX Bandits(BMXバンディッツ)、The Pastels(パステルズ)と言った、グラスゴー周辺のミュージック・シーンを代表する音楽の影響を多大に受けたドイツ人、Kai Reiner(カイ・ライナー)が、昨年11月にアルバム・デビューした。
『Kai Reiner』 というセルフ・タイトルのこのアルバムは、本当にどの曲も全部、前述のアーティスト勢の影響があらわに出ていて、意識しているとでも言えるほどの直系だ。
が、しかし、あまりにも近付きすぎと言うか似すぎていると言ういうか、オリジナリティがないのが残念。これでは、ただ真似をしているだけだと言われてしまうだろう。
決して悪くはないのだが、どれもリズム・パターンが同じような感じで、ストロークするギターの音色もずっと同じだし、声にもあまり抑揚がないので、だんだん退屈になってきてしまう。
いつものように、1曲1曲分析して感想を書くこともできないほど、全部同じように聴こえてしまう。
いい曲を書くアーティストだと思うので、甘い声を生かしてもっと自分らしさを出して、これがKai Reinerだというオリジナリティのある音楽を確立して行ってほしい。

Matt Duke / Kingdom Underground

2008-10-24 | music : newcomer


この人懐っこい表情が目に留まり、タワレコで試聴。その時は、サラっと全曲頭出しで聴いただけだったが、どの曲も爽やかで柔らかく、とっても自然体の綺麗なメロディが印象的だった。
USフィラデルフィアを拠点に活動する弱冠22歳のSSW、Matt Duke(マット・デューク)。
7歳の時からピアノを始め、Van Morrison(ヴァン・モリスン)やThe Band(ザ・バンド)、Pearl Jam(パール・ジャム)などに影響を受けながら、お母さんのヴィンテージ・ギターを弾き始めたと言う。
高校のときから地元のコーヒー・ハウスなどでライヴ活動を行い、フィラデルフィアのドレクセル大学が設立したMAD Dragon Recordsより2006年にデビュー。(ちなみに、The Redwalls(レッドウォールズ)のセルフ・タイトル・アルバムも、MAD Dragon Recordsからのリリース。)
そしてこのアルバム 「Kingdom Underground」 は2ndで、Rykodisc配下よりリリースされた。
試聴した時、M-1 「Father, The Son and the Harlot's Ghost」 を聴いてコレはイケる!と確信した。何とも言えない爽やかなメロディがス~ッと頭に入り、私の右脳を刺激した。
通して聴いてみてもその第一印象は裏切ることなく、全10曲、オーガニックで癒し効果抜群の気持ち良い曲ばかり。
最初は手作り感丸出しの打ち込みのドラムの音が気になったM-2 「Sex and Reruns」 も、サビの軽快でポップなメロディを聴くと気にならなくなってしまい、その覚えやすいメロディはつい口ずさんでしまうほど。
ダークでドラマティックなM-4 「I've Got Atrophy on the Brain」 は、アコギとピアノでロック調に力強く歌い上げ、それまでのふわ~っとした感じを一気にくつがえす。
そしてガラっと雰囲気が変わって、アコギのとても美しいイントロで始まり、切なく歌うM-5 「Rabbit」。この曲は、場違いではあるが、USのセレブリティ・ゴシップ・ブロガーのPerez Hilton(ペレズ・ヒルトン)がブログで大プッシュしたため、一躍注目を浴びることとなった。
きっかけはどうあれ、全米の多くの人がこれで彼のことを知ることとなった。しかし、この曲は本当にステキな曲なので、いろんな人が共感するのも頷ける。
ワルツのリズムが心地良いM-7 「Happy Hooligan」 は、後半いろんなパターンのメロディが展開し、だんだんと盛り上がって行くのが気持ちいい。
この曲からM-9 「Walk It Off」 まではアップ・テンポの曲が続くが、悲しげなメロディにのって、語りかけるように歌う最後のM-10 「Spilt Milk」 で、再びしっとりと穏やかになる。

クセのない声で、時々ファルセットが入るのもとても自然で、爽やかで美しいメロディにとても合っている。
今はかなりの頻度で聴いていて、是非デビュー作もチェックしなければ・・・と思っている。
Jason Mraz(ジェイソン・ムラーズ)や、James Morison(ジェイムス・モリソン)辺りのSSWが好きな人には、きっと彼のことも気に入ると思う。


★まずは、こちらでぜひ試聴を!

The Red Button / She's About To Cross My Mind

2008-07-11 | music : newcomer


このステキなジャケットから連想するのは・・・レトロなフレンチ・ポップス。
で、その内容はと言うと、これまたキュートでスウィンギンな60'sテイスト溢れる、心地良いとびっきりのポップ・チューンが満載。
The Red Button(レッド・ボタン)のデビュー・アルバム 『She's About To Cross My Mind』。
The Red Buttonは、USロサンジェルスを拠点に活動するSSWのSeth Swirsky(セス・スワルスキー)とMike Ruekberg(マイク・ルークバーグ)のユニット。
デビュー作と言っても、このふたりのキャリアは長く、ふたり共もういいおっさんだ。
Sethは、Al Green(アル・グリーン)やTina Turner(ティナ・ターナー)、Rufus Wainwright(ルーファス・ウェインライト)など、数々のアーティスに曲を提供していて、中でも極めつけなのが、Taylor Dayne(テイラー・デイン)の88年の大ヒット・ダンス・ナンバー 「Tell It to My Heart」 を手がけたのも彼だったということを知った。
一方Mikeは、ミネアポリスで活動するRex Daisy(レックス・デイジー)というバンドを持っていて、XTCのPaul Fox(ポール・フォックス)がプロデュースしたアルバムもリリースしている。
4年前にふたりは出会い、メロディックなポップ・ソングに対する愛情にお互い共鳴し合い、一緒に曲を書き始め、このアルバムが生まれた。
ノスタルジックでちょっと陰のあるM-1 「Cruel Girl」 で幕を開け、続くアルバム・タイトル曲M-2 「She's About To Cross My Mind」 は、マージー・ビートのキュートなナンバーで、ふたりの息の合ったコーラスも絶妙。
個人的にもの凄くTeenage Fanclub(ティーンエイジ・ファンクラブ)を感じるM-4 「She's Going Down」 では、スライド・ギターがアクセントになっている。
メロディはもちろん、歌い方、コーラス・ワークに至るまで、ビートリッシュなM-6 「Hopes Up」。
軽快なアップ・テンポのリズムに乗って、可愛いオルガンの音が鳴り響くM-7 「Can't Stop Thinking About Her」 は、ブリッジのメロディ・ラインがとても切ないガレージ・ポップ。
ヴァイオリンのソロで始まるM-9 「Ooh Girl」 は、本当にこのおっさんたちが作ったのか?と思ってしまうくらい、キュートでセンチメンタルな曲。
そして、キラキラしたギターの音と優しいメロディのM-11 「It's No Secret」 で、最後を締めくくる。
1曲3分前後の優しくてキラキラした、甘くて切ない極上のポップ・ナンバーが全11曲、ほんわかした懐かしさが味わえる。

このステキなジャケットは、よく見るとロンドンのWaterloo(ウォータールー)にあるハンガーフォード・ブリッジで撮影されているみたいだし、セピア色の裏ジャケには、ダブル・デッカーとビッグ・ベンが写っている。
何もかもがとてもLAのバンドとは思えないくらい、60年代辺りのブリティッシュ・カラーがにじみ出ている。

★試聴はこちら

The Enemy / We'll live and die in these towns

2008-05-14 | music : newcomer


初めて聴いた時にピンとくるものがなくても、しばらく経ってまた聴いてみた時、全く違うものに出会ったような “良さ” が見えてくることがある。
私にとってまさしくこのバンドがそれで、ここ最近のヘヴィ・ローテーションとなっている。
UKコヴェントリー出身の3ピース・バンド、The Enemy(エナミー)。
2006年に結成して、翌年にはアルバム・デビューを果たし、昨年はサマソニにも出演し、単独来日もした。
彼らは2007年夏のThe Rolling StonesのUKツアーでサポート・アクトを務め、それを見たLondonの友達が、なかなかロックしててよかったわよと言っていた。
その言葉が残っていて、ある日アルバム 『We'll live and die in these towns』 を購入した。
ひととおり聴いた時は、いいんじゃない?っていう程度だった。
その後、半年ほど聴かずにいたのだが、少し前にMP3のプレイ・リストを入れ替えした時に、このアルバムを入れて改めて聴いてみた。
そしてこんなに良かったっけ?と耳を疑い、最初に彼らの音楽に真剣に耳を傾けていなかったことに気付いた。
なんとも私好みのドライヴィン・ロックばかりで、心が躍った。
半年前に聴いた時に感じなかった感覚・・・。Vo.のエネルギッシュな声やしっかりした演奏、シンプルで聴きやすいメロディ、リフのカッコ良さなどが、イアフォンで聴くことによって、体の芯まで響いてきた。
M-1 「Aggro」 とM-3 「Pressure」 は典型的なオルタナ・ロックだが、あとは皆どの曲もポップでスピード感あふれるロック・ナンバーばかり。
特にM-2 「Away from Here」、M-6 「You're Not Alone」、M-7 「It's Not OK」 の疾走感は、たまらなく気持ち良い。
覚えやすくてポップなメロディのサビがとてもチャーミングなM-4 「Had Enough」 は、コーラス・ワークも絶妙だ。
アコギを中心に、ストリングスをアレンジに取り入れたアルバム・タイトル曲M-5 「We'll Live and Die in These Towns」 は、フックの効いた軽快なロック・ナンバーで、ネオ・モッズ・サウンドを彷彿させる。
デビュー・シングル曲M-9 「40 Days and 40 Nights」 は、1000枚限定で出した7"が即日完売したと言う。
サビの独特のメロディは、クセになりそうなほど頭の中でリフレインする。自分たちが抱える不満を、全身全霊で音楽に籠めている姿勢がストレートに伝わってくる。
M-10 「This Song」 で聴かせる、大空に抜けるようなサビのメロディは、とっても魅力的。
唯一のスロー・ナンバーM-11 「Happy Birthday Jane」 で終わるところが素晴らしい構成で、ハスキーな声でメランコリックに聴かせる。
それまで突っ走ってきた大音量のロックン・ロールが、この曲によってより一層引き立ち、逆に静かなこの曲も更に映え、相乗効果をもたらしている。
全11曲、正統派でストレートな、気持ちの良い若さみなぎる熱いロックを体感することができる。

Nicole Atkins / Neptune City

2008-04-05 | music : newcomer


私は普段から、ほとんど女性Vo.ものは聴かない。聴いてもCarole King(キャロル・キング)やRickie Lee Jones(リッキー・リー・ジョーンズ)くらいで、それも年に一度か二度聴くか聴かないかと言った程度。
そんな私を虜にした女性がいる。こんなに毎日欠かさずに聴いている女性Vo.ものは、大げさではなく人生初。
彼女の名は、Nicole Atkins(ニコール・アトキンス)。New Jersey出身で、現在はNew Yorkを拠点として活動しているSSWアーティスト。
テキサス州で行なわれているSXSWに毎年出演しているが、SXSWにはThe Redwallsも毎年出演していて、その時の映像の中で彼女のことを知り、興味を持つようになった。
そして、昨年待望のアルバムがリリースされたが、今年になって再リリースされ、私が実際にアルバムを手にしたのも約1ヶ月前。
サイケなアート・ワークが印象的なアルバム 『Neptune City』 のプロデューサーは、Tore Johansson(トーレ・ヨハンソン)である。
それは、全てのポップ・ミュージック・ファンを虜にすると言っても決して過言ではない、M-1 「Maybe Tonight」 で幕を開ける。
60'sの香りが漂うキラキラしたメロディ、ハンド・クラッピングが効果的に入る弾むようなリズム、ちょっとRoy Orbison(ロイ・オービソン)を思わせるようなベース・ラインやメロディ展開などなど、もうこの一曲だけ聴くためにアルバムを買っても、絶対に後悔しないと私は言い切る。
ドラマティックなイントロから入るM-2 「Together We're Both Alone」 は、オーケストレーションのアレンジが壮大で、ストリングスの繊細な音と彼女の声が華やかに舞う。
歌い出しは暗くて重い雰囲気のM-3 「Way It Is」 は、最初はん?と思ってしまうが、途中から抜けるような明るいメロディに変わり、たっぷりと歌い上げるその歌唱力の素晴らしさに圧倒される。
M-4 「Cool Enough」 での強弱のあるメリハリの効いたVo.は、いろんな楽器の音色が重厚なアレンジにも負けず、たっぷりと素晴らしい歌声を響かせている。
アンニュイでゆったりとしたワルツM-5 「War Torn」 のあとに続く、アップテンポなエスニック調のM-6 「Love Surreal」 のブリッジでのポップな展開は、とっても気持ちがいい。
感情豊かなバラード、アルバム・タイトル曲M-7 「Neptune City」 では、彼女のキュートな声がしっとりと神秘的な世界を包み込む。
Neptuneとは、New Jerseyにある実際に彼女の生まれた街。
迫力ある掛け声のようなコーラスで沸かせるM-8 「Brooklyn's on Fire!」 は、後ろに流れるギターのメロディがとても効果的に鳴り響き、力強く歌う彼女のVo.と共存している。
M-9 「Kill the Headlights」 は、「Maybe Tonight」 の次に好きな曲で、囁くような歌声がじわっと沁みてくる。
そして最後は、リズミカルなM-10 「Party's Over」 で軽やかに幕を下ろす。
全10曲どれを取っても、抜群のメロディ・センス溢れる曲ばかりで、何度もくり返して聴いてしまう。

アルバムのジャケ写はちょっと怖い感じだが、等身大の彼女は、とってもキュートな声を持つ美人でおしゃれな女性。普段は、Nicole Atkins & the Seaとしてライヴを展開している。
バック・メンバーは全員名前に “D” が付くので、“the 4D's” と呼ばれている。
とにかく、「Maybe Tonight」 はマイスペで聴けるので、是非聴いて欲しい。
ポップ・ミュージックが好きなら、絶対に響くものがあるはず・・・。

Voxtrot / Voxtrot

2007-10-26 | music : newcomer


かねてから気になっていたバンドで、zumaさんのブログでも絶賛されていた、USテキサス州Austin出身の5ピース・バンド、Voxtrotのセルフ・タイトル・デビュー・アルバム。
このアルバムと一緒にオンライン・オーダーしたCDの入荷待ちでずいぶん待たされたが、先日やっと到着。
彼らはまずUKから火が付いてNMEで大フィーチャーされたそうで、UKではアルバム・デビュー前に2枚のシングルが話題となり、3枚目のEPで本国USでもブレイク。
そのサウンドは、USのバンドとは思えないくらいUKの色がぷんぷんと漂ってくる、良質のギター・ポップ。
適度な疾走感と、適度なポップさがとても気持ち良く、Vo.の意外と可愛い声が楽曲にとても合っていて心地良い。
M-1 「Introduction」 はその名のとおり、このアルバムの導入のような形で、最後の盛り上がりで次の曲 「Kid Gloves」 へと導いて行く。この曲がまたカッコいい!
ピアノをフィーチャーしたM-3 「Ghost」 とM-10 「Real Live Version」 は、ストリングスのアレンジも入れ、透明感あふれる綺麗なメロディが詰まっている。
とっても可愛い、弾むようなポップな曲のM-4 「Steven」。
ちょっと不思議なメロディのヴァースから、とってもポップなメロディへと展開するブリッジが何とも粋なM-5 「Firecracker」。
骨太いドラムの音で始まるM-6 「Brother In Conflict」 は、軽快なロックン・ロール・ナンバー。
私がこのアルバムで最もUK色を感じたのがM-7 「Easy」 で、ダークな中に漂うキラキラ光るポップなメロディにそれを感じる。
M-8 「Future Pt.1」 は、今現在いちばん好きな曲。ほんわかとした優しいメロディに、なんだかホッとさせられる。
全体的に軽めで柔らかいサウンドが中心なので、力むことなく聴けて、ほど良い心地良さの良質な楽曲が自然と耳に入ってくる。
更にメリハリも適度に効いているので、繰り返し聴いていられる。
先に発売されたEPも、このアルバムもジャケ写がステキだ。

Air Traffic. / Fractured Life

2007-09-18 | music : newcomer


サウンド面で、これほどUKらしさがにじみ出ているバンドからは暫く遠去かっていたので、このアルバムを初めて聴いた時はなんかとっても新鮮な気持ちになった。
Londonから南西に位置するイギリス最南下の、22kmにも及ぶ砂浜がとても綺麗なヨーロッパ最古の海辺のリゾート地Bournemouth(ボーンマス)で結成された4ピース・バンドAir Traffic.。
7月にリリースされたこのデビュー・アルバム 『Fractured Life』 は、そんな綺麗な砂浜とUK独特の翳りをイメージさせる、ちょっとメランコリックなメロディが特徴。
リードVo.でソングライターのChris Wallは音楽一家に育ち、バンドではピアノとギターを担当。
Pink FloydやRadioheadが好きという彼のソングライティングには、少なからずともそれらの影響が伺える。
インディーズ時代に7"を出した、軽快なピアノに乗って始まるM-1 「Just Abuse Me」 は、とってもポップなのだがエモ系とはどこか違うピアノ・ロック。
爽快なのだが、やはりどこかにウェットな部分が見え隠れしていている。
私がこのアルバムを買うきっかけとなったのは、試聴で聴いたM-2 「Charlotte」 のイントロの乾いたギターのカッティングの音。
言葉でどう表現していいかよくわからないのだが、とにかくこのギターの音を聴いてピンときたのだった。
メランコリックなM-3 「Shooting Star」、まるでマーチングのように打楽器の音が鳴り響くM-4 「No More Running Away」。
悲しげなバラードM-5 「Empty Space」、切なくもアグレッシヴなバラードM-6 「Time Goes By」 と2曲静かな曲が続いた後、ガッツリとしたシャープなギター・ロックM-7 「I Like That」 でテンションを甦らせ、続くM-8 「Never Even Told Me Her Name」 では、それまでになかった明るいポップ・ロックでガラっと雰囲気を変える。
この曲は1stシングルとなった曲なのだが、19日にリリースされる国内盤では 「気まぐれスージー」 という邦題に・・・。
あ~なんでこうわざわざセンスのない邦題を付けるのかなぁ・・・。(ぶつぶつ・・・)
ハードでちょっとサイケでひねりを利かせたM-9 「Get In Line」。
ドラマティックなバラードM-10 「I Can't Understand」 のサビは感動的。
最後の曲M-11 「Your Fractured Life」 が終ると、かなり長い無音のブレイクが入り、シークレット・トラック 「Pee Wee Martini」 が流れてくる。
この曲はインストで、冬の海を思わせる。
彼らの音楽は、ピアノ・ロックでもなくピアノ・エモでもなく、ギター・ロックでもない。
ピアノとギターが絶妙のバランスで交差している感性が際立つ音で、翳りのある美を奏でている。
そして、Vo.Chrisのファルセットはかなり強烈なインパクトで、クセになりそうだ。

彼らのMySpaceで「Charlotte」 も試聴できるので、言葉で表現できない “乾いたギターのカッティングの音” を感じてもらえるとうれしい。

Melee / Devils & Angels

2007-08-28 | music : newcomer


最近、USの人気TVドラマ 『The O.C.』 にハマっている。
見るきっかけとなったのは、Rooneyの音楽がBGMとして使われているということと、そのRooney本人達が出演しているということからだったが、典型的アメリカ~ンな(笑)ストーリーにまんまとハマってしまった。
その 『The O.C.』 の舞台となっているカリフォルニア州オレンジ・カウンティから、煌きを放つグッド・ミュージックを奏でるバンドが登場。
2004年にインディーズよりデビュー・アルバム 『Everyday Behavior』 をリリースし、今年4月に2nd 『Devils & Angels』 でメジャー・デビューした4ピース・バンドMêlée(メイレイ)。
この度8月22日に国内盤がリリースになり、今タワレコでは大プッシュされている。
ちょっと前に輸入盤で購入していたのだが、国内盤にはショーケース・ギグへの招待プレゼントが付いているではないか! 
ま、私は輸入盤志向だし、現に国内盤のジャケはオリジナルとは色が違っているので、同時に店頭に並んでいたとしてもきっと輸入盤を選んでいただろう・・・。

さて、そのMêléeの音楽。ピアノをフィーチャーしたメロディアス・ロックが主流の昨今なので、表現が月並みになってしまうかも知れないが、彼らのサウンドはピアノの綺麗な音色にエッジの効いたギターの音色が巧みに融合し、覚えやすい親しみのあるメロディが魅力。
それと、Vo.がとてもいい! 声の伸び、艶やかだが力強い声質が、楽曲の良さを更に盛上げている。
M-1 「Built To Last」 は1stシングル曲。イントロの頭、ラジオから聴こえるようなモノラル感あるちょっとこもった音質から入り、ドラムの音をきっかけに一気に抜けるようなピアノのメロディが流れて歌に入る。
ひと世代前辺りの懐かしさを感じさせるメロディとバキング・コーラス。
間奏のギターが存在感を深め、シンコペーションの軽やかなリズムを打つドラミングもカッコいい。
こういうメロディ・ラインが展開する曲は、正にツボに入りまくり。
アップ・テンポなM-3 「Frequently Baby (She's A Teenage Maniac)」 では、転がるように連打されるピアノとギターの音にあおられ、気持ちいいくらいのスピード感が味わえる。
そこには、PoisonやDanger Danger辺りの80年代LAメタルを思わせるメロディ・ラインが垣間見られる。
M-5 「Drive Away」 の間奏のディストーションを効かせたギターや、壮大なバラードM-6 「Can't Hold On」 のドラムの入り方やサビ・メロの展開なんかをを聴いても、少なからずとも彼らがキッズの頃に聴いてきた(と勝手に思っている)HRの影響が出ているな~と思ってしまう。
M-9 「She's Gonna Find Me Here」 はバックの音を抑え、Vo.を前面に出した力強いバラード。
Vo.Chris Cronの歌の上手さが証明されている。
M-10 「Biggest Mistake」 を聴いて思い出したのが、Billy Joel。
親しみやすいポップなピアノ・ロックで、ソウルフルな部分も感じ取れる。
サビの “Stand up, stand up~” と繰り返されるキャッチーなメロディが、これまた懐かしさを感じさせるドライヴィング・ロックM-12 「Stand Up」 で本編を締め、M-13 「You Make My Dreams」 はボートラ。そう、Hall & Oatesのカヴァーだ。
意識しているのかいないのか、Vo.の声がこれまたDaryl Hallに似ているのだ。
特に声が伸びるところにそれを感じるので、彼らの音楽とはちょっと違うこの曲でも、全く違和感なく聴ける。
彼らの音楽は単にメロディアスで繊細と言うだけに留まらず、ハードでスピーディな部分を併せ持つ存在感のある楽曲が魅力で、今後の動向も期待だ。

Ruth / Second Hand Dreaming

2007-07-31 | music : newcomer


今年リリースされるアルバムの中で、楽しみにしていたひとつ。
USワシントン州出身の4ピース・バンド、Ruth(ルース)の、Tooth and Nailからリリースされたデビュー・アルバム 「Second Hand Dreaming」。
バンド名は、中心人物Vo.&GのDustin Matthew Ruthの名前から命名された。
6月26日にリリースされ、7月初旬にオーダーしていたのが届いたのだが、直後にリリースされたRooneyの2ndばかり聴いていたので後回しになってしまった。
Tooth and Nailと言えばパンク色の強いエモ系バンドが多いが、このRuthは少し系統が違い、ポップなロック・チューンが中心。
そして、アコースティックとエレクトリックの調和が、気持ちよくバランスが取れている。
そのポップなメロディがなかなか気に入っていたので、まだEPしか出していなかった頃からフルレングスを楽しみにしていた。
以前からマイスペにUPされていた、サビのコーラスのヴァースが覚えやすいM-2 「Cross The Line」 は、アルバム用にアレンジを変え、間奏にホーンが入ってより一層厚みが出た。
ポップなノリのいいM-3 「Secondhand Dreaming」 や、優しい感じのアコースティック・ナンバーM-4 「Here To New York」、ゆったりとした温かい気持ちになるM-9 「You Are」 も以前から知っていた曲だが、改めてオーディオのスピーカーで音量を上げて聴くと、サウンドの深さやギターの絡み、ドラムスのビートなどがストレートに伝わってくる。
全曲ポップすぎず、ハードすぎず、メロディアスすぎない丁度いいバランスの取れた、とても聴きやすくて親しみやすいメロディが中心の、気持ちのいいナンバーが揃い、斬新さはないがデビュー作としてはかなりの出来だ。
今後も楽しみなバンドである。

彼らのMySpaceで、上記4曲が試聴できます。