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『あしたのパスタはアルデンテ』

2011-10-03 | cinema & drama

ネタはあれど、更新ままならず・・・。
今日は、久しぶりに劇場で観た映画のことでも。
『あしたのパスタはアルデンテ』 って、正直何てタイトルだ!と思った。原題は 『Mine Vaganti』 で、直訳すると “さまよう地雷” だが、ピンと来ない。
では何故パスタが出てきたかというと、主人公の家族がパスタ製造工場を営んでいるところから取ったのだろう。
2010年のイタリア映画で、今年のイタリア映画祭では、『アルデンテな男たち』 というタイトルだったらしい。どっちもどっちかな。
舞台は南イタリア・プーリア州の州都Lecce(レッチェ)。実は、ここではまだ旅行記にもしていないが、レッチェは去年行ってきたところ。
この目で見て感じて、過ごした街のあちこちが出てきて嬉かった。泊ったB&Bの建物まで映り、懐かしくなってまた行きたくなった。
物語は、父親が経営する老舗パスタ会社の社長に長男のアントニオが就任することになり、一族が集まる晩餐会のためにローマに行っている主人公の次男トンマーゾが帰郷するところから始まる。
トンマーゾには家族に内緒にしていたことが三つあった。ひとつ目はローマの大学で経営学を学んでいると嘘を付き、実は文学部を卒業したこと、ふたつ目は稼業を継ぐ意思がなく小説家を目指して執筆中だということ。そしてみっつ目が最大の秘密だった。

【以下ネタバレあり】
その最大の秘密とは・・・自分はゲイであるということ。そのことを、兄アントニオに明かす。
そして稼業を継ぐ意思がなく小説家になりたいトンマーゾは、兄の社長就任パーティの席で家族に自分がゲイであることを明かせば、親から勘当されて自分の好きなことができると企んでいた。
しかし、物事はそう上手くは行かず。さあ、告白するぞ!と決めたその時、アントニオが先にカミングアウトしてしまうのだった。そう、アントニオもゲイだったというわけ。勿論父親はアントニオを勘当、そしてあまりにものショックで倒れてしまう。
自分の秘密を告白するタイミングを逃してしまったトンマーゾは、当然のように工場経営を任され、ローマに戻ることもできずで恋人にも逢えない状態。
トンマーゾの未来はどうなる? 小説家になる夢は? 家族はどうなる? 老舗パスタ会社の経営は?
とまあ全部書いてしまうと面白くなくなるので、この辺にしておこう。

イタリア映画ならではの、家族愛をコミカルに描いた人間ドラマ。
ゲイの兄弟のほかにも実は糖尿病のおばあちゃん、アルコール依存症の叔母さん、婿を親に認めてもらえない長女など、家族それぞれに抱えている悩みがあり、それを笑いと涙で感動させる。王道のパターン的なところがあるが、決してダサくない。個人的にはおばあちゃんがステキで良かった。
ひとつだけ難を言うと、食卓を囲むシーンのカメラワークがずーっと回っているため、観ている方も目が回りそうになってちょっと気持ち悪くなったこと。
ローマにいるトンマーゾの恋人とその仲間達(もちろん全員ゲイ)がトンマーゾを尋ねてレッチェにやってきたところはめちゃくちゃ面白かった。
家族にはゲイであることを隠しているため、彼らもバレないようにしなければならない。その一挙一動が笑いを誘った。
予告編での 「人生いろいろあるけれど、家族だからいつか分かり合える。今日がだめでもあしたになれば・・・」 という言葉がドンピシャの作品で、温かい気持ちになった。


★現在、シネスイッチ銀座で上映中。おすすめ!
★公式サイトはこちら



『ランナウェイズ』

2011-05-05 | cinema & drama

またまた放ったらかしにしてしまって、一ヶ月以上のご無沙汰っぷりだ(苦笑)。
先日、『ランナウェイズ』 を観て来た。洋楽好き&ロック好きならたいていの人が知っている、70年代に一世を風靡したガールズ・ロック・バンドThe Runaways(ザ・ランナウェイズ)の伝記的映画。
ポスターを見た時、Joan Jett(ジョーン・ジェット)はアイ・メイクで似せているけどどうだろう・・・と思って実際に観てみると、顔もそうだがちょっと猫背になるところとかの雰囲気がめちゃくちゃ似ていて、ギターを弾く姿もカッコよかった。
原作はThe RunawaysのVo.だったCherie Currie(シェリー・カーリー)の伝記本で、製作総指揮にJoan Jettが参加している。
監督は、ミュージック・ビデオの監督として、Björk(ビョーク)やThe White Stripes(ホワイト・ストライプス)やMarilyn Manson(マリリン・マンソン)なんかを手がけていて、今回が初の長編なのだそう。
Joan Jett本人が監修しているので、まあ嘘偽りはないんだろう。ただ、あくまでもB級映画だった。良かったんだけど・・・。
それを徹底的にしたのが、結構長い尺を使っていたJAPAN TOURのシーン。
とは言っても日本ロケをしているのではないので、撮影はセットと日系人のエキストラ。そして、案の定よくある外国人がイメージする “日本” が描かれていたのだった。
確かに彼女らの初来日の熱狂ぶりは凄かったらしいが、楽屋に押しかけたファンの圧力でガラスが割れて、そのままメンバーに突進して行ったのは本当なのだろうか・・・。ホテルの度を越えた和風テイストの内装や、接待する業界人にも苦笑。
他のシーンでは、70年代のファッションが忠実に再現されてたけど、70年時代に白いカーデに赤いリボン、チェックのミニスカートに紺のハイソックスという日本の女子高生の制服には、不自然さを感じた。
とは言え、Joan JettがプロデューサーのKim Fowley(キム・フォウリー)に見出され、Cherieと出会い、「Cherry Bomb」 でスターダムに押しあがって行くストーリーにはぞくっと来るものがあり、少なからずとも心を動かされた。
バンドの全盛期が1年ちょっとだった故に、伝説の・・・という表現をよくされてきたThe Runawaysだが、そのあまりにも短いバンド生命は、若さゆえという理由だけでは片付けられないんだなということを、この作品を通して少し感じ取ることもできた。
Kim Fowley役の俳優さんも本人にそっくりだったけど、意外と似ていたLita Ford(リタ・フォード)にほとんどスポットが当たらなかったのは、ちょっと残念だったかな。
物語は、Joan Jettがソロになってから 「I Love Rock 'n' Roll」 をヒットさせるところまでを描いている。
私にとってJoan Jettは、The Pretenders(プリテンダーズ)のChrissie Hynde(クリッシー・ハインド)と並んでロック界の姐御なのだが、最後まで姐御のイメージを裏切らず、ラジオ局でのシーンでのあの終わり方も満足だった。


 

『ヴァレーリエと不思議な一週間』 @チェコっとシネマ

2010-08-12 | cinema & drama


“チェコっとシネマ” とは、チェコ大使館内にあるチェコセンター東京が、月イチで開催している映画上映イベント。
もうずっと前から行きたい行きたいと思っていたのだが、いつも仕事のスケジュールが合わなかったり、行けると思ったら既に定員がいっぱいだったりで、なかなか実現しなかったのだが、今回6月の上映にやっと足を運ぶことができた。
チェコ大使館は広尾の閑静な住宅街にあり、開場時間は19時だったのでもう既に大使館業務は終わっていたが、日本文化とチェコ文化を融合させながら飾られている館内の絵や置物が、とってもいい雰囲気だった。
大使館内の映写室は、パイプ椅子などではなくちょっとした映画館のようで、椅子の幅が広くてゆったり。
上映前に、チェコセンターの所長さんの挨拶と映画の解説があった。噂どおりの愉快な人で、顔を見なければ完全に日本人と思うほど、日本語が流暢。

この日の上映作品は、『闇のバイブル』 という別のタイトルでDVDにもなっている 『ヴァレーリエと不思議な一週間(原題 : VALÉRIE A TÝDEN DIVŮ)』 という、1970年のファンタジー・ホラー映画。1932年に執筆された同名小説の映画化とのこと。

Amazonのサイトにある 「キネマ旬報社」 データベースには、次のように紹介されている。
多感な少女に降りかかる恐怖を幻想的な映像で描くファンタジックホラー。
13歳になり、初潮を迎えた美少女・ヴァレリエは、性への憧れを抱き始める。しかし、内に秘める肉欲への恐れはやがて吸血鬼の姿となり、彼女をカルトの世界へと引きずり込む。 

こういうのをカルト映画というのだろうな、と思った。シュールレアリズムの独特の雰囲気が、私には結局最後までふわふわ~っとしていてよく分からなかった。
それでも、つまらないとか途中で寝てしまうとかではなく、分からないなりに何か惹きつけられる魅力があった。
とにかく、ヒロインの女の子がヤバい! 可愛いすぎる。この作品は、どうやらゴスロリ(ゴシック・ロリータ)のバイブルと言われているのだそうだが、別にゴスロリでなくても、この子のキュートな小悪魔っぷりに翻弄されるだろう。
60~70年代の東欧の雰囲気がぷんぷん匂ってくるかのような怪しげな空気が漂い、独特の色彩とカメラワークで不思議な世界へと導いて行く。
女の子から少女へと成長して行く過程で、性への好奇心や嫌悪感を、妄想とも現実とも取れる世界で表現している。
不思議怪しい作品だが、とても芸術的な作品だと思う。


『アリス・イン・ワンダーランド』

2010-07-17 | cinema & drama


東京ディズニーランドの 『キャプテンEO』 が、マイケル・ジャクソンの1周忌を機に復活した。
『アバター』 の大ヒット以来、3D映画はもう珍しくも何ともない時代になったが、思えばこの 『キャプテンEO』 が3D映画の元祖と言ってもいいだろう。やはりと言うかさすが、世紀のエンターティナー・マイケルだ。
もう2ヶ月も前になるが、そんな今では当たり前のようになった3D映画 『アリス・イン・ワンダーランド』 を観た。
3Dメガネとは青色と赤色のセロファンのメガネだとばかり思っていたが、映画館で渡された21世紀の3Dメガネは、普通のサングラスみたいだった。
原作の 「不思議の国のアリス」 については、なんとなく程度しか知識がなかったので、原作を読んでから観に行ったのだが、読んでおいてよかったと思った。
こういうファンタジー系の作品には、3D映像というのがとても合う。綺麗で幻想的な異次元の世界をリアルに感じることができて、なかなか良かった。
何かが目の前に向かって飛んで来た時は、思わず目を瞑ってしまったし、砂煙を立てながら逃走するシーンや終盤の戦いのシーンも、かなり迫力があった。
でも、もしこれが 『ジョーズ』 や 『バック・ドラフト』 とかだったら、疲れ果てていただろうと思う。
この作品と同じティム・バートン監督の 『チャーリーとチョコレート工場』 のウィリーや、『パイレーツ・オブ・カリビアン』 のジャック・スパロウなどの、妙チクリンな人物を演じるジョニー・デップは、普通の役の時よりも断然好きなのだが、今回のマッド・ハッターのメイクを見て思い出したのが、同じくティム・バートン監督のコメディ映画 『ビートルジュース』。アイ・メイクがそっくり!
「不思議の国のアリス」 の時のアリスが想像力豊かな19歳の少女に成長し、そのアリスが再び夢の世界で繰り広げる物語なのだが、その摩訶不思議な世界観は、鮮やかな色彩と個性的なキャラクターで、視覚的にもとっても楽しませてくれた。
最後に現実の人々と、ワンダーランドのキャラがリンクするところでは、なるほど~と思わせたりも・・・。
そして、私のツボに入りまくりだったキャラがこれ(↓)。トウィードルダムとトウィードルディーのずんぐりむっくりな双子。このキモ可愛さがサイコーに可笑しかった。



『パトリックは1.5歳』 @EU Film Days 2010

2010-06-25 | cinema & drama
   
「EU Film Days 2010」 で観たもうひとつの作品は、『パトリックは1.5歳』 という2008年のスウェーデン映画。
スウェーデン映画は、これが初めてだった。

新しい生活を夢見て郊外に越してきたゲイカップル。養子として1歳半の赤ちゃんを迎えるはずが、やってきたのはゲイ嫌いで犯罪歴のある15歳の少年だった――。
デリケートな題材を見事に描いた、各国で評判の話題作。(EU Film Days 2010公式サイトより)


日本の環境からは少し遠いテーマだが、セクシュアル・マイノリティが社会や文化において順応して行くことの難しさを、分かり易くユーモアを交えて伝えている。
新居を構え、養子を迎えようとする妻ゴランと夫スヴェン。条件は整っていても、ふたりの環境がネックとなってなかなか養子が決定しなかった。
そんなある日、養子が見つかったというセンターからの手紙に大喜びするふたり。手紙には “Patrik 1,5” と書かれていた。
子供部屋をおもちゃやぬいぐるみでいっぱいにし、パトリックがやってくる日までワクワクするふたり。しかし当日やってきたのは、15歳の不良少年だったのだから、さあ大変。
センターからの手紙はタイプ・ミスだったのだが、最悪な思い出しかない更生施設に戻されることを拒絶するパトリックを、ゴランは引き取ることに決めたものの、スヴェンは猛反対。パトリックを巡ってふたりの関係は気まずくなり、ついにスヴェンは家を出て行ってしまう。
その時のゴランのセリフ、「ここを出て行くのは君だよ、スヴェン。パトリックじゃない」。ふたりの愛より、ひとりの人間を守ったゴラン。このセリフにはジーンとさせられた。
それから、ゴランとパトリックの共同生活が始まり、悪ガキだったパトリックもだんだん明るくなって行き、ガーデニングやスケボーの技術を活かして、パトリックの存在が近所の人々の偏見を徐々に和らげて行くのだった。
やがてパトリックの計らいでスヴェンが戻ってくることになるのだが、結局全てパトリックがいたからこそのこと。
もし本当に1歳半の赤ちゃんが来ていたら、子育てに追われる日々の中で、本心は子供はあまり好きではないスヴェンとの仲はギクシャクして行くだけで、きっとこんな環境は築けなかっただろう。
日に日に仲良くなって行くゴランとパトリック、本当の親子のように見えて微笑ましかった。でもそんな時、パトリックに良い養子先が見つかったという連絡がきてしまう。果たしてパトリックはどうなる?どうする?(結末は敢えて伏せておく)
いろんな面で考えさせられることや共感できる部分が多々あり、観て良かったと思わせてくれるいい作品だった。

 この鋭い目つきがだんだん優しくなって行く




『湖のほとりで』 @EU Film Days 2010

2010-06-21 | cinema & drama

「EU Film Days 2010」 で観た2作目は、日本でも公開された2007年のイタリア映画 『湖のほとりで』。
先日のイタリア映画祭にも一緒に行った、イタリア好きの同僚を誘って観に行った。

のどかな小さな村はずれにある湖のほとりで発見された美少女アンナの死体。捜査が進むにつれ、住民たちの人間関係や家族のあり方が明らかになっていく――。
誰もが皆、“人に言えない悩み” を抱えて生きていた。(EU Film Days 2010公式サイトより)


舞台は恐らくスイスやオーストリアの国境に近い、イタリア北部の美しい村。
その小さな村で起こった殺人事件の話なのだが、謎を解きながら犯人を追って行くといういわゆるミステリー/サスペンスものとはちょっと違い、人間関係や人物像、様々な形の愛を描きながらやがて意外な犯人に辿り着く。
発見されたアンナの死体には争った形跡が見られなかったため、顔見知りの犯行とされ、捜査が始まる。小さな村ゆえ、住民の誰もが皆顔見知り。捜査の指揮を取るのは、この村に越してきたばかりのベテラン警部サンツィオ。しかし、村をよく知る部下と共に進めて行く捜査は難航する。
そんな中、次々と浮かび上がってくる住民たちの人間関係や家族関係。サンツィオは、そこから紐解いて事件解決に導いて行く。そして話が進むにつれ、なぜアンナは殺されなくてはならなかったのかということが明らかになって行く。
その辺の展開は、なかなか面白かったのだが、ゆっくりと話が進んで行き、人々の感情の描写を丁寧に描いているわりには、いまひとつ感情移入することができなかった。
派手さのないとても静かな作品だったが、やはりこの作品はミステリーではなく、ちょっと重たいヒューマン・ドラマだと思った。

 渋い親父デカ、彼もある悩みを抱えていた




『小さな泥棒たち』 @EU Film Days 2010

2010-06-20 | cinema & drama


ある日、何かイベントでもないかなぁと思ってアクセスした、オーストリア大使館のHPで見つけた 「EU Film Days 2010」。
EU加盟27ヶ国中、22ヶ国の作品が上映される一種の映画祭。しかも500円で観れるのだ。今回初めて知ったのだが、今年で8回目らしい。
イギリスの出品作 『スラムドッグ$ミリオネア』、アイルランドの 『Once ダブリンの街角で』 など、よく知られた作品もあったが、日本初公開の作品もたくさんあり、なかなか興味深い作品が並ぶ中、3作品観ることができた。
最初に観たのは、2009年のラトヴィアとオーストリアの合作 『小さな泥棒たち』。

父の失業でローンが返済できなくなった家族を家から追い出した銀行に仕返ししようと、5歳の少年ロビスと姉のルイーザは強盗を企てる。
無敵な2人に不可能はない! 世界各地のこども映画祭で好評を得た作品。(EU Film Days 2010公式サイトより)


とっても愉快でほのぼのとした楽しい作品で、真っ先に思い出したのが 『ホーム・アローン』。ドジでマヌケな二人組が、子供にまんまと出し抜かれるというお話。
この物語のおマヌケ二人は銀行の警備員、そして彼らの上司である支店長もなかなかのマヌケっぷりを見せてくれた。
この支店長役の俳優が、私の大好きなオーストリアのドラマ 『REX』 のシュトッキンガー警部補役のカール・マルコヴィックスだったのだ。彼がアップになった時、思わず “シュトッキーだ!” と声が出そうになった。オーストリア人なのにラトヴィア語が話せるなんて凄いなぁ・・・と感心。
この作品の主役である子供、特にロビス役の男の子がおしゃまで可愛くて、大いに笑わせてくれた。実際には有り得ない展開が続くのだが、たかがお子ちゃま向けでは終わらず、十分楽しめた。
テンポよく場面展開して行き、ベタなギャグでクスクスっと笑わせてくれるシーンが満載の、単純だがとてもよく出来た心温まる作品だった。

 威張っているが、相当おマヌケな支店長





★「EU Film Days 2010」公式サイトはこちら
  東京会場は6月20日(日) が最終日だが、その後福岡と佐賀で開催される。
★ラトヴィア ; バルト海に面する北東ヨーロッパの共和国で、1991年にソ連から独立を回復した。


『まっさらな光のもとで』 @イタリア映画際2010

2010-05-31 | cinema & drama


ゴールデンウィーク中に開催されていた 「イタリア映画際2010」。何本か興味ある作品はあったのだが、なかなか予定が合わず、なんとか1本観ることができた。
フランチェスカ・コメンチーニという女性が監督の 『まっさらな光のもとで』 という作品で、ひとりの女性としてそして母であることをテーマに、女性ならではの視点で描かれた作品。

30代後半のマリアは、離婚後夜学のイタリア語教師をしながら自立して生きていた。
ところが、映画館で知り合った男性と付き合い、予期せぬ妊娠。出産を望まない男と別れ、ひとりで出産するも、早産で我が子は保育器の中。
自発呼吸が出来るようになるかどうかもわからないまま、じっと見守るしかない毎日が続き、母親になれるかどうかただ待つだけの日々。時間だけが過ぎて行った。
仕事仲間や教え子らに支えられながら、やがてマリアに明るい光が射し込み、頑張って生きていこうと思える未来が開ける。
とまあ、話の流れはざっとこんな感じ。

まず、映画館で知り合った男性といつの間にそういう関係になっていたんだ?という素朴な疑問があった。
その男性は、赤ちゃんを連れて観に来ていた男ヤモメで、途中で赤ちゃんが泣きだしたので映画館を出て行き、観終わったマリアが外に出るとベンチにその男性がいて、マリアが “最後まで観るべき映画よ” というようなことを言って声を掛けたのだった。でもふたりのアプローチは描かれず、あとは殆んどいい関係だった頃の回想シーンだけだった。
それにしてもこのマリア、後先のことを考えずに行動しすぎ。自分で男を引っ掛け、妊娠して捨てられる。妊娠がわかっても煙草は吸うわ、お酒は飲むわで、瀕死状態の子供を目にして初めて現実を自覚するのだった。
ところがマリアさんったら、またまたイケメンの若い医師と出来ちゃうだなぁ・・・これが。全く懲りない女性だ。
30代後半という設定なのだが、疲れ果てた顔は40代後半に見えた。それでもイケメンを誘惑するマリア。彼女のどこに魅力があるのか、私にはわからなかった。
6ヶ月という異例の早産で、医師もどうなるかわからぬまま時は流れて行き、何もできない歯がゆさゆえにイラつくマリア。でもその長い時間の間に起こることが、この作品中でいちばん人間味のある場面だった。
同じアパートに住む女検事のちょっと重い話に母親として考えさせられ、新生児室で知り合った若い女性は、同じような境遇でもポジティブ。その彼女とは最初はギクシャクしていたが、やがて仲良くなり、お互いに励まし合う。
離婚した元旦那に会いに行き、マリアがアパートに連れてきた時は、まさかここでヨリを戻すのか?と思ったが、これについては元旦那に理性があって良かったと思った。
仕事仲間でもあり友達でもあるファブリツィオは、本当によき理解者で、彼と結婚すればいいのにと、ふたり一緒のシーンを見る度に思った。
教え子たちも、いろんな境遇でいろんな悩みを抱えている大人たち。マリアは、彼らからも逆にいろいろ教えられて行く。
原題の 『Lo spazio bianco』 の意味は “白い空間” だが、この映画では空白の時間とも取れる。それは、マリアがただひたすら待つだけの孤独な時間。学業に費やせなかった空白の時間を取り戻そうと頑張っている生徒達からは、その空白も大切なことだと学ぶ。
男に関してだらしのないいい加減な女性だという印象が強いマリアだったが、我が子を見守る日々の中で、母親として人生を取り戻そうと自分を見つめ直して行く姿には共感できた。
無事に保育器から出ることができた我が子を胸に抱きしめるマリアを見て、頑張ってほしいと応援したくなる最後だった。



『NINE』

2010-05-11 | cinema & drama


ダニエル・デイ=ルイスがこんなに渋くてステキなおじさまになっていたとは・・・。

セリフそのものほとんどにメロディが付いているタイプのミュージカル作品はとても苦手なのだが、最近のミュージカル映画はそうでもないみたいだし、『We Will Rock You』 の舞台を観てからミュージカルに対する固定観念にとらわれることなく観ることができるようになったのかも知れない。
で、冒頭のダニエル・デイ=ルイスのことなのだが、ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した 『NINE』 を観たあとの感想。
ダニエル・デイ=ルイスの作品の中で好きなのは、『存在の耐えられない軽さ』。ここでの役は、プレイボーイの優秀な医者トマシュだった。で、今回の 『NINE』 では、制作に行き詰まってスランプに陥ってしまった、かつては天才と言われていた映画監督グイド。そのグイドも、またまたプレイボーイ・・・というより女が放っておけない男と言った方がいいかも。
 世界的な映画監督グイド(ダニエル・デイ=ルイス)

そして彼に絡んでくる女性陣が、これまたとっても豪華。ペネロペ・クルス、ニコール・キッドマン、ケイト・ハドソン、マリオン・コティヤール、歌手のファーギー、そして往年の大女優ソフィア・ローレン。
ひと言で言えば、いわゆる女好きのマザコンのダメダメ男が、妻にも愛想を尽かされ、妄想と幻想の世界へと陥りながらも、良き理解者でもある親友の手助けもあって挫折から立ち直ろうとして行く姿を描いた話なのだが、ゴージャスでファッショナブルというキャッチ・コピーどおりの作品で、エンターテインメント映画としてはとっても良かった。そして楽しかった。
フェデリコ・フェリーニ監督の 『8 1/2』 という映画がベースになっていて、メガホンを取ったのは、同じくブロードウェイ・ミュージカルを映画化した 『シカゴ』 のロブ・マーシャル監督で、製作・振付も彼が手がけている。
それにしてもみんな歌も踊りもめちゃくちゃ上手い。ニコール・キッドマンは 『ムーラン・ルージュ』 で、マリオン・コティヤールは 『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』 で披露済みだし、ファーギーは本職だが、いちばん驚いたのはケイト・ハドソン。パンチの効いたエモーショナルな歌声は、とっても華があった。
 主演女優クラウディア(ニコール・キッドマン)   妻ルイザ(マリオン・コティヤール)
 雑誌VOGUEの記者でグイドに熱い視線を向けるステファニー(ケイト・ハドソン) 

ペネロペ・クルスは愛人という役柄に合った小悪魔的でコケティッシュな歌声だったし、ダニエル・デイ=ルイスも味のある甘い歌声を聴かせ、魅了した。
グイドの母親役を演じたソフィア・ローレンは、とても75歳とは思えぬ美しさとスタイルでしっとりと歌い、大女優のオーラを放っていた。
 愛人カルラ(ペネロペ・クルス)   グイドのママ(ソフィア・ローレン)

ファーギーの椅子と砂を生かしたダンス・シーンは、迫力があっていちばんカッコ良かった。
グイドを取り巻く女性たちを演じたニコール・キッドマンとマリオン・コティヤール以外は、ペネロペ・クルスもケイト・ハドソンもファーギーも皆意外にむっちり。でもすごくセクシーでキュートで、網タイツやボンテージ姿でも嫌らしさっぽさが全然なくて、女性が憧れるであろう魅力に溢れていた。
 幼い頃に出会った娼婦(ファーギー)   親友の衣装担当リリー(ジュディ・デンチ)

この作品は、ストーリーうんぬんではなく、見せる(魅せる)娯楽映画。虚構の世界を上手く表現していた。
イタリアの街並や綺麗な景色も目の保養になったが、どうせならセリフもイタリア語だったらもっと雰囲気が出ただろう。全編英語なのに、カフェやホテルのロビーなどのシーンで遠くでイタリア語が聞こえてくるのはちょっと変だった。
もしグイドのような男性(ダニエル・デイ=ルイスが演じているような男性と言った方がいいかも・・・)が身近にいたら、たとえ落ちぶれてしまっていても放っておけないかも知れない。
 ミューズ全員集合! 超豪華!

でも、真のミュージカル好きには不評なのかも・・・。


★ケイト・ハドソンが歌う 「Cinema Italiano」


『シャーロック・ホームズ』

2010-05-07 | cinema & drama


カッコ良かったー! 
ロバート・ダウニーJr.演じるシャーロック・ホームズ。更にワトスン博士役はジュード・ロウという、イカした男前揃い。
これまでのホームズのイメージを一新したと言われた映画 『シャーロック・ホームズ』 は、アクションもVFXも豪華なエンターテインメント作品だった。
3月にこの映画を観るまで、個人的にシャーロック・ホームズと言えば、TVシリーズのジェレミー・ブレットだったのだが、ロバート・ダウニーJr.のホームズも全然アリだ。
鍛え上げられた肉体、タフな武闘派。記憶力と洞察力については言うまでもなく、科学的なことと魔術的なことを織り交ぜて推理して行くその姿は、本当にカッコ良かった。
ちょっとだらしなくてずっこけた一面もあり、母性本能をくすぐるホームズ。そしてワトスンとの友情は、友情以上に愛情か?とも感じるほどの強い絆で結ばれていて、お互いに相手の目を見るだけで相手が何を考えているのかわかる。
 見よ、この見事な筋肉!   ホームズとワトスン、目と目で会話♥

監督は、Madonna(マドンナ)の元旦那、ガイ・リッチー。ぜひともシリーズ化してほしいなと思っていたが、どうやら来年公開予定で第2弾が制作されるようだ。
本作は、死んだはずの宿敵ブラックウッド卿が黒魔術で生き返り、彼が企む世界を転覆させようとする陰謀を阻止すべく、史上最高の名探偵が最強の相棒と共に立ち向かうといったストーリー。新生ホームズのお目見え作としてだけでなく、どんでん返しもあり、内容的にも面白くて十分楽しめた。
ロバート・ダウニーJr.は、かつてはブラット・パック(※)の中でもそこそこお気に入り俳優のひとりだったが、これを観て改めてファンになった。
90年代にはチャップリンを演じた 『チャーリー』 で絶賛され、近年では 『アイアンマン』 で大当たりしている。その 『アイアンマン』 の第2弾の予告編が、『シャーロック・ホームズ』 が始まる前に流れたので、本編が始まってすぐのアクション・シーンで一瞬アイアンマンと被った・・・。
全体的にダークなブルー・ブラック色の画面は、ロンドンのどよ~んとした天気を思わせ、セント・ポール大聖堂やタワー・ブリッジやウェストミンスターなどのロンドンの名所も効果的に映った。タワー・ブリッジに至ってはまだ建設中の時代。その建設中の橋の上で、クライマックスの犯人との格闘が繰り広げられる。手に汗握る、迫力あるシーンだった。
スーパー・スローモーションを取り入れたり、動きを止めたりする映像も面白くて、128分という長編だったが飽きなかった。
しかし、もっともっとぉ~っ!という前のめりな気持ちをなかなか満たしてくれなくてじれったい部分もあったが、そういうのもアリなのかも・・・。

ジェレミー・ブレット演じる知的なホームズと、ロバート・ダウニーJr.演じるワイルドなホームズ。
 どっちもステキ!


※ブラット・パックとは、私の大好きな映画 『セント・エルモス・ファイアー』 などに出演した俳優を中心とした、80年代にハリウッドで活躍した若手俳優たちを指す。
詳しくはこちら