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music, trip, cinema, art, and so on.

春の足音が聞こえてきそうな音

2006-01-27 | music : favorite


この人たちの音と出会った時は、いろんな面で衝撃的で新鮮だった。
CDショップに流れていた曲に惹かれ、“Now Playing” のCDを指して、「コレください」 と買ったCDが、Del Amitriの 『Some Other Sucker's Parade』 だった。
まず、てっきりアメリカのバンドだと思っていたら、実はScotland出身だったこと。
そして、こんなムサ苦しい(失礼!)おっさん風のルックスからは、とても想像できないなんともポップで爽やかな音に戸惑いすらあった。
その前の95年のアルバム 『Twisted』 の存在も知っていた。
でも、まさかこんな音楽の人たちだとは思いもせず、ジャケだけ見ておよそHR/HM系なんだろうなと思い込んでいた。
だってコレ、かなりジャケで損してるな~と、音を聴いてつくづく思ったものだった。
特に最初に買った 『Some Other Sucker's Parade』、いくらなんでもコレはちょっとなぁ・・・。

『Some Other Sucker's Parade』 1997   『Twisted』 1995

Scotlandと言えば、やっぱり真っ先に思い浮かぶのが、BMX Bandits、Teenage Fanclubを中心としたGlasgow相関図。
Del Amitriも同じGlasgow出身と言うことをあとで知り、驚いたものだった。
彼らはUSでの人気が定着していて、TOP40なんかにもたくさんチャート・インしている。
そういうバック・グラウンドからも、USのバンドというイメージがあったのだった。
そう、人を外見で判断してはいけない・・・でも、だいたいはルックスやジャケの感じと音というのは、結びつくものがあるのは事実。
そんなモミアゲと髭がジョリジョリのJustin CurrieとIain Harvieのふたりからスタートしたバンドは、その後メンバーも定着して5人組となり、今では少しすっきりとした感じにイメチェンしている。(笑)
今回取り上げるアルバムは、98年リリースのシングル曲を中心としたベスト・アルバム 『Hatful Of Rain』。
もう、全17曲秀作ぞろいのベスト中のベストである。どの曲を聴いても、どこから聴いても素晴らしい。
Scotlandというか、UKというか、いわゆるあの辺の雰囲気はそこはかとなく漂うのだが、USギター・ポップ路線の方が濃い。
個人的に表現するなら、UKの香り溢れるFountains Of Wayneの逆パターンと言ったところだろうか・・・。
オープニングの未発表曲 「Cry To Be Found」 から、ストリングスを巧みに起用した、大人っぽい極上のポップスが流れる。
FMのヘヴィ・ローテーションにより、日本でもプチ・ヒットしたM-2 「Roll To Me」 は、落ち着いたポップ・サウンドが多いこのアルバムの中では弾けた曲で、サビのカスタネットの音が可愛い。
M-3 「Kiss This Thing Goodbye」 やM-5 「Nothing Ever Happens」 のようなブルーズ・ハープやバンジョーやアコーディオンを取り入れた、アメリカン・ルーツ・サウンドっぽい仕上がりの曲とか、Gin Blossoms辺りのサウンドを思わせる、M-4 「Not Where It's At」 やM-6 「Always The Last To Know」 なんかを聴くと、やはりUSの香りがする。
しかし、アレンジの所々にXTC辺りのポップ・センスが伺われ、USのアーティストには出せない味も感じる。
M-11 「Driving With The Brakes On」 は、とてもアグレッシヴなバラードで、感情表現豊かなVo.と厚みのあるハーモニーがじっくりと聴かせる。
ラストを飾る曲は、“Official Team Scotland Song World Cup '98” というサブ・タイトルが付けられた 「Don't Come Home Too Soon」。
Vo.のJustinはScotlandのフットボール・チームのサポーターだそうで、この曲はW杯のオフィシャル・アルバムにも収録された。
応援歌なのに意表をつく、ストリングスのアレンジが綺麗なしっとりとしたバラード。
しかもその歌詞は、チームの実情をしっかりと捉え、見つめている。
“負けて帰ってくることは最初から分かっているさ。それでも俺たちは気にしないよ。だけど、あんまり早く帰ってくんなよ。”
という何とも皮肉な内容だ。でも、ただ単に盛り上る内容のお祭りソング的な曲ではなく、こういう好きなチームへの愛情の溢れる曲が書けるというのが素晴らしい。

いつもよりちょっと早く帰宅できた今日、久しぶりに部屋で少しだけ音楽を聴く時間があった。
このアルバムを選んで聴いてみたら、彼らの落ち着いたポップな音の中に、春の足音を見つけた感じがした。
まだまだ寒い毎日だが、なんか温かい気持ちになった。

禁断症状解消、通勤のお供

2006-01-22 | others


とうとう東京にも雪が降り、一面真っ白になった。
久しぶりの更新。しかし、ゆっくりと更新できない現実・・・。
今月後半は休みなしの連勤。魔のように忙しい故、ゆっくりと音楽を聴く時間もない。
そこで、ついにデジタル・オーディオ・プレイヤーなるものを購入した。
実は私の所有しているパソコンはスペックが古く、i-Tuneなどには対応できないので諦めていた。
かと言って、CDウォークマンを携帯して満員電車に乗るのは億劫なので、音楽を聴くのはもっぱら部屋でのみだった。
ところがこの忙しさで音楽をまともに聴く時間がなく、だんだんと禁断症状が出てきた。
そんな時、いつもより少し早く仕事が終わった3日前、親に頼まれていたものを買いに量販店に行って見つけたもの。
それは、Windows Media Playerに録音した音楽を取り込める、MP3タイプのものだった。今の私の環境にはこれで十分だったので、即買い。
大好きな曲をセレクトしてランダムで聴いているのだが、いつも聴いていた曲も、イアホンで聴くといろんな発見がある。
例えば、遠くの方で鳴っている楽器の音やVo.の息づかいなど・・・往復の約2時間を楽しんでいる。
weezerの曲で好きな曲には、タイトルが 「P」 から始まる曲が多いことにも気付いたり・・・。
今週は少し時間が出来る日がありそうなので、何か記事を書こうと思う。

90年代UKサウンドを懐かしむ

2006-01-14 | music : normal


昨日のトピの中に登場したMenswearを聴こうと思ったが、もう今手元にあるのはS-CDだけだったので、自分でも驚く程歌詞を覚えていたCastを聴いた。
The La'sの第二の男、John Power(B)率いるCastの、95年のデビュー・アルバム 『All Change』。
2001年以降バンドとしての音沙汰がないが(2003年にJohnはソロを出している)、1stがいちばん優れていた。
というのも、だんだん音作りの方向性が変わって行ったのだった。
Castは、The La'sが空中分解したあと、Lee Maversがなかなか腰を上げない中とうとう見切りをつけ、Johnが新たにVo./Gとして結成したバンド。
再出発ということもあり、アルバム・タイトルしかり、1曲目を飾る 「Alright」 の歌詞は、その当時のJohnの心境が切実に歌われている。
“たぶん、きっと、僕は大丈夫だよ。上手くやってるよ。理由なんていらない。吹きつけられる風に立ち向かって進むしかない。” と・・・。
過去の栄光と挫折を全て拭い去り、肩の力を張らずに新たに頑張るぞ~という意気込みが感じられたアルバムだ。
プロデューサーは、XTCやRadioheadなどを手がけ、The Stone Rosesを世に送り出した手腕、John Leckie。
ポップ・センス溢れるリヴァプール・サウンド全開で、当時のUK Rock&Brit Popファンの心をギュッと掴んだ。
Johnの特徴ある声と、バンドのしっかりとしたプレイは、10年以上経った今聴いてもなんら変わりなく、心を掴んでくれる。
改めて聴くとなんかとっても新鮮な感じがして、当時oasisやblurに押され気味の中で地道に頑張っていた彼らの姿が目に浮かび、来日した時のあのクリンクリンの天然パーマで愛嬌あるJohnの姿が思い出される。
一曲一曲全てに、英国の香りが漂う。パワフルなロック・サウンドも、ゆるやかな曲も全て・・・ジャケも英国ならではの写真だ。
アコギの乾いたメロディ、歪むギターに絡む煌びやかでポップなメロディは、紛れもないUKならではの音だ。
偉大なるThe Beatlesを生んだ街、Liverpool出身ならではのポップ・センスもあるだろうか・・・。
M-1 「Alright」、M-3 「Sandstorm」、M-7 「Finetime」 は特にいい曲だ。

時代を越えて受け継がれる英国スピリッツ

2006-01-13 | music : various


中古ショップで面白いCDを見つけた。
97年リリースの 『the in crowd ~ 20 Mod Classics 64-97』 というタイトルのコンピレーション・アルバム。
そのタイトルが示すとおり、モッズのコンピで、Deram、Deccaと言ったPolyGram系の音源を集めたもの。
ジャケ写やスリーヴの中の写真には、モッズ時代を代表するスクーター、Vespaがずらり。
それもそのはず、Vespa社が全面提携しているのだ。
そしてタイトルの “i” の点の部分とCD盤とトレイの真ん中は、モッズのシンボルとも言える、赤と白(のところは、CDそのままのシルバー)と青のターゲット・マークになっている。
スリーヴの中の写真は、いろんな型のVespaに混じって収録アーティストの写真が散りばめられている。
64年から97年ということで、元祖モッズから、ネオ・モッズ、ヌーヴォ・モッズまで、様々な顔ぶれが収録されている。
実は中には、“えっ?! 何故これがモッズなの?” と思うアーティストもある。
そういうところも含め、なかなか面白くて結構楽しめる一枚だ。


【収録曲とアーティスト】

① I Can't Explain / The Who (1965)
② Whatcha Gonna Do About it / The Small Faces (1965)
③ The In Crowd / Dobie Gray (1965)
④ Good Morning Little Schoolgirl / Rod Stewart (1964)
⑤ Night Train / James Brown
⑥ I'm The Face / The High Numbers (1964)
⑦ (I'm A) Roadrunner / Jnr Walker & The Allstars (1965)
⑧ Leaving Here / The Birds [featuring Ronnie Wood] (1965)
⑨ There's A Ghost in My House / R. Dean Taylor (1967)
⑩ I'm A Man / The Spencer Davis Group (1967)
⑪ A Town Called Malice / The Jam (1983)
⑫ Maybe Tomorrow / The Chords (1980)
⑬ Poison Ivy / The Lambrettas (1980)
⑭ There She Goes / The La's (1988)
⑮ The Snake / Dodgy (1994)
⑯ Getting Better / Shed Seven (1996)
⑰ Fighting Fit / Gene (1996)
⑱ Sleeping In / Menswear (1995)
⑲ Alright / Cast (1995)
⑳ Into Tomorrow / Paul Weller (1992)


ずらりと並んだこの選曲は、かなり聴き応えがある。
元祖モッズのThe WhoやThe Small Faces辺りはもちろんだが、The JamやThe Chords辺りのネオ・モッズは、やはりずば抜けて弾けている。
叩きつけるようなスピード感あるビートに、モータウン・サウンドを融合させたR&B的でオシャレなサウンドは、実にカッコいい。
The Whoの前身のThe High Numbersや、モッズをやっていた頃のRod Stewart、Ronnie WoodをフィーチャーしたThe Birdsの音源なんかは貴重だ。
特に私の好きなRodは、こういうところからR&Bのルーツを歌ってきたんだな~と感じる。
当時、モッズ族に好まれていたJ.B.が収録されているのも面白い。
私が “何故これがモッズ?” と思ったのは、(わかると思うが) The La's、Dodgy、Shed Seven、Gene、Castだ。
確かにヌーヴォ・モッズはブリット・ポップの流れからきたものだが、もしかしたら彼らの音の認識は、本国ではモッズの部類に入るのだろうか・・・。
まあGeneなんかはモッズのようにオシャレだったし、メンバーの中にはモッズっぽいヘア・スタイルも居たし、ビートの効いたサウンドだった。
でも、The La'sやDodgy、Shed Sevenは、モッズと言うにはかなり抵抗がある。
なので、M-13まで聴いていて、突然 「There She Goes」 のキラキラしたアコギの音が流れてくると、おや?と思ってしまう。
オシャレと言えば、スーツに細いネクタイ姿のMenswearも懐かしかった。久しぶりにアルバムを聴きたくなった。
Castのこの曲も、かなり懐かしい。そして、全部歌えた自分にちょっと驚いた。(笑)
時代を越えて受け継がれているモッズ・スピリッツは、英国人でなきゃ出せない音なのかも知れない。

カメレオン的アナーキーなバンド

2006-01-12 | music : normal


この人たちの音楽性というのは、本当に常に変化していて、アルバム一枚一枚の方向性が全部違うというのが私の印象。
そんなバラエティに富んだサウンドの中で、このアルバムだけは本当に見事なくらい私の好みと合致した。
Primal Screamの94年のアルバム 『give out but don't give up』。
プロデューサーは、60年代のR&Bの名作の数々を手掛けた大物中の大物、Tom Dowd。
そして、1曲だけGeorge Drakouliasが手がけている。The Black CrowesやThe Jayhawksでお馴染みのプロデューサーだ。
その名だけでも聴く気になるという、私の好みに違いないのだが、このトラディッショナル・アメリカン・ロックに焦点を置いたアルバムは、それまでのPrimalの音からするとかなり意表を衝いた。
ジャケやスリーヴ、裏ジャケに至るまで、南部アメリカの匂いがプンプン漂ってくる。ジャケに至っては、まんま南部アメリカのフラッグなのだから・・・。
しかし何度も聴いて行く内に、ひとつの共通点を発見した。
それは、私が最も大切にしていて、最も好きで敏感に反応するグルーヴだった。
私はエレクトロニックやハウス・ミュージックが苦手なので、『Screamadelica』 辺りはあまり肌に合わない。
それまでの彼らの曲では、2nd 『Primal Scream』 に収録されている 「Ivy, Ivy, Ivy」 が好きだった。
しかし、この 『give out but don't give up』 はそれまでのPrimalのイメージを覆すかのようなサウンドで、完全に打ちのめされたのだった。
それだけで、ライヴにも行った。クネクネとしながら歌うBobby Gillespieのパフォーマンスは、オーラが出まくっていて大いに盛り上ったことを覚えている。

何もかもアメリカンである。それも、南部の土の匂いが漂う、ファンキーでオーソドックスなロックンロール・ナンバーが目白押し。
Memphisでのバンド・セッションから生まれたアルバムだそうだが、ロックの醍醐味が十二分に生かされている。
M-1 「jailbird」 のイントロ。チューニングするかのようなギターの音が鳴った後、ドラムから入り、右のスピーカーから聴こえてくるギターのメロ。体がうずかずにいられない。
ノリとグルーヴがめちゃくちゃカッコいい! 思わず踊り出したくなるナンバーだ。
このアルバムの中で、いや、Primalの曲の中で、私はこの曲がいちばん好きだ。
そして名曲M-2 「rocks」 は、もう今更語るまでもない、ビートの効いた弾けるロック。
『Screamadelica』 で、当時のクラブ・シーンを沸かせたBobbyが、この曲について “最新のクラブ・ミュージック” と言っていたのを思い出す。
しかも、今でもクラブでフル・ヴォリュームでガンガンかかっていると言うのだから・・・。
スタンダードなトラディッショナル・ロックなのだが、単なる真似ではなく、彼らの音作りの深さが伺える。
このアルバムでは、バラード・ナンバーがこれまた素晴らしい。
M-3 「(i'm gonna) cry myself blind」 やM-5 「big jet plane」、M-9 「sad and blue」、M-11 「i'll be there for you」 と言った泣かせるナンバーの数々。
ソウルフルでブルージーなサウンド、切なく訴えかけるように歌い、たたみかけるようにシャウトするBobbyの歌声が深く響き、うっとりとしてしまう。
M-4 「funky jam」 の文字どおりのファンキーさにも脱帽。ホーン・セクションを巧みに起用し、ファンク・ミュージックの王者Paliamentのリーダー、George Clintonを迎えてダンサブルに駆け抜ける。
M-6 「free」 は、『Screamadelica』 収録の 「Don't Fight It, Feel It」 でもお馴染みの、Denise JohnsonがリードVo.を取るめちゃくちゃソウル・フルなバラード。
この辺りで、“これは本当にPrimalのアルバム?” と耳を疑ったりしてしまう。しっとりとした、且つ迫力ある聴かせるナンバーで、しんみりとしてしまう。
かと思えば、再びM-7 「call on me」 で、スワンプ・ロックそのまんまの音を届けてくれる。
この曲が、George Drakouliasが手がけた曲。なるほど~と頷けるサウンドで、ソウルフルな女性バッキング・コーラスやホーン、ピアノに加え、ギュインギュインとギターの音が全面に出ていて、そのギターの音に、私はThe Georgia Satellitesを思い起こす。
“イカしたロックンロール” という、ベタな表現が似合う曲だ。
M-8 「struttin」 は私の苦手とするタイプの曲なので、つい飛ばして聴いてしまう。やはり、どうしてもこういうアシッドなハウス風の音は肌に合わないらしい・・・。
アルバム・タイトル曲M-10 「give out but don't give up」 では、再びGeorge ClintonとDenise JohnsonをVo.に迎え、ダイナミックにファンキー・バラードを奏でている。
そして、とても美しいメロディの 「i'll be there for you」 で最後を飾る。

全くBobby Gillespieという奴は、計り知れない音楽の才能とセンスを持っている。
これほどまでに、アルバムごとにいろんな顔を持つアーティストは、彼ら (彼) を置いて他にいないだろう。
私にとって、「jailbird」 と 「rocks」 と、「(i'm gonna) cry myself blind」 と 「i'll be there for you」 を聴くだけでも価値のあるアルバムだ。

彼にしか出せないメロディ

2006-01-11 | music : favorite


パワー・ポップのコンピレーション・アルバム 『Yellow Pills』 シリーズの常連で、Velvet Crush好きにはお馴染みの、Adam Schmitt。
彼は、Velvet Crushの 『Stereo Blues』 で共同プロデュースもしていて、彼らとは古くからの友達同志である。
これは、2004年にそのVelvet Crushの 『Stereo Blues』 でCD輸入権が話題となったレーベル、Parasol Recordsから2001年にリリースされた3rdアルバム 『Demolition』。
“Thank You” のところには、Ric MenckとPaul Chastainの名前がちゃんとある。
これは、Adamが1993年から2001年の8年間に書きためて温めていた曲を、自宅のスタジオでレコーディングしたアルバムで、楽器も含め、プロデュースからエンジニアリング、ミックスまで全て彼が手がけている。
彼は全てマルチに何でもこなす。そのマルチぶりが高い評価を受けてきたが、彼の生み出す音楽は決してポップスおたくになっていなく、すんなり馴染める。
2ndが出たのが1993年だったので、長い間待った甲斐あって、M-1 「See Me Fall」 を初めて聴いた時は、どこをどう聴いても彼の曲だとわかるそのメロディ・ラインに感激したものだった。
特にこのアルバムでは、アコギが出す本来の綺麗な音色を全面に出していて、Eギターの音はかなり控え目になっている。
そんな音作りが、より一層爽やかなサウンドに仕上がり、Adamにしか出せないメロディが駆け抜け、気持ちのいいポップ性に優れた楽曲が並んでいる。
パワー・ポップ・ファンの間で絶賛されたデビュー・アルバム 『World So Bright』 に比べると、全体的に穏やかな曲が多い。
 『World So Bright』(1991)

甘すぎず、切なすぎず、弾けすぎず、本当に丁度いい感覚で、繰り返し聴いても飽きない。
ちょっとスパイスの効いたひねった曲もあるが、かえってそれがクッションになっている。
自分で全部やってしまうっていうのは、全てが自分の納得の行く仕上がりに違いない。だからだろう、彼のアルバムにはいつも捨て曲がない。
このアルバム以降、近年はもっぱらインディーズ・アーティストのプロデュースに専念しているようだ。
そして久しぶりにVelvet Crushのアルバムで名前を見つけたが、彼が昔から温めている曲はもっともっとたくさんあり、このアルバム一枚には収めきれなかったと言う。
その内 『Demolition』 のVol.2を出そうと思っていると、Parasol Recordsのサイトにメッセージを寄せていたが、はて?どうなったんだろう・・・。

ロック・クラシックス その五

2006-01-09 | music : basics


昨年暮れのRod Stewartのトピにも書いたが、アナログ盤で所有しているアーティストのものは、ベスト盤のCDをよく聴く。
今回もそんなアナログ時代のアーティスト。
成功と破壊の道を駆け抜け、たった5年で幕を下ろしたイギリスのバンド、Mott The Hoopleの 『Greatest Hits』。
アナログ盤がリリースされたのが1976年で、CD化されたのが1987年、そしてその後何度も再発されている。
黒いサングラスにブロンド・ヘアのVo.のフロントマンIan Hunterは、70年代初頭のLondonでムーヴメントが起こった妖艶なグラム・シーンに、T-RexのMarc BolanやDavid Bowieらと共に、華々しくきらめいていた。
(私はBowieの声があまり好きではないが、T-Rexはお気に入りのひとつだ。)
そう、Mottはいわゆるグラム・ロック・バンドと言われていた。
特にグラム特有のド派手なメイクやきらびやかなコスチュームに身を包んでいるわけでもなかったが、そう呼ばれていた。
それは彼らの背景に、David Bowieがいたからなのかも知れない。
しかし私にとって、その叙情的なメロディがとても魅力のMottに、グラムという言葉はない。
Mottを最初に聴いたのは、David Bowieがプロデュースした名盤 『All The Young Dudes』。
とっても英国的なイラストのジャケがステキだったのと、忘れてしまったが確かバンドをやっている人に薦められて聴いたんだと思う。
当時のダサい邦題とはひと味違って、“すべての若き野郎ども” というタイトルも気に入った。
オン・タイムで聴いたわけではなかったが、しんみりとした哀愁に満ちた楽曲、シンプルなロックン・ロールの数々にアンテナが反応した。
軽快なピアノの音もロックしてるし、後にBad CompanyのメンバーとなったMick Ralphsがギターということもあってか、やはりグラムというよりかはブルーズ色漂うロックだ。
 『All The Young Dudes』 1972

このベスト盤の一曲目を飾るのは、彼らの曲の中でも特に好きな 「All The Way From Memphis」。
イントロから連打する転がるような弾けるピアノと、ストレートでシンプルながらも華麗に展開するロック・ナンバーで、Brian MayやMichael Schenkerなんかも、この曲をカヴァーしている。
ホーン・セクションもギターの泣きメロも、めちゃくちゃカッコいい。
イギリスのバンドがアメリカのMemphisを題材に、ロックン・ロールについて歌うというのは、特に当時誰もが憧れていたアメリカン・ドリームを描いている。
Mottの歌詞には、こういうアメリカ的なフレーズがたくさん出て来る。
例えばM-2 「Honaloochie Boogie」 には “Chuck Berry” が、M-4 「Born Late '58」 には “キャディラック” が登場する。
そして、彼らの歌詞はすべてロックン・ローラーの人生について歌われている。
M-3 「Hymn For The Dudes」 のアコースティックで祈るように歌うIanのVo.と、間奏でドラマティックに奏でられるギター・メロは、邦題の “野郎どもの賛歌” という表現がピッタリ。
David Bowieが書き下ろしたM-5 「All The Young Dudes」 は、やはり泣けるナンバーだ。
もうイントロのギターから、胸にきゅーんと来てしまう。アグレッシヴで叙情的なメロディにグルーヴ感が漂い、この曲でMottはスターダムにのし上がった。
T-RexやBeatles、Stonesが歌詞に登場し、当時の悶々としたロッカーの心情が哀しげに歌われている。
M-7の 「Ballad Of Mott The Hoople」 は、メンバーのことを歌ったカントリーっぽいメロディのバラード。
哀しげに歌うIanのVo.とオルガンの音とスライド・ギターが、彼らのロック魂を切に奏でている。
“Ladies and gentleman, the Golden Age of Rock 'N' Roll!” という語りから始まる、M-8 「The Golden Age Of Rock 'N' Roll」 は、もう王道のロックン・ロール・サウンドの何者でもない。
“The Golden Age of Rock 'N' Roll will never die” という歌詞のまんま、こういうサウンドはいつの時代にも受け入れられ、永遠に不滅だろう。
M-10 「Saturday Gigs」 は、その邦題 “モット・ザ・フープル物語” にあるように、69年から74年の間に駆け抜けた、Mottの情熱的かつ悲劇的なバンド人生が切実に歌われた、悲しいメロディのバラード。
この曲は、崩壊寸前となったMottが最後に残したシングルで、その後バンドはあっけなく崩壊した。
アッという間の破滅だった。原因は、Ianと、David Bowieのかつての相棒Mick Ronsonとの出会いだったらしい。
それがどう影響したのかは詳しく知らないが、Ianの一方的判断でMickをバンドに入れ、それまでのギターをクビにしたことにより、バンド内の空気が最悪となったのが大きな理由と言われている。

“69年は楽しかった・・・思いっきり楽しみ、将来を夢見ていた。
 70年、僕らはひとつになっていた・・・キングス・ロードのアパートが溜まり場だった。
 71年はみんなが僕らのところに集まってきた・・・Mick(Jagger)を 「TOP OF THE POPS」 から
 蹴落として、奴らより上手くプレイしたさ。
 72年は混乱の年だった・・・過去の出来事に振り回された。
 73年は最も盛り上った・・・僕らは話題の中心だった。
 そして74年はブロード・ウェイ・ツアーだった・・・とても素晴らしいツアーだった。
 あの土曜の夜のステージを覚えているかい? 僕らは覚えているよ。
 夢中だったかい? 僕らは夢中だったさ。
 僕らはノリまくったよ。何故なら、君があんなにノッてくれたから・・・”

と、バンドの歩みが赤裸々に歌われている。本当に切なく悲しいメロディで、ぐっときてしまう。
自ら真実のバンドの楽しい思い出と苦しみを最後に歌ったバンドは、後にも先にもMott以外にいない。
全て包み隠さずに、完全燃焼したバンドの短い生命を歌っているのだから、涙を誘わずにいられない。
Mottのバイオを何も知らずに曲だけ聴くと、もしかしたらアメリカのバンドと思ってしまうかも知れない。
バラードに代表される、哀愁漂う湿ったメロディは英国的だが、軽快なロックン・ロールは、アメリカン・ロックっぽくもある。
彼らは解散後も、Queen、The Clashなど、あらゆるミュージシャンに影響を与えてきた。
それは、Ianの表情豊かなVo.と、ワイルドでアグレッシヴ、ドラマティックでストレート、かつ叙情的なサウンドが魅了しているに違いない。

横揺れのグルーヴ・キラー

2006-01-06 | music : special


The Black Crowesに代表されるように、私は横揺れのグルーヴにめっぽう弱い。
そんな私を、正にグルーヴ・キラーと言いたくなるほど酔わせてくれているThe Redwalls。
聴けば聴くほど、そして聴く度にどんどん好きになっていて、私の弱いところをどっぷり刺激している奴らである。
少し前まで、去年リリースされた 『de nova』 が1stアルバムと思っていたが、彼らのオフィシャル・サイトで、2003年に既にインディ・レーベルより一枚アルバムを出していることを知った。
『de nova』 で彼らに完全にハマった私は、その正真正銘のデビュー・アルバム 『Universal Blues』 を入手した。
現在平均年齢21歳の彼ら。このアルバムがリリースされた頃は、いちばん年上のLogan Baren(Vo./G)は20歳、弟のJustin Baren(B/Vo.)とAndrew Langer(G/Vo.)に至っては18歳だ。
その若さで、この音はいったい・・・。本当にこいつらはただ者ではない!ということを、改めて実感している。
この60年~70年代のテイストは、とても10代の若者が作り出しているとは、信じがたいほどのセンスである。
いくらThe Rolling StonesやThe Beatles、Bob Dylan、Otis Reddingなどにどっぷり浸かって、そこから音楽を学んできたとは言え、このセンスはやはり並大抵ではない。
まるで、60年~70年代の音楽が、彼らに催眠術をかけて乗り移ったかのようだ。
『de nova』 と同じく、バラードやミディアム・テンポのグルーヴィな曲で占められていて、インディ時代によくある荒削りなところがさほどない。
そして、Loganの感情豊かなVo.と、インテリジェンスな歌詞の世界は、彼らのバイオを知らなければとても20歳そこそこの若者たちが作ったアルバムとは思えないだろう。
M-1 「Colorful Revolution」 では、タランティーノの映画のサントラで注目を浴びたStealers Wheelの 「Stuck In The Middle」 を思わせ、リズム・パターンはBeatlesの 「Ob-La-Di, Ob-La-Da」 からの影響が伺える。
時事的問題や政治的なことを歌詞にしているところなどには、Dylan的テイストも垣間見られる。
そんな感じで全曲がいろいろなテイストを含んでいて、ひょっとしたら 「昔のアルバムだよ」 と言うと信じきる人が殆んどかも知れない。
しかしそんなレトロなクラシック・ロックっぽい音が、逆に新しくも思えるのが彼らの魅力だろう。
『de nova』 に収録されている 「It's Alright」 「How To Story Goes」 が、このアルバムに既に収録されていて、アレンジや演奏はやはりまだこっちの方が薄くてスカスカした感じだが、これはこれでまたなかなかいい。
オルガンをふんだんに使ったM-7 「What A Shame」 なんかは、フラワー・チルドレン世代の音楽を思い起こさせる。
ZZ Topのカヴァー 「Balinese」 は、特に渋すぎるくらい渋い。Vo.にエフェクターを使い、ブルージィにロックしている。
M-2 「You'll Never Know」 やM-8 「Home」 やラスト曲のアルバム・タイトル曲 「Universal Blues」 は、最もRedwallsらしい曲である。
『de nova』 収録曲の最高傑作 「Thank You」 に通じるものがあり、ゆったりとした横揺れのグルーヴが気持ち良く、体の芯まで刺激される。
アコースティックな切ないメロディ。そして自然と体が揺れるグルーヴが、最高に気持ちいい。
『de nova』 と比べると、Beatlesスタイルのロック・ナンバーが多く、ちょっと後期のBeatlesっぽさが強い気がしないでもない。あまりにも好きすぎて、どうしても音に出てしまったという感じだろうか、少しオリジナリティに欠ける感がなくもない。
そういうところが、まだインディーズ止まりであった理由だろう。でも、インディーズにしては貫禄がありすぎるくらいの出来だし、全曲心地良い曲ばかりだ。
そして今、堂々とメジャーで 『de nova』 を発表し、The Redwallsらしい音を、自信を持って届けている。
恐るべし若者たち。その音楽性は、計り知れないほどの味わい深さに満ちている。
早くも次の作品が楽しみでならなし、ライヴが見たくてたまらない!

★ 『de nova』 のトピはこちら

音楽で綴る物語

2006-01-05 | music : newcomer


ジャンル分けというものは、時には損をさせてしまうことがあることを、このバンドの音楽を聴いてつくづく思った。
今や国内の音楽雑誌を殆んど読まなくなった私は、去年辺りからCDショップのポップで頻繁に見かける、ある新しいジャンル分けの言葉に、少し違和感・・・いや、嫌悪感すら抱いていた。
その言葉は、“エモ”。“美エモ” とか、“エモ・ロック” という表現である。
今時と言っちゃあそれまでだが、私にはどうもしっくりこなかった。10年前にも同じようなことがあった。“グランジ” という言葉だ。
確かに、ある意味決まった表現をした方が、同じ系統の音楽を選択する時に手っ取り早いのかも知れないが、どうにもこの “エモ” という言葉があるだけで、何故か目を背けていた。
自分でもこれは偏見だと思う。誰が言い出した表現なのかは知らないが、エモーショナルなサウンドなのだろうと何気なく想像はしていたが・・・。
そして、その言葉で表現されているCDを初めて試聴した音は、メロ・コアだった。
なので、私にはエモ系というのは、今のメロ・コアなのだという先入観が生まれた。
ところが、元旦の夜にタワレコに行って試聴した一枚のCD。
ジャケのイラストに惹かれたのと、ポップに書かれたピアノのメロディの美しさについて。そこには、“エモ” という言葉は使われていなかった。
そして、“Tooth & Neilの看板バンド” と書かれていても、そのレーベルがいわゆるエモ系と呼ばれているバンドが多く在籍するレーベルだということも、勉強不足で知らなかったのが幸いして、このステキな音楽に出会うことができた。

Mae(つい、マエと読んでしまうが、メイである)というバンドの 『The Everglow』。
USヴァージニア州の港湾工業大都市Norfolk出身の5人組で、このアルバムは2枚目らしい。
小さい頃からピアノを嗜んでいた私にとって、ピアノがフィーチャーされている音楽は、特にピアノの音に耳が行ってしまう。
Ben Foldsのようなロック・スタイルの弾き方には詳しくないので、サウンドを楽しんでいるが、Maeのクラシック寄りの弾き方には敏感に耳が反応した。
その音色は、実に美しいサウンドを作り出し、ぐぐぐ~っと引き込まれて行った。
3~4曲試聴して、即購入。家で改めてじっくり聴いてみると、その世界観が素晴らしい。
美しいピアノの音色とディストーションを効かせたギターが、とても上手く融合している。
時には儚く、時には激しく、そして時にはドラマティックに流れて行くのである。しかもそのサウンドは、とてもポップ。
レコードに針を落とした時のプチプチという音が聴こえ、ピアノの音色に乗って女性のナレーションが始まる。
ブックレットが絵本のようになっていて、一曲一曲のイメージ画が描かれているのだが、そのページをめくる毎に絵と共に聴こえてくるサウンドが、アルバム・タイトルである “Everglow” の世界へ君をいざなって行くよ、という 「Prologue」。
そして、“enjoy your journey” と最後に残し、ドラマティックな音楽が始まる。
なんてステキな構成、なんてステキな音楽。五感を揺るがすものが走った。
ひとりの男の子が旅をするという設定のイラスト。そのイラストの世界観に引き込まれて行き、絵本の物語の中にトリップさせてくれる。

全然メロ・コアなんかじゃない。こういうのをエモと呼ぶのか? いや、もうそんなことどうだって構わない。
ジャンル分けしたい人は、どうぞご勝手に・・・という感じだ。
私にはKeanに通じるものがあった。ただ、ギターレスのKeanと違って、美しいピアノの音にアグレッシヴなギターの音が絡まって、よりスケール感のある幅の広い音になっている。
どの曲もいい曲ばかり。M-3 「Someone Else's Arms」 や、ドラムのビートが気持ちいいM-8 「Breakdown」、アルバム・タイトル曲のM-11 「The Evergrow」 は、壮大なスケール感が漂うとってもポップなナンバー。
M-4 「Suspension」 やM-5 「This Is The Countdown」、変則ドラムのM-12 「Ready And Waiting To Fall」 辺りはとってもドライヴ感がある。
M-7 「The Ocean」 には海の音のSEが入っていて、ロマンティックなメロディが綺麗だ。クジラの背中に座った男の子の絵が、その世界観を想像させてくれる。
最後には再び 「Epilogue」 のナレーションがあって、“Goodnight” で物語が閉じられる。
もっと早く出会っていたら、来日ライヴも逃がさなかったのにな~(既に二度来日しているらしい)と悔やまれる。
去年発売されたアルバムだが、新年早々、いい音に出会えて気持ちがいい。

2006年の幕開けは定番で・・・

2006-01-04 | music : special


年末と三が日は仕事だったので、明日(もう日付は変わったが・・・)がやっと休み。ということで、ゆっくり音楽を聴いている。
2006年、いちんばん最初に聴いたのは、やはり彼らだった。そして、ブログに書くのもやはり最初は彼らのこと。
大ヒット・アルバム 『Grave Dancers Union』(1992) の次にリリースされた、Soul Asylum95年の7枚目のアルバム 『Let Your Dim Light Shine』。
プロデュースは彼ら自身と、かのButch Vig。GarbageのリーダーでDrs.の彼は、90年代のオルタナ・ロック・シーンでは、最重要プロデューサーとも言われていた。
そしてミックスは、『Grave Dancers Union』 に引き続き、Nirvanaの 『Nevermind』 やSonic Youthの 『Dirty』 他、Ben Folds Five、Bad Religion、Jane's Addictionなど数々のロック・アルバムを手がけたAndy Wallace。
(きっと彼らふたりのどちらかの名が入っているアルバムが、少なくとも一枚は手元にあるはず・・・)
だがこのアルバムは、従来のSoul Asylumの音楽から微塵も外れることなく、Butch色にも染まらずに、堂々とした作品に仕上がっている。
粒揃いの優れた楽曲満載のこのアルバムは、『Grave Dancers Union』 よりも好きなアルバムだ。
「Runaway Train」 が思わぬ大ヒットとなり、ツアーが予定以上延びたということもあって、先延ばしになってしまったこのアルバムは、当時本当に待ちに待った感に溢れる一枚だった。
アルバムの1曲目を飾る 「Misery」。悲惨な境遇と欲求不満を歌った、かなりネガティヴな内容だ。
アコースティックなサウンドはどこかもの哀しく、サビでは欲求不満をぶつけるかのようにDaveのVo.がシャウトする。
切なくてメロウなナンバーのM-5 「Promises Broken」 は、アルバム・タイトルの一部 “Your Dim Light Shine”(君のかすかな灯り) というフレーズが出て来る。
彼らのアルバムのタイトルは歌詞の一部から成るものが多いので、毎回その “一部” がどの曲からきているのか、探すのが楽しかったりする。
M-3 「To My Own Devices」やM-7 「String Of Pearls」、M-10 「Eyes Of A Child」、M-14 「I Did My Best」 と言ったアコースティックなナンバーは、もう彼らのお得意のひとつとなり、“聴かせるロック” を見事なまでに表現している。
M-4 「Hopes Up」 やM-6 「Bittersweetheart」、M-11 「Just Like Anyone」 辺りの、王道のアメリカン・ロック・テイストな曲も忘れてはいない。
中でも、「Bittersweetheart」 はライヴでも盛り上がる曲で、とても楽しくなるノリのいい曲だ。
DaveとDanの息の合ったハーモニーも和むし、DaveのVo.もとってもセクシーである。
M-2 「Shut Down」 やM-9 「Caged Rat」、M-13 「Nothing To Write Home About」 などの、初期を思わせるパンキッシュなナンバーもクッションとして入れていて、叩きつけるような尖った音でメリハリを利かせている。
M-8 「Crawl」 やM-12 「Tell Me When」 のようなメランコリックなナンバーも、凝ったアレンジで楽しませてくれる。 
全体的に非常にまとまっていて、 シンプルながらも、その構成やアレンジは、ひとひねりもふたひねりもした凝った作りで、とても存在感のある楽曲ばかりだ。
そして演奏もとても濃厚で熱く、臨場感の溢れる曲が並ぶ。

Soul Asylumの音楽を聴いていつも思うのが、彼らには “○○っぽい” とか “○○を彷彿させる” と言った感覚が全くない。
このアルバムの曲は、全てVo.のDave Pirnerによるもので、相棒のDan Marphyは参加していない。
Daveのルーツはソウル・ミュージックからカントリー、パンク・・・と様々だが、感情のまま作っていた初期とは違い、ルーツをしっかり備えた上で作り出された、オリジナリティ溢れるソングライティングの才能の成長が伺える。
以前、このアルバムを聴いた友が、“ホントにいい曲書くね” と言っていたことを思い出したが、大好きだからという贔屓目な感覚を取っても、彼の書く曲は素晴らしい。

今年もまた彼らで始まり、3月には死ぬほど待ち望んでいたアルバムも出る。
それに並行して、The Black Crowesの新作を待ち(出るのか?)、どんどん好きになって行っているThe Redwallsのライヴが見れたらいいな~と思う2006年の幕開けである。