二週間ほど前になってしまうが、映画の試写会に行ってきた。
この頃はもう滅多に試写会の応募はしないのだが、たまたま公開されたら絶対観に行こうと思っていた作品だったので応募したところ、まんまと当選。
『ホルテンさんのはじめての冒険』 という2007年のノルウェー映画で、試写会の場所はノルウェー王国大使館。それだけでも、なんだかわくわくしていた。
広尾の閑静な住宅街を抜けて行くと、右にノルウェー王国大使館、左にはスイス連邦大使館があった。
門のところで係りの人が出迎えてくれ、敷地内に入ってプール付きの庭に面した多目的ホールに入り、受付でノルウェー関係のパンフレットやポストカードをもらった。
50脚ほどの椅子が並べられた白木造りのホールの壁には、ノルウェーのポスターや、日本人アーティストが織ったというノルウェーの伝統的な模様のタペストリーが飾られていた。
開演前に大使館の人から挨拶があり、ノルウェーについての話の中で、国の独立を最初に承認したのが日本で、ノルウェーからはとても身近に感じられている国なのだということを初めて知った。
映画はまだ公開前なので、詳しい内容には触れないようにするが、とにかく素敵な映画だったということは先に伝えておこう。
観なくちゃと思いつつも結局まだ観ていない、『キッチン・ストーリー』(2003年)のベント・ハーメル監督の新作。
ノルウェーの首都オスロと、ノルウェー第2の都市ベルゲン間を結ぶベルゲン急行の生真面目運転士、オット・ホルテンさん67歳が主人公。
勤続40年、規則正しい生活を毎日送り続けてきたホルテンさんが、ついに定年を迎えるという日の前夜、同僚たちが送別会を開いてくれた。
鉄道ファンが泣いて喜びそうなそのパーティの趣向が、笑いを誘う。そんな場でも、ホルテンさんは生真面目。翌日の勤務に備えて早く帰ろうとしたが、二次会に誘われて断れずに結局付いて行った先で、予期せぬ出来事に遭遇。
そして、かなり笑えるその予期せぬ出来事によって、最後の勤務に大遅刻してしまったから、さあ大変! そこからゆ~っくりと、ホルテンさんの中の何かが解けて変わって行く。
「人生はいつも手遅ればかりだ。だけど逆に考えれば何でも間に合う」 と言う登場人物のセリフ。“そういう考え方もあるんだ” と改めて思うと、ポジティヴに考えることができる。
決められた枠の中で人生を送ってきたホルテンさんが、一歩を踏み出すことによって、戸惑いながらも今までとは違う何かを感じて行く。
そして、定年退職後もずっと制服を着ていたホルテンさんが、初めて私服になったことがメッセージとなる、人生最大の冒険(ホルテンさんの場合は何なのかは、観てのお楽しみ)へと臨んで行く姿に、温かい気持ちになって勇気をもらうことができた。
ひと癖もふた癖もある欠かせない登場人物たち
初めて私服になったホルテンさん
セリフは少なく、ゆる~く進んで行くが、そこかしこにクスッと笑えるユーモアが散りばめられていて、ほっこりとした気持ちにさせてくれる、とても優しくて温かい作品だった。
そして、いつもとは違うことに一歩踏み出すことは勇気はいるけど、それがいかに大切かということ、そうすることによってこれまで見えていなかったものが見えてくるということを教えてくれる、素敵な作品だった。
ポスターやフライヤーでホルテンさんが抱えている大きな犬のモリーは、特にストーリーに絡んでくるわけではないが、何とも言えない存在感がある。
このモリー(本名も同じ)は、本作品で2008年カンヌ国際映画祭パルム・ドッグ賞審査員特別賞を受賞しているらしい。パルム・ドッグ賞とは、その年の出品作で優秀な演技を見せた犬に贈られている賞で、映画祭の最高賞パルム・ドールをもじって名づけられた賞。
「ニッサンが日本の会社だって知ってたか? スウェーデンって言うならわかるけど、日本だなんて信じられないよ」 というセリフや、ホーム・バーにサントリーのウィスキー “響” が置かれてあったりして、監督は日本好き?なんて思ったりする一面もあり、列車の連結の様子や、運転席からの車窓、真っ白な雪原風景や趣きのある街の様子など、旅行好きにとってもわくわくさせられる映像がたくさんあり、バックに流れる音楽も優しくて美しく、物語にとても合っていた。
★日本公式サイトはこちら。オリジナル公式サイトはこちら。
★この(↑)予告編はUS版だが、上記公式サイトで日本版とオリジナル版を比べてみるのも面白い。やはり日本版はツボを得ていて、観たいという気持ちにさせる。
でも、決して良いとこ取りの予告編ではなく、本当にステキな映画なので、是非お薦めする。そして、北欧好き、旅行好き、鉄道好きにもお薦めだ。
★2月21日より、東京Bunkamuraル・シネマ、大阪梅田ガーデンシネマ、神戸シネ・リーブル神戸にて公開。以降、順次全国で公開。
ノルウェーのお国柄も分かるし、なんだかゆったりしてますね。楽しみです。
昨日読ませていただいて、絶対見に行こうと心に決めました♪
こういうほのぼのした感じの映画って好きです。
じんわり楽しめそう^^
で、ノルウェーの列車はやっぱり赤なのかぁ。
ノルウェーの風景も楽しみです。
面白いだけではなく、とてもほんわかとさせられました。
ホルテンさんと同年代の方も、きっと共感できると思いますし、老若男女で楽しめるお薦めの作品です!
公開したらまた行くか、DVD買おうかな~と思ってるくらい、お気に入りの映画になりました。
sundayさんも観に行ったら、是非ブログに書いてくださいね。
温かい気持ちになれるってこと確実です!(笑)
同じ北欧でも、スウェーデンやフィンランドとはまた違うと思いますので、sundayさんにはその辺も見どころかも?
トラックバック&コメントありがとうございました。(*^-^*
少し勇気を出してトライしようと思ったらその時点が新たなスタートなのでしょうね。(*^-^*
監督さんは昨年の11月に来日された時に東京でのプロモーションを終えた後、
京都への新幹線の旅を楽しまれたそうです。
日本がお好きな監督さんのようですね♪
実は、BCさんへのコメントのタイトル、“はじめまして”のつもりが“はじめ”で切れてしまったのですが、何だかそれが返ってこの映画の意味するところも含んだ感じになりました。(苦笑)
監督が新幹線の前で撮った写真は、公式サイトで見ましたが、時間通りに動く日本のライフ・スタイルがホルテンさんと共通する部分もあり、奥さんからは“あなた、そういうのが好きでしょ”と言われたそうですね。
同じ試写会だったようですね。
これは全く応募したことを忘れていたくらいでしたので、まさか当たるとは思いませず・・・。 嬉しかったです!
大使館のプールに感動してしまいました^^
映画はやさしい雰囲気で、ノルウェーのお国柄がよく出ていました。単純なのですぐ行ってみたいと思ってしまいます。
久しぶりに行った試写会が、あんなステキな場所で見れたことは、とてもいい気分でした。
大使館内の写真も拝見させて頂きました。スタッフの方々も皆さん温かかったですよね。お仕事していると、お国柄もうつるのでしょうか・・・。
私も北欧は未踏の地なので、とても興味が湧きました。