事故米の不正流通に端を発して、アフラトキシンやメタミドホスといった化学専門用語がマスメデイアを撹乱している。
図1 アフラトキシンB1の分子構造(クリックで拡大。)
アフラトキシンはカビが生産する最も強力なカビ毒で、地上最強の天然発癌物質とされ、中でもアフラトキシンB1 は図1に示すような構造をしているが、その毒性はダイオキシンの10倍以上といわれる。Aspergillus flavus (アスペルギルス フラバス:図2)のトキシン(毒)という意味から、アフラトキシンと命名された。主に肝細胞癌を引き起こす原因物質として知られている。アフラトキシンは少なくとも13種類(代表的なものはB1,B2,G1,G2,M1の5種類)に分かれるが毒性はB1が最も強い。
図2 Aspergillus flavus (アスペルギルス フラバス)。熱帯、亜熱帯地方で繁殖する(クリックで拡大図)。
発癌機構としてアフラトキシンは肝臓の代謝酵素シトクロムP450によって活性化され、それがDNAと結合して付加体を形成する。このとき、塩基対の代わりにアフラトキシン部がそっくり塩基対の代わりに入り込む。付加体はDNAの変異や複製阻害を引き起こし、癌化のイニシエーターとなることが報告されている。動物実験では15μg/kgのアフラトキシンB1を含む飼料を与えたラットが全て肝臓癌の発生を示すなど、非常に発ガン性が強い事が分かっている。調理では分解せず食品中に残るので厄介である。
図3 アフラトキシンーDNA付加体の溶液構造(NMRデータ)。中央部に右隣のグアニン7位に付加したアフラトキシン分子が見える(PDB-ID:1MKLのファイルデータをCAChe Workspaceで画像化)(クリックで拡大図)。
図3のように、塩基対の代わりにアフラトキシン骨格がすっぽりと入っているのであるから、当然複製阻害を引き起こし、癌化のイニシエーターとなる。ここで、注意すべきは、青酸カリや一酸化炭素のように即生命の危機に見舞われるのではなく、癌化というタイムラグがあるのが怖い。マスメデイアはこの点を誤解している。したがって毒性発生患者はないというニュースが流れているが、発生はこれからかもしれない!
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