ブログを書き始めてから既に半年が経った。その間にもマイクロバブルの分野で目立った進歩があった。やはり特筆すべきはナノバブル気泡径の直接観測であろう。いくつかの観測法によりその存在と寿命の長さが証明されたことは大きな意味がある。HPに掲載されている一例を拝借すると、図1のように10 μm領域と400 nm領域に明らかな分布があることが直視できる。
![App26 App26](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/38/0e2ba726e628bbf1dfc0f18256e881a3.png)
図1 マイクロバブル・ナノバブルの気泡径測定例。
(参考にしたHP: http://www.shimadzu.co.jp/powder/products/01s7100/app10.html)
従来、気泡径が100 nm領域のバブルは超音波造影剤として用いられ、現在も益々開発が盛んになっている。原理は界面活性剤等を利用して安定なナノバブルを作成し、人体の目的の部位に送り込むと、ナノバブルの超音波屈折率が媒体とは異なるために、主に微細血管の鮮明な超音波画像が得られるというものである。これはナノバブルの重要な応用ではあるが、ナノバブルが安定で圧壊しないのが望ましい。マイクロバブルの圧壊を利用する流れとはまったく逆である。しかし、裸のナノバブルでも意外と寿命が長いことが分かり、応用展開に一段と拍車が掛かったといってよい。
スピントラップ法でマイクロバブル水のESRスペクトルを測定すると、OHアダクト(OHラジカルを捕捉したトラップ剤)の信号強度がサンプリング時間を変えてもなかなか減衰しないことがあった(図2参照)。当時はまだバブル径が小さくなればなるほどその寿命が短いと思い込んでいたから、思案投げ首であったのを思い出す。
![Photo_4h Photo_4h](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/01/d747bb6120e64bd550af9553563f0a71.jpg)
図2 DMPOを用いてマイクロナノバブル水のESRスペクトルを測ったときの経時変化の例:a) バブル発生を止めた直後、b) バブル発生を止めて4時間経過後。
図2にDMPOを用いてマイクロナノバブル水のESRスペクトルを測ったときの経時変化の例を示した。a) はバブル発生を止めた直後でOHラジカルアダクトがはっきり観測されている。b) はバブル発生を止めて4時間経過後にサンプリングして測った時の例で、信号強度が約半分になっているが、はっきりOHラジカルアダクトが観測されている。これは結構長い寿命のバブルが存在し、適度の刺激によりOHラジカルが発生していることを物語っている。
ナノバブルの安定化に関する仮説が提案されている。バブル表面にOH-による負の電荷が集まっているが、これらが気泡径減少とともにお互いに斥力が働き、圧縮力と釣り合うというものである。これは最も説得力のある仮説でいずれ証明されるであろう。酸を添加して中和すればバブルが不安定になりラジカルが増えるはずである。反対にアルカリを添加すればバブルはさらに安定化するはずである。
価格が1万円強のシャワーノズルからタンカー用のマイクロバブルにいたるまで、多種多様のマイクロバブル発生器が開発され、しっかりした科学的根拠に根ざし始めている。しかも需要に支えられたマイクロバブル産業が世界へ向かって発信し始めている。これは何兆円産業になるか計り知れない。
◎マイクロバブルのESR測定はキーコム。出張測定もできます!
<問合せ先>:
キーコム(株)
〒170-0005 東京都豊島区南大塚3-40-2
KEYCOM Corp. 3-40-2 Minamiotsuka,Toshima-ku Tokyo 170-0005 Japan
TEL:+81-3-5950-3101, FAX:+81-3-5950-3380
Home Page: http//www.keycom.co.jp/
E-mail: ohya@keycom.co.jp